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マリーの進む道
押し寄せる波
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指揮官と話し合いをしてきたアルとリンがマリー達の元に戻ってくると、目を疑いたくなるような光景があった。それは、魔法で赤熱させた金属を宙に浮いたハンマーがリズム良く叩いているところだった。それが一つだけなら、まだ平静を保っていられただろう。だが、そのハンマーは、一つどころか十個もあったのだから。
「あ、アルくん、リンくん。どうだった?」
その光景を作り出している張本人であるマリーは何でもないようにそう訊いた。
「ああ。話していた内容で固まった」
「途中からザリウス先輩も交えて話したから、決まりって事で良いと思うよ。基本的な戦い方は変えずに、やっていくみたい。僕とアルも、魔剣術と魔弓術は節約する方針になった」
「それじゃあ、戦闘が楽になる事はないって感じかぁ……」
「必要に応じて使っていくがな。そもそも次の襲撃があるとも限らん」
アルの言葉に、マリーは一つ心当たりがあった。
「あの光で、目的を果たしたって事?」
「ああ、国王がいなくなれば、こっちも混乱する。それに乗じて、脅しでも掛ければ、最低限の犠牲で、領土を獲得出来るだろう。そうなれば、このまま撤退してくれるという事なんだが……」
「その雰囲気がないから、逆にここまで突っ込んでくる可能性もあると。国王不在の混乱の中なら、軍の機能も麻痺しているかもだしね。正直、アルくんのお父さんとか、リンくんのお父さんなら、国王不在でも立て直すと思うけど」
「まぁ、そうだな」
マリー達がそう話していると、塹壕の入口から、甲高い音が響き渡った。これは、マリーの音響玉の音だった。これを使う者は一人しかいない。
「ソフィだ。敵が来た。準備して」
マリーはそう言うと、すぐにソフィの元に向かった。その意識の切り替えと行動力は、この戦場で身に付けたものだった。コハク達は、すぐにマリーを追う事はせずに、自分の武器を確認する。
「ソフィ!」
『主様。敵の数は、約八百。こちらに歩いて進軍している模様。感知限界の先にも反応はあると予想されます』
「八百!? 先生は!?」
『反応にありません。周囲にはいないようです』
この事から、カレナが魔族に追われてきたという線が消えた。だが、これが、カレナが無事に生きているという保証にはならない。その事は、マリーも重々承知していた。
「マリー!」
後ろからアル達が駆け寄ってくる。
「アルくん! 感知出来るだけで、敵が八百!」
「!! 分かった! リリーとアイリは、魔法に専念! コハクとセレナは、組んで行動しろ!」
アルの指示に、コハク達が頷く。その間に、他の戦闘員も続々出て来た。その中には指揮官もいる。マリーは、指揮官にも、アルと同じように説明する。
「はっ……いえ、分かりました。ここが正念場という事ですね。皆さん! 聞いてください! 今日を凌げば、明日には援軍が到着する予定です! そうなれば、この状況も打開出来るはずです! 頑張りましょう!」
『おおおおおおおおおおおおお!!!!』
男達の雄叫びが響き渡る。
「ラプラス。準備は大丈夫か?」
「はい。いつでも出せます。最初から使いますか?」
「ああ、最後まで取っておくよりも、最初に使って数を減らした方が、犠牲を減らせる可能性が高い。魔法部隊の斉射に合わせて、放て」
「はい!」
マリーは、いつでも短剣を出せるようにポーチを開けておく。
『敵が顔を出します。準備を』
ソフィの合図を聞き、全員が準備をする。そして、壁から魔族が顔を覗かせた瞬間に、一斉に魔法が放たれた。
「『魔剣術・大氷海《だいひょうかい》』」
「『魔弓術・大氷河《だいひょうが》』」
同時に、アルとリンが、同じ氷系統の範囲攻撃を撃つ。壁から顔を覗かせていた魔族達は、魔法によって倒され、その向こうから向かってこようとしていた魔族達は、一気に凍り付いた。
「『短剣舞《ダガーダンス》・自動制御《オートマティックコントロール》』」
そこにマリーのポーチから飛び出した大量の短剣が襲い掛かる。凍った魔族達は、無残にもバラバラにされ、辛うじて被害から逃れた魔族達も次々に短剣に襲われて、数を減らしていった。
『敵残存数……五百三十五。ですが、範囲外にまでいる可能性有り』
「一応、三百近くは減らせたみたいです。まだ短剣は動きますので、ある程度は減らせるかと」
「分かりました。近接隊用意! 魔法は後方に向かって撃ち続けてください!」
指揮官から、指示が飛ぶ。
「『剣唄《ソードソング》・行進曲《マーチ》』!」
マリーの三本の剣が回転して、唄を紡ぐ。マリーの魔法で、全員に力が湧き上がる。それと同時に、壁から魔族が飛び出してきた。身体中に怪我を負っているというところから、マリーの短剣から逃れてきた者達と推測出来る。
まだ短剣が動き回っているので、突っ込んでくる敵は散発的だった。そのため、魔法でも十分に対処出来る。リリーとアイリも活躍しながら、敵の数は確実に減っていく。
「ソフィ?」
『敵残存数……七百……尚も増減を繰り返しています』
「短剣で敵は減っても、まだまだ奥に敵がいるって事か……短剣の稼働時間は、後五分程度……それまでに、どの程度減らせるかが鍵になりそう」
マリーは、思わず自分のポーチを触る。
(交響曲なら、奥まで分解出来る。でも、敵の数が分からない以上、無闇に撃つのは下策……そもそも、剣唄そのものが長期戦向きの技じゃない……現状では、行進曲が限界かな)
マリーが使える強力な技は、基本的に短期決戦用のものだ。そのため、長期的に戦うとなると、強力な技を封じられるのに等しい。
(まぁ、それでも戦えるくらいには、鍛えられてるけど)
マリーは、義足の調子を確認しながら、正面を見据える。その斜め前にソフィが立った。
それから短剣の稼働限界時間である十分が過ぎる。魔族達を次々に始末していた短剣の一部が地面に落ちる。同時に、地面に落ちた短剣が爆発した。相手に利用されなくするために仕込んでおいたものだが、短剣が機能しなくなったという知らせの意味もある。
「短剣が落ちました!」
マリーの報告に、指揮官とザリウスが頷く。
「敵が雪崩れ込んでくるぞ! 俺隊で押しとどめる! 行くぞおおおおお!!!」
「おおお!!!!」
ザリウスの雄叫びと共に、近接隊が動く。同時に、壁から魔族が押し寄せてきた。ザリウスの大剣が、魔族達をまとめて打ち上げる。今のザリウスの剣は、最早刃もついておらず、ほぼほぼ鈍器だった。だが、それでも、力任せに振えば、魔族も真っ二つにする事は可能だった。それだけの勢いが乗っている一撃を放っているという事だ。
アル、コハク、セレナもこの近接隊に加わっている。アルは、持ち前の戦闘センスで、次々に魔族を斬り裂いていく。この乱戦では、大規模な魔剣術は使えないので、周囲の状況を確認しながら、危険な状況になっている場所に加勢して、魔剣術で敵の数を減らすという戦い方をしていた。
コハクとセレナは、アルに言われた通り、二人で組んで動いている。ここまで敵が密集していると、二人の機動力も活かしきれないと思われたが、二人とも小柄な身体を活かして、僅かな隙間を利用して、敵を翻弄しながら倒していた。
「魔法は後方に放ってください!」
前衛を務める近接隊に魔法の被害が及ばないように、指揮官が指示を飛ばす。指示に従って、リリーとアイリは、魔法を後方に向かって飛ばしていく。同時に、アイリは後方に飛んでくる魔法に対して、闇魔法で防御していた。事、魔法に関しては、リリーよりもアイリの方が器用なので、攻撃と防御を同時に熟す事が出来ていた。
「ソフィ」
『敵の数は、九百六十九から増えません。現在の感知範囲にいる数で、全てかと』
「分かった」
マリーはそう返事をしてから、後方に向かって魔法を放っていく。だが、それで魔族の数を格段に減らせるという事もなく、魔族の波は、マリー達のいる場所まで押し寄せてきた。
「あ、アルくん、リンくん。どうだった?」
その光景を作り出している張本人であるマリーは何でもないようにそう訊いた。
「ああ。話していた内容で固まった」
「途中からザリウス先輩も交えて話したから、決まりって事で良いと思うよ。基本的な戦い方は変えずに、やっていくみたい。僕とアルも、魔剣術と魔弓術は節約する方針になった」
「それじゃあ、戦闘が楽になる事はないって感じかぁ……」
「必要に応じて使っていくがな。そもそも次の襲撃があるとも限らん」
アルの言葉に、マリーは一つ心当たりがあった。
「あの光で、目的を果たしたって事?」
「ああ、国王がいなくなれば、こっちも混乱する。それに乗じて、脅しでも掛ければ、最低限の犠牲で、領土を獲得出来るだろう。そうなれば、このまま撤退してくれるという事なんだが……」
「その雰囲気がないから、逆にここまで突っ込んでくる可能性もあると。国王不在の混乱の中なら、軍の機能も麻痺しているかもだしね。正直、アルくんのお父さんとか、リンくんのお父さんなら、国王不在でも立て直すと思うけど」
「まぁ、そうだな」
マリー達がそう話していると、塹壕の入口から、甲高い音が響き渡った。これは、マリーの音響玉の音だった。これを使う者は一人しかいない。
「ソフィだ。敵が来た。準備して」
マリーはそう言うと、すぐにソフィの元に向かった。その意識の切り替えと行動力は、この戦場で身に付けたものだった。コハク達は、すぐにマリーを追う事はせずに、自分の武器を確認する。
「ソフィ!」
『主様。敵の数は、約八百。こちらに歩いて進軍している模様。感知限界の先にも反応はあると予想されます』
「八百!? 先生は!?」
『反応にありません。周囲にはいないようです』
この事から、カレナが魔族に追われてきたという線が消えた。だが、これが、カレナが無事に生きているという保証にはならない。その事は、マリーも重々承知していた。
「マリー!」
後ろからアル達が駆け寄ってくる。
「アルくん! 感知出来るだけで、敵が八百!」
「!! 分かった! リリーとアイリは、魔法に専念! コハクとセレナは、組んで行動しろ!」
アルの指示に、コハク達が頷く。その間に、他の戦闘員も続々出て来た。その中には指揮官もいる。マリーは、指揮官にも、アルと同じように説明する。
「はっ……いえ、分かりました。ここが正念場という事ですね。皆さん! 聞いてください! 今日を凌げば、明日には援軍が到着する予定です! そうなれば、この状況も打開出来るはずです! 頑張りましょう!」
『おおおおおおおおおおおおお!!!!』
男達の雄叫びが響き渡る。
「ラプラス。準備は大丈夫か?」
「はい。いつでも出せます。最初から使いますか?」
「ああ、最後まで取っておくよりも、最初に使って数を減らした方が、犠牲を減らせる可能性が高い。魔法部隊の斉射に合わせて、放て」
「はい!」
マリーは、いつでも短剣を出せるようにポーチを開けておく。
『敵が顔を出します。準備を』
ソフィの合図を聞き、全員が準備をする。そして、壁から魔族が顔を覗かせた瞬間に、一斉に魔法が放たれた。
「『魔剣術・大氷海《だいひょうかい》』」
「『魔弓術・大氷河《だいひょうが》』」
同時に、アルとリンが、同じ氷系統の範囲攻撃を撃つ。壁から顔を覗かせていた魔族達は、魔法によって倒され、その向こうから向かってこようとしていた魔族達は、一気に凍り付いた。
「『短剣舞《ダガーダンス》・自動制御《オートマティックコントロール》』」
そこにマリーのポーチから飛び出した大量の短剣が襲い掛かる。凍った魔族達は、無残にもバラバラにされ、辛うじて被害から逃れた魔族達も次々に短剣に襲われて、数を減らしていった。
『敵残存数……五百三十五。ですが、範囲外にまでいる可能性有り』
「一応、三百近くは減らせたみたいです。まだ短剣は動きますので、ある程度は減らせるかと」
「分かりました。近接隊用意! 魔法は後方に向かって撃ち続けてください!」
指揮官から、指示が飛ぶ。
「『剣唄《ソードソング》・行進曲《マーチ》』!」
マリーの三本の剣が回転して、唄を紡ぐ。マリーの魔法で、全員に力が湧き上がる。それと同時に、壁から魔族が飛び出してきた。身体中に怪我を負っているというところから、マリーの短剣から逃れてきた者達と推測出来る。
まだ短剣が動き回っているので、突っ込んでくる敵は散発的だった。そのため、魔法でも十分に対処出来る。リリーとアイリも活躍しながら、敵の数は確実に減っていく。
「ソフィ?」
『敵残存数……七百……尚も増減を繰り返しています』
「短剣で敵は減っても、まだまだ奥に敵がいるって事か……短剣の稼働時間は、後五分程度……それまでに、どの程度減らせるかが鍵になりそう」
マリーは、思わず自分のポーチを触る。
(交響曲なら、奥まで分解出来る。でも、敵の数が分からない以上、無闇に撃つのは下策……そもそも、剣唄そのものが長期戦向きの技じゃない……現状では、行進曲が限界かな)
マリーが使える強力な技は、基本的に短期決戦用のものだ。そのため、長期的に戦うとなると、強力な技を封じられるのに等しい。
(まぁ、それでも戦えるくらいには、鍛えられてるけど)
マリーは、義足の調子を確認しながら、正面を見据える。その斜め前にソフィが立った。
それから短剣の稼働限界時間である十分が過ぎる。魔族達を次々に始末していた短剣の一部が地面に落ちる。同時に、地面に落ちた短剣が爆発した。相手に利用されなくするために仕込んでおいたものだが、短剣が機能しなくなったという知らせの意味もある。
「短剣が落ちました!」
マリーの報告に、指揮官とザリウスが頷く。
「敵が雪崩れ込んでくるぞ! 俺隊で押しとどめる! 行くぞおおおおお!!!」
「おおお!!!!」
ザリウスの雄叫びと共に、近接隊が動く。同時に、壁から魔族が押し寄せてきた。ザリウスの大剣が、魔族達をまとめて打ち上げる。今のザリウスの剣は、最早刃もついておらず、ほぼほぼ鈍器だった。だが、それでも、力任せに振えば、魔族も真っ二つにする事は可能だった。それだけの勢いが乗っている一撃を放っているという事だ。
アル、コハク、セレナもこの近接隊に加わっている。アルは、持ち前の戦闘センスで、次々に魔族を斬り裂いていく。この乱戦では、大規模な魔剣術は使えないので、周囲の状況を確認しながら、危険な状況になっている場所に加勢して、魔剣術で敵の数を減らすという戦い方をしていた。
コハクとセレナは、アルに言われた通り、二人で組んで動いている。ここまで敵が密集していると、二人の機動力も活かしきれないと思われたが、二人とも小柄な身体を活かして、僅かな隙間を利用して、敵を翻弄しながら倒していた。
「魔法は後方に放ってください!」
前衛を務める近接隊に魔法の被害が及ばないように、指揮官が指示を飛ばす。指示に従って、リリーとアイリは、魔法を後方に向かって飛ばしていく。同時に、アイリは後方に飛んでくる魔法に対して、闇魔法で防御していた。事、魔法に関しては、リリーよりもアイリの方が器用なので、攻撃と防御を同時に熟す事が出来ていた。
「ソフィ」
『敵の数は、九百六十九から増えません。現在の感知範囲にいる数で、全てかと』
「分かった」
マリーはそう返事をしてから、後方に向かって魔法を放っていく。だが、それで魔族の数を格段に減らせるという事もなく、魔族の波は、マリー達のいる場所まで押し寄せてきた。
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・執筆時間空けてしまった間に途中過程が気に食わなくなったので、設定などを少し変えて改稿しています。
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