Legend Girl!

広瀬あかり

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第三十七闘:共闘

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「一発でも食らったら致命傷になりそうだね・・・!」
全力で大振りしてくる男達。
各隊のメンバー達も立ち上がり乱戦となった。
「あなたたちの目的は何!?」
武器を避けながら陽菜が聞く。
すると、一人の男はあっさりと口を開く。

「紫炎の幹部組を人質にとって宮澤陽菜、東條美咲を誘き出す!
 お前らが誰だかは知らんが俺達の手駒になってもらう!!」

どうやらこの男たちは自分の目の前にいるのが
陽菜と美咲だということは分かっていないようだ。

次々と荒く凶暴な武器の力で倒れていく各隊のメンバー。

このままでは危ないと察した二人は声を上げた。

『全員下がって!!』

陽菜と美咲の指示で各隊のメンバーは一気に下がり、
二人の前に男達が立ちはだかる。
ここで陽菜は両手を上げ手のひらを男達に向けた。

「お、諦めたのか?利口な判断だ女・・・。」
「こっちへこい、縛り上げてボスの手土産にする・・・。」

一人の男が武器を捨て陽菜に近づいてくる。
「陽菜っち・・・!?」

まさに男の手が荒々しく陽菜を掴もうというその時・・・
「お・・・・?」

ぶわっと・・・男は人生で初めて空を飛んだ。
陽菜に思い切り投げ飛ばされたのだ。
床に激しく叩きつけられ男は意識をそのまま失った。

「な・・・・!」
何が起きたかもわからず呆然と立ち尽くす男達は
そのまま一瞬にして制圧された。

「ははっ・・・やっぱ勝てないなこれじゃ・・・・!」
美咲も唖然とした様子で陽菜を見つめる。

「宮澤陽菜は私です。」
陽菜が主犯と思わしき男に声をかける。

「あぁ・・・お前だったのか・・・!」
「主犯は誰!?誰の命令でここに来たの!?」

その時だった。
陽菜があのとんでもない“威圧感”を感じたのは・・・。
相手は分かっている、奴しかいない。

「・・・・・美咲さん、何か来ます!!」
「え・・・・?」

パチパチパチと拍手をしながら入ってきたのは極闘のボスであった。

「いやぁ凄いね!陽菜ちゃん!!いいものを見せてもらったよ!
 彼らは俺が送ったんだ。何もしないと言いながらさっそく何か仕掛けたら
 どんな反応をしてくれるのかと思ってね!でもさすがじゃないか!!
 隣の彼女はいまいちだけど君はいいね、是非ともうちに欲しい!
 今ならいいものを見せてもらった礼に極闘に入れてあげるけどどうかな?」

「(私がいまいちだと・・・?ふざけるな・・・!)」

美咲は突如激昂し極闘のボスに殴りかかった。
「美咲さんダメです!!!」

陽菜はすぐに美咲の前に入り自分の身体でその拳を受け止めた。

「ぐっ・・・ゴホッ・・・ダメです、力量の差は明らか・・・。
 今ここで戦うとなれば私たち二人、
 いや・・・隊の全員を使っても全滅は免れません・・・!
 それにもし攻撃してしまったら全面戦争になる可能性だって・・・!!」

ニヤニヤと陽菜を見つめる極闘のボス。
「いやはや本当に・・・宮澤陽菜、君はいいな・・・・。
 状況把握能力も今何が最善かというその判断能力も素晴らしい・・・。」

ここで再び美咲は仕掛ける。
「今倒せばいいだけの話でしょう!?」
「黙っていろ・・・・。」

アッと気づいた時、美咲の身体は既に巽の力で武道館の壁に打ち付けられていた。
そしてもう・・・美咲が立ち上がることはなかった・・・。

「(こんなにも・・・こんなにも・・・差があるのか!?)」
悔し涙を流す美咲。

「さて、さっきの勧誘の件だが・・・如何かな?
 決して悪くない話だと思うのだが・・・。」

陽菜は即答で答える。
「お断りします。」
「ならばこれを宣戦布告と受け取るぞ?」
「構いません。」

極闘のボスは笑う。
「はっはっ!・・・芯の強い女だ。より欲しくなった。
 いずれ君達紫炎と戦えることを楽しみにしているよ・・・!」

そうとだけ言い残すと、静かに去って行った・・・。

結果として、陽菜と僅かな隊員を残してほぼ全滅となったこの戦い。
そしてこれはすぐに椿へと伝わり突然紫炎にとって最悪の事態に!?
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