吸血少女ののんびり気ままなゲームライフ

月輪林檎

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因縁に決着をつける吸血少女

世界樹の生長

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 翌日。夕飯の後に少しログインしたら、ソイルとラウネに手を引っ張られてどこかに連れて行かれる。この感じに覚えがあると思ったけど、どちらかというとソイルとラウネ側で、アク姉と一緒にフレ姉とゲルダさんを連れ回した時だ。
 一体どこまで連れて行くのかと思ったけど、すぐに向かっている場所が分かった。何故なら、昨日までなかった巨大な樹があったからだ。天辺が雲の上まである。

「でっか……」
『世界樹……まだ途中……』
「えっ!? あれで!?」

 雲の上まで成長しているのに、まだ途中だという。あれ以上の大きさとなると、宇宙まで大きくなるのでは……

『上は終わりなの。次は太さなの』
「あぁ……な~るほ……ど?」

 一瞬、それなら安心かと思ったけど、幹が太くなるのも問題ではと思い直した。現状の太さでも、有名なドームくらいの太さがあると思う。

『一応……端っこの……方に……植えた……』
「それでも畑に侵食しそう?」
『ううん。それは大丈夫なの。予測では、ギリギリのところで止まるはずなの』
「それならいいや。アカリに報告は?」
『したの』
「よし。良い子だね」

 二人の頭を撫でてあげていると、世界樹の場所に着く。真下から見る世界樹は、さらに大きく感じた。

「この世界樹からは何が取れるの?」
『世界樹の葉っぱと世界樹の枝と世界樹の樹液と世界樹の苗木なの』
「えっ、また苗木が取れるの?」
『でも……ここから……取れるのは……植木鉢用……』
「そうなんだ。植木鉢も量産しないとだね」
『それは、アカリ姉がやってくれてるなの』
「さすが、アカリ。やることが早いね。アンブロシアの方はどう?」
『まだ咲いてないの。もう少し掛かるの』

 世界樹も成長途中みたいだし、アンブロシアの方も順調みたい。やっぱり、ソイルに任せれば安心だ。これからは、ラウネもいるし、畑は本当に安泰だ。
 そういえば、ラウネのスキルを確認していなかった。良い機会なので、ラウネのスキルを見てみる。

────────────────────

ラウネ:【植物霊】【支配(植物)】【呪花粉】【花粉爆破】【光合成】【給水タンク】【呪いの魔眼】【魅了の魔眼】【吸精】【猛毒生成】【生長促進】

────────────────────

 結構スキルが多い。精霊に属しているみたいだけど、魔法関係がないから、他の精霊達とはまた違う存在なのかな。そこら辺は謎だ。

「それじゃあ、畑のことは任せた。二人とも頑張ってね」
『うん……』
『うんなの』

 二人の頭を撫でてあげてから、牧場での日課を終わらせて、ラングさんの店に向かう。

「こんばんは」
「おう。嬢ちゃん。時間通りだな」

 事前にラングさんにはメッセージを送っておいたので、ログインタイミングを合わせる事が出来た。

「武器の修理と作り直しをお願いします」

 双血剣と隠密双刀、そして竜狩刀と人斬りを渡す。ついでに、色々なボスモンスターの素材も渡しておいた。何かに使えるかもしれないし。

「ふむ……これは……時間が掛かりそうだな」
「出来そうですか?」
「何とかする。一つ確認なんだが、この刀はどういう形にしても良いのか?」
「出来れば、刀のままが良いです」

 竜狩刀と人斬りは、【二刀流】で使うつもりなので、どちらかというと刀のままの方が、都合が良い。

「なら、いっその事双血剣と隠密双刀を合わせるか」
「紐付けですか?」
「ああ、【短剣】【短刀】【マンゴーシュ】【脇差】【双剣】【双刀】を紐付けられる。その方が良いだろう?」

 滅茶苦茶多く紐付け出来るけど、私の場合は、結局【武芸千般】と【双剣】【双刀】の紐付けになる。まぁ、単体でそこまでの補正が入るのは有り難いけど。

「そうですね。でも、双血剣の特色だけは残しておいて欲しいです」
「【武芸千般】のために必要だからか。分かった。その方向でやろう。刀は、そのまま刀として復活させるか、それとも多少嬢ちゃん仕様に変更するか?」
「そう……ですね。なるべく刀の特徴を残して、私仕様にしてください」

 完全に自分仕様にするよりも、師匠と永正さんが使っていたという面影みたいなものは残っていた方が良い。私の気分的な話になるけど。

「了解だ。それなら、こっちも時間が欲しい。一週間程度は掛かると思ってくれ」
「了解です。じゃあ、連休の後半に取りに来ます」
「ああ」

 ラングさんに武器を任せて、今度はギルドエリアに戻る。多分、そろそろアカリがログインしているはずだからだ。すると、ちょうどアカリが屋敷から出て来るところだった。

「アカリ」
「ハクちゃん。防具の話?」
「うん」

 本当はレイド前に頼もうと思っていた防具の強化をやってもらう。【適応】とかが手に入ったし、結局強化してもらう事にはなっていただろうから、このタイミングでちょうど良かったかもしれない。

「そういえば、【適応】の確認はしてみたの?」
「ああ、うん。軽くね。防具の効果がなくても雪山とか砂漠とかの環境的デバフがなくなる感じ。後、水の中で長く潜れるくらい」
「ふ~ん……なるほどね。じゃあ、私が作ったアクセサリーも全部出して」
「オッケー」

 屋敷の中で防具とアクセサリーを全部渡す。その結果、休日のおでかけみたいな装備になった。

「しばらく図書館に籠もるかな」
「それが良いと思う。そうだ。今度のデートの話なんだけど、近くのショッピングモールとかに行こう」
「そんな普通な場所で良いの? せっかくのデートなんだから、遊園地とかあるでしょ?」
「実はね。この連休でお父さんとお母さんが帰省するんだって。何か色々とあって。だから、白ちゃん泊まりに来ない?」

 週末から来週の半ばまでの計五日間の連休がある。そこで何かしらの用事があって、両親がいないから、泊まりの案が出たみたい。

「あ~、なるほど。だから、近場って事ね」

 適当にショッピングして、後はお家デートって感じだと思う。

「いつまでいないの?」
「最初の三日間。四日目に帰ってくるよ」
「じゃあ、せっかくだから三日泊まろうかな。お母さんに言ってみる」
「うん! こっちは許可取れてるから、全然大丈夫だよ」
「えっ、三日分だけど」
「寧ろ連休中ずっとでも大丈夫って言ってた」
「うわぁ……見透かされてる。まぁ、話が早くて助かるけど」

 割と似たような事をしていた事があるので、おばさんも分かっていたのかもしれない。取り敢えず、これで、私側が確認するだけで済むようになった。多分、お母さんも許可してくれると思うから、三日間はアカリと二人きりだ。

「そうなると、擬似的な同棲みたいになるのかな」

 そう言うと、アカリの動きが止まった。仄かに顔が赤い。

「わ、私は、先にログアウトするね。また明日ね」

 アカリは、早口でそう言うとログアウトした。

「う~ん……照れてるアカリも可愛いな」

 私もログアウトして、その日は眠った。それから土曜日までは、基本的に図書館で過ごす。魔導大図書館の権限レベルも上げて、現在第五段階まで来ている。ただ、そこまででも有益な情報は少ない。嬉しいのは、ダンジョン系の書籍が増えた事で、色々と考察要素が増えた事だ。後は、モンスターの書籍も増えて、これまで把握出来ていなかったモンスターのスキルなども確認出来た。ただ、やっぱり私が出会っていないモンスターに関しては分からないままだった。
 そして、土曜日からの三日間を光の家で過ごす許可も得られたので、光とのデートを楽しめる事になった。
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