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第三十五闘:恋の宿敵
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それからすぐに陽菜達は準備を終え極闘中学の武道館へと入った。
いつ来てもここは何故だかは分からないが気持ちが引き締まる。
置いてある剣道防具からは染み込んだ汗や涙の強烈な匂いが。
窓から入り込む日差しが優しく陽菜たちを包んでいる。
「陽菜さん、美咲さん達のチームと殺り合うんですか?」
「まさか!いつ敵が攻めてくるとも分からない状況でそれはないと思いますよ?
さすがの私でも今紫炎が皆ボロボロで危険な状態だということは分かります。」
陽菜は少し高い窓から空を見上げた。
そんな時だった。
「お待たせ、戦ろうか!」
美咲が自分の隊を引き連れてきたのだ。
「えっと・・・どんな形式ですか?」
「え?全面戦争方式!ボスの私達のどっちかが倒れたら負け!」
陽菜は愕然とする。
「冗談ですよね・・・?こんな時にお互いを削り合うような真似・・・!
敵がいつ攻めてくるとも限らないのに・・・。しかもここ極闘の敷地内ですし・・・。」
不安そうな顔をする陽菜を笑う美咲。
「あはは!さすがに冗談だよ!隊の力が見たいといったのは本当だけど
やっぱり今はそんなことしてる場合でもないから
それは次の戦争まで取っておくとして
戦るのは私と陽菜ちゃんだけで・・・いいよね・・・?」
途中まで笑顔で話していた美咲だが陽菜は急に殺気の様なものを感じた。
そこで美鬼と美咲の隊は静かに隊長の後ろへと下がり座る。
それは開戦が近いことを察したからだ。
しかし何だかいつもと違う様子の美咲。戦う前だからであろうか。
対峙する二人は見つめ合い、一度拳を合わせた。
「さぁ・・・おいでよ・・・!!!」
ぶわっと吹き抜けるオーラの様な熱気をモロに浴びてしまった陽菜。
「こ・・・これは・・・・!炎、お願い!!」
《分かっている!!》
陽菜は感じていた、美咲の激しい怒りのようなものを。
「椿と色々紫炎の今後について話したんだけどね・・・。」
突如口を開いたのは美咲だった。
一撃に警戒していた陽菜もその言葉で拳を解く。
「いつ話しても椿は陽菜っちの話しかしないの・・・。
あの子は強いとか、あの子になら色々任せられるとか・・・。
椿は陽菜っちのことが好きなのかも・・・・。」
寂しそうな顔で話す美咲。
「(えっ?何の話・・・?みんな見てるけど・・・。)」
「様子を見てると陽菜っちも椿と話してるときは幸せそう。
もしかしてあなたもつばるんが好きなの・・・?」
「もしかして私がここに呼ばれたのって・・・・!」
「そう!陽菜っちの本当の気持ちを聞きに来たの!!」
ガクッと腰を落とす陽菜。
「炎、供給はもういいわ・・・!」
《何なんだこの女?》
「ちゃんと答えて欲しいの、そしてはっきりさせて!?」
深いため息をついて陽菜は話し出す。
「えーっと・・・自分で言うのも何か気恥ずかしいですが多分それは椿さんが
私にちょっとした期待をしてるというだけで恋愛とは全く違うと思いますよ?
私としても椿さんに恋愛感情はなく言わば憧れの存在というやつです。」
プルプルと震えだす美咲。
「嘘よ・・・そんなの嘘・・・だってつばるん私が陽菜ちゃんのことが気になるの?
って聞いたら《ああ・・・もちろんだ今は誰よりも気になる存在だ》っていってたもん!」
「それはどう考えても戦力的な意味でということでしょう!?
(やばいやばいこの人今にも殴りかかってきそう!!)」
一方美咲の隊では・・・
「隊長今日も見事に暴走してますね。」
「椿さんにゾッコンだからねー。」
「恋する乙女は恐ろしいですねえ・・・妄想が。」
「止めましょうか?」
「いいからいいから、ほっときなって、とばっちりはごめんだよ。」
どうやら慣れているようだった。
更にもう一方の陽菜の隊は梨香が全員に声をかける。
「いつでも飛び出せる準備はしておけ!」
『はいっ!!』
「(よりによって色恋沙汰・・・!些細なきっかけが大戦争を招くこともある・・・。
陽菜さん、どうかお気を付けて・・・・。)」
よく分からない展開のまま暴走寸前の美咲と何とかなだめたい陽菜の勝負は続く!
いつ来てもここは何故だかは分からないが気持ちが引き締まる。
置いてある剣道防具からは染み込んだ汗や涙の強烈な匂いが。
窓から入り込む日差しが優しく陽菜たちを包んでいる。
「陽菜さん、美咲さん達のチームと殺り合うんですか?」
「まさか!いつ敵が攻めてくるとも分からない状況でそれはないと思いますよ?
さすがの私でも今紫炎が皆ボロボロで危険な状態だということは分かります。」
陽菜は少し高い窓から空を見上げた。
そんな時だった。
「お待たせ、戦ろうか!」
美咲が自分の隊を引き連れてきたのだ。
「えっと・・・どんな形式ですか?」
「え?全面戦争方式!ボスの私達のどっちかが倒れたら負け!」
陽菜は愕然とする。
「冗談ですよね・・・?こんな時にお互いを削り合うような真似・・・!
敵がいつ攻めてくるとも限らないのに・・・。しかもここ極闘の敷地内ですし・・・。」
不安そうな顔をする陽菜を笑う美咲。
「あはは!さすがに冗談だよ!隊の力が見たいといったのは本当だけど
やっぱり今はそんなことしてる場合でもないから
それは次の戦争まで取っておくとして
戦るのは私と陽菜ちゃんだけで・・・いいよね・・・?」
途中まで笑顔で話していた美咲だが陽菜は急に殺気の様なものを感じた。
そこで美鬼と美咲の隊は静かに隊長の後ろへと下がり座る。
それは開戦が近いことを察したからだ。
しかし何だかいつもと違う様子の美咲。戦う前だからであろうか。
対峙する二人は見つめ合い、一度拳を合わせた。
「さぁ・・・おいでよ・・・!!!」
ぶわっと吹き抜けるオーラの様な熱気をモロに浴びてしまった陽菜。
「こ・・・これは・・・・!炎、お願い!!」
《分かっている!!》
陽菜は感じていた、美咲の激しい怒りのようなものを。
「椿と色々紫炎の今後について話したんだけどね・・・。」
突如口を開いたのは美咲だった。
一撃に警戒していた陽菜もその言葉で拳を解く。
「いつ話しても椿は陽菜っちの話しかしないの・・・。
あの子は強いとか、あの子になら色々任せられるとか・・・。
椿は陽菜っちのことが好きなのかも・・・・。」
寂しそうな顔で話す美咲。
「(えっ?何の話・・・?みんな見てるけど・・・。)」
「様子を見てると陽菜っちも椿と話してるときは幸せそう。
もしかしてあなたもつばるんが好きなの・・・?」
「もしかして私がここに呼ばれたのって・・・・!」
「そう!陽菜っちの本当の気持ちを聞きに来たの!!」
ガクッと腰を落とす陽菜。
「炎、供給はもういいわ・・・!」
《何なんだこの女?》
「ちゃんと答えて欲しいの、そしてはっきりさせて!?」
深いため息をついて陽菜は話し出す。
「えーっと・・・自分で言うのも何か気恥ずかしいですが多分それは椿さんが
私にちょっとした期待をしてるというだけで恋愛とは全く違うと思いますよ?
私としても椿さんに恋愛感情はなく言わば憧れの存在というやつです。」
プルプルと震えだす美咲。
「嘘よ・・・そんなの嘘・・・だってつばるん私が陽菜ちゃんのことが気になるの?
って聞いたら《ああ・・・もちろんだ今は誰よりも気になる存在だ》っていってたもん!」
「それはどう考えても戦力的な意味でということでしょう!?
(やばいやばいこの人今にも殴りかかってきそう!!)」
一方美咲の隊では・・・
「隊長今日も見事に暴走してますね。」
「椿さんにゾッコンだからねー。」
「恋する乙女は恐ろしいですねえ・・・妄想が。」
「止めましょうか?」
「いいからいいから、ほっときなって、とばっちりはごめんだよ。」
どうやら慣れているようだった。
更にもう一方の陽菜の隊は梨香が全員に声をかける。
「いつでも飛び出せる準備はしておけ!」
『はいっ!!』
「(よりによって色恋沙汰・・・!些細なきっかけが大戦争を招くこともある・・・。
陽菜さん、どうかお気を付けて・・・・。)」
よく分からない展開のまま暴走寸前の美咲と何とかなだめたい陽菜の勝負は続く!
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