Legend Girl！

第四十七闘：男と女

「・・・と、いうのはまぁ宮澤陽菜が男であった場合だ・・・。」

椿と美咲は固まる。

「・・・・・は？」

「一家のボスを女がやるなんてことは未だかつて前例がない。」

一瞬見えた希望に喜びを見せる美咲。
「だ、だったらこの件は一旦保留として見送って頂けるんですか！？」

難しい顔をする巽は室内を困ったように歩き眠っている陽菜の前で立ち止まる。

「とはいえこの女の力は本物・・・そして伝統という大きな力が動いている。」
「決めるのは巽、あんたじゃないのか？」

そこで巽の口から出た言葉は予想外のものだった。

「決めるのは俺だけじゃない、俺と一家のここにいる隊長達と極闘会の総意だ。」

聞いたこともない謎の名前に困惑する二人。

「極闘会？」
「そんなのあったっけ・・・？」

混乱する二人に巽は面倒くさそうに説明をする。
「ま、言わば歴代極闘一家のボスであった人達が集まる会合だ・・・。」
説明しながらすやすやと眠る陽菜を見る巽。
「(しかしこれに負けたのか・・・。こう見ると貧弱に見える女だな・・・。)」

「そいつらが、陽菜ちゃんを推していると？」
「いや、そうじゃない・・・歴代達も迷っているんだ。
　この娘が俺を倒したのは事実として伝統を壊して女に一家のボスを任命させるのか、
　もしくは代理を立てて俺を倒したのは別の奴ということにして任命させるのか・・・。
　歴代達は女にボスは務まらぬと言ってきてるし威厳の問題もかなり強いと言っている。」

はぁ・・・と深くため息をつくと椿はドサッとソファーに座る。

「正直そんな話知ったことかって思うけど・・・彼女は紫炎の一員だ。
　僕も一人のボスとして陽菜ちゃんをはいそうですかと手放す訳にはいかない。
　彼女はいつだって僕らのため、紫炎のために無茶をしてくれたよ・・・。」

後に続くように美咲も話し出す。
「私も、陽菜っちが一家のボスだなんて反対です！！
　これは少し前に陽菜っちから直接聞いた夢ですが・・・
　陽菜っちはここ(紫炎)でつばる・・・あ、待って違う違う・・・
　椿と共に学校統一をするのが夢なんです！！」

首をかしげる巽。
「俺達を倒したい以上それは叶ったも同然であろう？」

「ま、とにかく僕らは反対だよ。でもまずは本人の意見を聞いて・・・。」

椿がソファーから立ち上がると、そこにはベッドから起き上がった陽菜の姿が。

「あ、おはよう陽菜ちゃん、今回もよく眠っていたね。」
「おはよう・・・ございます・・・。」
「もしかして陽菜っち今の話聞こえてた・・・？」
「・・・・・？」

ガバッと陽菜に一気に顔を近づけ覗き込む巽。
「よぉ、昨日は世話になったなあ！！」

陽菜は驚きビクッと身体が跳ね上がるも拳を振りかざす。
「巽雄吾！まだ倒れていなかったのか！よしじゃあもう一発！！」

巽は陽菜がその振り上げた拳を優しく下した。

「ハッハッハッ！寝起き早々元気だな！俺はお前に負けたんだ、安心しろもう勝負は着いた。」
「だったらなんでここにいる！？報復でここまで乗り込んできたの！？」

若干寝ぼけているようにも見える陽菜。

「報復でも何でもない、俺らは交渉に来たんだ。」

仲良さげにも見える二人のやり取りを笑顔で見守る椿と美咲。

「お前、うちのボスになるか？」
「は・・・・？」

直接交渉開始！そして外ではまた不穏な動きが・・・！？