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第二十四闘:交渉
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戻ってきたはいいものの息は絶え絶え、意識は朦朧。
最早陽菜には立っていることさえ、
いや・・・意識を保つことさえ困難だった。
「ソノママオチテイレバアトワズカデラクニナレタモノヲ・・・。」
「はぁ・・・はぁ・・・。」
このままではどう転がっても・・・死ぬ、それだけは分かる。
最後の力で一矢報いて砕け散るか・・・?
いや・・・そんなことさえ不可能な圧倒的な武力と力量の差。
陽菜は必死に“この命の淵で何ができるか”を考えた。
時間はない、考えつき次第即座に行動せねば殺される。
「私に・・・力を貸しなさい。」
絞り出た言葉はあまりに力のない言葉だった。
「シニカケノコムスメガナニヲイウ。
オマエ ニ カス チカラナド ナイ。
ソレヲシテ オレニ ナンノ トクガアル?」
限界を超えた陽菜の体には言葉が途切れ途切れに聞こえ始める。
「あなたが今力を貸してくれれば・・・紫炎の天下は明らか。
今はまだ学校程度での天下だけど・・・いずれは国で天下が取れる。どう?」
「ソンナ モノニハ キョウミガ ナイ」
「じゃああなたは何に興味を持っているの?」
陽菜のその問いに黙る影。
「あなたは空っぽなのね・・・少し前までの私と同じように・・・。
そう・・・椿さんと出会うまでの私と・・・同じ。
だから・・・あなたには私が夢を見せてあげる・・・。
この身体をあなたに明け渡すことは絶対出来ないけど
その代わりに私の生き様を見せてあげるわ。
だから私に力を貸しなさい。」
「ソレ デ ナニ ガ エラ レル ト イウ ノダ」
言葉として聞き取ることさえ難しくなり始めた。
今にも倒れそうな陽菜は着く足はない空間ではあるものの
右足をドン!と前に出し何とか倒れることを防ぐ。
「夢よ!!!」
「・・・・・?」
ふーっ!っと大きく息を吐いた陽菜は話し出す。
「私に紫炎で椿さんたちと共に日本統一という夢があるように、
私に力を貸すことで何かしらあなたもきっとこの先夢を持つと思う!!
夢ってね、持つだけで人に不思議な大きな力をくれるの!」
「ユメ・・・・。」
ほんの少し気持ちが動き始めたように見える影。
「ほんの僅かでもいい。まずは世界に興味を持ちなさい。
言わば夢は自分の理想の世界の創造。
夢を持つことさえできればあなたにとっても絶対楽しい世界になる!!
どう?とりあえず今、私に力を貸す気にはならない?」
「・・・ユメハ・・・タノシイノカ・・・。」
残り僅かな気力を振り絞るように陽菜は話す。
どうか届いてほしい、ただそれだけだった。
「人によって大小あれど何かしら夢を見ているのが人間。
国、人種、政治、戦争、貧困・・・見る夢は人によって様々だけど、
この地球上には70億人の人間がいて、みんな夢という希望を持っている。
それが楽しくないはずなんて、ないでしょう?」
「・・・オモシロイ・・・オレモ、ユメガミタクナッタ。チカラヲカシテヤル。
ソノカワリダ、ミレナカッタラコンドコソオマエヲクッテヤル。」
この瞬間、交渉が成立した。
「よかった、ありがとう。でも待って。まずはあなたに名を授ける。」
「オレニナマエ・・・?」
「そう、あなたの名前は紫炎から取って・・・炎(ほむら)
炎のように燃え盛って・・・たくさん・・・炎のように熱い夢を・・・見な・・・さい。」
そう言い切った瞬間、陽菜は倒れ意識を失った。
「ヨワイクセニコンジョウダケハスサマジイヤツダ・・・。」
こうして、陽菜は無事?炎との契約を結んだ・・・。
最早陽菜には立っていることさえ、
いや・・・意識を保つことさえ困難だった。
「ソノママオチテイレバアトワズカデラクニナレタモノヲ・・・。」
「はぁ・・・はぁ・・・。」
このままではどう転がっても・・・死ぬ、それだけは分かる。
最後の力で一矢報いて砕け散るか・・・?
いや・・・そんなことさえ不可能な圧倒的な武力と力量の差。
陽菜は必死に“この命の淵で何ができるか”を考えた。
時間はない、考えつき次第即座に行動せねば殺される。
「私に・・・力を貸しなさい。」
絞り出た言葉はあまりに力のない言葉だった。
「シニカケノコムスメガナニヲイウ。
オマエ ニ カス チカラナド ナイ。
ソレヲシテ オレニ ナンノ トクガアル?」
限界を超えた陽菜の体には言葉が途切れ途切れに聞こえ始める。
「あなたが今力を貸してくれれば・・・紫炎の天下は明らか。
今はまだ学校程度での天下だけど・・・いずれは国で天下が取れる。どう?」
「ソンナ モノニハ キョウミガ ナイ」
「じゃああなたは何に興味を持っているの?」
陽菜のその問いに黙る影。
「あなたは空っぽなのね・・・少し前までの私と同じように・・・。
そう・・・椿さんと出会うまでの私と・・・同じ。
だから・・・あなたには私が夢を見せてあげる・・・。
この身体をあなたに明け渡すことは絶対出来ないけど
その代わりに私の生き様を見せてあげるわ。
だから私に力を貸しなさい。」
「ソレ デ ナニ ガ エラ レル ト イウ ノダ」
言葉として聞き取ることさえ難しくなり始めた。
今にも倒れそうな陽菜は着く足はない空間ではあるものの
右足をドン!と前に出し何とか倒れることを防ぐ。
「夢よ!!!」
「・・・・・?」
ふーっ!っと大きく息を吐いた陽菜は話し出す。
「私に紫炎で椿さんたちと共に日本統一という夢があるように、
私に力を貸すことで何かしらあなたもきっとこの先夢を持つと思う!!
夢ってね、持つだけで人に不思議な大きな力をくれるの!」
「ユメ・・・・。」
ほんの少し気持ちが動き始めたように見える影。
「ほんの僅かでもいい。まずは世界に興味を持ちなさい。
言わば夢は自分の理想の世界の創造。
夢を持つことさえできればあなたにとっても絶対楽しい世界になる!!
どう?とりあえず今、私に力を貸す気にはならない?」
「・・・ユメハ・・・タノシイノカ・・・。」
残り僅かな気力を振り絞るように陽菜は話す。
どうか届いてほしい、ただそれだけだった。
「人によって大小あれど何かしら夢を見ているのが人間。
国、人種、政治、戦争、貧困・・・見る夢は人によって様々だけど、
この地球上には70億人の人間がいて、みんな夢という希望を持っている。
それが楽しくないはずなんて、ないでしょう?」
「・・・オモシロイ・・・オレモ、ユメガミタクナッタ。チカラヲカシテヤル。
ソノカワリダ、ミレナカッタラコンドコソオマエヲクッテヤル。」
この瞬間、交渉が成立した。
「よかった、ありがとう。でも待って。まずはあなたに名を授ける。」
「オレニナマエ・・・?」
「そう、あなたの名前は紫炎から取って・・・炎(ほむら)
炎のように燃え盛って・・・たくさん・・・炎のように熱い夢を・・・見な・・・さい。」
そう言い切った瞬間、陽菜は倒れ意識を失った。
「ヨワイクセニコンジョウダケハスサマジイヤツダ・・・。」
こうして、陽菜は無事?炎との契約を結んだ・・・。
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