Legend Girl!

広瀬あかり

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第三十三闘:飛躍

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それからすぐにアジトに着いた陽菜はすぐに椿に呼び出され、
場所はいつもの椿の部屋でそこにはどういう訳か美鬼のメンバー全員も集まっていた。

「失礼します・・・。」

おずおずと部屋に入る陽菜がまず最初に目にしたものは、
これまでなかった大きなソファーに横たわる椿の姿。
顔にはたくさんの絆創膏が貼られまだ傷は完全に癒えていないようだ。

「やぁ陽菜ちゃん!いらっしゃい、急に呼び出してごめんね。
 とりあえずは全面戦争を共に戦ってくれてありがとう。
 そして、君が無事で何よりだよ!とか言いながら僕がこんな格好でごめんね。」

痛々しい姿とは裏腹に、元気そうな口ぶりの椿に安堵する陽菜。

「いえ・・・私も椿さんが無事で何よりです。
 この度の戦争は勝利おめでとうございます。」

深々と頭を下げる陽菜。

「さて・・・じゃあさっそく本題に入ろうか、金沢梨香!」

名を呼ばれた梨香は一歩前に進み陽菜の方を向く。
それと同時に美鬼のメンバー全員も一斉に同じように体を動かした。

「美鬼の全員で話し合って決めました・・・宮澤陽菜さん。」
「(な、何事なの・・・正直私はまだあの戦争が完全に終結した自覚がなくて
 この人たちが味方になった事実もまだ認められてないんだけど・・・!)」

この瞬間、ザッ・・・っと梨香以外の全員の美鬼は片膝立ちで俯いた。

「我々美鬼は本日より、佐川椿さんの恩赦に感謝し
 美鬼として全力をもってあなたをお守りしたく思います。」

「それって・・・どういう・・・・!」

椿が笑顔でそっと口添えをする。
「ま、つまりは陽菜ちゃんが紫炎の中で隊をもって
 金沢梨香に代わってこの子たちのボスになるってことだね!」
「な・・・・なあああああ!?」
あまりに突然の出来事に動揺を隠せない陽菜は後ろに倒れた。

それを見た美鬼が一斉に動き出す!
「大丈夫ですか陽菜さん!」
「お怪我はありませんか!?」
「医療チーム!今すぐ陽菜さんを救護せよ!!」

わいわいと陽菜の周りに集まり一気に騒がしくなる。
そんな中で梨香は話を続けた。

「私達は、紫炎に負けたというよりは・・・
 あなた一人に負けたと言ったほうが合っている。
 あれだけの戦力差がありながら何度も何度も立ち上がっては
 次々と敵を打ち破っていくあなたの姿に私達はいつの間にか
 敵でありながらも魅せられてしまっていたんだ・・・。
 卑怯な手を使った。それは本当に申し訳ないと思っている。
 美鬼の名をここで潰すわけにはいかなかったのだ・・・。
 許してくれとは言わない、その代わりにこれからあなたを守りたい。
 勝手な話だがどうか我々のこの意思を受け取ってはもらえないだろうか・・・。」

続いて椿も話し出す。
「ここから先、何が起こるか分からないからね。紫炎も戦力を拡大したいんだ。」

しかし、陽菜は不安で仕方なかった。
「でも私にこれだけの人達を上手く動かす力があるでしょうか・・・。」

優しい声で答える椿。
「最初のうちはこれまで通り金沢梨香がこれらを主導して行けばいいさ。
 それを見て、陽菜ちゃんも隊の動かし方や戦略設計を学んでいく。
 難しいことは金沢梨香に聞くなりやらせるなりでいい。やってみないかい?
 まだまだ僕のレベルとまでは行かないけど、これがボスの見る景色だよ。」

その言葉で陽菜が周囲を見渡すと、
多くの人間が自分の目の前で自分に忠誠を誓っている。
これまでの人生では感じたことがない大きなものを陽菜感じ取っていた。

「・・・・やります、いや・・・やらせてください!!」
「・・・だそうだ。美鬼、うちの陽菜ちゃんを絶対に守ってね。」

『はっ!!』

こうして、私は小さな隊の隊長として任命された。

「あ、そういえば椿さん・・・ここに来る途中変な人に声をかけられました。」
「変な人?」
「はい、佐川椿に伝えろと・・・。」
「何をかな?」
「さっさとこのクラスまで上がってこい、頂点で待っている、だそうです。」

それを聞いた直後、ガバッと椿はソファーから飛び起きた。
額からは一粒の汗が流れ驚いた顔を見せる。
「ほ、本当にそういったのかい!?」
「はい、間違いなく・・・俺達8人が全力なら紫炎は30分で落ちるとか・・・
 色々言われてしまって私も負けじと言ってしまいました。
 なんか悔しかったんです。だから、紫炎はあなたなんかに負けないと・・・。
 まずかったでしょうか・・・勝手に申し訳ないです・・・。」

椿は引きつった顔で笑った。
「ははっ・・・すごいね陽菜ちゃんは・・・。
 それ、うちの中学で最強の極闘一家のボスだよ・・・。
 まさか奴らに喧嘩売っちゃうとは・・・!」

「何となく分かってました、威圧感凄かったですし。
 でも、だからこそここで負けちゃいけないなって思ったんです。
 じゃないと、全国統一なんて夢のまた夢ですもん・・・・。」
まっすぐな陽菜の言葉に何も言い返せなくなった椿。
「そうだね・・・その通りだよ・・・僕もまた、強くならないとか・・・。」

紫炎は新たな戦力を手に、いよいよ中学最強の極闘一家打倒へ!?
しかしそんな中紫炎にもまた不穏な動きが・・・!?
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