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第十六闘:敵地
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「・・・気を付けていってらっしゃい陽菜・・・。」
安堵したような、まだ不安そうな母親に送り出されたのは今朝のこと。
昨日の夜はどうしようもない異様な不安に駆られた。
今日まで逃げてきたツケが回ってきたのだと理解しながらも、
美咲の言葉でもう一度前を向こうと思えた。
慣れたこの通学路を歩くのも随分久しぶりな気がした。
実際そんな日にちは経っていないのだが少しでもそう思うと
いささか歩くことさえ緊張している自分がいた。
見られているような気がして周囲の目も気にかかる。
それから20分ほど歩いて学校に着いた、結局何事もなかった。
大抵そんなものだろうと静かに上履きに履き替えて廊下を歩く。
“異変はここからだった”
「なぁ・・・あれって宮澤陽菜じゃね?」
「あの人って元々不良だった訳じゃないんでしょ?」
「そうかも知れないけどでももう
後戻りできないとこまで行っちゃってるでしょ。」
「教室内に来られると・・・襲撃とか怖くない?」
色んなクラスの生徒たちが噂をしているのがすぐに分かった。
陽菜は何も聞かなかったことにして教室へ急ぐ。
程なくして教室に入ると、ざわざわしていた教室が静まり返った。
“来るはずのない人間が来たから”である。
「ちょ、ちょっと待ってよ宮澤さんなんでここに来たの?」
「困るんだよ・・・こっちは高校入試に向けて勉強中なんだから。」
「嫌がらせのつもり?だとしたら大成功だよ、迷惑極まりない。」
「出てけよ94位様、あんたの居場所はもうここにはない。」
罵声を浴びせられた、ここまでは陽菜の中では想定内だった。
洗礼を浴びた気になったが、陽菜は気にせず静かに自分の机に座る。
「(・・・大丈夫、私ならきっとやれる・・・・。
でも、こんな人たちを全員を統率なんてどうしたらいいの?)」
友人だった佐藤楓も遠目に見えるが周囲と同調し
私に近づいてくることはもうなさそうだとすぐに分かった。
彼女も彼女なりの苦労があったに違いない。
陽菜は申し訳ないと思った。
そして、その判断は間違いではないと・・・。
その時だった。
ガッ!!と何かが頭に当たった陽菜は激痛で頭を押さえる。
「(なっ・・・何事!?)」
カラカラ・・・と何かが床を転がる。
それを見て、飛んできたのは黒板消しだとすぐに分かった。
「ちょ、おいやりすぎだろ誰だよ!怒らせんなよ暴れだしたらどうすんだ!!」
「こいつキレるとやばいらしいじゃん!危ないって!!
三年の女子こいつに一瞬でボコられたんじゃないっけ!?」
「俺じゃねぇよてか今黒板付近にいた奴誰か廊下に走って行かなかったか!?」
誰かが走り去る瞬間は陽菜も一瞬衝撃で視界が遮られながらも見えた。
「(誰かが・・・私を狙ってる・・・?)」
そしてガラララ、と勢いよく教室のドアが開き、
真鍋は何も知らずに教室に入ってきた。
「さて・・・授業始め・・・・。」
そう言いかけ、そっと教室を見渡した真鍋は驚いた。
「み、宮澤陽菜・・・。どうしてここに・・・。」
その問いかけに陽菜は「おはようございます。」とだけ返した。
「・・・まぁいい、授業を始めるぞ・・・。」
こうして一時間目の授業が混乱もまだ冷めやらぬまま開始された・・・。
陰から陽菜を狙う謎の人間とは一体!?
安堵したような、まだ不安そうな母親に送り出されたのは今朝のこと。
昨日の夜はどうしようもない異様な不安に駆られた。
今日まで逃げてきたツケが回ってきたのだと理解しながらも、
美咲の言葉でもう一度前を向こうと思えた。
慣れたこの通学路を歩くのも随分久しぶりな気がした。
実際そんな日にちは経っていないのだが少しでもそう思うと
いささか歩くことさえ緊張している自分がいた。
見られているような気がして周囲の目も気にかかる。
それから20分ほど歩いて学校に着いた、結局何事もなかった。
大抵そんなものだろうと静かに上履きに履き替えて廊下を歩く。
“異変はここからだった”
「なぁ・・・あれって宮澤陽菜じゃね?」
「あの人って元々不良だった訳じゃないんでしょ?」
「そうかも知れないけどでももう
後戻りできないとこまで行っちゃってるでしょ。」
「教室内に来られると・・・襲撃とか怖くない?」
色んなクラスの生徒たちが噂をしているのがすぐに分かった。
陽菜は何も聞かなかったことにして教室へ急ぐ。
程なくして教室に入ると、ざわざわしていた教室が静まり返った。
“来るはずのない人間が来たから”である。
「ちょ、ちょっと待ってよ宮澤さんなんでここに来たの?」
「困るんだよ・・・こっちは高校入試に向けて勉強中なんだから。」
「嫌がらせのつもり?だとしたら大成功だよ、迷惑極まりない。」
「出てけよ94位様、あんたの居場所はもうここにはない。」
罵声を浴びせられた、ここまでは陽菜の中では想定内だった。
洗礼を浴びた気になったが、陽菜は気にせず静かに自分の机に座る。
「(・・・大丈夫、私ならきっとやれる・・・・。
でも、こんな人たちを全員を統率なんてどうしたらいいの?)」
友人だった佐藤楓も遠目に見えるが周囲と同調し
私に近づいてくることはもうなさそうだとすぐに分かった。
彼女も彼女なりの苦労があったに違いない。
陽菜は申し訳ないと思った。
そして、その判断は間違いではないと・・・。
その時だった。
ガッ!!と何かが頭に当たった陽菜は激痛で頭を押さえる。
「(なっ・・・何事!?)」
カラカラ・・・と何かが床を転がる。
それを見て、飛んできたのは黒板消しだとすぐに分かった。
「ちょ、おいやりすぎだろ誰だよ!怒らせんなよ暴れだしたらどうすんだ!!」
「こいつキレるとやばいらしいじゃん!危ないって!!
三年の女子こいつに一瞬でボコられたんじゃないっけ!?」
「俺じゃねぇよてか今黒板付近にいた奴誰か廊下に走って行かなかったか!?」
誰かが走り去る瞬間は陽菜も一瞬衝撃で視界が遮られながらも見えた。
「(誰かが・・・私を狙ってる・・・?)」
そしてガラララ、と勢いよく教室のドアが開き、
真鍋は何も知らずに教室に入ってきた。
「さて・・・授業始め・・・・。」
そう言いかけ、そっと教室を見渡した真鍋は驚いた。
「み、宮澤陽菜・・・。どうしてここに・・・。」
その問いかけに陽菜は「おはようございます。」とだけ返した。
「・・・まぁいい、授業を始めるぞ・・・。」
こうして一時間目の授業が混乱もまだ冷めやらぬまま開始された・・・。
陰から陽菜を狙う謎の人間とは一体!?
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