Legend Girl!

広瀬あかり

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第三十四闘:強化

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椿の部屋を出てアジトの中を歩き椿からの指示を思い出し歩く陽菜と美鬼。

「ん?陽菜っちじゃん!随分久しぶりだね!!」
2階で突如出くわしたのは美咲だった。

「・・・そんな久しぶりでもないと思いますが・・・?」
「久しぶりだよー、だって私十八闘以降全く出番も台詞ももらってないからね。
 あの全面戦争の時でさえ私は蚊帳の外だったからね・・・。
 私一応№2なんだけど、これどう考えてもおかしいね?」
※作者都合です
「いや・・・それ以上はちょっと・・・!!」

よく分からないがこの話を続けてはならないと陽菜は直感で感じた。

「しっかしその子たちが噂の陽菜ちゃんの隊かー!」
嬉しそうに笑う美咲。
「ええ、全面戦争の際に戦った美鬼の方々です。」
美鬼のメンバーは静かに頭を下げる。

「椿からの今度の指示は何かあった?」
「隊長としてまずは美鬼の前隊長から学べ、だそうです。」
「初めての隊持ちだもんねー!自分の指示でこの子達を動かして戦うなんて
 やっぱり難しいよね、ゲームみたいにチュートリアルがある訳でもなし・・・。
 あ、そうかなるほど、うんうん、そうしよう。」

美咲は一人で何かを納得したかのように独り言を話す。

「ねぇ陽菜っち?」
それは突然の問いかけだった。
「私の隊と模擬試合をやろうか!」

「は、はい?ですが見たところ美咲さんも
 全面戦争の際の怪我がまだ治ってないんじゃ・・・!」

美咲の身体にも絆創膏やシップなど未だ痛々しいダメージが見える。

「いいんだ・・・戦ってる描写なんて一切なかったんだから・・・!」
※作者都合です

「とにかく戦ろうよ!今の陽菜ちゃんたちの隊の力見せて欲しいんだ!!」
「み、みなさんどうですか・・・?」
そっと美鬼の方を向き聞く陽菜。

その言葉に梨香は静かに笑った。
「あはは!隊長なんですから、やりたいようにやればいいんですよ!
 隊へのご機嫌伺いも必要ありません!私達には《やるぞ!!》
 この一言の命令が一番の力になります。さあ、やってみてください・・・。」

顔を真っ赤に赤らめる陽菜。

「えぇ・・・恥ずかし・・・・!!」
「いいからいいから、さあさあ!」

陽菜は精一杯の声を絞り出す。
「や・・・・やるぞぉ!!」

大声とはとても言えない自信のない声であったが、それはしっかりと届いた。

『おおおおおおおおお!!!』

まるで地震のように紫炎が歓声で揺れる。

「お?おおおおなんだなんだ敵襲か!?」
一人仕事を部屋でしていた椿がそう思うほどの歓声であった。

「はは、陽菜ちゃんの指導役は色々と上手いね!
 なるほど・・・これは成長次第でさらに化けそうだ・・・!」

歓声が止まり、改めて梨香は聞く。
「今のを体験してどうでした?自分の指示が、気持ちが隊まで響いた時
 全員としてではなく隊として一つになれた気がしませんか?」
「うん・・・ちょっと感動しました・・・!」

「さて、じゃあ私も隊を連れてくるからこの辺で一旦ね。
 極闘の武道館で待っているよ!」

そういうと、美咲は何だか嬉しそうに去って行った。

「結局さっきの声は何だったんだ!?」
椿は一人混乱しているのであった・・・・。
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