Legend Girl！

第二十闘：影

保健室に運ばれた陽菜はそのまま治療を受けながらぐっすりと眠っていた。

校内に戻ったという噂を聞きつけ椿と美咲はすぐに駆け付けた。
そこで目にしたのはボロボロの陽菜。

「クソッ・・・鬼塚芽衣は行方知らずだし何のつもりだ！？」
「今探ってるよ・・・！」
「どの道こうなった以上、紫炎として俺達が潰しに行くことは出来ないが
　美咲たちに頼む、あいつらを・・・美鬼を叩き潰せ。」
「分かってる、こっちとしても全面戦争のつもりだよ・・・！」

「ほいほい、あんた達ねぇ保健室で物騒なこと言ってんじゃないよ。
　あんたたちが暴れて怪我して誰が治療すると思ってんだい？」

養護教諭の三上先生が奥からやってきた。

「三上先生・・・いつもありがとうございます。」

「まったく、いつからこんな学校になっちまったんだろうねぇ・・・。
　今じゃ不良養成校なんて呼ばれちまって情けないったらありゃしないよ！！
　あんた達は確か紫炎の連中だねえ・・・一体どこを目指してるんだい？」

椿は質問にまっすぐ答える。
「この国の不良の統一！」

その答えに笑う三上。
「かっかっかっ！それはまたでっかく出たねぇ！面白い！！
　じゃあまずはこの学校の不良の統一をしておくれ。
　それが達成されりゃあたしの仕事も楽になるってもんだよ！
　でもねぇ・・・極闘一家の名を受け継いだあいつらは強いよぉ・・・。
　それに、あいつら以外にも強いのはゴロゴロいる、あんた達にできるかねえ。」

「やらなきゃ、進めないでしょ。」
「うむ、その通りだよ。ま、やってみなぁ・・・。
　あたしはどこかのグループの肩を持ったりはしないけどねぇ・・・。
　紫炎という名ぐらいは覚えといてあげるよ。頑張んな。」

二人は声をそろえて返事をした。
『はいっ！！』

「ん・・・・あれ？ここは・・・？」
陽菜が目を覚ました。
「陽菜ちゃん！」

起き上がろうとするも、ビキビキビキ！と全身に激痛が走る。
「いだだだだだ！！」
「何やってんだい全くあんたはまだしばらく横になってなあ！！」
ベッドに倒される陽菜。
「何があったか・・・説明できる？」
「あ、はい・・・。」

陽菜は覚えている限りの説明をした。
「なるほど・・・後半はまったく覚えていないと・・・。」
「(覚えていない・・・？もしかして・・・あの状態だったのか？)」

結局のところ、美鬼による陽菜誘拐の目的は誰にも分からないままだった。

一方・・・
ーーー美鬼、アジトーーー
陽菜(裏人格)によってボロボロにされた鬼塚の配下たちが床に転がっている。
「梨香さん！宮澤陽菜を手に入れましょう！やはりあれは強いです！」
「お前の隊がここまで減らされるとは・・・全部あれがやったのか！」
「はい、押さえつけるだけで全員投入する羽目に・・・。」
「あんな娘がつい最近まで真面目で優秀な生徒だったんだから面白い・・・！！」
「うちが・・・いや、極闘全体とみてもあの子は“極闘最強”への鍵になります。
　絶対に手に入れておくべき駒かと・・・！」
「あっちは今回の件ですでに全面戦争の腹積もりだろうな・・・。
　よし、じゃあ・・・こっちも動くぞ！！宮澤陽菜・・・待っていろ！！」

こうして二つのグループの想いは一つ、ついに全面戦争へ・・・。