Legend Girl!

広瀬あかり

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第三十闘:終結

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着々と迫り来る美鬼本隊。
陽菜は倒れ椿は陽菜の横に座り込み、死を待つばかりとなっていた。

「美咲達も恐らく何かに足止めを食らっていると見た方がいいか・・・。
 ここまで来たらもう出し惜しみはなしだな・・・。」

椿にはまだ隠していた隊がいた、それは自らを守護する言わば近衛兵。
強大な力はあるが、極闘一家撃破に向けて未だ調整中であった。
外部にその存在が漏れれば一気に手を打たれるからだ。
極闘一家ほどの相手に戦力を全て知られることは敗北を意味している。

「陽菜ちゃんがここまで頑張ってくれたんだ・・・。
 それにここで全滅なんてしたら彼らの存在も意味がなくなる・・・。」

椿は携帯電話を取り出し3秒ほどの通話の後、電話を切る。
それはただ一言「出ろ」というそれだけだった。

ー外、美鬼本隊紫炎アジト前ー
「よし、行くぞ。残っている最大戦力を持って紫炎を叩き潰す。
 宮澤陽菜は芽衣に敗れ佐川椿も最早虫の息と言ったところだろう!
 佐川椿は私の前に引きずり出せ!進めェ!!」

残った10人程が一斉に紫炎アジトに入る。
『おおおおおおおお!!』
下から複数の怒声が響き、その声はもちろん椿の耳にも届いていた。

程なくして、椿は梨香の前に引きずり出された。
完全に取り囲まれ何もできない。

「ボロボロだな佐川椿・・・今どういう状況か分かってるか?」
「さあ・・・わざわざここまで降伏宣言に来てくれたのかな?」

苛立ちを覚えた梨香は倒れたままの椿の胸ぐらを激しく掴む。
「お前調子に乗るなよ?私達の勝ちだと言ってるんだよ!!
 降伏するのは“もう何も手がない”お前達だろうが佐川椿!!」

「ははっ・・・もう手がないと思ってるんだ・・・。」

その言葉に思わず手を離す梨香。
「な・・・!まだ手があるというのか・・・!?」

その時・・・。
梨香の耳は遠くから微かに聞こえる声に気づいた。
「何だ・・・・?」
その声は徐々に確かに大きくなっている。
《まずい》
そう感じた梨香はとっさに椿を殴りつけた、
気を失わせれば美鬼の勝利、一心不乱に椿を殴り続ける。

「はぁ・・・はぁ・・・!!」
椿は床に倒れ血を流す。

「はぁ・・・ハハッ!馬鹿め・・・はぁ・・・気を失えばこちらの勝ちだ!!」

「誰が気を失ったって?」
ニコッと梨香を笑顔で見つめる椿。

「な・・・何なんだこいつはァ!!!」
ゾッとした梨香はその後も一心不乱に殴り続けた。

しかし、そんなことに気を取られていた美鬼にとってこれが命取りとなった。

すでに紫炎のアジトは敵(美鬼)が逃げられぬよう完全に包囲されてしまったのだ。

「椿さんの出動命令だ。既にここは陥落している状態と言える。
 問題は椿さんにまだ意識があるかどうかだ。直ちに救出せよ。」

隊長と思わしき人物の掛け声で一斉に中になだれ込む。

「クソッ!もう来やがった!おいお前ら何とかしろ!!」
残った10人が近衛兵と交戦状態に入るも
ここまで戦ってきた疲労困憊で傷だらけの兵と無傷で体力のあり余った兵。
いくら高校生が混じっていると言えど勝負は誰の目から見ても既に見えていた。

「大丈夫ですか椿さん!!」
「ああ・・・悪いね・・・。」
「椿さん救助完了!意識あり!降伏はしていないとのこと!!」

当然梨香は縛り上げられ、立場は一気に逆転した。

「クソッ!クソオオオオ!勝っていた・・・私達は勝っていたんだ!!
 お前達にはこんな兵はいなかったはずだ何なんだこいつらは!!
 東條美咲も完全に足止めに成功していたのに何故だ!!
 そうだ芽衣はどこ行った!?あいつは何をしてる!!」

「鬼塚芽衣なら宮澤陽菜に負けたよ、今頃僕の部屋で転がってるさ。」

「ちくしょおおおおおおお・・・・・!」

こうして、全面戦争は幕を閉じた。
まさにギリギリの戦いであったが、なんとか紫炎は命を繋いだ・・・。
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