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因縁に決着をつける吸血少女
仲良し
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結局一階での成果は、【無限水】だけとなった。もう一度中の探索に移るので、一旦レインは交代となる。
「手伝ってくれて、ありがとうね。マシロと交代」
『うん!』
レインの頭を撫でてあげてからマシロと交代する。交代で出て来たマシロの背中にメアが飛び乗った。いきなり飛び乗った事で、またマシロが怒るけど、メアは何も気にせずにマシロの背中に乗ったままだった。乗っているというより、抱きついていると言った方が正解かもしれない。仲が良いのは良いことだけど、この子達、恋人同士の距離感な気がする。
「二人は仲が良いね」
『ふふん! マシロの事好きだもん♪ マシロも私の事好きだし♪』
『…………』
メアのド直球な愛に、マシロは顔を赤くしていた。
いつの間にか、精霊同士でカップルが出来上がっていた。まぁ、マシロが自分と戦っていた時に、いつも傍に居たのはメアだし、割とない話ではない。ただ、何となく私とアカリが恋人になるより早く恋人になっていたような気がしてならない。実は先を越されていたかもしれないという事実に、若干ショックを受ける。
いつも何かしらあって追いかけっこしているけど、ギルドエリアの集会場で添い寝しているところはよく見るし、本当になるべくしてなったみたいな感じがする。
「取り敢えず、喧嘩は程々にね。特にメア。やりすぎると、本気の拳が脳天に突き刺さって悶絶する事になるよ」
『えっ……マシロって、そんな馬鹿力を……』
『持っていないわよ!』
「マシロは、華奢で可愛いもんね。私の一番上の姉の話。アク姉が、しゃちほこみたいに反り返るのは面白かったけど、滅茶苦茶痛そうだった……」
この話を聞いて、メアとマシロが顔を見合わせていた。フレ姉がアク姉を本気で殴ったのは、数えられるくらいだけど、大抵はアク姉が悪い。
「さっ、探索の続きをしようか。次は二階だね」
『お~♪』
次の探索場所は、古城の二階だ。二階に上がると、ずらーっと並んだ部屋がある。
「……これを一部屋一部屋調べるのかぁ」
『部屋の大きさ的には、城下町の家の半分くらいです。部屋同士の距離も少しありますから、城下町よりも少し少ないと思いますよ』
「それが上にもあるから、結局こっちの方が多いよね?」
『それはそうですね』
言っていても仕方ない。身体を動かさないと終わるものも終わらない。一番端っこの部屋から調べて行く。中の部屋は、居室のようでタンス、ベッド、机、椅子が一つずつ置いてあった。
「シンプルな部屋。一部屋調べるのに時間は掛からなさそうだね。マシロ、灯りをお願い」
『うん』
マシロが出してくれる灯りを利用して、暗がりも徹底して調べる。【明暗順応】のスキルだけに頼らず、マシロの灯りを利用しているから、結構早く一部屋を調べる事が出来る。残っているのは、真っ白なメモ帳や折れた鉛筆、ボロボロの布きればかり。なにかしらの情報に繋がるものは見つからない。
「ただの部屋か……この布きれも服だったものなのかな。皆、何か見つけた?」
『何もありません。この亀裂も隣の部屋には繋がっていません』
『闇が濃い場所もないよ』
『特に見当たらないわ』
次々に調べて行くけど、全然何も見つからない。時々中にモンスターがいる事があったけど、メアとマシロが虚無で倒していた。本当に息ぴったりだ。微調整が難しいとマシロが言っていたけど、それもちゃんと出来ている。
「そろそろ戻るかな。闇霧の始祖に話をしてからだけど」
皆と一緒に闇霧の始祖の元に向かう。古城エリアには、割とプレイヤーがいるようなので、なるべくプレイヤーと会わないルートをエアリーに探って貰いながら進んでいき、部屋の中に入る。
『ん? 随分と早いな。何かあったか?』
「あ~、うん。謝らないといけない事があって、北の庭にある噴水を壊しちゃった」
『噴水? ああ、そんなものもあったな。別に構わん。趣味じゃないものだからな』
「そうなの?」
『ああ。噴水好きに見えるか?』
どう見ても、闇霧の始祖が噴水好きには見えない。
「ううん。引きこもりに見える」
『正直なやつだな。まぁ、そういう事だ』
「誰から貰ったの?」
『誰だったか……ああ、街の北に屋敷があるだろう? そこの吸血鬼だ。あの噴水は……確か、精霊の血を核にしたものだったか。希少なもので俺への忠誠を表したんだろうな。内心は真逆だったようだが』
闇霧の始祖も噴水の核については聞いていたらしい。でも、興味がなかったら何もしなかったみたい。
「ふ~ん。まぁ、良いならいいや。これから古城の中を隅々まで調べるつもりだけど、何か調べちゃ駄目な場所ってある?」
『ないな。あるものは貰って良い。だが、気を付けろ。危険物も混じっているからな』
「了解。それじゃあ、またね」
『ああ、また来い』
闇霧の始祖に報告も終えたので、ギルドエリアに戻ってログアウトした。そして、夕食などを終わらせて、再びログインし、古城の探索を続ける。夜のうちに二階にある部屋の探索は全て終える事が出来た。そこでの収穫は一つもなかった。
「う~ん……本当に何もないなぁ。これは、三階に期待かな」
翌日。同様に三階を調べに向かった。三階も二階と同じように部屋が並ぶ階になっている。ただ、部屋の規模は二階よりも遙かに大きい。
下が使用人の部屋なら、ここは客室とかになるのかな。部屋にあるのは、キングサイズくらいのベッドが一台。それに大きめのテーブルと三脚の椅子。大きなタンスとキャビネット、ドレッサーがある。そして、そこから繋がる場所に洗面台とお風呂とトイレが付いている。ただ全部ボロボロに壊れていた。劣化のせいなのかな。ここでも特に情報は得られなかった。
平日の夜は、探索に使うと次の日に影響するので、探索ではなく簡単なレベル上げをしていく。とは言っても、師匠との稽古が主になるから、簡単とは言い難いけど。
そして、この平日の間に、アク姉達とレイドに行く日が決まった。急だけど、次の週の土日に二箇所攻略する事になった。一日で攻略出来るか心配だったけど、アク姉達が言うには、ボスエリアまでは通常のダンジョンと同じようなものらしい。だから、一日での攻略は普通に可能みたいだ。こっちには、精霊達もいるしね。
久しぶりに人とパーティーを組んで攻略をするので、ちょっと楽しみだ。
「手伝ってくれて、ありがとうね。マシロと交代」
『うん!』
レインの頭を撫でてあげてからマシロと交代する。交代で出て来たマシロの背中にメアが飛び乗った。いきなり飛び乗った事で、またマシロが怒るけど、メアは何も気にせずにマシロの背中に乗ったままだった。乗っているというより、抱きついていると言った方が正解かもしれない。仲が良いのは良いことだけど、この子達、恋人同士の距離感な気がする。
「二人は仲が良いね」
『ふふん! マシロの事好きだもん♪ マシロも私の事好きだし♪』
『…………』
メアのド直球な愛に、マシロは顔を赤くしていた。
いつの間にか、精霊同士でカップルが出来上がっていた。まぁ、マシロが自分と戦っていた時に、いつも傍に居たのはメアだし、割とない話ではない。ただ、何となく私とアカリが恋人になるより早く恋人になっていたような気がしてならない。実は先を越されていたかもしれないという事実に、若干ショックを受ける。
いつも何かしらあって追いかけっこしているけど、ギルドエリアの集会場で添い寝しているところはよく見るし、本当になるべくしてなったみたいな感じがする。
「取り敢えず、喧嘩は程々にね。特にメア。やりすぎると、本気の拳が脳天に突き刺さって悶絶する事になるよ」
『えっ……マシロって、そんな馬鹿力を……』
『持っていないわよ!』
「マシロは、華奢で可愛いもんね。私の一番上の姉の話。アク姉が、しゃちほこみたいに反り返るのは面白かったけど、滅茶苦茶痛そうだった……」
この話を聞いて、メアとマシロが顔を見合わせていた。フレ姉がアク姉を本気で殴ったのは、数えられるくらいだけど、大抵はアク姉が悪い。
「さっ、探索の続きをしようか。次は二階だね」
『お~♪』
次の探索場所は、古城の二階だ。二階に上がると、ずらーっと並んだ部屋がある。
「……これを一部屋一部屋調べるのかぁ」
『部屋の大きさ的には、城下町の家の半分くらいです。部屋同士の距離も少しありますから、城下町よりも少し少ないと思いますよ』
「それが上にもあるから、結局こっちの方が多いよね?」
『それはそうですね』
言っていても仕方ない。身体を動かさないと終わるものも終わらない。一番端っこの部屋から調べて行く。中の部屋は、居室のようでタンス、ベッド、机、椅子が一つずつ置いてあった。
「シンプルな部屋。一部屋調べるのに時間は掛からなさそうだね。マシロ、灯りをお願い」
『うん』
マシロが出してくれる灯りを利用して、暗がりも徹底して調べる。【明暗順応】のスキルだけに頼らず、マシロの灯りを利用しているから、結構早く一部屋を調べる事が出来る。残っているのは、真っ白なメモ帳や折れた鉛筆、ボロボロの布きればかり。なにかしらの情報に繋がるものは見つからない。
「ただの部屋か……この布きれも服だったものなのかな。皆、何か見つけた?」
『何もありません。この亀裂も隣の部屋には繋がっていません』
『闇が濃い場所もないよ』
『特に見当たらないわ』
次々に調べて行くけど、全然何も見つからない。時々中にモンスターがいる事があったけど、メアとマシロが虚無で倒していた。本当に息ぴったりだ。微調整が難しいとマシロが言っていたけど、それもちゃんと出来ている。
「そろそろ戻るかな。闇霧の始祖に話をしてからだけど」
皆と一緒に闇霧の始祖の元に向かう。古城エリアには、割とプレイヤーがいるようなので、なるべくプレイヤーと会わないルートをエアリーに探って貰いながら進んでいき、部屋の中に入る。
『ん? 随分と早いな。何かあったか?』
「あ~、うん。謝らないといけない事があって、北の庭にある噴水を壊しちゃった」
『噴水? ああ、そんなものもあったな。別に構わん。趣味じゃないものだからな』
「そうなの?」
『ああ。噴水好きに見えるか?』
どう見ても、闇霧の始祖が噴水好きには見えない。
「ううん。引きこもりに見える」
『正直なやつだな。まぁ、そういう事だ』
「誰から貰ったの?」
『誰だったか……ああ、街の北に屋敷があるだろう? そこの吸血鬼だ。あの噴水は……確か、精霊の血を核にしたものだったか。希少なもので俺への忠誠を表したんだろうな。内心は真逆だったようだが』
闇霧の始祖も噴水の核については聞いていたらしい。でも、興味がなかったら何もしなかったみたい。
「ふ~ん。まぁ、良いならいいや。これから古城の中を隅々まで調べるつもりだけど、何か調べちゃ駄目な場所ってある?」
『ないな。あるものは貰って良い。だが、気を付けろ。危険物も混じっているからな』
「了解。それじゃあ、またね」
『ああ、また来い』
闇霧の始祖に報告も終えたので、ギルドエリアに戻ってログアウトした。そして、夕食などを終わらせて、再びログインし、古城の探索を続ける。夜のうちに二階にある部屋の探索は全て終える事が出来た。そこでの収穫は一つもなかった。
「う~ん……本当に何もないなぁ。これは、三階に期待かな」
翌日。同様に三階を調べに向かった。三階も二階と同じように部屋が並ぶ階になっている。ただ、部屋の規模は二階よりも遙かに大きい。
下が使用人の部屋なら、ここは客室とかになるのかな。部屋にあるのは、キングサイズくらいのベッドが一台。それに大きめのテーブルと三脚の椅子。大きなタンスとキャビネット、ドレッサーがある。そして、そこから繋がる場所に洗面台とお風呂とトイレが付いている。ただ全部ボロボロに壊れていた。劣化のせいなのかな。ここでも特に情報は得られなかった。
平日の夜は、探索に使うと次の日に影響するので、探索ではなく簡単なレベル上げをしていく。とは言っても、師匠との稽古が主になるから、簡単とは言い難いけど。
そして、この平日の間に、アク姉達とレイドに行く日が決まった。急だけど、次の週の土日に二箇所攻略する事になった。一日で攻略出来るか心配だったけど、アク姉達が言うには、ボスエリアまでは通常のダンジョンと同じようなものらしい。だから、一日での攻略は普通に可能みたいだ。こっちには、精霊達もいるしね。
久しぶりに人とパーティーを組んで攻略をするので、ちょっと楽しみだ。
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