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第三十八闘:椿の懐刀
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翌日午前、陽菜と美咲の両名は紫炎アジト内部、
おなじみの椿の部屋へと呼び出された。
そこには椿だけではなく、
神妙な面持ちの遥と由香も隣席し重苦しい空気が漂っていた。
内容は考えなくても分かる、昨日のことだ。
陽菜は怯えながらも美咲と共に椿の前へと進む。
「さて、どういうことか説明してもらえるかな?」
二人は静かな言葉の中に激しい怒気を感じ取った。
「えっと・・・極闘のボスと戦ったことですよね・・・・。」
陽菜は恐怖に震えながらも言葉を発した。
「違う、いやそれもそうなんだけどもう一個前。美咲、言ってごらん?」
「・・・私は陽菜っちに一騎打ちを仕掛けました。」
その瞬間、椿は両手でバンッと机を叩き立ち上がった。
「陽菜ちゃんはまだ分からないだろうけど味方同士での一騎打ちなど
禁止しているし何を考えている美咲!あり得ないぞ!!」
「ごめん・・・なさい・・・。」
「しかも何だその後に一家から刺客が送られてきてそれとも交戦したと!?
それは仕方ないが挙句の果てに巽雄吾(極闘のボス)に殴りかかったという話も聞いた!」
静かな室内に椿の怒号だけが激しく響く。
「前の交戦で巽との力量の差は分かっていたはずだ・・・
今回の二件は目に余るぞ美咲!紫炎を潰しかねない愚行だ!!
何故こんなことをした?お前の隊からも不満の声が多く出ている・・・。」
美咲は俯き淡々と話す。
「陽菜っちと戦ったのはただの嫉妬・・・つばるんが陽菜っちしか見てないから。
巽と戦ったのはただの苛立ち・・・なんかムカついたから・・・。」
あまりに子どもじみた説明に怒りを抑えきれない椿は拳を握り机を殴った。
「なんだそれは・・・遊びでやってるんじゃないんだぞ美咲!!!」
「そんなこと・・・知ってるよ・・・。」
美咲は俯いたままボロボロと涙をこぼす。
そして椿の口から突如とんでもない言葉が・・・!!
「東條美咲、本日今日この時をもってお前を紫炎から除名する。」
まさかの言葉に驚いた美咲はバッと顔を上げたが椿は一切目を合わせない。
「待ってください!美咲さんが抜けたら紫炎はどうなるんです!?
大きな戦力を失うことになるじゃないですか!!」
陽菜は珍しく大声で椿に聞く。
「そうだな、美咲は確かに強い。」
「だったら・・・・!」
「だがもう・・・いらん。」
その言葉を聞いた瞬間、美咲は椿に頭を下げた。
「今日まで・・・お世話になりました。」
椿は美咲に背を向け何も答えない。
そして幾ばくかのかの時間が過ぎたころ、美咲は静かに立ち去った・・・。
「椿さん考え直してください!美咲さんは美咲さんは椿さんのことが・・・!」
言いかけた瞬間、陽菜は口を椿の手で優しく塞がれた。
「それ以上は言わないでくれるかな・・・?」
こうして、美咲は除名処分となり紫炎を出た。
大きな戦力を失った紫炎、残った美咲の隊の今後は!?
この日、このニュースはどこからともなく一気に極闘中学の中を駆け巡り、
目立った戦力のいない不良グループはもちろん
有力な強いグループでさえこぞって必死に美咲をスカウトするのだった・・・。
おなじみの椿の部屋へと呼び出された。
そこには椿だけではなく、
神妙な面持ちの遥と由香も隣席し重苦しい空気が漂っていた。
内容は考えなくても分かる、昨日のことだ。
陽菜は怯えながらも美咲と共に椿の前へと進む。
「さて、どういうことか説明してもらえるかな?」
二人は静かな言葉の中に激しい怒気を感じ取った。
「えっと・・・極闘のボスと戦ったことですよね・・・・。」
陽菜は恐怖に震えながらも言葉を発した。
「違う、いやそれもそうなんだけどもう一個前。美咲、言ってごらん?」
「・・・私は陽菜っちに一騎打ちを仕掛けました。」
その瞬間、椿は両手でバンッと机を叩き立ち上がった。
「陽菜ちゃんはまだ分からないだろうけど味方同士での一騎打ちなど
禁止しているし何を考えている美咲!あり得ないぞ!!」
「ごめん・・・なさい・・・。」
「しかも何だその後に一家から刺客が送られてきてそれとも交戦したと!?
それは仕方ないが挙句の果てに巽雄吾(極闘のボス)に殴りかかったという話も聞いた!」
静かな室内に椿の怒号だけが激しく響く。
「前の交戦で巽との力量の差は分かっていたはずだ・・・
今回の二件は目に余るぞ美咲!紫炎を潰しかねない愚行だ!!
何故こんなことをした?お前の隊からも不満の声が多く出ている・・・。」
美咲は俯き淡々と話す。
「陽菜っちと戦ったのはただの嫉妬・・・つばるんが陽菜っちしか見てないから。
巽と戦ったのはただの苛立ち・・・なんかムカついたから・・・。」
あまりに子どもじみた説明に怒りを抑えきれない椿は拳を握り机を殴った。
「なんだそれは・・・遊びでやってるんじゃないんだぞ美咲!!!」
「そんなこと・・・知ってるよ・・・。」
美咲は俯いたままボロボロと涙をこぼす。
そして椿の口から突如とんでもない言葉が・・・!!
「東條美咲、本日今日この時をもってお前を紫炎から除名する。」
まさかの言葉に驚いた美咲はバッと顔を上げたが椿は一切目を合わせない。
「待ってください!美咲さんが抜けたら紫炎はどうなるんです!?
大きな戦力を失うことになるじゃないですか!!」
陽菜は珍しく大声で椿に聞く。
「そうだな、美咲は確かに強い。」
「だったら・・・・!」
「だがもう・・・いらん。」
その言葉を聞いた瞬間、美咲は椿に頭を下げた。
「今日まで・・・お世話になりました。」
椿は美咲に背を向け何も答えない。
そして幾ばくかのかの時間が過ぎたころ、美咲は静かに立ち去った・・・。
「椿さん考え直してください!美咲さんは美咲さんは椿さんのことが・・・!」
言いかけた瞬間、陽菜は口を椿の手で優しく塞がれた。
「それ以上は言わないでくれるかな・・・?」
こうして、美咲は除名処分となり紫炎を出た。
大きな戦力を失った紫炎、残った美咲の隊の今後は!?
この日、このニュースはどこからともなく一気に極闘中学の中を駆け巡り、
目立った戦力のいない不良グループはもちろん
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