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クリスマスの吸血少女
墓穴掘り
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探索するには時間も無かったので、一旦ギルドエリアに帰って、自分の部屋で貰った着物を着替え続けていた。
「おぉ……これも良いなぁ」
サクヤさんが選んでくれただけあって、ゲーム内でのアバターによく似合っている。現実では、そこまで似合わないと思うけど。
「うわっ……十二単だ。滅茶苦茶綺麗だけど、おっもぉ……」
普段の服とは比べものにならない程に重い。昔はこんなのを着ないといけない時があったのだなと思うと現代に生まれてよかったと思った。
そんな風に楽しんでいると、部屋の扉が少し開いている事に気付いた。部屋に入る時は、絶対に扉を閉めているし、不自然に開くような構造もしていないので、絶対に誰かが覗いている。その犯人は一人しかいない。
「アカリ?」
声を掛けると、扉が勢いよく開いてアカリが中に入ってきた。
「何で私って分かったの?」
「アク姉はとっくに突撃してくる」
「あぁ~……」
アカリも納得の声を上げる。アク姉が、ああして覗いていられるのは、一分もないと思う。すぐに入ってきて十二分に観賞してから帰って行くはず。いや、多分一時間くらいは解放してくれないかも。
「その着物どうしたの? 沢山着替えてたけど」
「ああ、うん。桜エリアで知り合ったサクヤさんにお近づきの印で貰った。さすがに貰いすぎと思ったけど、断れる雰囲気じゃなかったから。でも、凄く良いものだよ」
「うん。見て分かる。職人の仕事だと思うもん。凄い……織機はあるけど、ここまでの生地には出来ない気がする。ねぇねぇ、ちょっとだけ見せて貰っても良い?」
「うん。良いよ」
着物のうちの一枚をアカリに渡す。その間に、十二単からは着替えて別の黒い着物を着て、ベッドに腰掛ける。アカリも横に腰掛けて着物を見ていく。
「素材は、そこまでレアなものじゃないんだ……普通に職人の腕で出来てるみたい。防具としては使えないみたいだから、単純にデザインが良いんだ。凄いなぁ」
サクヤさんの手作りだから、サクヤさんが本当に凄いという事が分かる。アカリは、着物全体を見てから私に返した。
「これって、誰が作ったかとか分かるの?」
「くれた人。いや、人っていうか神様だったけど」
「神様と知り合いになったの?」
「うん。多分、もう友達かな。一緒にお風呂入ったし」
「お風呂?」
墓穴を掘った。完全に無意識に話していたので、アカリが聞き返した事で、その事に気付いた。だけど、ここはちゃんと理由を話せばどうにかなるはずだ。
「えっと、ちょっと色々とあって強制的に神の力を得るイベントが始まったんだ。それで、ちゃんと上手くいくようにお風呂に入ったんだけど、そこで一緒に入ったってだけ」
「ふ~ん……それで神様の力は手に入れたの?」
「いや、手に入れたといえば手に入れたんだけど、SPが足りなくて封印状態だけど」
「ふ~ん……」
アカリはそう言いながら膝に倒れてくる。強制的に膝枕をさせられる。仕方ないので、そのまま頭を撫でてあげる。取り敢えず、アカリが満足してくれないといけないし。
「寝心地も良い。ハクちゃんの太腿だからかもしれないけど」
「太腿で言ったらアク姉が枕にちょうど良いけどね。アク姉の身体は、どこも枕として使えるし。首が終わりそうになる事もあるけど」
「アクアさんは、一番スタイルが良いからね」
「フレ姉もスタイルは良いけどね。身体付きだけでいったら、私達って本当に似てないよね。私が一番しょぼいんだけど」
「私は、ハクちゃんの身体好きだけどなぁ」
「ありがとう」
そんな会話をしていたら、アカリの機嫌も直っていた。最後にぎゅっと抱きしめ合ってから、ログアウトした。
そして、夜ご飯などを済ませて、再びログインした。屋敷から出たところで、正面から飛びついてくる巨大な影に襲われた。犯人は勿論アク姉だ。
「ハ~ク~ちゃ~ん!」
「うぼっ……アク姉、何?」
「久しぶりに会えたんだもん! ハクちゃん成分を補充しないと」
そう言って、アク姉は人の頭頂部に顔を埋めて吸ってくる。人を猫のように扱うのはやめて欲しい。
「う~ん……何だか爽やか成分が増えた感じがする」
「【熾天使】になったからじゃない?」
「これが【熾天使】の香り?」
「嗅ぎ分けられてるのは怖いけどね。そういえば、アク姉はトモエさんの別荘で過ごすんだよね?」
「クリスマス? そうだよ。姉さんの話が来る前に決まってたからね。旅行は楽しそうだけどね」
やっぱり、アク姉達は旅行については来ないみたい。一緒に行きたい気持ちはあるけど、もう決まっちゃっているなら仕方ない。ここで予定変更しても、トモエさんの家族に迷惑を掛ける事になるかもしれないし仕方ないかな。
「とにかく、ダブルデートを楽しんでね。まぁ、ダブルデートと言うより家族旅行みたいな感じだろうけど」
「う~ん……確かに。アク姉が来ても家族旅行感が強くなるだけだしね」
「まぁ、つばちゃんも光ちゃんも家族みたいなものだからね。春休みには、私達も一緒に旅行に行こうか。姉さん達は休めないかもだから、姉さん達に抜きになるかもだけど」
「うん。でも、春休みって、そこまで期間ないよ」
「あっ、そうだっけ。大学は長いんだよね。まぁ、春休みなんてやることないし、初日から行けば大丈夫! それに、近場に愛巴の家の別荘があるし」
「愛巴さんの家って別荘持ちすぎじゃない?」
話を聞く限り、愛巴さんの家は本当に色々な場所に別荘を持っている。どれだけお金持ちなのだろうか。いつも訊くのが怖くなる。そんな人と友達のみず姉は本当に凄い。まぁ、私も友達ではあるのだけど。
「色々なところを飛び回るからって話を聞いた事あるかな。管理するのも大変らしいよ。それに、貸別荘としても使っているところもあるみたいだね。まぁ、そっちはそういう経営用だから、私達もお金を払わないといけなくなるけど」
「まぁ、そこら辺も予定を詰めていくって事で。もう行って良い?」
「うん。またね」
「またね」
そんな話をしてから、セラフさんと師匠の元に行って、稽古を受けた。ちゃんと戦闘の勘は忘れないようにしないといけないからね。師範のところにも行こうとしたけど、人がいっぱいだったので諦めた。そして、久しぶりに闇霧の始祖の元に来た。
『ん? お前はまた何かやったようだな』
「え? 変わったのは、【神力(封)】を手に入れたくらいだけど」
『封印されているとはいえ、神の力を得たわけか。身体に異常は?』
「ないよ。普通の状態」
『そうか。微妙に影響していそうな雰囲気を出しているが……封印状態だから変化がないというところか。早く【大悪魔】を進化させたいところではあるな』
「でも、悪魔の試練なんて、どこにあるの? 天聖教の場所にはないでしょ?」
『どうだろうな。最も深き場所に何かありそうだが、そこまで深い場所がどこかと言われると、俺も知らん』
「まぁ、適当に探してみるよ」
『そうしろ。ところで、どこで神の力を手に入れたんだ?』
「新大陸の桜がいっぱいある場所」
『そうか』
サクヤさんの事を話して良いのか分からないので、ここははぐらかしておいた。闇霧の始祖が何をするか分からないし。まぁ、探そうとしても見つけられないだろうけど。
そこまでで夜遅くになっていたので、今日はそれでログアウトした。
「おぉ……これも良いなぁ」
サクヤさんが選んでくれただけあって、ゲーム内でのアバターによく似合っている。現実では、そこまで似合わないと思うけど。
「うわっ……十二単だ。滅茶苦茶綺麗だけど、おっもぉ……」
普段の服とは比べものにならない程に重い。昔はこんなのを着ないといけない時があったのだなと思うと現代に生まれてよかったと思った。
そんな風に楽しんでいると、部屋の扉が少し開いている事に気付いた。部屋に入る時は、絶対に扉を閉めているし、不自然に開くような構造もしていないので、絶対に誰かが覗いている。その犯人は一人しかいない。
「アカリ?」
声を掛けると、扉が勢いよく開いてアカリが中に入ってきた。
「何で私って分かったの?」
「アク姉はとっくに突撃してくる」
「あぁ~……」
アカリも納得の声を上げる。アク姉が、ああして覗いていられるのは、一分もないと思う。すぐに入ってきて十二分に観賞してから帰って行くはず。いや、多分一時間くらいは解放してくれないかも。
「その着物どうしたの? 沢山着替えてたけど」
「ああ、うん。桜エリアで知り合ったサクヤさんにお近づきの印で貰った。さすがに貰いすぎと思ったけど、断れる雰囲気じゃなかったから。でも、凄く良いものだよ」
「うん。見て分かる。職人の仕事だと思うもん。凄い……織機はあるけど、ここまでの生地には出来ない気がする。ねぇねぇ、ちょっとだけ見せて貰っても良い?」
「うん。良いよ」
着物のうちの一枚をアカリに渡す。その間に、十二単からは着替えて別の黒い着物を着て、ベッドに腰掛ける。アカリも横に腰掛けて着物を見ていく。
「素材は、そこまでレアなものじゃないんだ……普通に職人の腕で出来てるみたい。防具としては使えないみたいだから、単純にデザインが良いんだ。凄いなぁ」
サクヤさんの手作りだから、サクヤさんが本当に凄いという事が分かる。アカリは、着物全体を見てから私に返した。
「これって、誰が作ったかとか分かるの?」
「くれた人。いや、人っていうか神様だったけど」
「神様と知り合いになったの?」
「うん。多分、もう友達かな。一緒にお風呂入ったし」
「お風呂?」
墓穴を掘った。完全に無意識に話していたので、アカリが聞き返した事で、その事に気付いた。だけど、ここはちゃんと理由を話せばどうにかなるはずだ。
「えっと、ちょっと色々とあって強制的に神の力を得るイベントが始まったんだ。それで、ちゃんと上手くいくようにお風呂に入ったんだけど、そこで一緒に入ったってだけ」
「ふ~ん……それで神様の力は手に入れたの?」
「いや、手に入れたといえば手に入れたんだけど、SPが足りなくて封印状態だけど」
「ふ~ん……」
アカリはそう言いながら膝に倒れてくる。強制的に膝枕をさせられる。仕方ないので、そのまま頭を撫でてあげる。取り敢えず、アカリが満足してくれないといけないし。
「寝心地も良い。ハクちゃんの太腿だからかもしれないけど」
「太腿で言ったらアク姉が枕にちょうど良いけどね。アク姉の身体は、どこも枕として使えるし。首が終わりそうになる事もあるけど」
「アクアさんは、一番スタイルが良いからね」
「フレ姉もスタイルは良いけどね。身体付きだけでいったら、私達って本当に似てないよね。私が一番しょぼいんだけど」
「私は、ハクちゃんの身体好きだけどなぁ」
「ありがとう」
そんな会話をしていたら、アカリの機嫌も直っていた。最後にぎゅっと抱きしめ合ってから、ログアウトした。
そして、夜ご飯などを済ませて、再びログインした。屋敷から出たところで、正面から飛びついてくる巨大な影に襲われた。犯人は勿論アク姉だ。
「ハ~ク~ちゃ~ん!」
「うぼっ……アク姉、何?」
「久しぶりに会えたんだもん! ハクちゃん成分を補充しないと」
そう言って、アク姉は人の頭頂部に顔を埋めて吸ってくる。人を猫のように扱うのはやめて欲しい。
「う~ん……何だか爽やか成分が増えた感じがする」
「【熾天使】になったからじゃない?」
「これが【熾天使】の香り?」
「嗅ぎ分けられてるのは怖いけどね。そういえば、アク姉はトモエさんの別荘で過ごすんだよね?」
「クリスマス? そうだよ。姉さんの話が来る前に決まってたからね。旅行は楽しそうだけどね」
やっぱり、アク姉達は旅行については来ないみたい。一緒に行きたい気持ちはあるけど、もう決まっちゃっているなら仕方ない。ここで予定変更しても、トモエさんの家族に迷惑を掛ける事になるかもしれないし仕方ないかな。
「とにかく、ダブルデートを楽しんでね。まぁ、ダブルデートと言うより家族旅行みたいな感じだろうけど」
「う~ん……確かに。アク姉が来ても家族旅行感が強くなるだけだしね」
「まぁ、つばちゃんも光ちゃんも家族みたいなものだからね。春休みには、私達も一緒に旅行に行こうか。姉さん達は休めないかもだから、姉さん達に抜きになるかもだけど」
「うん。でも、春休みって、そこまで期間ないよ」
「あっ、そうだっけ。大学は長いんだよね。まぁ、春休みなんてやることないし、初日から行けば大丈夫! それに、近場に愛巴の家の別荘があるし」
「愛巴さんの家って別荘持ちすぎじゃない?」
話を聞く限り、愛巴さんの家は本当に色々な場所に別荘を持っている。どれだけお金持ちなのだろうか。いつも訊くのが怖くなる。そんな人と友達のみず姉は本当に凄い。まぁ、私も友達ではあるのだけど。
「色々なところを飛び回るからって話を聞いた事あるかな。管理するのも大変らしいよ。それに、貸別荘としても使っているところもあるみたいだね。まぁ、そっちはそういう経営用だから、私達もお金を払わないといけなくなるけど」
「まぁ、そこら辺も予定を詰めていくって事で。もう行って良い?」
「うん。またね」
「またね」
そんな話をしてから、セラフさんと師匠の元に行って、稽古を受けた。ちゃんと戦闘の勘は忘れないようにしないといけないからね。師範のところにも行こうとしたけど、人がいっぱいだったので諦めた。そして、久しぶりに闇霧の始祖の元に来た。
『ん? お前はまた何かやったようだな』
「え? 変わったのは、【神力(封)】を手に入れたくらいだけど」
『封印されているとはいえ、神の力を得たわけか。身体に異常は?』
「ないよ。普通の状態」
『そうか。微妙に影響していそうな雰囲気を出しているが……封印状態だから変化がないというところか。早く【大悪魔】を進化させたいところではあるな』
「でも、悪魔の試練なんて、どこにあるの? 天聖教の場所にはないでしょ?」
『どうだろうな。最も深き場所に何かありそうだが、そこまで深い場所がどこかと言われると、俺も知らん』
「まぁ、適当に探してみるよ」
『そうしろ。ところで、どこで神の力を手に入れたんだ?』
「新大陸の桜がいっぱいある場所」
『そうか』
サクヤさんの事を話して良いのか分からないので、ここははぐらかしておいた。闇霧の始祖が何をするか分からないし。まぁ、探そうとしても見つけられないだろうけど。
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