309 / 456
因縁に決着をつける吸血少女
花精霊のアルラウネ
しおりを挟む
周囲を警戒しながら地面に降りた。周囲の植物は大分崩れている。
「ハクちゃん!」
地面に着いたら、先に降りていたアカリが駆け寄ってきた。崩れている植物の中から脱出して、ちゃんと無事だったみたい。ちょっと安心した。
【蒼天】の反動が抜けていないので、軽く手を上げて応える。アカリの他にも皆が駆け寄って来た。
「ハクちゃん、大丈夫だった?」
アク姉の確認に頷く。
「【蒼天】の反動だね。アルラウネは倒したの?」
これにも頷く。
「でも、アルラウネは消えていない……どういう事?」
これには首を横に振る。私にも分からないという意味だ。
「最後のトドメが必要とか?」
「う~ん……普通はそうだよね……でも、本当にそうなのかな?」
メイティさんの考えは、至極普通だ。それに対して、疑問を抱いているアク姉の方がおかしいと言える。
普通のゲームなら、私もメイティさんと同意見だった。でも、このゲームに関しては、私もアク姉と同意見だ。何かが隠されている気がする。
ただ、それを伝えようにも、まだ【蒼天】の反動が……
「あ……あっ、声出た。私もアク姉と同じ意見。この子の身体がポリゴンになっていないのは、何か理由があると思う。多分、トドメを刺すか、他の選択肢を取るのかって感じじゃないかな」
「でも、何をするの?」
アカリにそう訊かれて、一つ思い付いた事があった。
「ライ、交代ね。今日は、頑張ってくれてありがとう」
『……』こくり
頷いて答えるライの頭を撫でてあげてから、ライをギルドエリアに帰した。
「【召喚・レイン】」
ライと交代でレインを喚び出した。
「レイン。この子に水を与えてくれる?」
『うん。良いよ』
レインの水でアルラウネを包み込む。すると、アルラウネが水を吸収し始めた。でも、HPが表示される事はない。すぐに再戦という事はなさそうだ。
どんどんと水を吸収してアルラウネが目を開けた。そして、私の事をジッと見る。
『アルラウネをテイム出来ます。YES/NO』
驚いたけど、迷わずにYESを押す。名前の入力が出来るようになるので、少し考える。
「安直だけど、ラウネで」
名前をラウネで決定する。
「えっ……テイム出来たの?」
「うん」
アク姉は、驚いてから大きく息を吐いた。私ばかりテイムしまくりだからかな。相手はレイドボスだし、結構シビアな条件が付けられていると思うけど、それがどんな条件かは分からない。これまでテイム出来た人がいないとしたら、精霊をテイムしている事が条件にありそうではあるけど。
「よろしくね。ラウネ」
『よろしくなの……』
ラウネはギルドエリアへと転移した。同時に、レイドをクリアしたというウィンドウが出て来る。報酬は、アンブロシアの種と世界樹の苗木だった。称号も手に入れた。【花精霊の守り】といもので、植物系モンスターから受けるダメージを微減少するというものだった。場所によっては使いようがありそう。
「アカリは何だった?」
「アンブロシアの花だけ」
「そうなの? 私は花精霊の蜜だったよ」
他の皆の報酬もアンブロシアの花か花精霊の蜜だけだった。私は、ラストアタック報酬も含めて二つって感じなのかな。いや、一番の報酬は、ラウネをテイム出来た事なのかな。
「そういえば、アク姉の方は、どんな感じだったの? 私、最後一人で戦ってたんだけど」
「え? そうなの? 私達は、虫モンスターが滅茶苦茶押し寄せてきてたよ。エアリーちゃん達がいたから、何とかなったって感じかな」
「私達の方は、木の化物が襲い掛かってきたよ。ウッドマンって名前だったかな。そこまでの数じゃないけど、結構硬かったから、サツキさんが大活躍だった」
私以外の方もそれなりに大変そうだった。
「それにしても、結構意地悪な仕様よね。前衛と後衛を分けて、前衛の中でもまた分けられてって、ここのレイドは最大十八人だけど、本来はどんな感じで分けられるのかしら?」
「姉さんに訊いてみる?」
「その手があった。暇があったら訊いておいて」
「オッケー」
アク姉はそう言って、フレ姉にメッセージを書き始めた。絶対返信の催促も書いている。そして、フレ姉は、そういう催促に文句を言いつつ、手早く返信を送ってくれる。実際、すぐに返信が来た。
「前衛と後衛の分断は、そのままで最後は与えたダメージが多い人が一対一になるみたい。全体の合計での計算みたいだね。HPがなくなった後に、また一撃与えないとレイドは終わらないってさ」
「じゃあ、一対一になるのは確定って事? 酷すぎない?」
「あっ、ゲルちゃんから追加情報だ。下で戦っている人達が全滅すると、そのモンスター達がどんどん上に上がってくるみたい。下が全滅したら、虫と木の化物も合わせて一人で戦う事になるみたい」
やっぱり、下の人達も重要な役割を担っていた。攻略するなら、ダメージをコントロールして一人で戦う人を固定する必要があるかな。間違って一人で戦うのが苦手な人に当たったら、最悪だからね。そう考えたら、ソロばかりしている私が最後になったのは運が良かった。一撃が重いけど、攻撃速度は遅いサツキさんじゃ、攻撃を捌ききるのは難しそうだし。
「じゃあ、ソロで挑んだら、最悪な事になるんだね」
「レイドに一人で挑むなって事じゃないかしら。それか、それを突破出来るだけの力を身に付けろって事かもしれないわね。ハクちゃんなら、一人でも出来るんじゃない?」
「いや……最後ヤバいですよ。尖った木が飛んで来ますし、これまでの攻撃が何重にもなって飛んで来ますから」
「……エグいわね」
「それならハクちゃんが上がって良かったな。私じゃ対応しきれない」
サツキさん自身も無理だと思ったみたい。一人でアルラウネと戦えるだけの戦力を持つ人が必要って、結構難しい気がする。初心者用かと思ったけど、ちゃんと高難易度のレイドエリアだったらしい。
「明日の死霊術士の墓場は、こうじゃないと良いなぁ」
「割と特殊な部類だろうから、さすがにないと思うけどね。取り敢えず、今日はこれで解散かな。ハクちゃんとアカリちゃんは、どうしたい?」
「私はギルドエリアに戻って色々とする」
「私も同じくです」
という事で、今日はこれで解散となった。割と疲れていたから、一旦ギルドエリアで休むのと同時にラウネの住む場所を選ぶ。十中八九畑になるだろうけど。
「ハクちゃん!」
地面に着いたら、先に降りていたアカリが駆け寄ってきた。崩れている植物の中から脱出して、ちゃんと無事だったみたい。ちょっと安心した。
【蒼天】の反動が抜けていないので、軽く手を上げて応える。アカリの他にも皆が駆け寄って来た。
「ハクちゃん、大丈夫だった?」
アク姉の確認に頷く。
「【蒼天】の反動だね。アルラウネは倒したの?」
これにも頷く。
「でも、アルラウネは消えていない……どういう事?」
これには首を横に振る。私にも分からないという意味だ。
「最後のトドメが必要とか?」
「う~ん……普通はそうだよね……でも、本当にそうなのかな?」
メイティさんの考えは、至極普通だ。それに対して、疑問を抱いているアク姉の方がおかしいと言える。
普通のゲームなら、私もメイティさんと同意見だった。でも、このゲームに関しては、私もアク姉と同意見だ。何かが隠されている気がする。
ただ、それを伝えようにも、まだ【蒼天】の反動が……
「あ……あっ、声出た。私もアク姉と同じ意見。この子の身体がポリゴンになっていないのは、何か理由があると思う。多分、トドメを刺すか、他の選択肢を取るのかって感じじゃないかな」
「でも、何をするの?」
アカリにそう訊かれて、一つ思い付いた事があった。
「ライ、交代ね。今日は、頑張ってくれてありがとう」
『……』こくり
頷いて答えるライの頭を撫でてあげてから、ライをギルドエリアに帰した。
「【召喚・レイン】」
ライと交代でレインを喚び出した。
「レイン。この子に水を与えてくれる?」
『うん。良いよ』
レインの水でアルラウネを包み込む。すると、アルラウネが水を吸収し始めた。でも、HPが表示される事はない。すぐに再戦という事はなさそうだ。
どんどんと水を吸収してアルラウネが目を開けた。そして、私の事をジッと見る。
『アルラウネをテイム出来ます。YES/NO』
驚いたけど、迷わずにYESを押す。名前の入力が出来るようになるので、少し考える。
「安直だけど、ラウネで」
名前をラウネで決定する。
「えっ……テイム出来たの?」
「うん」
アク姉は、驚いてから大きく息を吐いた。私ばかりテイムしまくりだからかな。相手はレイドボスだし、結構シビアな条件が付けられていると思うけど、それがどんな条件かは分からない。これまでテイム出来た人がいないとしたら、精霊をテイムしている事が条件にありそうではあるけど。
「よろしくね。ラウネ」
『よろしくなの……』
ラウネはギルドエリアへと転移した。同時に、レイドをクリアしたというウィンドウが出て来る。報酬は、アンブロシアの種と世界樹の苗木だった。称号も手に入れた。【花精霊の守り】といもので、植物系モンスターから受けるダメージを微減少するというものだった。場所によっては使いようがありそう。
「アカリは何だった?」
「アンブロシアの花だけ」
「そうなの? 私は花精霊の蜜だったよ」
他の皆の報酬もアンブロシアの花か花精霊の蜜だけだった。私は、ラストアタック報酬も含めて二つって感じなのかな。いや、一番の報酬は、ラウネをテイム出来た事なのかな。
「そういえば、アク姉の方は、どんな感じだったの? 私、最後一人で戦ってたんだけど」
「え? そうなの? 私達は、虫モンスターが滅茶苦茶押し寄せてきてたよ。エアリーちゃん達がいたから、何とかなったって感じかな」
「私達の方は、木の化物が襲い掛かってきたよ。ウッドマンって名前だったかな。そこまでの数じゃないけど、結構硬かったから、サツキさんが大活躍だった」
私以外の方もそれなりに大変そうだった。
「それにしても、結構意地悪な仕様よね。前衛と後衛を分けて、前衛の中でもまた分けられてって、ここのレイドは最大十八人だけど、本来はどんな感じで分けられるのかしら?」
「姉さんに訊いてみる?」
「その手があった。暇があったら訊いておいて」
「オッケー」
アク姉はそう言って、フレ姉にメッセージを書き始めた。絶対返信の催促も書いている。そして、フレ姉は、そういう催促に文句を言いつつ、手早く返信を送ってくれる。実際、すぐに返信が来た。
「前衛と後衛の分断は、そのままで最後は与えたダメージが多い人が一対一になるみたい。全体の合計での計算みたいだね。HPがなくなった後に、また一撃与えないとレイドは終わらないってさ」
「じゃあ、一対一になるのは確定って事? 酷すぎない?」
「あっ、ゲルちゃんから追加情報だ。下で戦っている人達が全滅すると、そのモンスター達がどんどん上に上がってくるみたい。下が全滅したら、虫と木の化物も合わせて一人で戦う事になるみたい」
やっぱり、下の人達も重要な役割を担っていた。攻略するなら、ダメージをコントロールして一人で戦う人を固定する必要があるかな。間違って一人で戦うのが苦手な人に当たったら、最悪だからね。そう考えたら、ソロばかりしている私が最後になったのは運が良かった。一撃が重いけど、攻撃速度は遅いサツキさんじゃ、攻撃を捌ききるのは難しそうだし。
「じゃあ、ソロで挑んだら、最悪な事になるんだね」
「レイドに一人で挑むなって事じゃないかしら。それか、それを突破出来るだけの力を身に付けろって事かもしれないわね。ハクちゃんなら、一人でも出来るんじゃない?」
「いや……最後ヤバいですよ。尖った木が飛んで来ますし、これまでの攻撃が何重にもなって飛んで来ますから」
「……エグいわね」
「それならハクちゃんが上がって良かったな。私じゃ対応しきれない」
サツキさん自身も無理だと思ったみたい。一人でアルラウネと戦えるだけの戦力を持つ人が必要って、結構難しい気がする。初心者用かと思ったけど、ちゃんと高難易度のレイドエリアだったらしい。
「明日の死霊術士の墓場は、こうじゃないと良いなぁ」
「割と特殊な部類だろうから、さすがにないと思うけどね。取り敢えず、今日はこれで解散かな。ハクちゃんとアカリちゃんは、どうしたい?」
「私はギルドエリアに戻って色々とする」
「私も同じくです」
という事で、今日はこれで解散となった。割と疲れていたから、一旦ギルドエリアで休むのと同時にラウネの住む場所を選ぶ。十中八九畑になるだろうけど。
20
お気に入りに追加
171
あなたにおすすめの小説
最前線攻略に疲れた俺は、新作VRMMOを最弱職業で楽しむことにした
水の入ったペットボトル
SF
これまであらゆるMMOを最前線攻略してきたが、もう俺(大川優磨)はこの遊び方に満足してしまった。いや、もう楽しいとすら思えない。
ゲームは楽しむためにするものだと思い出した俺は、新作VRMMOを最弱職業『テイマー』で始めることに。
βテストでは最弱職業だと言われていたテイマーだが、主人公の活躍によって評価が上がっていく?
そんな周りの評価など関係なしに、今日も主人公は楽しむことに全力を出す。
この作品は「カクヨム」様、「小説家になろう」様にも掲載しています。
吸血少女 設定資料集(おまけ付き)
月輪林檎
SF
『吸血少女ののんびり気ままなゲームライフ』のスキルやその技、武具の追加効果などを章ごとに分けて簡潔に説明します。その章で新しく出て来たものを書いていくので、過去の章に出て来ているものは、過去の章から確認してください。
さらに、ハク以外の視点で、ちょっとした話も書くかもしれません。所謂番外編です。
基本的に不定期更新です。
とある高校の淫らで背徳的な日常
神谷 愛
恋愛
とある高校に在籍する少女の話。
クラスメイトに手を出し、教師に手を出し、あちこちで好き放題している彼女の日常。
後輩も先輩も、教師も彼女の前では一匹の雌に過ぎなかった。
ノクターンとかにもある
お気に入りをしてくれると喜ぶ。
感想を貰ったら踊り狂って喜ぶ。
してくれたら次の投稿が早くなるかも、しれない。
最強のギルド職員は平和に暮らしたい
月輪林檎
ファンタジー
【第一章 完】 【第二章 完】
魔物が蔓延り、ダンジョンが乱立する世界。そこでは、冒険者という職業が出来ていた。そして、その冒険者をサポートし、魔物の情報やダンジョンの情報を統括する組織が出来上がった。
その名前は、冒険者ギルド。全ての冒険者はギルドに登録しないといけない。ギルドに所属することで、様々なサポートを受けられ、冒険を円滑なものにする事が出来る。
私、アイリス・ミリアーゼは、十六歳を迎え、長年通った学校を卒業した。そして、目標であったギルド職員に最年少で採用される事になった。騎士団からのスカウトもあったけど、全力で断った。
何故かと言うと…………ギルド職員の給料が、騎士団よりも良いから!
それに、騎士団は自由に出来る時間が少なすぎる。それに比べて、ギルド職員は、ちゃんと休みがあるから、自分の時間を作る事が出来る。これが、選んだ決め手だ。
学校の先生からは、
「戦闘系スキルを、それだけ持っているのにも関わらず、冒険者にならず、騎士団にも入らないのか? 勿体ない」
と言われた。確かに、私は、戦闘系のスキルを多く持っている。でも、だからって、戦うのが好きなわけじゃない。私はもっと平和に暮らしたい!!
VRゲームでも身体は動かしたくない。
姫野 佑
SF
多種多様な武器やスキル、様々な【称号】が存在するが職業という概念が存在しない<Imperial Of Egg>。
古き良きPCゲームとして稼働していた<Imperial Of Egg>もいよいよ完全没入型VRMMO化されることになった。
身体をなるべく動かしたくないと考えている岡田智恵理は<Imperial Of Egg>がVRゲームになるという発表を聞いて気落ちしていた。
しかしゲーム内の親友との会話で落ち着きを取り戻し、<Imperial Of Egg>にログインする。
当作品は小説家になろう様で連載しております。
章が完結次第、一日一話投稿致します。
百合ランジェリーカフェにようこそ!
楠富 つかさ
青春
主人公、下条藍はバイトを探すちょっと胸が大きい普通の女子大生。ある日、同じサークルの先輩からバイト先を紹介してもらうのだが、そこは男子禁制のカフェ併設ランジェリーショップで!?
ちょっとハレンチなお仕事カフェライフ、始まります!!
※この物語はフィクションであり実在の人物・団体・法律とは一切関係ありません。
表紙画像はAIイラストです。下着が生成できないのでビキニで代用しています。
〈社会人百合〉アキとハル
みなはらつかさ
恋愛
女の子拾いました――。
ある朝起きたら、隣にネイキッドな女の子が寝ていた!?
主人公・紅(くれない)アキは、どういったことかと問いただすと、酔っ払った勢いで、彼女・葵(あおい)ハルと一夜をともにしたらしい。
しかも、ハルは失踪中の大企業令嬢で……?
絵:Novel AI
ユーザ登録のメリット
- 毎日¥0対象作品が毎日1話無料!
- お気に入り登録で最新話を見逃さない!
- しおり機能で小説の続きが読みやすい!
1~3分で完了!
無料でユーザ登録する
すでにユーザの方はログイン
閉じる