Legend Girl!

広瀬あかり

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第十四闘:激震

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ランキング戦から三日。
校内には未だ陽菜の名が轟いていた。

あの日、戦いを見ていたのは紫炎と美鬼のメンバ―だけの筈だったのだが、
校内に存在するグループも偵察を送り状況を見て各所に報告していたのだ。
それにより陽菜の暴走と鬼塚の敗退は一斉に伝えられ、今に至っている。

当の本人は紫炎のアジトから出られない程に狙われ、怪我の回復に専念していた。

「さて、陽菜ちゃん、改めてランキング100圏内入りおめでとう。」

「あっ、ありがとうございます・・・でも私覚えてなくて・・・。」

椿は語る。
「君には裏の人格が存在するようだね。鬼塚をやったのはそれだよ。」
「裏の・・・人格・・・。」

陽菜には言葉の意味が理解できなかったが、自分に起きた状況だけは理解していた。
この数日、椿にはランキング戦で起きた出来事を詳しく説明されたからだ。

「陽菜ちゃんはそれをコントロールする力を身に着けてほしい。
 それが出来たら陽菜ちゃんは間違いなく
   美咲とも順位を争えるレベルの力を手にできる。」

ランキング2位の美咲さんにも勝てるかもしれない力・・・?
陽菜は動揺を隠せなかった。

「といっても・・・コントロール“出来たら”の話だけどね?
 今の陽菜ちゃんの状態はただの暴走でしかない。」
「暴走・・・・。」

「こないだのランキング戦であの状態にも限界があることが分かった。
 であれば、まずは一点目にどこが限界であるかを知ること。
 そして二点目に陽菜ちゃん自身が意識を保ち続けること。
 そして三点目、これからどんどん戦って経験を積むこと。
 この三点が重要になるだろう。
 だが、今の陽菜ちゃんを知っている僕や美咲以外の紫炎のメンバー、
 他のグループのメンバーはすでにこの三点全てを身につけていると思っている。
 だからこそ、今の状況をすぐにでも打破しなければならない。
 もしその技術を身につけていないと分かれば完全にそこが穴、狙われる。
 ここから更に順位を上げるためには必須項目と言えるだろう。」

陽菜はいつも通りにメモをした。
自分の課題が見つかって嬉しそうな陽菜。

「分かりました!頑張ります!!」

「・・・自分の中にいる好き勝手に暴走する獣が怖くないのかい?」

あまりの陽菜の笑顔に椿は聞いた。

「確かに、ちょっとは怖いです。
 でも、私は紛れもなく喧嘩なんて弱いので・・・
 いくら力を付けようって言ったって
 今からつけてもそんなに一気に変わらないじゃないですか。
 でも、それを遥かに超える私が私の中にいて・・・
 ちょっとだけ、その人とお話してみたくなりました。
 そして、あわよくば力を借してほしいなって思うんです。」

椿は笑った。
「なるほどね・・・ほんとに陽菜ちゃんは前向きですごいなあ。
 とりあえず、この件に関しては美咲に一任してあるから、引き続き頑張ってね。」

「はいっ!!」

こうして・・・紫炎での時間はあっという間に過ぎていった。

「狙うは宮澤陽菜・・・芽衣さんの仇・・・。」
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