375 / 456
クリスマスの吸血少女
墓地エリア
しおりを挟む
翌日。ログインしてきたら、大型アップデートのお知らせが来ていた。アップデート実施日は一月二日になっている。内容的にはクリスマスお正月アップデートという風になっていた。正月とクリスマスが合わさっているのは、クリスマスにプレイする人が少ないとかなのかな。アップデートの詳しい内容は伏せられているけど、スキルの追加と新エリアの開放が主らしい。新しいエリアが追加されるのは、ちょっと楽しみかもしれない。
取り敢えず、お知らせの確認を終えたところで、レインと一緒に氷点下エリアの探索に移る。マッピングは大体終わっているので、レインを背負って走り回りながら、どこかに隠されたものがないかを探した。走る速度が異常に早いので、全体を調べるのにそう時間は掛からなかった。結局、氷点下エリアに何か特別なものがあるわけではなく、モンスターの数が多いエリアってだけみたいだ。
氷点下エリアには、何もないと判明したので、西の最前線のエリアである墓地エリアへと向かった。古城エリアから墓地エリアに入ると、昼なのに夜になっていた。ここでは、常に夜になるらしい。
「もっと早くこういう場所が欲しかったなぁ」
今は昼でも夜でも関係ないけど、始めたばかりの頃は、夜じゃないと本領を発揮出来ないという制限付きだった。なので、こういういつでも夜の場所は、もっと早く来て欲しかった。
夜以外には、沢山のお墓が並んでいる。意味が分からないのは、和風から洋風まで様々なお墓が入り混じっているという事だった。多分、何も意味はないのだと思うけど。
「【召喚・エアリー】【召喚・メア】【召喚・マシロ】」
三人を喚ぶと、すぐにメアが飛びついてきた。
『姉々抱っこ♪』
「はいはい」
メアは、抱っこやらおんぶやら肩車が本当に好きみたいだ。そして、メアを抱っこしたりすると、絶対にマシロが羨ましそうな目で見てくる。
「マシロもおいで」
『うん!』
目を輝かせたマシロを抱え上げて二人を抱っこしたまま歩く事になる。マシロには灯りを出して貰い、メアには闇を感じ取って貰う。エアリーは、いつも通りの索敵だ。
『お姉様。敵同士で争っているようです』
「そうなの? どっちかは私達の味方とかあり得るかな?」
『どうでしょう? そこまでは判別出来ません』
「だよね。メアは、何か感じる?」
『闇の濃淡はあるけど、そこまで怪しくはないと思う。地面の中が、一番闇が濃いよ♪』
『逆に光は全体的に薄いわ。地中の奥の方に僅かに光がある気がする。弱いから分かりにくいけど』
「それは気になるね。ここら辺のモンスターを吸血してから、そこに行ってみようか」
ちょっと気になるけど、先にやるべき事を済ませておく。並んでいるお墓達の間を歩いていると、目の前にお墓を荒らしている人がいた。【万能探知】に反応があり、その人がモンスターだと分かる。名前は墓荒らし。やっている事が、そのまま名前になっていた。
『えい♪』
墓荒らしの四肢が闇に飲まれて消えた。声は可愛いけど、やっている事はエグい。
「ありがとう」
二人を降ろして、墓荒らしに噛み付いて吸血する。相変わらず嫌な匂いが強いので、眉を寄せる事になる。吸血を終えて手に入れたスキルは、【隠密】というものだった。
────────────────────
【隠密】:一定時間同じ場所に留まると、気配を薄くする事が出来る。控えでも効果を発揮する。
────────────────────
【隠蔽色】と似たようなスキルだ。これのレベルを上げたら、【隠蔽色】と統合出来るかもしれない。
「それにしても、墓荒らしが出るなんて、ここら辺のお墓には宝物でも入ってるのかな?」
『コインのようなものは入っているようですね。大金とまではいきませんが、お金にはなるかと』
エアリーがお墓の隙間から風を入れて中を探ってくれたみたい。
「三途の川の渡し賃って事かな。まぁ、お墓を荒らす程お金に困っているわけじゃないし、それをしたいとも思わないから、放置で良いよ。ん? 何か近づいてきてる」
【万能探知】で近づいてくるモンスターがいる事に気付いた。そのモンスターが見える場所まで来ると、大槌を持った大男だという事が分かる。名前は墓守。私達は墓荒らしを倒した方なのだけど、向こうからしたら関係ないみたいで、大槌を叩きつけようとしてくる。
その前に、またメアが手足を消した。こちらに攻撃してくる以上は敵ではあるので助かる。
「このお墓に入る人は全員敵って事かな」
墓守も吸血で倒す。墓守からは、新しいスキルは手に入らなかった。さらに、ここに別のモンスターが襲い掛かってきた。それは、空から来ていた。こちらに突撃する前に、HPを大きく減らしながら地面に墜落する。そのモンスターは、死体喰らいの大鴉という名前だった。攻撃される前にエアリーが羽を斬ってくれたみたいだ。死体喰らいの大鴉からも吸血して倒して、【黒翼】というスキルを手に入れた。
────────────────────
【黒翼】:魔力によって出来た黒い鳥の羽を生やす事が出来る。羽の展開時のみMPを消費して飛ぶ事が出来る。控えでも効果を発揮する。
────────────────────
【白翼】と対を為すスキルって感じなのかな。取り敢えず、他のモンスターの気配はないので、これが全部のモンスターかな。
念のため吸血しつつ、マシロが感じている光の場所に向かっていく。そこは、お墓から少し離れた場所で、ちょっとした森っぽい場所の中だった。
『この下から感じるわ』
『闇は薄いかも。でも、どうやって行くの?』
「さぁ? エアリー、何か続いてる道とかない?」
『こちらの下に板がありますね』
【大地武装】で地面を探ると、エアリーの言うとおり板っぽいものを見つけた。それを持ち上げると、下へと降りる梯子を見つける。
「マシロ、灯りをお願いね」
『ええ』
「エアリー、降りても大丈夫だよね?」
『はい。下にモンスターの形はありません。罠もありそうにはないです』
「それじゃあ降りるね」
梯子を使わずに飛び降りる。マシロの灯りでちゃんと視界も確保出来ているから、一番下につく直前に【慣性制御】で落下の慣性を殺し、【浮遊】で身体を浮かして着地した。着地した場所は、洞窟っぽい場所だった。岩肌が剥き出しになっている。
「何だろう?」
『この先に部屋のような場所があります。机などがあるので、人がいた形跡は残っているかと』
「念のため、警戒はしながら進んでいこう」
警戒しながら洞窟を進んでいくと、エアリーの言うとおり机や棚が置かれた部屋に出た。
取り敢えず、お知らせの確認を終えたところで、レインと一緒に氷点下エリアの探索に移る。マッピングは大体終わっているので、レインを背負って走り回りながら、どこかに隠されたものがないかを探した。走る速度が異常に早いので、全体を調べるのにそう時間は掛からなかった。結局、氷点下エリアに何か特別なものがあるわけではなく、モンスターの数が多いエリアってだけみたいだ。
氷点下エリアには、何もないと判明したので、西の最前線のエリアである墓地エリアへと向かった。古城エリアから墓地エリアに入ると、昼なのに夜になっていた。ここでは、常に夜になるらしい。
「もっと早くこういう場所が欲しかったなぁ」
今は昼でも夜でも関係ないけど、始めたばかりの頃は、夜じゃないと本領を発揮出来ないという制限付きだった。なので、こういういつでも夜の場所は、もっと早く来て欲しかった。
夜以外には、沢山のお墓が並んでいる。意味が分からないのは、和風から洋風まで様々なお墓が入り混じっているという事だった。多分、何も意味はないのだと思うけど。
「【召喚・エアリー】【召喚・メア】【召喚・マシロ】」
三人を喚ぶと、すぐにメアが飛びついてきた。
『姉々抱っこ♪』
「はいはい」
メアは、抱っこやらおんぶやら肩車が本当に好きみたいだ。そして、メアを抱っこしたりすると、絶対にマシロが羨ましそうな目で見てくる。
「マシロもおいで」
『うん!』
目を輝かせたマシロを抱え上げて二人を抱っこしたまま歩く事になる。マシロには灯りを出して貰い、メアには闇を感じ取って貰う。エアリーは、いつも通りの索敵だ。
『お姉様。敵同士で争っているようです』
「そうなの? どっちかは私達の味方とかあり得るかな?」
『どうでしょう? そこまでは判別出来ません』
「だよね。メアは、何か感じる?」
『闇の濃淡はあるけど、そこまで怪しくはないと思う。地面の中が、一番闇が濃いよ♪』
『逆に光は全体的に薄いわ。地中の奥の方に僅かに光がある気がする。弱いから分かりにくいけど』
「それは気になるね。ここら辺のモンスターを吸血してから、そこに行ってみようか」
ちょっと気になるけど、先にやるべき事を済ませておく。並んでいるお墓達の間を歩いていると、目の前にお墓を荒らしている人がいた。【万能探知】に反応があり、その人がモンスターだと分かる。名前は墓荒らし。やっている事が、そのまま名前になっていた。
『えい♪』
墓荒らしの四肢が闇に飲まれて消えた。声は可愛いけど、やっている事はエグい。
「ありがとう」
二人を降ろして、墓荒らしに噛み付いて吸血する。相変わらず嫌な匂いが強いので、眉を寄せる事になる。吸血を終えて手に入れたスキルは、【隠密】というものだった。
────────────────────
【隠密】:一定時間同じ場所に留まると、気配を薄くする事が出来る。控えでも効果を発揮する。
────────────────────
【隠蔽色】と似たようなスキルだ。これのレベルを上げたら、【隠蔽色】と統合出来るかもしれない。
「それにしても、墓荒らしが出るなんて、ここら辺のお墓には宝物でも入ってるのかな?」
『コインのようなものは入っているようですね。大金とまではいきませんが、お金にはなるかと』
エアリーがお墓の隙間から風を入れて中を探ってくれたみたい。
「三途の川の渡し賃って事かな。まぁ、お墓を荒らす程お金に困っているわけじゃないし、それをしたいとも思わないから、放置で良いよ。ん? 何か近づいてきてる」
【万能探知】で近づいてくるモンスターがいる事に気付いた。そのモンスターが見える場所まで来ると、大槌を持った大男だという事が分かる。名前は墓守。私達は墓荒らしを倒した方なのだけど、向こうからしたら関係ないみたいで、大槌を叩きつけようとしてくる。
その前に、またメアが手足を消した。こちらに攻撃してくる以上は敵ではあるので助かる。
「このお墓に入る人は全員敵って事かな」
墓守も吸血で倒す。墓守からは、新しいスキルは手に入らなかった。さらに、ここに別のモンスターが襲い掛かってきた。それは、空から来ていた。こちらに突撃する前に、HPを大きく減らしながら地面に墜落する。そのモンスターは、死体喰らいの大鴉という名前だった。攻撃される前にエアリーが羽を斬ってくれたみたいだ。死体喰らいの大鴉からも吸血して倒して、【黒翼】というスキルを手に入れた。
────────────────────
【黒翼】:魔力によって出来た黒い鳥の羽を生やす事が出来る。羽の展開時のみMPを消費して飛ぶ事が出来る。控えでも効果を発揮する。
────────────────────
【白翼】と対を為すスキルって感じなのかな。取り敢えず、他のモンスターの気配はないので、これが全部のモンスターかな。
念のため吸血しつつ、マシロが感じている光の場所に向かっていく。そこは、お墓から少し離れた場所で、ちょっとした森っぽい場所の中だった。
『この下から感じるわ』
『闇は薄いかも。でも、どうやって行くの?』
「さぁ? エアリー、何か続いてる道とかない?」
『こちらの下に板がありますね』
【大地武装】で地面を探ると、エアリーの言うとおり板っぽいものを見つけた。それを持ち上げると、下へと降りる梯子を見つける。
「マシロ、灯りをお願いね」
『ええ』
「エアリー、降りても大丈夫だよね?」
『はい。下にモンスターの形はありません。罠もありそうにはないです』
「それじゃあ降りるね」
梯子を使わずに飛び降りる。マシロの灯りでちゃんと視界も確保出来ているから、一番下につく直前に【慣性制御】で落下の慣性を殺し、【浮遊】で身体を浮かして着地した。着地した場所は、洞窟っぽい場所だった。岩肌が剥き出しになっている。
「何だろう?」
『この先に部屋のような場所があります。机などがあるので、人がいた形跡は残っているかと』
「念のため、警戒はしながら進んでいこう」
警戒しながら洞窟を進んでいくと、エアリーの言うとおり机や棚が置かれた部屋に出た。
30
お気に入りに追加
171
あなたにおすすめの小説
最前線攻略に疲れた俺は、新作VRMMOを最弱職業で楽しむことにした
水の入ったペットボトル
SF
これまであらゆるMMOを最前線攻略してきたが、もう俺(大川優磨)はこの遊び方に満足してしまった。いや、もう楽しいとすら思えない。
ゲームは楽しむためにするものだと思い出した俺は、新作VRMMOを最弱職業『テイマー』で始めることに。
βテストでは最弱職業だと言われていたテイマーだが、主人公の活躍によって評価が上がっていく?
そんな周りの評価など関係なしに、今日も主人公は楽しむことに全力を出す。
この作品は「カクヨム」様、「小説家になろう」様にも掲載しています。
吸血少女 設定資料集(おまけ付き)
月輪林檎
SF
『吸血少女ののんびり気ままなゲームライフ』のスキルやその技、武具の追加効果などを章ごとに分けて簡潔に説明します。その章で新しく出て来たものを書いていくので、過去の章に出て来ているものは、過去の章から確認してください。
さらに、ハク以外の視点で、ちょっとした話も書くかもしれません。所謂番外編です。
基本的に不定期更新です。
とある高校の淫らで背徳的な日常
神谷 愛
恋愛
とある高校に在籍する少女の話。
クラスメイトに手を出し、教師に手を出し、あちこちで好き放題している彼女の日常。
後輩も先輩も、教師も彼女の前では一匹の雌に過ぎなかった。
ノクターンとかにもある
お気に入りをしてくれると喜ぶ。
感想を貰ったら踊り狂って喜ぶ。
してくれたら次の投稿が早くなるかも、しれない。
最強のギルド職員は平和に暮らしたい
月輪林檎
ファンタジー
【第一章 完】 【第二章 完】
魔物が蔓延り、ダンジョンが乱立する世界。そこでは、冒険者という職業が出来ていた。そして、その冒険者をサポートし、魔物の情報やダンジョンの情報を統括する組織が出来上がった。
その名前は、冒険者ギルド。全ての冒険者はギルドに登録しないといけない。ギルドに所属することで、様々なサポートを受けられ、冒険を円滑なものにする事が出来る。
私、アイリス・ミリアーゼは、十六歳を迎え、長年通った学校を卒業した。そして、目標であったギルド職員に最年少で採用される事になった。騎士団からのスカウトもあったけど、全力で断った。
何故かと言うと…………ギルド職員の給料が、騎士団よりも良いから!
それに、騎士団は自由に出来る時間が少なすぎる。それに比べて、ギルド職員は、ちゃんと休みがあるから、自分の時間を作る事が出来る。これが、選んだ決め手だ。
学校の先生からは、
「戦闘系スキルを、それだけ持っているのにも関わらず、冒険者にならず、騎士団にも入らないのか? 勿体ない」
と言われた。確かに、私は、戦闘系のスキルを多く持っている。でも、だからって、戦うのが好きなわけじゃない。私はもっと平和に暮らしたい!!
VRゲームでも身体は動かしたくない。
姫野 佑
SF
多種多様な武器やスキル、様々な【称号】が存在するが職業という概念が存在しない<Imperial Of Egg>。
古き良きPCゲームとして稼働していた<Imperial Of Egg>もいよいよ完全没入型VRMMO化されることになった。
身体をなるべく動かしたくないと考えている岡田智恵理は<Imperial Of Egg>がVRゲームになるという発表を聞いて気落ちしていた。
しかしゲーム内の親友との会話で落ち着きを取り戻し、<Imperial Of Egg>にログインする。
当作品は小説家になろう様で連載しております。
章が完結次第、一日一話投稿致します。
百合ランジェリーカフェにようこそ!
楠富 つかさ
青春
主人公、下条藍はバイトを探すちょっと胸が大きい普通の女子大生。ある日、同じサークルの先輩からバイト先を紹介してもらうのだが、そこは男子禁制のカフェ併設ランジェリーショップで!?
ちょっとハレンチなお仕事カフェライフ、始まります!!
※この物語はフィクションであり実在の人物・団体・法律とは一切関係ありません。
表紙画像はAIイラストです。下着が生成できないのでビキニで代用しています。
〈社会人百合〉アキとハル
みなはらつかさ
恋愛
女の子拾いました――。
ある朝起きたら、隣にネイキッドな女の子が寝ていた!?
主人公・紅(くれない)アキは、どういったことかと問いただすと、酔っ払った勢いで、彼女・葵(あおい)ハルと一夜をともにしたらしい。
しかも、ハルは失踪中の大企業令嬢で……?
絵:Novel AI
ユーザ登録のメリット
- 毎日¥0対象作品が毎日1話無料!
- お気に入り登録で最新話を見逃さない!
- しおり機能で小説の続きが読みやすい!
1~3分で完了!
無料でユーザ登録する
すでにユーザの方はログイン
閉じる