92 / 93
マリーの進む道
王妃の気持ち
しおりを挟む
リリーが立ち上がって、ノックされた扉を開く。すると、そこには、王妃の姿があった。
「お母様。どうぞ」
「ありがとう」
王妃がリリーの部屋に入ってくると、マリーも席を立ち上がった。まっすぐ前を向くマリーに、王妃は近づいていた足を止めた。そして、何度も口を開いては閉じるを繰り返す。今思っている事を言葉に出来なかった。
「えっと、何か御用でしょうか?」
一向に状況が進まないので、マリーの方から声を掛ける。
「あっ……国王陛下が亡くなった後、陛下の日記が見付かったの。そこで、あなたに関しての記述があったわ。マリーナリア……いえ、マリー、本当にごめんなさい」
王妃は、マリーに対して頭を下げた。
「それは……捨てたことですか? それとも、国王が私の暗殺を企てた事ですか?」
「……そのどちらもよ。あなたを森に捨ててから、しばらくして、私は取り返しの付かない事をしてしまったのではと罪悪感が生まれたの。そして、それはリリーを引き取って、どんどんと増していったわ。だから、あなたへ与えるはずだった愛情も含めて、リリーを愛する事を決めたわ」
この言葉を聞いて、リリーの顔が強張る。マリーに与えられるはずだったものを自分が受け取ってしまったという事に負い目を感じてしまったからだ。その事に、マリーはすぐ気付いた。
「リリーが気にする事じゃないよ」
「ですが……」
「リリーのせいじゃないでしょ。これは、私とこの人の問題。リリーは、その結果の影響を受けただけなんだから、気にしない。分かった?」
「はいですわ……」
完全に負い目は消えていないものの、リリーの心は少し軽くなっていた。
「取り敢えず、私は、あなた達に捨てられた事に関して、全く気にしてない。寧ろ、お母さんに拾われて良かったと思ってる。今更、王族として戻ってこようなんて思ってないから」
マリーの言葉に、王妃は顔を伏せる。その動作を、マリーは訝しんだ。
「これで、そっちが懸念している事は何もなくなるはずだけど。まだ、何かあるの?」
マリーがそう言うと、王妃は口を開けてから、何かを飲み込むように閉じた。
「言いたい事があるなら言って欲しいんだけど。これ以上揉め事を残すのは嫌だから」
「……本当に、ここに戻って来る気はないのよね?」
「ない。私にとって、王族である事なんて、どうでも良いから。あなたの娘である事もね」
「分かったわ……それじゃあ、私は、ここで失礼するわ。最後に一つだけ。好きなときに、ここに来て良いわ。リリーの姉としても友人としてもね」
王妃はそう言うと、リリーの部屋を出て行った。
「はぁ……」
マリーは、ため息をつきながら椅子に座る。リリーも同じく椅子に座った。
「大丈夫ですの?」
「大丈夫。結局、本当に謝罪しに来たってだけなの?」
「みたいですわね」
「何か腑に落ちないんだよねぇ……王族である事も全部捨てるって言ってるのに、まだ言いたい事がありそうだったし。王城に戻ってくるつもりもないって言っても、また来て良いって言うし」
マリーは、王妃の言葉に違和感を抱いていた。それでも、これ以上自分に関わりを持たなそうな事にだけは安堵していた。
「もしかしたら、お母様は、お姉様と暮らしたいと考えていたのかもしれません」
「はぁ!? じゃあ、何? もしかして、あの謝罪も本心からの言葉だって言うの!?」
「私は、そう思いますけど……」
マリーは、眉を寄せながら唸りながら、お茶を飲む。
「心変わりしたとでも言うの……全然信じられない……」
「ですが、それなら私を愛してくれる事も説明出来るのでは?」
「実際は、関係ないでしょ。どのみち、リリーの事は愛してくれたと思うよ。私の分の愛なんて大した事もないだろうから」
「そ、そんな事ないと思いますわ。だから、罪悪感を抱いたのでしょうし……」
「罪悪感と愛は関係しないでしょ。自分が産んだ子供を捨てたという行為に抱いたものだよ。取り敢えず、今日のところは帰るよ。ちょっと疲れたし」
「あっ……」
リリーは、何かを言いたげに手を伸ばす。マリーは、その手を一切の迷いなく掴む。
「大丈夫。また来るよ。ここに来たら、可愛い妹に会えるからね」
マリーの言葉に、リリーは顔を綻ばせた。
「はい! あっ、城門までご案内しますわ」
「うん。ありがとう」
リリーに案内されて、マリーは城から出て行く。
「馬車を用意します?」
「あっ、そういえば、必要か……あっ、大丈夫そう」
マリーの視線の先には、城門の近くに立っているアルの姿があった。その傍には、馬車もあった。
「アルくんに頼めば、乗せてくれるでしょ」
「むぅ……そうですわね。では、また今度」
「うん。またね」
マリーは最後にリリーの事を抱きしめてから、アルの元に向かった。それだけで、リリーは上機嫌になり、城へと戻っていった。
「アルくん!」
「まだ帰ってなかったか」
「知ってて待ってくれたんじゃないの?」
「さすがに、そこまで分かっているわけないだろう。未来予知なんて出来ないからな。取り敢えず、乗れ」
「うん」
アルに促されて、マリーは馬車に乗り込む。
「マリーの家まで頼む」
御者にそう言ってから、アルも馬車に乗る。
「それで、大丈夫そうか?」
「うん。多分、特に問題にはならないかな。色々な疑問はあるけど」
「そうか。マリーは、それで良いのか?」
「まぁ……正直、私もどうすれば良いのか分かんない」
「そうか。まぁ、ゆっくりと考えていけば良い。そのくらいの時間はあるだろう」
「うん……」
暗殺の恐れはないはずなので、王妃との付き合いは、まだ考える時間はある。マリーとしては、王族として帰るつもりは最初からない。だが、王妃のあの態度を見てしまうと、自分の態度が少し悪すぎたんじゃないかと考えてしまっていた。こうして、城から離れて、尚のこと、そう考えてしまうのだった。
「そういえば、アルくんも叙勲はされなかったんだね」
これ以上、話を広げるのはやめておこうと思ったマリーは、話題を変える。
「ああ。俺達は命令無視をして、マリーの元に向かったからな。本来なら処罰を受けるところだ。だが、一応功績を積んでいたからな。そこで相殺されたわけだ。この件に関しては、父上から叱られた」
「へぇ~、そうだったんだ。改めて、ありがとうね」
「気にするな。寧ろ、状況を窺って遅れたくらいだ。本当は、最初から付いていきたかったがな」
「えぇ~、最初から付いてこなくて正解だったと思うけど。こうなっちゃってもおかしくなかったわけだし」
マリーはそう言いながら、左脚を持ち上げる。スカート裾から生身とは違う脚が見えてくる。アルは、眉を顰める。
「はしたないから、脚を下げろ。お前は、自分がどんな格好をしているのか、もう少し考慮して行動しろ」
「えぇ~、別にこのくらい上げるだけなら良いじゃん。別に下着が見えるわけでもないし」
「見えそうになることをやめろと言っているんだ。せっかく綺麗で大人っぽく見える格好をしているんだ。少しくらいお淑やかにしたらどうだ?」
「お母さんに育てられているのに、お淑やかに育つと思う?」
「育てとは言ってないだろう。意識して変えてみろという事だ」
「ふ~ん、そっちの方がアルくんの好み?」
「いや、特にそういうわけでも無いな」
「な~んだ」
マリーはつまらなさそうに脚をぱたぱた動かす。それにため息をついたアルは、一つに気になる事があった。
「そういえば、その義足、何かしているんだったか」
「ん? ああ、そうだよ。結局使う事はなかったけど、短剣が仕込めるようになってるの」
マリーはそう言って、義足を伸ばして、機構を操作する。すると、義足の脹脛部分が開いて、二本の短剣を現れる。
「この機構の分、強度は下がるし、戦場で使っていた短剣よりも小さいものになるけど、結構便利かな」
「そうか。まぁ、これならどこにでも持って行けるからな」
「ある意味危険人物だよね」
「そうだな。無闇に使うなよ?」
「分かってるよ」
そんな話をしている間に、マリーの家に着いた。
「着いたぞ」
「本当だ。送ってくれてありがとう」
「ああ。何かあったら、いつでも言え。ある程度なら、相談にも乗れるからな」
「うん。分かった」
マリーは、アルが乗った馬車が見えなくなるまで見送って、家に戻る。
「あ、マリー、おかえり」
『おかえりなさいませ』
「ただいま」
マリーが帰ってくると、コハクとソフィが出迎えてくれる。その後ろからカーリーも出て来た。
「遅かったね。お姫さんのところにいたのかい?」
「うん。リリーともいたけど、あの人とも話してきた。色々と思う事はあったけど、やっぱり、私の家はお母さんのいるところかな」
「そうかい」
カーリーは、マリーの頭を撫でる。その撫で方は慈しみが溢れていた。マリーは、嬉しそうに笑う。
「実は、私もあの王妃と話してきたさね」
「えっ!? そうなの!?」
カーリーとも話していたと聞いてマリーは、少し驚く。
「ああ、謝罪と礼を言われたよ。本当は頬をぶん殴ってやろうかと思ったんだけどねぇ。嘘を言っていないように見えて、そんな気も失せたね」
「ふ~ん……じゃあ、私に言ったのも本心だったんだ……」
「国王と違って、あの王妃とは話が出来るかもしれないねぇ。だが、油断はするんじゃないよ」
「うん。分かった」
「それじゃあ、着替えておいで。夕食にするよ」
「うん!」
マリーは自分の部屋に向かって、いつもの服に着替えて、食堂に降りていった。
命を狙われる心配がなくなり、マリーにとっての本当の日常が戻ってくる。これで、マリーは心置きなく自分の夢に向かって突き進める。
カーリーのような魔道具職人になるという夢を。
「お母様。どうぞ」
「ありがとう」
王妃がリリーの部屋に入ってくると、マリーも席を立ち上がった。まっすぐ前を向くマリーに、王妃は近づいていた足を止めた。そして、何度も口を開いては閉じるを繰り返す。今思っている事を言葉に出来なかった。
「えっと、何か御用でしょうか?」
一向に状況が進まないので、マリーの方から声を掛ける。
「あっ……国王陛下が亡くなった後、陛下の日記が見付かったの。そこで、あなたに関しての記述があったわ。マリーナリア……いえ、マリー、本当にごめんなさい」
王妃は、マリーに対して頭を下げた。
「それは……捨てたことですか? それとも、国王が私の暗殺を企てた事ですか?」
「……そのどちらもよ。あなたを森に捨ててから、しばらくして、私は取り返しの付かない事をしてしまったのではと罪悪感が生まれたの。そして、それはリリーを引き取って、どんどんと増していったわ。だから、あなたへ与えるはずだった愛情も含めて、リリーを愛する事を決めたわ」
この言葉を聞いて、リリーの顔が強張る。マリーに与えられるはずだったものを自分が受け取ってしまったという事に負い目を感じてしまったからだ。その事に、マリーはすぐ気付いた。
「リリーが気にする事じゃないよ」
「ですが……」
「リリーのせいじゃないでしょ。これは、私とこの人の問題。リリーは、その結果の影響を受けただけなんだから、気にしない。分かった?」
「はいですわ……」
完全に負い目は消えていないものの、リリーの心は少し軽くなっていた。
「取り敢えず、私は、あなた達に捨てられた事に関して、全く気にしてない。寧ろ、お母さんに拾われて良かったと思ってる。今更、王族として戻ってこようなんて思ってないから」
マリーの言葉に、王妃は顔を伏せる。その動作を、マリーは訝しんだ。
「これで、そっちが懸念している事は何もなくなるはずだけど。まだ、何かあるの?」
マリーがそう言うと、王妃は口を開けてから、何かを飲み込むように閉じた。
「言いたい事があるなら言って欲しいんだけど。これ以上揉め事を残すのは嫌だから」
「……本当に、ここに戻って来る気はないのよね?」
「ない。私にとって、王族である事なんて、どうでも良いから。あなたの娘である事もね」
「分かったわ……それじゃあ、私は、ここで失礼するわ。最後に一つだけ。好きなときに、ここに来て良いわ。リリーの姉としても友人としてもね」
王妃はそう言うと、リリーの部屋を出て行った。
「はぁ……」
マリーは、ため息をつきながら椅子に座る。リリーも同じく椅子に座った。
「大丈夫ですの?」
「大丈夫。結局、本当に謝罪しに来たってだけなの?」
「みたいですわね」
「何か腑に落ちないんだよねぇ……王族である事も全部捨てるって言ってるのに、まだ言いたい事がありそうだったし。王城に戻ってくるつもりもないって言っても、また来て良いって言うし」
マリーは、王妃の言葉に違和感を抱いていた。それでも、これ以上自分に関わりを持たなそうな事にだけは安堵していた。
「もしかしたら、お母様は、お姉様と暮らしたいと考えていたのかもしれません」
「はぁ!? じゃあ、何? もしかして、あの謝罪も本心からの言葉だって言うの!?」
「私は、そう思いますけど……」
マリーは、眉を寄せながら唸りながら、お茶を飲む。
「心変わりしたとでも言うの……全然信じられない……」
「ですが、それなら私を愛してくれる事も説明出来るのでは?」
「実際は、関係ないでしょ。どのみち、リリーの事は愛してくれたと思うよ。私の分の愛なんて大した事もないだろうから」
「そ、そんな事ないと思いますわ。だから、罪悪感を抱いたのでしょうし……」
「罪悪感と愛は関係しないでしょ。自分が産んだ子供を捨てたという行為に抱いたものだよ。取り敢えず、今日のところは帰るよ。ちょっと疲れたし」
「あっ……」
リリーは、何かを言いたげに手を伸ばす。マリーは、その手を一切の迷いなく掴む。
「大丈夫。また来るよ。ここに来たら、可愛い妹に会えるからね」
マリーの言葉に、リリーは顔を綻ばせた。
「はい! あっ、城門までご案内しますわ」
「うん。ありがとう」
リリーに案内されて、マリーは城から出て行く。
「馬車を用意します?」
「あっ、そういえば、必要か……あっ、大丈夫そう」
マリーの視線の先には、城門の近くに立っているアルの姿があった。その傍には、馬車もあった。
「アルくんに頼めば、乗せてくれるでしょ」
「むぅ……そうですわね。では、また今度」
「うん。またね」
マリーは最後にリリーの事を抱きしめてから、アルの元に向かった。それだけで、リリーは上機嫌になり、城へと戻っていった。
「アルくん!」
「まだ帰ってなかったか」
「知ってて待ってくれたんじゃないの?」
「さすがに、そこまで分かっているわけないだろう。未来予知なんて出来ないからな。取り敢えず、乗れ」
「うん」
アルに促されて、マリーは馬車に乗り込む。
「マリーの家まで頼む」
御者にそう言ってから、アルも馬車に乗る。
「それで、大丈夫そうか?」
「うん。多分、特に問題にはならないかな。色々な疑問はあるけど」
「そうか。マリーは、それで良いのか?」
「まぁ……正直、私もどうすれば良いのか分かんない」
「そうか。まぁ、ゆっくりと考えていけば良い。そのくらいの時間はあるだろう」
「うん……」
暗殺の恐れはないはずなので、王妃との付き合いは、まだ考える時間はある。マリーとしては、王族として帰るつもりは最初からない。だが、王妃のあの態度を見てしまうと、自分の態度が少し悪すぎたんじゃないかと考えてしまっていた。こうして、城から離れて、尚のこと、そう考えてしまうのだった。
「そういえば、アルくんも叙勲はされなかったんだね」
これ以上、話を広げるのはやめておこうと思ったマリーは、話題を変える。
「ああ。俺達は命令無視をして、マリーの元に向かったからな。本来なら処罰を受けるところだ。だが、一応功績を積んでいたからな。そこで相殺されたわけだ。この件に関しては、父上から叱られた」
「へぇ~、そうだったんだ。改めて、ありがとうね」
「気にするな。寧ろ、状況を窺って遅れたくらいだ。本当は、最初から付いていきたかったがな」
「えぇ~、最初から付いてこなくて正解だったと思うけど。こうなっちゃってもおかしくなかったわけだし」
マリーはそう言いながら、左脚を持ち上げる。スカート裾から生身とは違う脚が見えてくる。アルは、眉を顰める。
「はしたないから、脚を下げろ。お前は、自分がどんな格好をしているのか、もう少し考慮して行動しろ」
「えぇ~、別にこのくらい上げるだけなら良いじゃん。別に下着が見えるわけでもないし」
「見えそうになることをやめろと言っているんだ。せっかく綺麗で大人っぽく見える格好をしているんだ。少しくらいお淑やかにしたらどうだ?」
「お母さんに育てられているのに、お淑やかに育つと思う?」
「育てとは言ってないだろう。意識して変えてみろという事だ」
「ふ~ん、そっちの方がアルくんの好み?」
「いや、特にそういうわけでも無いな」
「な~んだ」
マリーはつまらなさそうに脚をぱたぱた動かす。それにため息をついたアルは、一つに気になる事があった。
「そういえば、その義足、何かしているんだったか」
「ん? ああ、そうだよ。結局使う事はなかったけど、短剣が仕込めるようになってるの」
マリーはそう言って、義足を伸ばして、機構を操作する。すると、義足の脹脛部分が開いて、二本の短剣を現れる。
「この機構の分、強度は下がるし、戦場で使っていた短剣よりも小さいものになるけど、結構便利かな」
「そうか。まぁ、これならどこにでも持って行けるからな」
「ある意味危険人物だよね」
「そうだな。無闇に使うなよ?」
「分かってるよ」
そんな話をしている間に、マリーの家に着いた。
「着いたぞ」
「本当だ。送ってくれてありがとう」
「ああ。何かあったら、いつでも言え。ある程度なら、相談にも乗れるからな」
「うん。分かった」
マリーは、アルが乗った馬車が見えなくなるまで見送って、家に戻る。
「あ、マリー、おかえり」
『おかえりなさいませ』
「ただいま」
マリーが帰ってくると、コハクとソフィが出迎えてくれる。その後ろからカーリーも出て来た。
「遅かったね。お姫さんのところにいたのかい?」
「うん。リリーともいたけど、あの人とも話してきた。色々と思う事はあったけど、やっぱり、私の家はお母さんのいるところかな」
「そうかい」
カーリーは、マリーの頭を撫でる。その撫で方は慈しみが溢れていた。マリーは、嬉しそうに笑う。
「実は、私もあの王妃と話してきたさね」
「えっ!? そうなの!?」
カーリーとも話していたと聞いてマリーは、少し驚く。
「ああ、謝罪と礼を言われたよ。本当は頬をぶん殴ってやろうかと思ったんだけどねぇ。嘘を言っていないように見えて、そんな気も失せたね」
「ふ~ん……じゃあ、私に言ったのも本心だったんだ……」
「国王と違って、あの王妃とは話が出来るかもしれないねぇ。だが、油断はするんじゃないよ」
「うん。分かった」
「それじゃあ、着替えておいで。夕食にするよ」
「うん!」
マリーは自分の部屋に向かって、いつもの服に着替えて、食堂に降りていった。
命を狙われる心配がなくなり、マリーにとっての本当の日常が戻ってくる。これで、マリーは心置きなく自分の夢に向かって突き進める。
カーリーのような魔道具職人になるという夢を。
11
お気に入りに追加
949
あなたにおすすめの小説

異世界転生ファミリー
くろねこ教授
ファンタジー
辺境のとある家族。その一家には秘密があった?!
辺境の村に住む何の変哲もないマーティン一家。
アリス・マーティンは美人で料理が旨い主婦。
アーサーは元腕利きの冒険者、村の自警団のリーダー格で頼れる男。
長男のナイトはクールで賢い美少年。
ソフィアは産まれて一年の赤ん坊。
何の不思議もない家族と思われたが……
彼等には実は他人に知られる訳にはいかない秘密があったのだ。

迷い人と当たり人〜伝説の国の魔道具で気ままに快適冒険者ライフを目指します〜
青空ばらみ
ファンタジー
一歳で両親を亡くし母方の伯父マークがいる辺境伯領に連れて来られたパール。 伯父と一緒に暮らすお許しを辺境伯様に乞うため訪れていた辺境伯邸で、たまたま出くわした侯爵令嬢の無知な善意により 六歳で見習い冒険者になることが決定してしまった! 運良く? 『前世の記憶』を思い出し『スマッホ』のチェリーちゃんにも協力してもらいながら 立派な冒険者になるために 前世使えなかった魔法も喜んで覚え、なんだか百年に一人現れるかどうかの伝説の国に迷いこんだ『迷い人』にもなってしまって、その恩恵を受けようとする『当たり人』と呼ばれる人たちに貢がれたり…… ぜんぜん理想の田舎でまったりスローライフは送れないけど、しょうがないから伝説の国の魔道具を駆使して 気ままに快適冒険者を目指しながら 周りのみんなを無自覚でハッピーライフに巻き込んで? 楽しく生きていこうかな! ゆる〜いスローペースのご都合ファンタジーです。
小説家になろう様でも投稿をしております。


冤罪で山に追放された令嬢ですが、逞しく生きてます
里見知美
ファンタジー
王太子に呪いをかけたと断罪され、神の山と恐れられるセントポリオンに追放された公爵令嬢エリザベス。その姿は老婆のように皺だらけで、魔女のように醜い顔をしているという。
だが実は、誰にも言えない理由があり…。
※もともとなろう様でも投稿していた作品ですが、手を加えちょっと長めの話になりました。作者としては抑えた内容になってるつもりですが、流血ありなので、ちょっとエグいかも。恋愛かファンタジーか迷ったんですがひとまず、ファンタジーにしてあります。
全28話で完結。

オバサンが転生しましたが何も持ってないので何もできません!
みさちぃ
恋愛
50歳近くのおばさんが異世界転生した!
転生したら普通チートじゃない?何もありませんがっ!!
前世で苦しい思いをしたのでもう一人で生きて行こうかと思います。
とにかく目指すは自由気ままなスローライフ。
森で調合師して暮らすこと!
ひとまず読み漁った小説に沿って悪役令嬢から国外追放を目指しますが…
無理そうです……
更に隣で笑う幼なじみが気になります…
完結済みです。
なろう様にも掲載しています。
副題に*がついているものはアルファポリス様のみになります。
エピローグで完結です。
番外編になります。
※完結設定してしまい新しい話が追加できませんので、以後番外編載せる場合は別に設けるかなろう様のみになります。

劣悪だと言われたハズレ加護の『空間魔法』を、便利だと思っているのは僕だけなのだろうか?
はらくろ
ファンタジー
海と交易で栄えた国を支える貴族家のひとつに、
強くて聡明な父と、優しくて活動的な母の間に生まれ育った少年がいた。
母親似に育った賢く可愛らしい少年は優秀で、将来が楽しみだと言われていたが、
その少年に、突然の困難が立ちはだかる。
理由は、貴族の跡取りとしては公言できないほどの、劣悪な加護を洗礼で授かってしまったから。
一生外へ出られないかもしれない幽閉のような生活を続けるよりも、少年は屋敷を出て行く選択をする。
それでも持ち前の強く非常識なほどの魔力の多さと、負けず嫌いな性格でその困難を乗り越えていく。
そんな少年の物語。
アイテムボックス無双 ~何でも収納! 奥義・首狩りアイテムボックス!~
明治サブ🍆スニーカー大賞【金賞】受賞作家
ファンタジー
※大・大・大どんでん返し回まで投稿済です!!
『第1回 次世代ファンタジーカップ ~最強「進化系ざまぁ」決定戦!』投稿作品。
無限収納機能を持つ『マジックバッグ』が巷にあふれる街で、収納魔法【アイテムボックス】しか使えない主人公・クリスは冒険者たちから無能扱いされ続け、ついに100パーティー目から追放されてしまう。
破れかぶれになって単騎で魔物討伐に向かい、あわや死にかけたところに謎の美しき旅の魔女が現れ、クリスに告げる。
「【アイテムボックス】は最強の魔法なんだよ。儂が使い方を教えてやろう」
【アイテムボックス】で魔物の首を、家屋を、オークの集落を丸ごと収納!? 【アイテムボックス】で道を作り、川を作り、街を作る!? ただの収納魔法と侮るなかれ。知覚できるものなら疫病だろうが敵の軍勢だろうが何だって除去する超能力! 主人公・クリスの成り上がりと「進化系ざまぁ」展開、そして最後に待ち受ける極上のどんでん返しを、とくとご覧あれ! 随所に散りばめられた大小さまざまな伏線を、あなたは見抜けるか!?

夢幻の錬金術師 ~【異空間収納】【錬金術】【鑑定】【スキル剥奪&付与】を兼ね備えたチートスキル【錬金工房】で最強の錬金術師として成り上がる~
青山 有
ファンタジー
女神の助手として異世界に召喚された厨二病少年・神薙拓光。
彼が手にしたユニークスキルは【錬金工房】。
ただでさえ、魔法があり魔物がはびこる危険な世界。そこを生産職の助手と巡るのかと、女神も頭を抱えたのだが……。
彼の持つ【錬金工房】は、レアスキルである【異空間収納】【錬金術】【鑑定】の上位互換機能を合わせ持ってるだけでなく、スキルの【剥奪】【付与】まで行えるという、女神の想像を遥かに超えたチートスキルだった。
これは一人の少年が異世界で伝説の錬金術師として成り上がっていく物語。
※カクヨムにも投稿しています
ユーザ登録のメリット
- 毎日¥0対象作品が毎日1話無料!
- お気に入り登録で最新話を見逃さない!
- しおり機能で小説の続きが読みやすい!
1~3分で完了!
無料でユーザ登録する
すでにユーザの方はログイン
閉じる