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第五闘:紫炎
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それからどのくらい歩いたであろうか?
気づくと私は町はずれの小さな廃ビルの前に辿り着いていた。
「ここが・・・紫炎の拠点ということですか?」
しかし、そのビルからは人の気配は全くしなかった。
ずんずんと何の躊躇いもなく
質問に答えることもなく中へ進み階段を上がっていく二人。
必死に着いていくも荒れ果てたビルの内部はガラス片や崩れた壁が散乱している。
「気を付けてお進みください。昨日の襲撃で多少荒れております。」
「しゅ、襲撃って・・・。」
遥の淡々とした説明に絶句しながらも後戻りもできない陽菜は自分の運命を恨んだ。
「(一時間目は始まったかな?とするともう家に連絡は行ってる頃かな・・・。
昨日の今日でお母さんごめんなさい。私今紫炎のアジトにいます・・・!)」
そんなことを考えながらも注意して進むと、突如二人は大きな扉の前で足が止めた。
「到着しました、ここに紫炎のボスがいらっしゃいます。」
コンコン、とノックをする由香。
「椿様、由香と遥です。ただいま宮澤陽菜様をお連れしました。」
すると、中から足音と共に声が聞こえてきた。
「お、早いねぇさすがだね二人とも。うん、入ってもらって!」
ん?この声どこかで・・・そう思った陽菜であったが思い出せなかった。
ギィイイ・・・と大きな古い観音扉は静かに二人の手で開いていく。
元はここも社長室か何かだったのだろうか?
「やぁ、僕のこと覚えているかな?いらっしゃい、我が紫炎の拠点へ!」
そこには、箒と塵取りを持った一人の男が立っていた。
しかし、顔と声が一致するまでにそう時間はかからなかった。
「あなたは・・・夢に出てきた人・・・?あれ?現実だったのかな・・・?」
「あはは!まぁまぁ一回座ろうよ!立ち話も何だし!!」
ガラガラガラ~と事務椅子が部屋の奥から椿の手で運ばれて来た。
「汚いところだけどごめんね、さあ座って?」
指示通りに座る陽菜であったが、目の前にいるのは不良のボス。
何も知らない陽菜といえど緊張と警戒はせずにはいられなかった。
自然と身体がガチガチになる陽菜。
「ありゃ?なんかすごく固まってるね、大丈夫かい?」
「ももも・・・もちろんです・・・!」
ミスったら殺される、そう思った。
「ダメだこりゃ、おーい、二人も入っておいでよ!」
椿の問いかけで部屋に入ってくる遥と由香。
「何かご用でしょうか?」
「やっぱりこの女間違いでしたか?この由香がぶっ飛ばして・・・!」
そう言いかけた瞬間、ごちんと遥にげんこつを落とされる由香。
「由香ちゃんはいつもすごいねー!でも違うんだよ、
彼女僕の前だからかちょっと緊張してるみたいで。
これじゃお話もできないから一緒に横にいてあげてくれるかなあ。」
遥は即答でかしこまりましたと答えるも、由香は不服そうな顔でいる。
この瞬間だった。
「ダメだよ由香ちゃん、お客様の前なんだから・・・しっかりしてよ・・・!!」
ビリビリとした強い恐れを感じ取った3人は体中から嫌な汗が噴き出る。
「(殺気・・・!?何この人・・・!!)」
「由香が失礼しました、この娘まだ未熟なもので・・・。」
「がっ・・・・・・。」
明らかに自分に向けられた殺気は由香の身体を一気に支配していた。
呼吸さえもまともにできないような感覚に襲われる。
「ごめんね、まだグループのことさえ統率を完全にとれていないんだ。」
再びニコニコと陽菜を見つめる椿。
「そ、それで・・・私に何の用なのでしょうか・・・・。」
「あれ?昨日も一応言ったし招待状も受け取ったはずだよね?」
ポケットから黒い封筒を取り出し見せる陽菜。
「そう!それそれ!僕は君に僕のグループ、紫炎に入って欲しいんだよ!!」
もうそこには恐怖というそれしかなかったが、恐る恐る聞いてみる。
「もし・・・断った場合は?」
「うーん・・・悲しい?」
それはあまりに予想外の答えだった。
気づくと私は町はずれの小さな廃ビルの前に辿り着いていた。
「ここが・・・紫炎の拠点ということですか?」
しかし、そのビルからは人の気配は全くしなかった。
ずんずんと何の躊躇いもなく
質問に答えることもなく中へ進み階段を上がっていく二人。
必死に着いていくも荒れ果てたビルの内部はガラス片や崩れた壁が散乱している。
「気を付けてお進みください。昨日の襲撃で多少荒れております。」
「しゅ、襲撃って・・・。」
遥の淡々とした説明に絶句しながらも後戻りもできない陽菜は自分の運命を恨んだ。
「(一時間目は始まったかな?とするともう家に連絡は行ってる頃かな・・・。
昨日の今日でお母さんごめんなさい。私今紫炎のアジトにいます・・・!)」
そんなことを考えながらも注意して進むと、突如二人は大きな扉の前で足が止めた。
「到着しました、ここに紫炎のボスがいらっしゃいます。」
コンコン、とノックをする由香。
「椿様、由香と遥です。ただいま宮澤陽菜様をお連れしました。」
すると、中から足音と共に声が聞こえてきた。
「お、早いねぇさすがだね二人とも。うん、入ってもらって!」
ん?この声どこかで・・・そう思った陽菜であったが思い出せなかった。
ギィイイ・・・と大きな古い観音扉は静かに二人の手で開いていく。
元はここも社長室か何かだったのだろうか?
「やぁ、僕のこと覚えているかな?いらっしゃい、我が紫炎の拠点へ!」
そこには、箒と塵取りを持った一人の男が立っていた。
しかし、顔と声が一致するまでにそう時間はかからなかった。
「あなたは・・・夢に出てきた人・・・?あれ?現実だったのかな・・・?」
「あはは!まぁまぁ一回座ろうよ!立ち話も何だし!!」
ガラガラガラ~と事務椅子が部屋の奥から椿の手で運ばれて来た。
「汚いところだけどごめんね、さあ座って?」
指示通りに座る陽菜であったが、目の前にいるのは不良のボス。
何も知らない陽菜といえど緊張と警戒はせずにはいられなかった。
自然と身体がガチガチになる陽菜。
「ありゃ?なんかすごく固まってるね、大丈夫かい?」
「ももも・・・もちろんです・・・!」
ミスったら殺される、そう思った。
「ダメだこりゃ、おーい、二人も入っておいでよ!」
椿の問いかけで部屋に入ってくる遥と由香。
「何かご用でしょうか?」
「やっぱりこの女間違いでしたか?この由香がぶっ飛ばして・・・!」
そう言いかけた瞬間、ごちんと遥にげんこつを落とされる由香。
「由香ちゃんはいつもすごいねー!でも違うんだよ、
彼女僕の前だからかちょっと緊張してるみたいで。
これじゃお話もできないから一緒に横にいてあげてくれるかなあ。」
遥は即答でかしこまりましたと答えるも、由香は不服そうな顔でいる。
この瞬間だった。
「ダメだよ由香ちゃん、お客様の前なんだから・・・しっかりしてよ・・・!!」
ビリビリとした強い恐れを感じ取った3人は体中から嫌な汗が噴き出る。
「(殺気・・・!?何この人・・・!!)」
「由香が失礼しました、この娘まだ未熟なもので・・・。」
「がっ・・・・・・。」
明らかに自分に向けられた殺気は由香の身体を一気に支配していた。
呼吸さえもまともにできないような感覚に襲われる。
「ごめんね、まだグループのことさえ統率を完全にとれていないんだ。」
再びニコニコと陽菜を見つめる椿。
「そ、それで・・・私に何の用なのでしょうか・・・・。」
「あれ?昨日も一応言ったし招待状も受け取ったはずだよね?」
ポケットから黒い封筒を取り出し見せる陽菜。
「そう!それそれ!僕は君に僕のグループ、紫炎に入って欲しいんだよ!!」
もうそこには恐怖というそれしかなかったが、恐る恐る聞いてみる。
「もし・・・断った場合は?」
「うーん・・・悲しい?」
それはあまりに予想外の答えだった。
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