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第二闘:クズ
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その日の2-B組は一時間目のロングホームルームから始まった。
教室には半数程度の生徒しかおらず、
その大半は各自の所属する不良グループで集まっている。
教室の窓からもちらちらと不良達の姿が校舎裏の方に見え隠れしている。
「さて、ホームルームの時間だな・・・。」
担任の真鍋祐一が教壇へと上がると、
話に夢中になっていた生徒もピタリと話をやめ教員の声に耳を傾ける。
「今更かとは思うが、お前達に言っておくぞ。
ここにいる君達はみんな我が校の希望だ!!!
そして外で酒を飲んでいる連中、
たばこを吸っている連中、あいつらはみんなクズだ!!
いいか、この学校は今こんな有様。
生徒の半数以上は不良に成り下がり学校も学校として成り立っていない!
しかし、しかしだ!君達のように我が校にとって
有益な存在はまだ少なからずいる!!!
君達には何としてでもレベルの高い高校に進んでもらって
何としてでも我が校の名誉を回復してもらいたい!
ここから更に一人でもあそこのクズの奈落に
落ちる生徒がいないように心から頼むぞ!!」
大声で熱弁を振るう真鍋に、
生徒は慣れたように全員は大きく『はい!!』と返事をした。
ここで真鍋は突然私を指差してこう言った。
「このクラスの最優秀生徒はお前だ、宮澤陽菜。お前には特に期待しているぞ。」
俯いたまま返事も出来ない私をクラスの全員が冷ややかな目で見つめている。
「は・・・・はぃ・・・・。」
絞り出すような声でやっと返事をした私を睨む真鍋。
「まったく返事一つまともにできないのか・・・
成績だけは誰よりも最優秀のくせに・・・!」
吐き捨てるようにそういうと、真鍋は教員用の椅子に勢いよく座る。
この学校では極力目立ちたくない、どんな形であれ
いつ“あいつら”に目をつけられるか分からないから。
絶対に関わりたくない関わったら
終わりだという思いだけがどんどん強くなっていく。
もっとも、あいつらからしても私みたいな勉強にしか
興味のない女なんてまるで興味ないでしょうけど。
それから、30分ほどが過ぎ授業は終わった。
お手洗いに行こうと椅子から立ち上がると・・・
「なぁ、金貸してくんね?」
そこにはさっきまで教室にいなかった筈の
どこかの不良グループの金髪の男が私の前に立っていた・・・。
教室には半数程度の生徒しかおらず、
その大半は各自の所属する不良グループで集まっている。
教室の窓からもちらちらと不良達の姿が校舎裏の方に見え隠れしている。
「さて、ホームルームの時間だな・・・。」
担任の真鍋祐一が教壇へと上がると、
話に夢中になっていた生徒もピタリと話をやめ教員の声に耳を傾ける。
「今更かとは思うが、お前達に言っておくぞ。
ここにいる君達はみんな我が校の希望だ!!!
そして外で酒を飲んでいる連中、
たばこを吸っている連中、あいつらはみんなクズだ!!
いいか、この学校は今こんな有様。
生徒の半数以上は不良に成り下がり学校も学校として成り立っていない!
しかし、しかしだ!君達のように我が校にとって
有益な存在はまだ少なからずいる!!!
君達には何としてでもレベルの高い高校に進んでもらって
何としてでも我が校の名誉を回復してもらいたい!
ここから更に一人でもあそこのクズの奈落に
落ちる生徒がいないように心から頼むぞ!!」
大声で熱弁を振るう真鍋に、
生徒は慣れたように全員は大きく『はい!!』と返事をした。
ここで真鍋は突然私を指差してこう言った。
「このクラスの最優秀生徒はお前だ、宮澤陽菜。お前には特に期待しているぞ。」
俯いたまま返事も出来ない私をクラスの全員が冷ややかな目で見つめている。
「は・・・・はぃ・・・・。」
絞り出すような声でやっと返事をした私を睨む真鍋。
「まったく返事一つまともにできないのか・・・
成績だけは誰よりも最優秀のくせに・・・!」
吐き捨てるようにそういうと、真鍋は教員用の椅子に勢いよく座る。
この学校では極力目立ちたくない、どんな形であれ
いつ“あいつら”に目をつけられるか分からないから。
絶対に関わりたくない関わったら
終わりだという思いだけがどんどん強くなっていく。
もっとも、あいつらからしても私みたいな勉強にしか
興味のない女なんてまるで興味ないでしょうけど。
それから、30分ほどが過ぎ授業は終わった。
お手洗いに行こうと椅子から立ち上がると・・・
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