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第十七闘:罠
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授業中、陽菜はとても集中などできなかった。
何処から誰が襲ってくるとも分からない状況。
一番恐ろしいのはクラスメイトが巻き添えを食ってしまうことだった。
一瞬、こんな人達どうなったっていいと思ってしまった陽菜であったが、
頭を軽く振って考えを振り払うように思い直した。“そういう考えではいけない”と。
「(美咲さんが何故普通に授業を受けたりすることが出来るかと言えば、
勇気があるとかじゃない・・・《圧倒的な力で敵を寄せ付けないから》だ・・・。
私は分かってるようで本質的な部分がまだわかってなかったんだ・・・!!)」
ただでさえ自分の名はすでにそこそこ周知されているというのに
軽はずみな考えで授業に出てしまったことを後悔した。
しかし、出てしまったからには致し方ない。
今すぐ教室を出ることも考えたが、出たことが敵側に分からなかったら同じこと。
陽菜は一旦授業を受けながら対策を考えることにした。
何もないのが一番いい、そうも思うがこういう場合は“最悪の状況”を想定すべきだ。
「(・・・・・。)」
考えうる最悪を陽菜は自分のノートに書きだした。
①直接教室に入ってきて乱闘。
②投石等によるガラスが割れクラスメイトが危険に晒される。
③このクラスの中に既に間者がいて、外と連絡を取り合っている。
「(①と③は考えにくいかな・・・でも可能性としては残しておいて・・・。)」
考えれば考えるほどに陽菜は心臓がバクバクと跳ね上がる。
出来ることなら何も起こらないで・・・!
そう願う陽菜の願いも虚しく、その10分後・・・事件は起きた。
パリンパリン!ガシャガシャアアアン!!
突如教室の外側の複数枚のガラスが一気に割られた!
「きゃああああああああ!」
「うわあああああ!」
教室内は一瞬にしてパニックに陥り全員が一斉に廊下に逃げ出す!
我先にと走る生徒たちは狭い教室のドアで数人が転倒、
将棋倒し状態となり怪我を負っている様子が見て分かった。
一人立ち上がった状態のまま教室の中に残って外を見渡す陽菜。
「(どこだ・・・どこにいる・・・・!?)」
足元には多くの石が転がっている。
投石であるということを認識することは簡単であった。
そして犯人は複数人、誰か一人の姿さえ捉えれば・・・・!
更なる投石に注意しながら陽菜はじっくりと周囲を見渡す。
「・・・・・あれか!!」
教室から正面、外に設置されているトイレの窓には数人の影が映っていた。
陽菜は割れた窓からすぐに外に飛び出す。
「ま、待ってよ陽菜!!」
そう呼び止めたのは楓であった。
驚いて振り向くと、そこにはガラスが散乱し
いつ石が飛んでくるかも分からない中、
涙しながらもしっかりと陽菜を見つめる楓の姿があった。
「楓・・・そこは危ないよ。そして、ごめんね迷惑かけて。」
そうとだけ言い残し、陽菜は走り出した。
「陽菜・・・・・!!」
トイレまでの距離は直線で20mほど、すぐにたどり着いた。
しかし既にそこに人の姿はもうなかった。
「(・・・・遅かったか・・・!)」
ふぅ、と息を吐いた陽菜は少しトイレの前で立ち尽くした。
その瞬間のことであった・・・。
陽菜は気が付かなかったのだ。三つ並んだ女子トイレの個室、
開いたドアの後ろに一人がまだバットを持って潜んでいたことに・・・。
「死ね・・・・・!」
ハッと声に気づいた陽菜であったが、もう手遅れだった。
ガッッ!!
ドサッ・・・。
鈍い音がトイレに響き渡る・・・。
何処から誰が襲ってくるとも分からない状況。
一番恐ろしいのはクラスメイトが巻き添えを食ってしまうことだった。
一瞬、こんな人達どうなったっていいと思ってしまった陽菜であったが、
頭を軽く振って考えを振り払うように思い直した。“そういう考えではいけない”と。
「(美咲さんが何故普通に授業を受けたりすることが出来るかと言えば、
勇気があるとかじゃない・・・《圧倒的な力で敵を寄せ付けないから》だ・・・。
私は分かってるようで本質的な部分がまだわかってなかったんだ・・・!!)」
ただでさえ自分の名はすでにそこそこ周知されているというのに
軽はずみな考えで授業に出てしまったことを後悔した。
しかし、出てしまったからには致し方ない。
今すぐ教室を出ることも考えたが、出たことが敵側に分からなかったら同じこと。
陽菜は一旦授業を受けながら対策を考えることにした。
何もないのが一番いい、そうも思うがこういう場合は“最悪の状況”を想定すべきだ。
「(・・・・・。)」
考えうる最悪を陽菜は自分のノートに書きだした。
①直接教室に入ってきて乱闘。
②投石等によるガラスが割れクラスメイトが危険に晒される。
③このクラスの中に既に間者がいて、外と連絡を取り合っている。
「(①と③は考えにくいかな・・・でも可能性としては残しておいて・・・。)」
考えれば考えるほどに陽菜は心臓がバクバクと跳ね上がる。
出来ることなら何も起こらないで・・・!
そう願う陽菜の願いも虚しく、その10分後・・・事件は起きた。
パリンパリン!ガシャガシャアアアン!!
突如教室の外側の複数枚のガラスが一気に割られた!
「きゃああああああああ!」
「うわあああああ!」
教室内は一瞬にしてパニックに陥り全員が一斉に廊下に逃げ出す!
我先にと走る生徒たちは狭い教室のドアで数人が転倒、
将棋倒し状態となり怪我を負っている様子が見て分かった。
一人立ち上がった状態のまま教室の中に残って外を見渡す陽菜。
「(どこだ・・・どこにいる・・・・!?)」
足元には多くの石が転がっている。
投石であるということを認識することは簡単であった。
そして犯人は複数人、誰か一人の姿さえ捉えれば・・・・!
更なる投石に注意しながら陽菜はじっくりと周囲を見渡す。
「・・・・・あれか!!」
教室から正面、外に設置されているトイレの窓には数人の影が映っていた。
陽菜は割れた窓からすぐに外に飛び出す。
「ま、待ってよ陽菜!!」
そう呼び止めたのは楓であった。
驚いて振り向くと、そこにはガラスが散乱し
いつ石が飛んでくるかも分からない中、
涙しながらもしっかりと陽菜を見つめる楓の姿があった。
「楓・・・そこは危ないよ。そして、ごめんね迷惑かけて。」
そうとだけ言い残し、陽菜は走り出した。
「陽菜・・・・・!!」
トイレまでの距離は直線で20mほど、すぐにたどり着いた。
しかし既にそこに人の姿はもうなかった。
「(・・・・遅かったか・・・!)」
ふぅ、と息を吐いた陽菜は少しトイレの前で立ち尽くした。
その瞬間のことであった・・・。
陽菜は気が付かなかったのだ。三つ並んだ女子トイレの個室、
開いたドアの後ろに一人がまだバットを持って潜んでいたことに・・・。
「死ね・・・・・!」
ハッと声に気づいた陽菜であったが、もう手遅れだった。
ガッッ!!
ドサッ・・・。
鈍い音がトイレに響き渡る・・・。
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