Legend Girl!

広瀬あかり

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第十二闘:本物

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ランキング戦当日・・・

間もなく戦いは始まろうとしていた。
向かい合う二人。

場所は極闘中学の校庭が選ばれた。
正式な試合を前に、校内では不正のない様各グループに
参加していない判定員が公平に選出された。
《紫炎》《美鬼》の総大将、佐川椿と金沢梨香も戦いを見守る。
美咲や遥、由香も駆け付けていた。

「うちの陽菜ちゃんが勝ったらうちの傘下に入ってくれるかな?」

ニコニコと梨香に交渉を持ち掛ける椿。

「安心しろ、“それ”が勝つことはない。」

ギロリと椿を睨みつけると、梨香はその場をすぐに離れた。

「・・・それでは、試合を開始いたします。武器などの使用は原則禁止、
 倒れて10カウント以内に立ち上がらなかった場合は負けとします。
 膝をついた場合も同様の判定となります。
 試合中に続行不可能だと判断した場合は私に降伏宣言をしてください。
 即座に試合は終了とさせていただきますが、その降伏宣言後、
 試合終了の合図以降さらに追撃を行う等の違反をした場合は強制敗北、
 場合によっては今後のランキング戦参加への資格停止処分となりますので
 くれぐれもご注意くださいませ。それでは、始めてください。」

間合いを取りまだ見つめ合う二人。
鬼塚はニヤニヤと様子を伺う。

「(ビリビリする何かを感じる・・・!これが戦場の空気・・・!?)」

張り詰める空気に気圧される陽菜。
身体が一気に固くなる、思うように動けない。

その瞬間の出来事であった・・・。

「え・・・?」

陽菜の身体は一瞬にして吹き飛ばされた。
ズザザザー!と陽菜は地面に強く叩きつけられる!

すぐにカウントは始まり、鬼塚も追撃をかけてくる!

「くっ・・・!」

ギリギリで鬼塚の追撃をかわし陽菜は何とか立ち上がった。
カウントは8、ギリギリのところだった。

「どうして立ち上がる?そのまま寝転んでいればいいものを。
 お前じゃ私には勝てない・・・もう分かっただろ?」

足がガクガクと震える陽菜。

「お前はごく最近までめちゃめちゃ真面目なガキだったというじゃないか、
 それがなんだってこんなところに?不良への憧れ?それとも勉強疲れ?
 まぁなんにしたってここはお前の様な奴が来る場所じゃない。
 本物の力って奴を見せてやるから・・・とっとと眠んな。」

一気に向かってくる鬼塚、足がふらつく陽菜には逃げる術がなかった。

今回はしっかりガードは出来たものの、凄まじいパワーで再び吹き飛ぶ。
ガードした腕に激痛が走っている。

それでも陽菜は再び立ち上がった。
しかしその姿はまさに棒立ち、最早何もできない。

「陽菜ちゃん・・・もう無理か・・・試合を止めよう。」

椿が判定員に駆け寄ろうとした瞬間、その手を取ったのは美咲だった。

「大丈夫だから、もう少し見て!」
「でも、あれじゃ先は見えてるよ!」

「私があの子に教えたことは、技の技術も確かに教えはしたけど基本中の基本。
 一番大切だと教えたことはただの根性だよ。今の陽菜っちにはそれがある・・・!
 まだ諦めてないんだよ、止めちゃダメ・・・!」

しかし、その後も一方的だった、やられては立ち上がりの繰り返し。
何度も何度も・・・立ち上がった、顔はすでに血だらけになっている。

フラフラと身体を揺らす陽菜。

「いい加減にしないとほんとに死ぬよお前・・・!」

その時だった。
「ふふ・・・ふふふふふふふあははははははははは!!」

陽菜は突如高笑いを始めた。

「あーあ・・・壊しちゃった、ごめんね・・・でも弱いお前が悪いよね。
 これで静かに眠りな・・・!」

再びパンチを繰り出す鬼塚。
しかし陽菜は平然とそれを受け止めた!

「なっ!?」

ピクリとも動かない拳。

「ネェ・・・ア―ソーボー・・・。」

一発の陽菜のパンチと共に頬からゴギャッ!という音を立て地面に転がる鬼塚。
何が起こったのか鬼塚にはまるで理解が及ばなかった。

「がふっ・・・何だあの・・・化け物!?」

再び覚醒した陽菜!次回、後半戦!
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