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一周年の吸血少女
洞窟の中の隠し部屋
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洞窟を調べて行くと、山にあった洞窟と同じように採掘ポイントと宝箱を発見した。採掘ポイントからは、アダマンタイトが採れたので、かなり良い場所という事が分かる。まぁ、ここまで来るのが大変だから妥当かな。
宝箱からは、焦土の血瓶と凍土の血瓶を手に入れた。これも紅葉さんに許可を貰ってから飲む。焦土の血瓶は、焼けるような熱さを感じて、凍土の血瓶は身体が凍り付くような冷たさを感じた。スキルのおかげで、ダメージにはならないけど、何となく不快感がある。
そうして、一つの洞窟の前でエアリーが止まる。
『お姉様。この洞窟が奥まで続いている洞窟です』
『地下に……続いてる……かなり……深いよ……』
「それじゃあ、早く進まないとね。最初から一番奥を目指そう」
そろそろ三日目の朝がやって来る。洞窟の広さがどの程度か分からないけど、一日で回りきれない可能性はある。だから、最初から最奥を目指す事にした。
洞窟の中に入ると、途端に【万能探知】にモンスターが映る。ジュエルアルマジロ、クリスタルラット、ファイアバット、ケイブスパイダー、ポイズンスパイダー、シルキースパイダー、土蜘蛛がいる。まぁ、全部エアリーとソイルで倒せる相手なので、問題なく進む事が出来る。所々採掘ポイントがあるけど、馬鹿正直に全部の場所で採掘していたら時間がなくなるので、基本的に無視して進む事にする。
一番奥まで行った後、時間があったら採掘しても良いかな。アカリへのお土産になるし。
『ここら辺の蜘蛛は獰猛で嫌になりんす。もう少し大人しければ従わせられたのでありんすが』
「そうなの?」
『反発が強いと従わせるのは面倒くさいのでありんす。それなら倒す方が楽でありんす』
沢山の蜘蛛を従えている胡蝶さんでも、モンスターの蜘蛛となると従えるのは難しいみたい。でも、倒す事にも躊躇はないらしい。まぁ、倒しているのはエアリー達なのだけど。
そのままどんどんと進んでいく。所々に広めの部屋みたいな空間があったけど、特に何かが置かれている訳では無かった。まぁ、元々はモンスターがいたらしいけど、エアリー達が先回りで倒してくれていた。良い子達で本当に助かる。
『お姉ちゃん……ここ……空間がある……』
ソイルが何もない壁を触ってそう言う。エアリーの方を見ると、首を横に振っているので、どこかから通じている道はないらしい。完全に密閉されている場所のようだ。
「ソイル、道を作れる?」
『うん……大丈夫……』
ソイルがこう言ってくれるという事は、安全に道を作れるという事だ。ソイルが手を触れたまま力を加えると、ゆっくりと壁が開いていき、奥の空間が見えてくる。そこには、古びた宝箱があった。その奥にある壁に亀裂が見える。隙間はないみたいだけど、そこが正式な出入口という事は分かった。
マッピングされている範囲を調べてみるけど、そっち側の通路はマッピングされていない。どうやら行き止まりに通じている分かれ道から行くべき場所だったみたい。エアリー達がモンスターを倒してくれているし、【眷属創造】で蝙蝠達を生み出して、マッピングをしてもらう事にする。それだけしておいて、古びた宝箱に近づく。そして、影と血で探る。
「う~ん……そこまで厳重な鍵じゃないみたい。念のため、皆は離れていてね」
皆が離れたところで、血で鍵を作り、宝箱を開ける。すると、中には根源の紙が入っていた。私は、そのまま根源の紙を使用する。すると、根源の紙自体が燃え上がり、赤に染まった。そうして手に入れたのは、【根源(火)】だ。ついでなので、そのまま【完全支配(火)】も収得する。
────────────────────
【根源(火)】:火系統のスキルの効果が上昇する。控えでも効果を発揮する。
【完全支配(火)】:全ての火に関するものを完全に支配する。火で武具の生成、強化が可能となる。使用出来る火の量が無制限になり、生み出す速度が増す。控えでも効果を発揮する。(【根源(火)】所持 【支配(火)】【無限火】Lv100『統合』)
────────────────────
こんなところで根源を手に入れられるとは思わなかった。それにようやく火の根源を手に入れた。根源の紙を使わずに手に入れられた可能性はあったけど、手軽に手に入るなら、それに越した事はない。
根源の紙くらいしかなかったので、そのまま皆で部屋を出ると、穴が閉じていった。
「ソイルがやってくれたの?」
『ううん……勝手に……閉まったよ……』
「そういうタイプか。飲み込まれないように気を付けないとね」
そこから一時間くらい歩いていくと、再びソイルが部屋を見つけた。同じように開けて貰い、中にある宝箱を調べる。すると、暴嵐の血瓶と極雷の血瓶を手に入れた。ここでも根源の紙を手に入れられたらと思っていたけど、そこまで都合良くはいかなかった。まぁ、血瓶でも十分と言えば十分なのだけど。
それ以降は、隠し部屋などはなく、そのまま奥まで進んでいった。一番奥には、大きな部屋があり、そこの中心に下半身が大きな蜘蛛の身体になっているアラクネというモンスターがいた。レイドじゃないけど、一応ボス戦みたい。
アラクネが動き出す前に、胡蝶さんが雁字搦めに縛り付けていた。糸の色が黒くなっているから、かなり頑丈な糸みたい。その間に、近づいて吸血する。【神秘の吸血鬼】になってから、初めての吸血だ。ちょっと驚いたけど、これまでよりも遙かに多くHPが削れている。吸血時間の短縮は、私に取って有り難い事だった。その分、口に入ってくる血液の量は増えているけど。
そんな感じで簡単に倒す事が出来たアラクネからは、【傀儡術】というスキルを手に入れた。
────────────────────
【傀儡術】:糸を利用して、対象の操作権を得る。
────────────────────
普通に強いスキルだった。糸が使えるスキルが必要っぽいけど、私は既に持っているので問題ない。アラクネを倒した後、称号とかはないけど、宝箱が落ちた。宝箱を開くと、中には血瓶が入っていた。名前は傀儡の血瓶というものだった。
「血瓶出過ぎ……いや、寧ろ、血瓶くらいしか出すものがないのかな。紅葉さん、これ飲んでも良い?」
『傀儡……少々怖いですが、これまでの事を考えますと問題はないと思います。ですが、気を付けてください』
「は~い」
傀儡の血瓶も飲む。一瞬身体が動かなくなったけど、すぐに自由に戻った。それ以外は特に何も起こらなかったので、大丈夫そうだ。
「ソイル。ここが一番奥で間違いない?」
『うん……隠し部屋も……ないよ……』
「そっか。じゃあ、行き止まりを探索しながら、時間を潰す感じかな」
そこから制限時間までは、洞窟内を探索していった。基本的に採掘ポイントが多く、宝箱はなかった。でも、採掘ポイントでは、レアな鉱物を得られるので、アカリへのお土産は確保出来たと思う。まぁ、大体は私の身体から出せるのだけど。
探索している間は、皆で和気藹々と色々な話をして盛り上がっていた。そうして終了の時刻が訪れる。皆は自動的にギルドエリアと妖都に帰還させられていた。
『イベント終了時刻になりました。順番に元のエリアへ転移して貰います。転移後もイベントに関するお知らせがあります。メッセージにてお知らせしますので、お時間のない方は、次回ログイン時にご確認ください。本日は、イベントに参加してくださりありがとうございました。またのご参加をお待ちしております』
メッセージが流れて、私もファーストタウンに転移する。そのまま広場にいるのも何なので、ギルドエリアに転移する。そして、精霊の集会場で運営から来るメッセージを確認する。
『イベントにご参加頂きありがとうございました。イベント終了に際しまして、今回の結果をお知らせ致します。今回のイベントにおいて設定されたレイドボス及びボスモンスターを討伐したパーティーは五十。最後に、ご参加頂いた皆様にアンケートのご協力をお願いします。頂いた回答は、次回イベント時の参考にさせて頂きます。何卒よろしくお願いします』
意外とボスを倒したプレイヤーは多いみたい。ただ、私と同じように悪鬼を倒したプレイヤーがいるのかは分からない。悪鬼の他にレイドボスがいてもおかしくはない。それを確認する手段は、アク姉とフレ姉に確認する事だけだ。一応、二人にメッセージを送ってみる。すると、すぐに返事は返ってきた。
『私達が倒したのは、ファントムガルムって名前の巨大な狼だったな。霊体と実体を使い分ける厄介なやつだった』
『私達が倒したのは、巌窟竜って竜だったよ。ごつごつしていて、物理も魔法も効きにくいから、突発的にレイドを組んで戦ったよ。結構苦戦したかな』
やっぱり皆違うレイドボスと戦っていたみたい。私も悪鬼に関して伝えておく。
「ふぅ……後はレベル上げかな」
身体を伸ばしていると、フェンリルが私の前に来た。なので、首を撫でてあげながら抱きしめる。疲れた身体にもふもふが染み渡る。
『ハク。少し良いか』
「ん? うん」
いつも貴様とかなのに、初めて名前を呼んだ。だから、何か真面目な話だろうなと思い縁側に座り直す。
『改めて、我はハクに仕える事にした』
「ん? うん。どういう事?」
『主として認めるという事だ。我はハクの意志に従い動く。ハクの考えに合わないような事はしないと誓おう』
「それって、私が命じない限り、神様を倒したりする事はないって事だよね」
『ああ、そういう事だ。これまでの主を見ていて、我は理解した。我が仕えるべき存在は主なのだと』
「だから、私を乗せてくれてたの?」
『そんなところだ。これからよろしく頼む』
「うん! じゃあ、もふもふして良いよね!」
『あ、ああ……』
何故か最後は歯切れの悪い返事だったけど、構わずもふもふを始める。フェンリルが改めて私への忠誠を誓ってくれた。これで、オーディンさんが恐れていた事は起こらない。一体何でそこまで評価してくれたのか分からないけど、永遠のもふもふが手に入ったという事は確かだ。
一周年のイベントで色々とあったけど、一番嬉しかったのは、フェンリルに出会えた事かな。
宝箱からは、焦土の血瓶と凍土の血瓶を手に入れた。これも紅葉さんに許可を貰ってから飲む。焦土の血瓶は、焼けるような熱さを感じて、凍土の血瓶は身体が凍り付くような冷たさを感じた。スキルのおかげで、ダメージにはならないけど、何となく不快感がある。
そうして、一つの洞窟の前でエアリーが止まる。
『お姉様。この洞窟が奥まで続いている洞窟です』
『地下に……続いてる……かなり……深いよ……』
「それじゃあ、早く進まないとね。最初から一番奥を目指そう」
そろそろ三日目の朝がやって来る。洞窟の広さがどの程度か分からないけど、一日で回りきれない可能性はある。だから、最初から最奥を目指す事にした。
洞窟の中に入ると、途端に【万能探知】にモンスターが映る。ジュエルアルマジロ、クリスタルラット、ファイアバット、ケイブスパイダー、ポイズンスパイダー、シルキースパイダー、土蜘蛛がいる。まぁ、全部エアリーとソイルで倒せる相手なので、問題なく進む事が出来る。所々採掘ポイントがあるけど、馬鹿正直に全部の場所で採掘していたら時間がなくなるので、基本的に無視して進む事にする。
一番奥まで行った後、時間があったら採掘しても良いかな。アカリへのお土産になるし。
『ここら辺の蜘蛛は獰猛で嫌になりんす。もう少し大人しければ従わせられたのでありんすが』
「そうなの?」
『反発が強いと従わせるのは面倒くさいのでありんす。それなら倒す方が楽でありんす』
沢山の蜘蛛を従えている胡蝶さんでも、モンスターの蜘蛛となると従えるのは難しいみたい。でも、倒す事にも躊躇はないらしい。まぁ、倒しているのはエアリー達なのだけど。
そのままどんどんと進んでいく。所々に広めの部屋みたいな空間があったけど、特に何かが置かれている訳では無かった。まぁ、元々はモンスターがいたらしいけど、エアリー達が先回りで倒してくれていた。良い子達で本当に助かる。
『お姉ちゃん……ここ……空間がある……』
ソイルが何もない壁を触ってそう言う。エアリーの方を見ると、首を横に振っているので、どこかから通じている道はないらしい。完全に密閉されている場所のようだ。
「ソイル、道を作れる?」
『うん……大丈夫……』
ソイルがこう言ってくれるという事は、安全に道を作れるという事だ。ソイルが手を触れたまま力を加えると、ゆっくりと壁が開いていき、奥の空間が見えてくる。そこには、古びた宝箱があった。その奥にある壁に亀裂が見える。隙間はないみたいだけど、そこが正式な出入口という事は分かった。
マッピングされている範囲を調べてみるけど、そっち側の通路はマッピングされていない。どうやら行き止まりに通じている分かれ道から行くべき場所だったみたい。エアリー達がモンスターを倒してくれているし、【眷属創造】で蝙蝠達を生み出して、マッピングをしてもらう事にする。それだけしておいて、古びた宝箱に近づく。そして、影と血で探る。
「う~ん……そこまで厳重な鍵じゃないみたい。念のため、皆は離れていてね」
皆が離れたところで、血で鍵を作り、宝箱を開ける。すると、中には根源の紙が入っていた。私は、そのまま根源の紙を使用する。すると、根源の紙自体が燃え上がり、赤に染まった。そうして手に入れたのは、【根源(火)】だ。ついでなので、そのまま【完全支配(火)】も収得する。
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【根源(火)】:火系統のスキルの効果が上昇する。控えでも効果を発揮する。
【完全支配(火)】:全ての火に関するものを完全に支配する。火で武具の生成、強化が可能となる。使用出来る火の量が無制限になり、生み出す速度が増す。控えでも効果を発揮する。(【根源(火)】所持 【支配(火)】【無限火】Lv100『統合』)
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こんなところで根源を手に入れられるとは思わなかった。それにようやく火の根源を手に入れた。根源の紙を使わずに手に入れられた可能性はあったけど、手軽に手に入るなら、それに越した事はない。
根源の紙くらいしかなかったので、そのまま皆で部屋を出ると、穴が閉じていった。
「ソイルがやってくれたの?」
『ううん……勝手に……閉まったよ……』
「そういうタイプか。飲み込まれないように気を付けないとね」
そこから一時間くらい歩いていくと、再びソイルが部屋を見つけた。同じように開けて貰い、中にある宝箱を調べる。すると、暴嵐の血瓶と極雷の血瓶を手に入れた。ここでも根源の紙を手に入れられたらと思っていたけど、そこまで都合良くはいかなかった。まぁ、血瓶でも十分と言えば十分なのだけど。
それ以降は、隠し部屋などはなく、そのまま奥まで進んでいった。一番奥には、大きな部屋があり、そこの中心に下半身が大きな蜘蛛の身体になっているアラクネというモンスターがいた。レイドじゃないけど、一応ボス戦みたい。
アラクネが動き出す前に、胡蝶さんが雁字搦めに縛り付けていた。糸の色が黒くなっているから、かなり頑丈な糸みたい。その間に、近づいて吸血する。【神秘の吸血鬼】になってから、初めての吸血だ。ちょっと驚いたけど、これまでよりも遙かに多くHPが削れている。吸血時間の短縮は、私に取って有り難い事だった。その分、口に入ってくる血液の量は増えているけど。
そんな感じで簡単に倒す事が出来たアラクネからは、【傀儡術】というスキルを手に入れた。
────────────────────
【傀儡術】:糸を利用して、対象の操作権を得る。
────────────────────
普通に強いスキルだった。糸が使えるスキルが必要っぽいけど、私は既に持っているので問題ない。アラクネを倒した後、称号とかはないけど、宝箱が落ちた。宝箱を開くと、中には血瓶が入っていた。名前は傀儡の血瓶というものだった。
「血瓶出過ぎ……いや、寧ろ、血瓶くらいしか出すものがないのかな。紅葉さん、これ飲んでも良い?」
『傀儡……少々怖いですが、これまでの事を考えますと問題はないと思います。ですが、気を付けてください』
「は~い」
傀儡の血瓶も飲む。一瞬身体が動かなくなったけど、すぐに自由に戻った。それ以外は特に何も起こらなかったので、大丈夫そうだ。
「ソイル。ここが一番奥で間違いない?」
『うん……隠し部屋も……ないよ……』
「そっか。じゃあ、行き止まりを探索しながら、時間を潰す感じかな」
そこから制限時間までは、洞窟内を探索していった。基本的に採掘ポイントが多く、宝箱はなかった。でも、採掘ポイントでは、レアな鉱物を得られるので、アカリへのお土産は確保出来たと思う。まぁ、大体は私の身体から出せるのだけど。
探索している間は、皆で和気藹々と色々な話をして盛り上がっていた。そうして終了の時刻が訪れる。皆は自動的にギルドエリアと妖都に帰還させられていた。
『イベント終了時刻になりました。順番に元のエリアへ転移して貰います。転移後もイベントに関するお知らせがあります。メッセージにてお知らせしますので、お時間のない方は、次回ログイン時にご確認ください。本日は、イベントに参加してくださりありがとうございました。またのご参加をお待ちしております』
メッセージが流れて、私もファーストタウンに転移する。そのまま広場にいるのも何なので、ギルドエリアに転移する。そして、精霊の集会場で運営から来るメッセージを確認する。
『イベントにご参加頂きありがとうございました。イベント終了に際しまして、今回の結果をお知らせ致します。今回のイベントにおいて設定されたレイドボス及びボスモンスターを討伐したパーティーは五十。最後に、ご参加頂いた皆様にアンケートのご協力をお願いします。頂いた回答は、次回イベント時の参考にさせて頂きます。何卒よろしくお願いします』
意外とボスを倒したプレイヤーは多いみたい。ただ、私と同じように悪鬼を倒したプレイヤーがいるのかは分からない。悪鬼の他にレイドボスがいてもおかしくはない。それを確認する手段は、アク姉とフレ姉に確認する事だけだ。一応、二人にメッセージを送ってみる。すると、すぐに返事は返ってきた。
『私達が倒したのは、ファントムガルムって名前の巨大な狼だったな。霊体と実体を使い分ける厄介なやつだった』
『私達が倒したのは、巌窟竜って竜だったよ。ごつごつしていて、物理も魔法も効きにくいから、突発的にレイドを組んで戦ったよ。結構苦戦したかな』
やっぱり皆違うレイドボスと戦っていたみたい。私も悪鬼に関して伝えておく。
「ふぅ……後はレベル上げかな」
身体を伸ばしていると、フェンリルが私の前に来た。なので、首を撫でてあげながら抱きしめる。疲れた身体にもふもふが染み渡る。
『ハク。少し良いか』
「ん? うん」
いつも貴様とかなのに、初めて名前を呼んだ。だから、何か真面目な話だろうなと思い縁側に座り直す。
『改めて、我はハクに仕える事にした』
「ん? うん。どういう事?」
『主として認めるという事だ。我はハクの意志に従い動く。ハクの考えに合わないような事はしないと誓おう』
「それって、私が命じない限り、神様を倒したりする事はないって事だよね」
『ああ、そういう事だ。これまでの主を見ていて、我は理解した。我が仕えるべき存在は主なのだと』
「だから、私を乗せてくれてたの?」
『そんなところだ。これからよろしく頼む』
「うん! じゃあ、もふもふして良いよね!」
『あ、ああ……』
何故か最後は歯切れの悪い返事だったけど、構わずもふもふを始める。フェンリルが改めて私への忠誠を誓ってくれた。これで、オーディンさんが恐れていた事は起こらない。一体何でそこまで評価してくれたのか分からないけど、永遠のもふもふが手に入ったという事は確かだ。
一周年のイベントで色々とあったけど、一番嬉しかったのは、フェンリルに出会えた事かな。
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