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第二十一闘:裏
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あの後一時間ほど保健室にて休んだ陽菜は何とか自力で帰路についた。
家に帰ると、母親の呼びかけにも応答せず陽菜は一人自室のベッドに仰向けに倒れる。
「・・・・・。」
あの後今後の“紫炎”としての動きを聞かされた。
《全面戦争》という言葉が脳裏に焼き付いた。
天井を見上げ考える陽菜。
「(私のせいで・・・ついに全面戦争に・・・。
私自身はほとんど何も覚えていない。つまり、それって・・・
椿さんたちの言う裏の人格がまた外に出てた・・・ってことだよね。)」
自分の身体が自分の知らないところで動く。
こんな恐ろしいことがあるだろうか。
《自分の中にいる好き勝手に暴走する獣が怖くないのかい?》
過去に椿に言われた言葉を不意に思い出した。
あの時は考えてなさ過ぎたと、少しばかり後悔する陽菜。
「・・・どうしたらその裏の人格と会話ができるのだろう?」
そこで陽菜は自分の心の中に問いかけてみた。
「(・・・私は、あなたとお話がしたいです・・・。)」
無論、応答はない。
「やっぱりダメかあ・・・どうしよう。」
椿と美咲も言っていた、もしかすると陽菜ちゃんの力を狙っている恐れもあると。
その可能性があるのであれば、私自身もこの力を野放しにするわけにはいかない。
何とかこの力を制御しなくてはならない、そう思った。
しかし、対話は不可能、その人が出てくるタイミングや状況は?
これまでの記憶にない部分からそれを探りメモ帳に書き記していく。
「なるほど・・・そういうこと・・・・?」
その全てにおいて、陽菜自身が“窮地に陥った時”という結論が出た。
じゃあまたあんなボコボコにされないと出てこない・・・・?
出現の条件がそれであるならば対話など不可能と言える。
そこで陽菜は、試しにメモ帳に裏人格に向けたメッセージを書き残し
部屋に置いておくことにした。
「とりあえずは試しにね・・・やってみないことには。」
陽菜が書き残した内容はただの一言であった。
《あなたと会話がしたいです。》と、それだけ。
これから始まる全面戦争にはランキング戦のように審判はおらず、
日時も不明、恐らくはどっちかが奇襲をかけて開戦になるだろうと、
そしてただひたすらに潰し合いどちらかが降伏するまでの闘い続けるのだそうだ。
これに勝つためには陽菜ちゃんと陽菜ちゃんの裏の人格の力が必要だよ。と
椿や美咲にもそう言い聞かされた。だからこそ陽菜は今この状況にあるのだった。
考えれば考えるほど理解が遠くなる。
何が間違い?何が正解?それすらも分からなくなる。
そんなことをぐるぐると考えているうちに陽菜は眠ってしまった・・・。
「・・・・・?」
陽菜は夢の中で目を覚ました。
そこは暗闇、一点の光もなく上も下も右も左も分からない。
足がつく地面もない。だが不思議と進める。
歩くというのか、泳ぐというのか・・・。
何とも表現しにくい状況だった。
陽菜は“何か”を求めてがむしゃらに進んだ。
何も見えぬ暗闇の中を。
家に帰ると、母親の呼びかけにも応答せず陽菜は一人自室のベッドに仰向けに倒れる。
「・・・・・。」
あの後今後の“紫炎”としての動きを聞かされた。
《全面戦争》という言葉が脳裏に焼き付いた。
天井を見上げ考える陽菜。
「(私のせいで・・・ついに全面戦争に・・・。
私自身はほとんど何も覚えていない。つまり、それって・・・
椿さんたちの言う裏の人格がまた外に出てた・・・ってことだよね。)」
自分の身体が自分の知らないところで動く。
こんな恐ろしいことがあるだろうか。
《自分の中にいる好き勝手に暴走する獣が怖くないのかい?》
過去に椿に言われた言葉を不意に思い出した。
あの時は考えてなさ過ぎたと、少しばかり後悔する陽菜。
「・・・どうしたらその裏の人格と会話ができるのだろう?」
そこで陽菜は自分の心の中に問いかけてみた。
「(・・・私は、あなたとお話がしたいです・・・。)」
無論、応答はない。
「やっぱりダメかあ・・・どうしよう。」
椿と美咲も言っていた、もしかすると陽菜ちゃんの力を狙っている恐れもあると。
その可能性があるのであれば、私自身もこの力を野放しにするわけにはいかない。
何とかこの力を制御しなくてはならない、そう思った。
しかし、対話は不可能、その人が出てくるタイミングや状況は?
これまでの記憶にない部分からそれを探りメモ帳に書き記していく。
「なるほど・・・そういうこと・・・・?」
その全てにおいて、陽菜自身が“窮地に陥った時”という結論が出た。
じゃあまたあんなボコボコにされないと出てこない・・・・?
出現の条件がそれであるならば対話など不可能と言える。
そこで陽菜は、試しにメモ帳に裏人格に向けたメッセージを書き残し
部屋に置いておくことにした。
「とりあえずは試しにね・・・やってみないことには。」
陽菜が書き残した内容はただの一言であった。
《あなたと会話がしたいです。》と、それだけ。
これから始まる全面戦争にはランキング戦のように審判はおらず、
日時も不明、恐らくはどっちかが奇襲をかけて開戦になるだろうと、
そしてただひたすらに潰し合いどちらかが降伏するまでの闘い続けるのだそうだ。
これに勝つためには陽菜ちゃんと陽菜ちゃんの裏の人格の力が必要だよ。と
椿や美咲にもそう言い聞かされた。だからこそ陽菜は今この状況にあるのだった。
考えれば考えるほど理解が遠くなる。
何が間違い?何が正解?それすらも分からなくなる。
そんなことをぐるぐると考えているうちに陽菜は眠ってしまった・・・。
「・・・・・?」
陽菜は夢の中で目を覚ました。
そこは暗闇、一点の光もなく上も下も右も左も分からない。
足がつく地面もない。だが不思議と進める。
歩くというのか、泳ぐというのか・・・。
何とも表現しにくい状況だった。
陽菜は“何か”を求めてがむしゃらに進んだ。
何も見えぬ暗闇の中を。
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