Legend Girl！

第二十三闘：死闘

激しい悪寒と共に開いた籠。
目の前には自分とまったく同じ体格と背丈の何かが現れた。
顔や服、靴といったものは何も見えずそこには黒いだけの影が立っている。

「(つまり、この人は私の裏の人格ってことだよね・・・。
　クイアイっていうのは殺し合い。負ければ私の体はこの人に奪われる・・・！！)」

冷汗が噴き出す陽菜。
喧嘩なんて生ぬるいものとは違う、本当の殺し合いがそこにあった。

「ハヤクコイ・・・コナイノナラ・・・イクゾ。」

“勝たなきゃ死ぬ”そう理解した陽菜は覚悟を決めるほかなかった。
しかし、そう覚悟を決めた瞬間すでに陽菜は宙を舞っていた。

飛びそうになる意識の中・・・左頬の激痛で殴られたことは分かった。
いつ何が起きたのかすら分からないほどのスピードで
殴られた陽菜の闘志はそこで完全に折れてしまった。

「(これは・・・勝負っていう次元の話じゃない・・・。)」

そして、トドメの一発が陽菜に直撃した。
これで陽菜は完全に意識を失った。

「オワリダ・・・コレデコノカラダハオレノモノダ・・・！！」

闇の中に沈んでいく意識。
あぁ・・・ここで死ぬんだな。
そう思うと、どんどん意識は闇の奥深くへと沈んでいった。

《陽菜ちゃんには僕達がたくさんの夢を見せてあげよう》

闇に沈む中、突如椿の言葉が思い出された。
ごめんなさい椿さん・・・夢はもう・・・見られないみたいです・・・。
椿さんがこの国の不良を統一した瞬間を・・・見たかったなあ・・・。

「・・・・ん？」

この時、陽菜はズボンのポケットに何か熱いものを感じた。
それは陽菜が紫炎に入った時に椿からもらった折りたたみ式のナイフであった。
なんでこんなものがこの世界にあるのかと疑問に思ったが、
そっとそれを取り出した陽菜はそこに掘られた自分の名前を見る。

「紫炎の一員として認められた私は・・・！
　椿さんも美咲さんも全面戦争でも私の力が必要だと言ってくれた・・・。
　だったら何があっても絶対に《死んでられない！！！》」

一気に闘志が蘇った陽菜は気づくと再びあの影の前に意識が戻ってきていた。

「マダイキテイタカ・・・・！」
「うん！私は何としてでもあなたに勝つ！！」

次回！決着！？