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第七闘:新たな旅立ち
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「・・・本当にいいのかな?後からやっぱヤダとかはなしだよ?
それに、明解のことはもう・・・いいのかな?」
自分から不意に出た言葉に、陽菜自身も驚きを隠せなかった。
しかし、止められなかった。勉強だけで生きてきた何の刺激もない人生。
陽菜は14歳にして初めて心が、新たな刺激を求めてしまった。
怖い世界であることは分かっている。
何せ今まで避けて生きてきた不良という修羅の道。
どう足掻いても明るい未来はない。
そう分かっているはずなのに、佐川椿という男の登場が陽菜を変えた。
「今更・・・前言を撤回するつもりはありません。
明解のことも、完全に諦めきれたわけではありませんが、
今あそこで、あの学校で勉強をしても無駄だと考えました。
先生方からは道具と呼ばれ、クラスメイトからもあっさり切り捨てられ、
学力が全てであると思いここまで色々切り捨てて来ましたが、
今ようやくボスの私に夢はあるのか?という言葉で
目が覚めたように思います。全てが無駄でした。
私はあの学校に進学することだけが夢だったんです。
その先のことなんて全く考えてなかった。
明解進学についても親にそこに行けと言われただけ。
私の意思なんてどこにもなくて、私は空っぽなんだと今気づきました。
そしてそんな空っぽな私にたった今、夢が出来ました。
それは椿さんが、ボスが不良で天下統一するという夢です。
もう、残念ながらこの気持ちを止めることは出来ません。
未熟ではありますが、今日から紫炎の一員としてよろしくお願いいたします!」
陽菜の言葉を静かに目を瞑り聞く椿。
「うん、大満足の答えだ。陽菜ちゃんには僕達がたくさんの夢を見せてあげよう。
こちらこそ、今後ともよろしく頼むよ陽菜ちゃん。じゃあ、アレを渡そう。」
ゴソゴソと椿は服のポケットから何かを取り出し、陽菜に渡す。
「これは・・・?」
何かが布で包まれている。
陽菜がそっとその布を取ると・・・
そこには柄に大きく「紫炎」と書かれた折りたたみ式のナイフがあった。
「これは、あくまで護身用の武器であり、
そして同時に紫炎に所属しているという証明にもなるものだよ。
これを受け取った者は正式にうちのメンバーとして証明されたということだ。」
手に乗っているものの重さは計り知れなかった。
果たしてこれは武器そのものの重さなのか、それとも紫炎という重さなのか・・・。
「裏を見てごらん?」
椿の言葉で柄をくるりと一回転させる陽菜。
そこには「宮澤陽菜」と文字が彫られていた。
「・・・・・・嬉しい・・・!!」
陽菜はぎゅっとそれを胸に抱いた。
「さて、紫炎に入ったとはいえ陽菜ちゃんはまだ喧嘩慣れしてない一般人。
大抵の人は喧嘩慣れしてるからそのまま出てもらうんだけど陽菜ちゃんは特例。
このまま戦争に兵として出てもらっても袋叩きに会うのが目に見えている。
そこで、今日からうちの傘下の女の子グループで《毒華》のボスである
東條美咲が君の指導をしてくれる。そこで色々勉強しておいで。」
「椿さんは・・・指導してくれないんですか?」
不意に出ただけの言葉だったが、少し自分の言葉に恥ずかしくなる陽菜。
「うーん・・・僕は女の子側の喧嘩に関しては関わってないからなあ。
分からないんだよ、だから常に前線にいる美咲ちゃんに学ぶのが一番だよ。」
言っていることの意味があまり理解できていない陽菜は聞いた。
「男女一緒に喧嘩するんじゃないんですか?」
椿は質問に丁寧に答えた。
「ああそうか、陽菜ちゃんはそこが分かってないんだね。
いいかな?まずは、男の喧嘩と女の喧嘩は全く別なんだよ。
力の差がありすぎるからね、女の子にとってはあまりに危険だ。
決戦の日時と時間は同じだけど、場所はそれぞれ全く別の場所。
男の喧嘩には降伏したら負けとか気絶したら負けとかのルールがあるけど、
女の子側の喧嘩には膝をついたら負けとか独自のルールがあるみたいだ。
その辺りに関しては美咲ちゃんに教えてもらってよ。」
しっかりとメモを取る陽菜。
「あはは!陽菜ちゃんはやっぱり真面目だなあ!
さて、僕はもう出なくちゃ。来てくれてありがとうね!
いい答えが聞けて嬉しかったよ。じゃあ二人とも後はよろしくね。」
そういうと、椿はいそいそと部屋を出ていった。
「いい結果となり何よりです、陽菜さん。」
「・・・・・おめでとう。」
「ありがとうございます・・・。」
こうして、陽菜はこの日学校に戻ることなく帰路につき、
一日は終わりを告げた・・・。
それに、明解のことはもう・・・いいのかな?」
自分から不意に出た言葉に、陽菜自身も驚きを隠せなかった。
しかし、止められなかった。勉強だけで生きてきた何の刺激もない人生。
陽菜は14歳にして初めて心が、新たな刺激を求めてしまった。
怖い世界であることは分かっている。
何せ今まで避けて生きてきた不良という修羅の道。
どう足掻いても明るい未来はない。
そう分かっているはずなのに、佐川椿という男の登場が陽菜を変えた。
「今更・・・前言を撤回するつもりはありません。
明解のことも、完全に諦めきれたわけではありませんが、
今あそこで、あの学校で勉強をしても無駄だと考えました。
先生方からは道具と呼ばれ、クラスメイトからもあっさり切り捨てられ、
学力が全てであると思いここまで色々切り捨てて来ましたが、
今ようやくボスの私に夢はあるのか?という言葉で
目が覚めたように思います。全てが無駄でした。
私はあの学校に進学することだけが夢だったんです。
その先のことなんて全く考えてなかった。
明解進学についても親にそこに行けと言われただけ。
私の意思なんてどこにもなくて、私は空っぽなんだと今気づきました。
そしてそんな空っぽな私にたった今、夢が出来ました。
それは椿さんが、ボスが不良で天下統一するという夢です。
もう、残念ながらこの気持ちを止めることは出来ません。
未熟ではありますが、今日から紫炎の一員としてよろしくお願いいたします!」
陽菜の言葉を静かに目を瞑り聞く椿。
「うん、大満足の答えだ。陽菜ちゃんには僕達がたくさんの夢を見せてあげよう。
こちらこそ、今後ともよろしく頼むよ陽菜ちゃん。じゃあ、アレを渡そう。」
ゴソゴソと椿は服のポケットから何かを取り出し、陽菜に渡す。
「これは・・・?」
何かが布で包まれている。
陽菜がそっとその布を取ると・・・
そこには柄に大きく「紫炎」と書かれた折りたたみ式のナイフがあった。
「これは、あくまで護身用の武器であり、
そして同時に紫炎に所属しているという証明にもなるものだよ。
これを受け取った者は正式にうちのメンバーとして証明されたということだ。」
手に乗っているものの重さは計り知れなかった。
果たしてこれは武器そのものの重さなのか、それとも紫炎という重さなのか・・・。
「裏を見てごらん?」
椿の言葉で柄をくるりと一回転させる陽菜。
そこには「宮澤陽菜」と文字が彫られていた。
「・・・・・・嬉しい・・・!!」
陽菜はぎゅっとそれを胸に抱いた。
「さて、紫炎に入ったとはいえ陽菜ちゃんはまだ喧嘩慣れしてない一般人。
大抵の人は喧嘩慣れしてるからそのまま出てもらうんだけど陽菜ちゃんは特例。
このまま戦争に兵として出てもらっても袋叩きに会うのが目に見えている。
そこで、今日からうちの傘下の女の子グループで《毒華》のボスである
東條美咲が君の指導をしてくれる。そこで色々勉強しておいで。」
「椿さんは・・・指導してくれないんですか?」
不意に出ただけの言葉だったが、少し自分の言葉に恥ずかしくなる陽菜。
「うーん・・・僕は女の子側の喧嘩に関しては関わってないからなあ。
分からないんだよ、だから常に前線にいる美咲ちゃんに学ぶのが一番だよ。」
言っていることの意味があまり理解できていない陽菜は聞いた。
「男女一緒に喧嘩するんじゃないんですか?」
椿は質問に丁寧に答えた。
「ああそうか、陽菜ちゃんはそこが分かってないんだね。
いいかな?まずは、男の喧嘩と女の喧嘩は全く別なんだよ。
力の差がありすぎるからね、女の子にとってはあまりに危険だ。
決戦の日時と時間は同じだけど、場所はそれぞれ全く別の場所。
男の喧嘩には降伏したら負けとか気絶したら負けとかのルールがあるけど、
女の子側の喧嘩には膝をついたら負けとか独自のルールがあるみたいだ。
その辺りに関しては美咲ちゃんに教えてもらってよ。」
しっかりとメモを取る陽菜。
「あはは!陽菜ちゃんはやっぱり真面目だなあ!
さて、僕はもう出なくちゃ。来てくれてありがとうね!
いい答えが聞けて嬉しかったよ。じゃあ二人とも後はよろしくね。」
そういうと、椿はいそいそと部屋を出ていった。
「いい結果となり何よりです、陽菜さん。」
「・・・・・おめでとう。」
「ありがとうございます・・・。」
こうして、陽菜はこの日学校に戻ることなく帰路につき、
一日は終わりを告げた・・・。
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