Legend Girl!

広瀬あかり

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第四十闘:穴

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あの日以降、紫炎は当然ながら何をしても勢力の拡大には及ばなかった。
椿は美咲が抜けた後も《紫炎には美咲が抜けても力がある》
ということを誇示するために
まだ手を付けていなかった格下のグループを次々と撃破し、圧倒的な力を見せつけた。
しかし、どう足掻いても美咲が抜けたという事実は変わらないため
力を持っている各グループ達は一様に“美咲がいない紫炎の穴”を探し回った。

「・・・・・・。」
アジトの自分の部屋の中で机に座り顔の前で手を組み椿は悩む。
「やはりこのままでは連戦で陽菜ちゃんの隊も二番隊も士気は下がる一方か・・・。」

そもそも椿自身、まさかここまで影響が及ぶとは考えていなかった。
グループ内に存在しているだけで美咲という存在は椿自身にも
紫炎というグループ内にも大きな信頼感と安心感を与えていたのだ。
気づいた後にそこに残っていたものはただの喪失感。
ぽっかりと開いた穴は誰にも埋めることができなかった。

その時だった。
コンコンというノックが室内に響く。
椿は考え事をしながらもどうぞと入室を許可した。
中に入ってきたのは二番隊の隊長神山だった。

「失礼します、椿さん封筒でお手紙です。」
「手紙・・・?誰からかな?」

差出人の名は巽雄吾と書かれ、
何の気なしに受け取ったその手紙には
椿にはとても信じられないことが書かれていた。

「な・・・・!?」

書かれていたことは
“東條美咲は本人の希望で我々極闘一家に入った”ということだった。

「美咲が・・・極闘に入っただと・・・!?」
「待ってください、それは考えにくいのでは?仮にそうだったとしても
 彼女自身の希望ではなくただ拉致されているだけという可能性も・・・。」

そして、そこには複数枚の極闘一家への参加希望書も同封されていた。

“東條美咲がこっちに入ったことで佐川椿君の心中はお察しする”
“今回の件で紫炎の弱体化は明らか、うち(極闘一家)の傘下に入ったらどうだろうか”

という内容の手紙だった。

「・・・・くそっ!!」
手紙を机に叩きつけ怒りを露わにする椿。

「美咲・・・お前本当に一家に入ったのか・・・?」

ー極闘一家アジトー

「東條美咲、まさかあんたがこっち側に着くとはね・・・。」

「別に理由なんてないよ・・・もう・・・私には何も残ってないんだから・・・。」

「どんな理由にしろ一家はランキングの1位から3位までの
 トップ3を手に入れてボスは今ご機嫌だよ!
 うちとしても強いあんたを歓迎するよ!いらっしゃい、極闘へ。」


次々と悪化していく状況に椿が打ち出す手立ては!?
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