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世界を楽しむ吸血少女
【二刀の極み】
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次の土曜日。ギルドエリアの季節は、完全に秋へと変わっていた。木々の葉も落ち始めている。それでも、世界樹だけは青々しいままだった。多分、世界樹は、常に元気なままなのだと思う。因みに、世界樹の苗木も同じように元気なままだ。こっちは、アカリが毎日採取をしている。最近は、蘇生薬の研究をしているみたい。ついでに、回復薬に血を混ぜるって事もやっているらしい。今のところ失敗続きみたいだけど。
薬系には苦戦しているみたいだけど、服やアクセサリーは順調みたい。シルクとミルクのおかげで上質な糸が手に入るようになったのが大きいみたい。実用性のある防具から、見た目重視の防具まで幅広く作っているみたいで、アカリエが繁盛しているらしい。オーダーメイドの注文も増えてきているので、比重が再びこっち寄りになっているそうだ。
良い気分転換になっているみたいだから、普通に良い事ではあると思う。
私の方は、平日の間に主要なスキルのレベル上げをした。
────────────────────
ハク:【武芸千般Lv100】【双刀Lv100】【双剣Lv100】【二刀流Lv100】【武闘術Lv100】【始祖の吸血鬼Lv100】【影武装Lv92】【火炎武装Lv70】【大地武装Lv71】【暴風武装Lv81】【雷電武装Lv100】【光明武装Lv1】【暗黒武装Lv1】【索敵Lv100】【蒼天Lv53】
控え:【聖剣Lv1】【鋏Lv8】【三叉槍Lv17】【氷爪Lv32】【竜爪Lv18】【岩竜爪Lv1】【剛Lv10】【棘拳Lv18】【武闘気Lv85】【爆熱闘気Lv30】【敏捷闘気Lv21】【吸血牙Lv90】【銃Lv1】【散弾銃Lv3】
【魔道Lv21】【天候魔法才能Lv1】【大地魔法才能Lv3】【雷魔法才能Lv23】【闇魔法才能Lv1】【付加呪加才能Lv1】【状態異常才能Lv1】【死霊術Lv13】【死霊誘引Lv1】
【支配(水)Lv16】【無限水Lv26】【根源(血)】【完全支配(血)Lv10】【重力操作Lv58】【影渡りLv23】【眷属創造Lv50】
【操糸Lv60】
【HPMP超強化Lv100】【物理超強化Lv100】【魔法防御強化Lv91】【器用さ強化Lv100】【運強化Lv100】【神体能力強化Lv9】【五感強化Lv100】【感覚強化Lv60】【頑強顎門Lv49】【弾性強化Lv68】【骨強化Lv24】
【毒耐性Lv83】【麻痺耐性Lv48】【呪い耐性Lv26】【沈黙耐性Lv58】【暗闇耐性Lv1】【怒り耐性Lv8】【眠り耐性Lv1】【混乱耐性Lv60】【魅了耐性Lv18】【出血耐性Lv1】【気絶耐性Lv9】
【夜霧の執行者Lv61】【堅牢堅固Lv31】【茨鎧Lv24】【腐食鎧Lv21】【隠蔽色Lv36】【雨隠れLv22】【明暗順応Lv50】【回転Lv81】【遠心力Lv40】【飛翔Lv100】【暴飲暴食Lv100】【悪食Lv38】【貯蔵Lv100】【恐慌Lv21】【腐食Lv51】【心眼開放Lv71】【熱感知Lv18】【適応Lv31】
【氷炎息吹Lv38】【氷雷息吹Lv35】【岩風息吹Lv21】【蒼炎息吹Lv31】【炎牙Lv41】【水鉄砲Lv50】【泡Lv21】【氷分身Lv18】【魔氷結Lv31】【放電Lv39】【電光石火Lv100】【疾風迅雷Lv100】【雷脚Lv100】【猛毒牙Lv62】【猛毒鎧Lv19】【猛毒生成Lv34】【猛毒血Lv27】【麻痺毒牙Lv1】【麻痺血Lv6】【奪声牙Lv1】【呪毒牙Lv1】【奪明牙Lv1】【血狂いLv18】【狂化Lv15】【加重闘法Lv42】【猪突猛進Lv34】【繭Lv3】【強靭絹糸Lv43】【捕縛糸Lv32】【魔力糸Lv6】【威圧Lv12】【ドラミングLv6】【超圧縮Lv61】【念動Lv42】【射出Lv83】【超音波Lv53】【虫翅Lv2】【白翼Lv59】【鋼鉄翼Lv3】【浮遊Lv63】【珊瑚砲Lv20】【黒蝕Lv30】【粘体Lv15】【模倣Lv12】【感染Lv6】【超反応Lv38】【解錠Lv18】【魅了の魔眼Lv16】【呪いの魔眼Lv15】【吸魔の魔眼Lv6】
【鬼Lv48】【鬼気Lv46】【黒鬼気Lv46】【竜王息吹Lv75】【竜王血Lv100】【竜鎧Lv31】【岩竜鎧Lv5】【竜翼Lv58】【精霊体Lv95】【魔王Lv95】【大悪魔Lv100】【大悪魔翼Lv100】【聖王Lv100】【大天使Lv100】【大天使翼Lv100】【魔聖融合Lv100】【属性結合Lv12】
【機織りLv16】【糸紡ぎLv20】
【水中戦闘術Lv5】【掘削Lv6】【竜騎Lv40】【農家Lv100】【果樹Lv65】【稲作Lv58】【畑作Lv78】【花卉Lv80】【茸栽培Lv20】【畜産Lv100】【解体Lv15】【酪農Lv81】【羊飼いLv81】【養鶏Lv81】【養豚Lv81】【養蜂Lv1】【木こりLv31】【調教師Lv100】【精霊使いLv100】【統率者Lv91】【言語学Lv100】【古代言語学Lv81】【現代言語学Lv95】【プリセット】
SP:2015
────────────────────
【光明武装】:より眩い光を操り、武器を強化する事が出来るようになる。
【暗黒武装】:より暗い闇を操り、武器を強化する事が出来るようになる。
────────────────────
【二刀流】のレベルが100になったので、ログイン後のルーティンを終わらせて、刀刃の隠れ里へと向かう。師匠の家をノックすると、すぐに師匠が出て来た。そして、即座に刀を振ってくる。
ギリギリのところで避けたけど、本当に危なかった。今日は、そのまま稽古の日みたい。背後に跳びながら、人斬りと竜狩刀を取り出して、血を吸収させる。
師匠はと言えば、最初から黒狐面を着けている。瞬時に距離を詰めてくる師匠を、【心眼開放】のスローモーションの中で、ギリギリ察知する事が出来た。
いつもよりも遙かに速い。本気で私を殺しにきている。身体から一気に血液を噴射させる。その勢いは鉄砲水に近い。さすがの師匠も少しだけ押された。その一瞬を使って、私も人斬りを振う。師匠は、私の人斬りを受け流す。その瞬間に空いた胴に回し蹴りを入れる。【暴風武装】を応用して、風の後押しを受けさせて、蹴りを加速させる。それに対して、師匠は私のお腹にまっすぐ蹴りを入れる事で封じた。
【影武装】の自動防御が働くけど、一瞬たりとも勢いを殺せなかった。【夜霧の執行者】の自動回避で事なきを得たけど、私の背後で衝撃波が飛んでいた事から、異常な力だという事が分かる。
即座に、【電光石火】で師匠から距離を取る。ここは常に【雷脚】を発動し続けないと、速度が足りない。実際には、それでも足りないのだけど、ないよりマシだ。【疾風迅雷】で溜まる雷は、全て【雷電武装】で人斬りと竜狩刀に纏わせる。今は、武器だけで戦うとかそういう縛りで修行する余裕はない。
雷を纏って走り続ける私に、即座に師匠が追いついた。振われる刀を竜狩刀で受け流しつつ、人斬りを振う。
師匠は、それを間合いの内側に入る事で避けつつ、私の鳩尾に拳をめり込ませようとしてきた。これも夜霧になって回避した。身体の再構築直後、私の背後に抜けていった師匠に向かって竜狩刀を振う。
師匠は、それに反応して刀で弾いて、私に斬り掛かる。何とか反応出来て、【電光石火】で背後に避ける。そのタイミングで、思いっきり人斬りと竜狩刀を振う。
師匠がいないから空振りになるけど、吸収していた血液が雷を纏って師匠に飛んでいった。師匠は、その飛び攻撃をいとも簡単に刀で打ち払って、距離を詰めてくる。ほんの少しの足止めにもならない。こうなると、距離を取っても、こっちに有利はない。どうせ、一気に距離を詰められてしまうからだ。
だから、こっちからも距離を詰めて、師匠の攻撃を防ぎつつ攻撃を当てるしかない。まぁ、それが一番難しい事なのだけど。
こっちの有利な点は、武器を二本使っている事。でも、師匠の素手は刀と同じくらい危険なので、ほんの少しの有利でしかない。
手数でしか抵抗出来ないので、防御を優先しながら試行回数を増やしていく。そうして時間が経つごとに、段々と感覚が研ぎ澄まされてきているのが分かった。こうなったら、【心眼開放】のスローモーションは邪魔でしかない。【超反応】と第六感で行動する方が正確だし速い。そこに至るまでに、【夜霧の執行者】は使い切った。至ってからは、かすり傷だけで済んでいる。そのかすり傷が、HPを二割も減らす。でも、次に掠るまでに自動回復である程度まで補える。それに、回復量は少ないけど、自分の血でも回復は出来る。
ただ、それでも追いつかない程被弾する事もある。その時に思い付きで自分の口の中でアイテムの血を出現させて飲むという事をしてみた。【暴飲暴食】と【悪食】の効果で、試験管的な入れ物も消化出来るので、噛み砕いて血を摂取しつつ、試験管も食べるみたいな事が出来た。欠点としては、口の中がガラスまみれになるので、若干気持ち悪いというところだ。まぁ、すぐに飲み込めば良いから、大した欠点ではない。
そのまま稽古を継続していく。どれくらい経ったか。私の方の集中力が不意に途切れた。師匠の刀を防ぎきる事が出来ず、まともに受けてしまう。HPが残り一割以下まで一気に削れた。さっきまでの集中の反動か、そのまま蹈鞴を踏んでしまい尻餅をついた。
「合格ね」
黒狐面を取った師匠がそう言う。全然頭が回らず、師匠の言っている事の意味が分からずに、首を傾げてしまう。
「あなたは、今、【二刀流】の高みに至ったわ。まぁ、ギリギリ及第点って段階だから、もっと精進しなさい」
「あ、はい」
そういえば、【二刀流】が100レベルになったから、ここに来たのだった。それすらも忘れるくらいに集中していたみたい。
「もう少し本気を出しても良かったかもしれないわね」
「まだ上があるんですか……?」
「まぁ、本気でやるなら、もっと殺す気で行くわね」
「うわぁ……」
本気の師匠だと思っていたけど、まだ手加減をされていた事が分かり、改めて師匠の強さを実感する。
ただ、これで新しいスキルが手に入れる事が出来ようになった。そのスキルの名前は、【二刀の極み】。これは、【双剣】【双刀】【二刀流】の統合スキルだった。双刀の隠れ里と刀刃の隠れ里の二ヶ所行かないと取れないスキルなので、かなりレアなスキルだと思う。
────────────────────
【二刀の極み】:片手剣、短剣、短刀、刀の扱いに補正が入る。両手で別々の剣を扱う場合は、さらに上昇する。
────────────────────
これまで通り、一本だけで戦っても問題なくスキルの対象に入るみたいだ。そこは安心した。
薬系には苦戦しているみたいだけど、服やアクセサリーは順調みたい。シルクとミルクのおかげで上質な糸が手に入るようになったのが大きいみたい。実用性のある防具から、見た目重視の防具まで幅広く作っているみたいで、アカリエが繁盛しているらしい。オーダーメイドの注文も増えてきているので、比重が再びこっち寄りになっているそうだ。
良い気分転換になっているみたいだから、普通に良い事ではあると思う。
私の方は、平日の間に主要なスキルのレベル上げをした。
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ハク:【武芸千般Lv100】【双刀Lv100】【双剣Lv100】【二刀流Lv100】【武闘術Lv100】【始祖の吸血鬼Lv100】【影武装Lv92】【火炎武装Lv70】【大地武装Lv71】【暴風武装Lv81】【雷電武装Lv100】【光明武装Lv1】【暗黒武装Lv1】【索敵Lv100】【蒼天Lv53】
控え:【聖剣Lv1】【鋏Lv8】【三叉槍Lv17】【氷爪Lv32】【竜爪Lv18】【岩竜爪Lv1】【剛Lv10】【棘拳Lv18】【武闘気Lv85】【爆熱闘気Lv30】【敏捷闘気Lv21】【吸血牙Lv90】【銃Lv1】【散弾銃Lv3】
【魔道Lv21】【天候魔法才能Lv1】【大地魔法才能Lv3】【雷魔法才能Lv23】【闇魔法才能Lv1】【付加呪加才能Lv1】【状態異常才能Lv1】【死霊術Lv13】【死霊誘引Lv1】
【支配(水)Lv16】【無限水Lv26】【根源(血)】【完全支配(血)Lv10】【重力操作Lv58】【影渡りLv23】【眷属創造Lv50】
【操糸Lv60】
【HPMP超強化Lv100】【物理超強化Lv100】【魔法防御強化Lv91】【器用さ強化Lv100】【運強化Lv100】【神体能力強化Lv9】【五感強化Lv100】【感覚強化Lv60】【頑強顎門Lv49】【弾性強化Lv68】【骨強化Lv24】
【毒耐性Lv83】【麻痺耐性Lv48】【呪い耐性Lv26】【沈黙耐性Lv58】【暗闇耐性Lv1】【怒り耐性Lv8】【眠り耐性Lv1】【混乱耐性Lv60】【魅了耐性Lv18】【出血耐性Lv1】【気絶耐性Lv9】
【夜霧の執行者Lv61】【堅牢堅固Lv31】【茨鎧Lv24】【腐食鎧Lv21】【隠蔽色Lv36】【雨隠れLv22】【明暗順応Lv50】【回転Lv81】【遠心力Lv40】【飛翔Lv100】【暴飲暴食Lv100】【悪食Lv38】【貯蔵Lv100】【恐慌Lv21】【腐食Lv51】【心眼開放Lv71】【熱感知Lv18】【適応Lv31】
【氷炎息吹Lv38】【氷雷息吹Lv35】【岩風息吹Lv21】【蒼炎息吹Lv31】【炎牙Lv41】【水鉄砲Lv50】【泡Lv21】【氷分身Lv18】【魔氷結Lv31】【放電Lv39】【電光石火Lv100】【疾風迅雷Lv100】【雷脚Lv100】【猛毒牙Lv62】【猛毒鎧Lv19】【猛毒生成Lv34】【猛毒血Lv27】【麻痺毒牙Lv1】【麻痺血Lv6】【奪声牙Lv1】【呪毒牙Lv1】【奪明牙Lv1】【血狂いLv18】【狂化Lv15】【加重闘法Lv42】【猪突猛進Lv34】【繭Lv3】【強靭絹糸Lv43】【捕縛糸Lv32】【魔力糸Lv6】【威圧Lv12】【ドラミングLv6】【超圧縮Lv61】【念動Lv42】【射出Lv83】【超音波Lv53】【虫翅Lv2】【白翼Lv59】【鋼鉄翼Lv3】【浮遊Lv63】【珊瑚砲Lv20】【黒蝕Lv30】【粘体Lv15】【模倣Lv12】【感染Lv6】【超反応Lv38】【解錠Lv18】【魅了の魔眼Lv16】【呪いの魔眼Lv15】【吸魔の魔眼Lv6】
【鬼Lv48】【鬼気Lv46】【黒鬼気Lv46】【竜王息吹Lv75】【竜王血Lv100】【竜鎧Lv31】【岩竜鎧Lv5】【竜翼Lv58】【精霊体Lv95】【魔王Lv95】【大悪魔Lv100】【大悪魔翼Lv100】【聖王Lv100】【大天使Lv100】【大天使翼Lv100】【魔聖融合Lv100】【属性結合Lv12】
【機織りLv16】【糸紡ぎLv20】
【水中戦闘術Lv5】【掘削Lv6】【竜騎Lv40】【農家Lv100】【果樹Lv65】【稲作Lv58】【畑作Lv78】【花卉Lv80】【茸栽培Lv20】【畜産Lv100】【解体Lv15】【酪農Lv81】【羊飼いLv81】【養鶏Lv81】【養豚Lv81】【養蜂Lv1】【木こりLv31】【調教師Lv100】【精霊使いLv100】【統率者Lv91】【言語学Lv100】【古代言語学Lv81】【現代言語学Lv95】【プリセット】
SP:2015
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【光明武装】:より眩い光を操り、武器を強化する事が出来るようになる。
【暗黒武装】:より暗い闇を操り、武器を強化する事が出来るようになる。
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【二刀流】のレベルが100になったので、ログイン後のルーティンを終わらせて、刀刃の隠れ里へと向かう。師匠の家をノックすると、すぐに師匠が出て来た。そして、即座に刀を振ってくる。
ギリギリのところで避けたけど、本当に危なかった。今日は、そのまま稽古の日みたい。背後に跳びながら、人斬りと竜狩刀を取り出して、血を吸収させる。
師匠はと言えば、最初から黒狐面を着けている。瞬時に距離を詰めてくる師匠を、【心眼開放】のスローモーションの中で、ギリギリ察知する事が出来た。
いつもよりも遙かに速い。本気で私を殺しにきている。身体から一気に血液を噴射させる。その勢いは鉄砲水に近い。さすがの師匠も少しだけ押された。その一瞬を使って、私も人斬りを振う。師匠は、私の人斬りを受け流す。その瞬間に空いた胴に回し蹴りを入れる。【暴風武装】を応用して、風の後押しを受けさせて、蹴りを加速させる。それに対して、師匠は私のお腹にまっすぐ蹴りを入れる事で封じた。
【影武装】の自動防御が働くけど、一瞬たりとも勢いを殺せなかった。【夜霧の執行者】の自動回避で事なきを得たけど、私の背後で衝撃波が飛んでいた事から、異常な力だという事が分かる。
即座に、【電光石火】で師匠から距離を取る。ここは常に【雷脚】を発動し続けないと、速度が足りない。実際には、それでも足りないのだけど、ないよりマシだ。【疾風迅雷】で溜まる雷は、全て【雷電武装】で人斬りと竜狩刀に纏わせる。今は、武器だけで戦うとかそういう縛りで修行する余裕はない。
雷を纏って走り続ける私に、即座に師匠が追いついた。振われる刀を竜狩刀で受け流しつつ、人斬りを振う。
師匠は、それを間合いの内側に入る事で避けつつ、私の鳩尾に拳をめり込ませようとしてきた。これも夜霧になって回避した。身体の再構築直後、私の背後に抜けていった師匠に向かって竜狩刀を振う。
師匠は、それに反応して刀で弾いて、私に斬り掛かる。何とか反応出来て、【電光石火】で背後に避ける。そのタイミングで、思いっきり人斬りと竜狩刀を振う。
師匠がいないから空振りになるけど、吸収していた血液が雷を纏って師匠に飛んでいった。師匠は、その飛び攻撃をいとも簡単に刀で打ち払って、距離を詰めてくる。ほんの少しの足止めにもならない。こうなると、距離を取っても、こっちに有利はない。どうせ、一気に距離を詰められてしまうからだ。
だから、こっちからも距離を詰めて、師匠の攻撃を防ぎつつ攻撃を当てるしかない。まぁ、それが一番難しい事なのだけど。
こっちの有利な点は、武器を二本使っている事。でも、師匠の素手は刀と同じくらい危険なので、ほんの少しの有利でしかない。
手数でしか抵抗出来ないので、防御を優先しながら試行回数を増やしていく。そうして時間が経つごとに、段々と感覚が研ぎ澄まされてきているのが分かった。こうなったら、【心眼開放】のスローモーションは邪魔でしかない。【超反応】と第六感で行動する方が正確だし速い。そこに至るまでに、【夜霧の執行者】は使い切った。至ってからは、かすり傷だけで済んでいる。そのかすり傷が、HPを二割も減らす。でも、次に掠るまでに自動回復である程度まで補える。それに、回復量は少ないけど、自分の血でも回復は出来る。
ただ、それでも追いつかない程被弾する事もある。その時に思い付きで自分の口の中でアイテムの血を出現させて飲むという事をしてみた。【暴飲暴食】と【悪食】の効果で、試験管的な入れ物も消化出来るので、噛み砕いて血を摂取しつつ、試験管も食べるみたいな事が出来た。欠点としては、口の中がガラスまみれになるので、若干気持ち悪いというところだ。まぁ、すぐに飲み込めば良いから、大した欠点ではない。
そのまま稽古を継続していく。どれくらい経ったか。私の方の集中力が不意に途切れた。師匠の刀を防ぎきる事が出来ず、まともに受けてしまう。HPが残り一割以下まで一気に削れた。さっきまでの集中の反動か、そのまま蹈鞴を踏んでしまい尻餅をついた。
「合格ね」
黒狐面を取った師匠がそう言う。全然頭が回らず、師匠の言っている事の意味が分からずに、首を傾げてしまう。
「あなたは、今、【二刀流】の高みに至ったわ。まぁ、ギリギリ及第点って段階だから、もっと精進しなさい」
「あ、はい」
そういえば、【二刀流】が100レベルになったから、ここに来たのだった。それすらも忘れるくらいに集中していたみたい。
「もう少し本気を出しても良かったかもしれないわね」
「まだ上があるんですか……?」
「まぁ、本気でやるなら、もっと殺す気で行くわね」
「うわぁ……」
本気の師匠だと思っていたけど、まだ手加減をされていた事が分かり、改めて師匠の強さを実感する。
ただ、これで新しいスキルが手に入れる事が出来ようになった。そのスキルの名前は、【二刀の極み】。これは、【双剣】【双刀】【二刀流】の統合スキルだった。双刀の隠れ里と刀刃の隠れ里の二ヶ所行かないと取れないスキルなので、かなりレアなスキルだと思う。
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【二刀の極み】:片手剣、短剣、短刀、刀の扱いに補正が入る。両手で別々の剣を扱う場合は、さらに上昇する。
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これまで通り、一本だけで戦っても問題なくスキルの対象に入るみたいだ。そこは安心した。
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