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第四十五闘:紫炎の最後
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戦局が一気に変わったのはそれから10分も経たない間のことであった。
それを告げたのは巽雄吾の持つ携帯電話に入った隊長達からの連絡。
内容は一つ、巽の前にいる宮澤陽菜を除く紫炎のほぼ全員が倒れたという内容だった。
「ははははは!何も上手くは運ばないものだな!紫炎がほぼ落ちたぞ!!」
「ほぼでしょう・・・?であればまだ椿さんは無事なはず!!」
どんな状況であれ何とか意識を高く持とうと必死になる陽菜。
「彼も手負いの身だ・・・やがて捕まり落ちるだろうねぇ・・・!!」
「・・・そうなる前にあなたを倒せばいいだけです!!」
「もうお前を格下に見るのはやめだ・・・俺も全力でお前を倒す!!」
ついに巽が、極闘のトップが陽菜の力を認めた瞬間であった。
一方・・・極闘一家アジト裏、山中
「ここまでか・・・!」
椿は5人程に完全に囲まれていた。
「さぁ素直に降伏したまえよ・・・それで全てが終わるんだ!!」
「紫炎はもう終わったんだよ!お前以外は全滅した!!」
こんな窮地に追い込まれながらも椿の目から闘志は消えていなかった。
「やだなあ・・・うちにはまだ一人・・・残っているじゃない・・・!!」
誰のことだ?見ろ!全滅してんだよここにいた連中は全員!!」
「ここにはいない・・・彼女は一人、君たちのボス巽雄吾と対峙しているよ・・・!」
その時、遠方から激しい怒声と共に敵を蹴散らし一気に椿に近づいてくる者達がいた。
「やっと・・・見つけました椿さん・・・!!」
「はぁはぁ・・・椿さん、ここは・・・任せてどうぞお逃げください!!」
それは鬼塚と梨香の二人であった。
しかし二人もボロボロで服には多くの血痕が残っている。
「なんだ・・・まだまだ残ってるじゃん・・・全滅してないよ。」
「たかだかボロボロの女二人の登場で何を喜んでいる?状況は変わらんぞ。」
「バカだなあ・・・0と2じゃ何もかもが違うっつってんだよ・・・!!
ここまで来てくれてありがとう二人とも、さぁ戦ろうか!!」
『はい!!』
ギリギリの状態で命を繋ぎとめた椿達の戦いは続く・・・。
「はあああああ!!」
「オラァ!!」
激しい衝突を繰り返しては倒れまた立ち上がるを繰り返す陽菜と巽。
共に疲労とダメージの色濃く限界が近づく。
「(奥の手を使ってもダメだなんて・・・この人凄すぎる!!)」
《油断するなよ!こうなったらもう気力勝負だ!!》
「(面白い・・・実に面白い・・・こんなに興奮するのは久しぶりだ!!)」
その二人の姿は最早喧嘩と呼べるような内容ではなく、
まさしく獣同士の弱肉強食の命を懸けた戦いそのものであった。
「そろそろ決着をつけたいものだね・・・!!」
「どの道勝つのは私ですけどね・・・!」
「いい強気だ・・・でも勝つのは俺だよ宮澤陽菜ちゃん・・・!!!」
まるで時間が止まったように睨み合う両者。
どちらかが先に動けば決着の時も近い・・・。
ピクリ・・・巽の初動を陽菜は見逃さなかった。
共に走り出し拳を振りかざす。
“この一発に全てを込め叩きこむ!!”
「これで最後です!!!」
「これだ・・・この瞬間が最高なんだ・・・!!」
渾身の一発は両者共に受け、二人は同時に倒れた。
そうなればもう、先に立った方が勝ちである・・・。
ダメージで動けぬ二人だが何とか立ち上がろうと藻掻く。
そして・・・何とか立ち上がったのは・・・
「私の勝ちです、巽雄吾さん!!」
陽菜であった!!
「さぁ行きます、情けはなしです・・・。
ゆっくり休んでくださいね・・・。」
倒れた巽に大きく振りかぶる陽菜
「君に・・・極闘一位の座で戦い続ける覚悟はあるのかな・・・?
まぁいい・・・俺も疲れた・・・くれてやる・・・来い!!」
「はああああああああ!!!」
ズドォン・・・巽は受け止めることもなく陽菜にパンチを完全に打ち込まれた。
「・・・・・・・・・。」
「はぁ・・・はぁ・・・終わった、終わったんだ・・・!!」
床に倒れる陽菜。
炎は叫ぶ。
《まだだ!まだ終わってねえ!完全に終わらせるためには窓から叫べ!!
巽雄吾は落ちたと!極闘一家の敗北だと!ボスが落ちればこっちの無条件勝利だ!!
こっちの状況は誰も分かってねえんだ!ここで先に椿が落ちたという
報告が入っちまえばこっちが終わるんだ!頼む!何とか立ち上がってくれ!!》
だが陽菜はもう身体を動かすことはできなかった。
「・・・陽菜っち!!!」
突如そこに現れたのは美咲だった。
「な・・・美咲さん・・・!どこから・・・!!」
美咲は倒れた巽を見て涙を流す。
「まさか・・・本当にこの化け物を倒しちゃうなんて・・・!
ほんとに・・・ほんとにすごいよ・・・!!」
そして一瞬で我に返った美咲は傍にあった机を投げ、窓を割った。
倒れた巽の首根っこを掴み、持ち上げ割れた窓から顔を出させる。
「極闘一家に告ぐ!お前たちのボス!巽雄吾はたった今宮澤陽菜に敗北した!!
お前達は終わった!この勝負!紫炎の勝ちだァァァ!!!」
「まさか・・・ここまで追い込んでボスが・・・!?」
「あれは本人か!?」
「・・・間違いありません!!巽雄吾さん本人です!!」
「冗談だろ・・・。」
8人の隊長達は静かに降伏宣言をした。
「こんなことがあってたまるか!せめてこの佐川椿だけでもここで・・・!」
戦いは終結しながらもまだ認めきれない一家の兵たちは椿を襲う。
しかし、勝ちという確かなものを得た紫炎は力を取り戻し、一掃した。
「陽菜ちゃん・・・ありがとう・・・!」
こうして・・・極闘一家との戦いはほぼ全滅しながらも勝利を収めた・・・。
それを告げたのは巽雄吾の持つ携帯電話に入った隊長達からの連絡。
内容は一つ、巽の前にいる宮澤陽菜を除く紫炎のほぼ全員が倒れたという内容だった。
「ははははは!何も上手くは運ばないものだな!紫炎がほぼ落ちたぞ!!」
「ほぼでしょう・・・?であればまだ椿さんは無事なはず!!」
どんな状況であれ何とか意識を高く持とうと必死になる陽菜。
「彼も手負いの身だ・・・やがて捕まり落ちるだろうねぇ・・・!!」
「・・・そうなる前にあなたを倒せばいいだけです!!」
「もうお前を格下に見るのはやめだ・・・俺も全力でお前を倒す!!」
ついに巽が、極闘のトップが陽菜の力を認めた瞬間であった。
一方・・・極闘一家アジト裏、山中
「ここまでか・・・!」
椿は5人程に完全に囲まれていた。
「さぁ素直に降伏したまえよ・・・それで全てが終わるんだ!!」
「紫炎はもう終わったんだよ!お前以外は全滅した!!」
こんな窮地に追い込まれながらも椿の目から闘志は消えていなかった。
「やだなあ・・・うちにはまだ一人・・・残っているじゃない・・・!!」
誰のことだ?見ろ!全滅してんだよここにいた連中は全員!!」
「ここにはいない・・・彼女は一人、君たちのボス巽雄吾と対峙しているよ・・・!」
その時、遠方から激しい怒声と共に敵を蹴散らし一気に椿に近づいてくる者達がいた。
「やっと・・・見つけました椿さん・・・!!」
「はぁはぁ・・・椿さん、ここは・・・任せてどうぞお逃げください!!」
それは鬼塚と梨香の二人であった。
しかし二人もボロボロで服には多くの血痕が残っている。
「なんだ・・・まだまだ残ってるじゃん・・・全滅してないよ。」
「たかだかボロボロの女二人の登場で何を喜んでいる?状況は変わらんぞ。」
「バカだなあ・・・0と2じゃ何もかもが違うっつってんだよ・・・!!
ここまで来てくれてありがとう二人とも、さぁ戦ろうか!!」
『はい!!』
ギリギリの状態で命を繋ぎとめた椿達の戦いは続く・・・。
「はあああああ!!」
「オラァ!!」
激しい衝突を繰り返しては倒れまた立ち上がるを繰り返す陽菜と巽。
共に疲労とダメージの色濃く限界が近づく。
「(奥の手を使ってもダメだなんて・・・この人凄すぎる!!)」
《油断するなよ!こうなったらもう気力勝負だ!!》
「(面白い・・・実に面白い・・・こんなに興奮するのは久しぶりだ!!)」
その二人の姿は最早喧嘩と呼べるような内容ではなく、
まさしく獣同士の弱肉強食の命を懸けた戦いそのものであった。
「そろそろ決着をつけたいものだね・・・!!」
「どの道勝つのは私ですけどね・・・!」
「いい強気だ・・・でも勝つのは俺だよ宮澤陽菜ちゃん・・・!!!」
まるで時間が止まったように睨み合う両者。
どちらかが先に動けば決着の時も近い・・・。
ピクリ・・・巽の初動を陽菜は見逃さなかった。
共に走り出し拳を振りかざす。
“この一発に全てを込め叩きこむ!!”
「これで最後です!!!」
「これだ・・・この瞬間が最高なんだ・・・!!」
渾身の一発は両者共に受け、二人は同時に倒れた。
そうなればもう、先に立った方が勝ちである・・・。
ダメージで動けぬ二人だが何とか立ち上がろうと藻掻く。
そして・・・何とか立ち上がったのは・・・
「私の勝ちです、巽雄吾さん!!」
陽菜であった!!
「さぁ行きます、情けはなしです・・・。
ゆっくり休んでくださいね・・・。」
倒れた巽に大きく振りかぶる陽菜
「君に・・・極闘一位の座で戦い続ける覚悟はあるのかな・・・?
まぁいい・・・俺も疲れた・・・くれてやる・・・来い!!」
「はああああああああ!!!」
ズドォン・・・巽は受け止めることもなく陽菜にパンチを完全に打ち込まれた。
「・・・・・・・・・。」
「はぁ・・・はぁ・・・終わった、終わったんだ・・・!!」
床に倒れる陽菜。
炎は叫ぶ。
《まだだ!まだ終わってねえ!完全に終わらせるためには窓から叫べ!!
巽雄吾は落ちたと!極闘一家の敗北だと!ボスが落ちればこっちの無条件勝利だ!!
こっちの状況は誰も分かってねえんだ!ここで先に椿が落ちたという
報告が入っちまえばこっちが終わるんだ!頼む!何とか立ち上がってくれ!!》
だが陽菜はもう身体を動かすことはできなかった。
「・・・陽菜っち!!!」
突如そこに現れたのは美咲だった。
「な・・・美咲さん・・・!どこから・・・!!」
美咲は倒れた巽を見て涙を流す。
「まさか・・・本当にこの化け物を倒しちゃうなんて・・・!
ほんとに・・・ほんとにすごいよ・・・!!」
そして一瞬で我に返った美咲は傍にあった机を投げ、窓を割った。
倒れた巽の首根っこを掴み、持ち上げ割れた窓から顔を出させる。
「極闘一家に告ぐ!お前たちのボス!巽雄吾はたった今宮澤陽菜に敗北した!!
お前達は終わった!この勝負!紫炎の勝ちだァァァ!!!」
「まさか・・・ここまで追い込んでボスが・・・!?」
「あれは本人か!?」
「・・・間違いありません!!巽雄吾さん本人です!!」
「冗談だろ・・・。」
8人の隊長達は静かに降伏宣言をした。
「こんなことがあってたまるか!せめてこの佐川椿だけでもここで・・・!」
戦いは終結しながらもまだ認めきれない一家の兵たちは椿を襲う。
しかし、勝ちという確かなものを得た紫炎は力を取り戻し、一掃した。
「陽菜ちゃん・・・ありがとう・・・!」
こうして・・・極闘一家との戦いはほぼ全滅しながらも勝利を収めた・・・。
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