303 / 456
因縁に決着をつける吸血少女
仲良し
しおりを挟む
結局一階での成果は、【無限水】だけとなった。もう一度中の探索に移るので、一旦レインは交代となる。
「手伝ってくれて、ありがとうね。マシロと交代」
『うん!』
レインの頭を撫でてあげてからマシロと交代する。交代で出て来たマシロの背中にメアが飛び乗った。いきなり飛び乗った事で、またマシロが怒るけど、メアは何も気にせずにマシロの背中に乗ったままだった。乗っているというより、抱きついていると言った方が正解かもしれない。仲が良いのは良いことだけど、この子達、恋人同士の距離感な気がする。
「二人は仲が良いね」
『ふふん! マシロの事好きだもん♪ マシロも私の事好きだし♪』
『…………』
メアのド直球な愛に、マシロは顔を赤くしていた。
いつの間にか、精霊同士でカップルが出来上がっていた。まぁ、マシロが自分と戦っていた時に、いつも傍に居たのはメアだし、割とない話ではない。ただ、何となく私とアカリが恋人になるより早く恋人になっていたような気がしてならない。実は先を越されていたかもしれないという事実に、若干ショックを受ける。
いつも何かしらあって追いかけっこしているけど、ギルドエリアの集会場で添い寝しているところはよく見るし、本当になるべくしてなったみたいな感じがする。
「取り敢えず、喧嘩は程々にね。特にメア。やりすぎると、本気の拳が脳天に突き刺さって悶絶する事になるよ」
『えっ……マシロって、そんな馬鹿力を……』
『持っていないわよ!』
「マシロは、華奢で可愛いもんね。私の一番上の姉の話。アク姉が、しゃちほこみたいに反り返るのは面白かったけど、滅茶苦茶痛そうだった……」
この話を聞いて、メアとマシロが顔を見合わせていた。フレ姉がアク姉を本気で殴ったのは、数えられるくらいだけど、大抵はアク姉が悪い。
「さっ、探索の続きをしようか。次は二階だね」
『お~♪』
次の探索場所は、古城の二階だ。二階に上がると、ずらーっと並んだ部屋がある。
「……これを一部屋一部屋調べるのかぁ」
『部屋の大きさ的には、城下町の家の半分くらいです。部屋同士の距離も少しありますから、城下町よりも少し少ないと思いますよ』
「それが上にもあるから、結局こっちの方が多いよね?」
『それはそうですね』
言っていても仕方ない。身体を動かさないと終わるものも終わらない。一番端っこの部屋から調べて行く。中の部屋は、居室のようでタンス、ベッド、机、椅子が一つずつ置いてあった。
「シンプルな部屋。一部屋調べるのに時間は掛からなさそうだね。マシロ、灯りをお願い」
『うん』
マシロが出してくれる灯りを利用して、暗がりも徹底して調べる。【明暗順応】のスキルだけに頼らず、マシロの灯りを利用しているから、結構早く一部屋を調べる事が出来る。残っているのは、真っ白なメモ帳や折れた鉛筆、ボロボロの布きればかり。なにかしらの情報に繋がるものは見つからない。
「ただの部屋か……この布きれも服だったものなのかな。皆、何か見つけた?」
『何もありません。この亀裂も隣の部屋には繋がっていません』
『闇が濃い場所もないよ』
『特に見当たらないわ』
次々に調べて行くけど、全然何も見つからない。時々中にモンスターがいる事があったけど、メアとマシロが虚無で倒していた。本当に息ぴったりだ。微調整が難しいとマシロが言っていたけど、それもちゃんと出来ている。
「そろそろ戻るかな。闇霧の始祖に話をしてからだけど」
皆と一緒に闇霧の始祖の元に向かう。古城エリアには、割とプレイヤーがいるようなので、なるべくプレイヤーと会わないルートをエアリーに探って貰いながら進んでいき、部屋の中に入る。
『ん? 随分と早いな。何かあったか?』
「あ~、うん。謝らないといけない事があって、北の庭にある噴水を壊しちゃった」
『噴水? ああ、そんなものもあったな。別に構わん。趣味じゃないものだからな』
「そうなの?」
『ああ。噴水好きに見えるか?』
どう見ても、闇霧の始祖が噴水好きには見えない。
「ううん。引きこもりに見える」
『正直なやつだな。まぁ、そういう事だ』
「誰から貰ったの?」
『誰だったか……ああ、街の北に屋敷があるだろう? そこの吸血鬼だ。あの噴水は……確か、精霊の血を核にしたものだったか。希少なもので俺への忠誠を表したんだろうな。内心は真逆だったようだが』
闇霧の始祖も噴水の核については聞いていたらしい。でも、興味がなかったら何もしなかったみたい。
「ふ~ん。まぁ、良いならいいや。これから古城の中を隅々まで調べるつもりだけど、何か調べちゃ駄目な場所ってある?」
『ないな。あるものは貰って良い。だが、気を付けろ。危険物も混じっているからな』
「了解。それじゃあ、またね」
『ああ、また来い』
闇霧の始祖に報告も終えたので、ギルドエリアに戻ってログアウトした。そして、夕食などを終わらせて、再びログインし、古城の探索を続ける。夜のうちに二階にある部屋の探索は全て終える事が出来た。そこでの収穫は一つもなかった。
「う~ん……本当に何もないなぁ。これは、三階に期待かな」
翌日。同様に三階を調べに向かった。三階も二階と同じように部屋が並ぶ階になっている。ただ、部屋の規模は二階よりも遙かに大きい。
下が使用人の部屋なら、ここは客室とかになるのかな。部屋にあるのは、キングサイズくらいのベッドが一台。それに大きめのテーブルと三脚の椅子。大きなタンスとキャビネット、ドレッサーがある。そして、そこから繋がる場所に洗面台とお風呂とトイレが付いている。ただ全部ボロボロに壊れていた。劣化のせいなのかな。ここでも特に情報は得られなかった。
平日の夜は、探索に使うと次の日に影響するので、探索ではなく簡単なレベル上げをしていく。とは言っても、師匠との稽古が主になるから、簡単とは言い難いけど。
そして、この平日の間に、アク姉達とレイドに行く日が決まった。急だけど、次の週の土日に二箇所攻略する事になった。一日で攻略出来るか心配だったけど、アク姉達が言うには、ボスエリアまでは通常のダンジョンと同じようなものらしい。だから、一日での攻略は普通に可能みたいだ。こっちには、精霊達もいるしね。
久しぶりに人とパーティーを組んで攻略をするので、ちょっと楽しみだ。
「手伝ってくれて、ありがとうね。マシロと交代」
『うん!』
レインの頭を撫でてあげてからマシロと交代する。交代で出て来たマシロの背中にメアが飛び乗った。いきなり飛び乗った事で、またマシロが怒るけど、メアは何も気にせずにマシロの背中に乗ったままだった。乗っているというより、抱きついていると言った方が正解かもしれない。仲が良いのは良いことだけど、この子達、恋人同士の距離感な気がする。
「二人は仲が良いね」
『ふふん! マシロの事好きだもん♪ マシロも私の事好きだし♪』
『…………』
メアのド直球な愛に、マシロは顔を赤くしていた。
いつの間にか、精霊同士でカップルが出来上がっていた。まぁ、マシロが自分と戦っていた時に、いつも傍に居たのはメアだし、割とない話ではない。ただ、何となく私とアカリが恋人になるより早く恋人になっていたような気がしてならない。実は先を越されていたかもしれないという事実に、若干ショックを受ける。
いつも何かしらあって追いかけっこしているけど、ギルドエリアの集会場で添い寝しているところはよく見るし、本当になるべくしてなったみたいな感じがする。
「取り敢えず、喧嘩は程々にね。特にメア。やりすぎると、本気の拳が脳天に突き刺さって悶絶する事になるよ」
『えっ……マシロって、そんな馬鹿力を……』
『持っていないわよ!』
「マシロは、華奢で可愛いもんね。私の一番上の姉の話。アク姉が、しゃちほこみたいに反り返るのは面白かったけど、滅茶苦茶痛そうだった……」
この話を聞いて、メアとマシロが顔を見合わせていた。フレ姉がアク姉を本気で殴ったのは、数えられるくらいだけど、大抵はアク姉が悪い。
「さっ、探索の続きをしようか。次は二階だね」
『お~♪』
次の探索場所は、古城の二階だ。二階に上がると、ずらーっと並んだ部屋がある。
「……これを一部屋一部屋調べるのかぁ」
『部屋の大きさ的には、城下町の家の半分くらいです。部屋同士の距離も少しありますから、城下町よりも少し少ないと思いますよ』
「それが上にもあるから、結局こっちの方が多いよね?」
『それはそうですね』
言っていても仕方ない。身体を動かさないと終わるものも終わらない。一番端っこの部屋から調べて行く。中の部屋は、居室のようでタンス、ベッド、机、椅子が一つずつ置いてあった。
「シンプルな部屋。一部屋調べるのに時間は掛からなさそうだね。マシロ、灯りをお願い」
『うん』
マシロが出してくれる灯りを利用して、暗がりも徹底して調べる。【明暗順応】のスキルだけに頼らず、マシロの灯りを利用しているから、結構早く一部屋を調べる事が出来る。残っているのは、真っ白なメモ帳や折れた鉛筆、ボロボロの布きればかり。なにかしらの情報に繋がるものは見つからない。
「ただの部屋か……この布きれも服だったものなのかな。皆、何か見つけた?」
『何もありません。この亀裂も隣の部屋には繋がっていません』
『闇が濃い場所もないよ』
『特に見当たらないわ』
次々に調べて行くけど、全然何も見つからない。時々中にモンスターがいる事があったけど、メアとマシロが虚無で倒していた。本当に息ぴったりだ。微調整が難しいとマシロが言っていたけど、それもちゃんと出来ている。
「そろそろ戻るかな。闇霧の始祖に話をしてからだけど」
皆と一緒に闇霧の始祖の元に向かう。古城エリアには、割とプレイヤーがいるようなので、なるべくプレイヤーと会わないルートをエアリーに探って貰いながら進んでいき、部屋の中に入る。
『ん? 随分と早いな。何かあったか?』
「あ~、うん。謝らないといけない事があって、北の庭にある噴水を壊しちゃった」
『噴水? ああ、そんなものもあったな。別に構わん。趣味じゃないものだからな』
「そうなの?」
『ああ。噴水好きに見えるか?』
どう見ても、闇霧の始祖が噴水好きには見えない。
「ううん。引きこもりに見える」
『正直なやつだな。まぁ、そういう事だ』
「誰から貰ったの?」
『誰だったか……ああ、街の北に屋敷があるだろう? そこの吸血鬼だ。あの噴水は……確か、精霊の血を核にしたものだったか。希少なもので俺への忠誠を表したんだろうな。内心は真逆だったようだが』
闇霧の始祖も噴水の核については聞いていたらしい。でも、興味がなかったら何もしなかったみたい。
「ふ~ん。まぁ、良いならいいや。これから古城の中を隅々まで調べるつもりだけど、何か調べちゃ駄目な場所ってある?」
『ないな。あるものは貰って良い。だが、気を付けろ。危険物も混じっているからな』
「了解。それじゃあ、またね」
『ああ、また来い』
闇霧の始祖に報告も終えたので、ギルドエリアに戻ってログアウトした。そして、夕食などを終わらせて、再びログインし、古城の探索を続ける。夜のうちに二階にある部屋の探索は全て終える事が出来た。そこでの収穫は一つもなかった。
「う~ん……本当に何もないなぁ。これは、三階に期待かな」
翌日。同様に三階を調べに向かった。三階も二階と同じように部屋が並ぶ階になっている。ただ、部屋の規模は二階よりも遙かに大きい。
下が使用人の部屋なら、ここは客室とかになるのかな。部屋にあるのは、キングサイズくらいのベッドが一台。それに大きめのテーブルと三脚の椅子。大きなタンスとキャビネット、ドレッサーがある。そして、そこから繋がる場所に洗面台とお風呂とトイレが付いている。ただ全部ボロボロに壊れていた。劣化のせいなのかな。ここでも特に情報は得られなかった。
平日の夜は、探索に使うと次の日に影響するので、探索ではなく簡単なレベル上げをしていく。とは言っても、師匠との稽古が主になるから、簡単とは言い難いけど。
そして、この平日の間に、アク姉達とレイドに行く日が決まった。急だけど、次の週の土日に二箇所攻略する事になった。一日で攻略出来るか心配だったけど、アク姉達が言うには、ボスエリアまでは通常のダンジョンと同じようなものらしい。だから、一日での攻略は普通に可能みたいだ。こっちには、精霊達もいるしね。
久しぶりに人とパーティーを組んで攻略をするので、ちょっと楽しみだ。
21
お気に入りに追加
171
あなたにおすすめの小説
最前線攻略に疲れた俺は、新作VRMMOを最弱職業で楽しむことにした
水の入ったペットボトル
SF
これまであらゆるMMOを最前線攻略してきたが、もう俺(大川優磨)はこの遊び方に満足してしまった。いや、もう楽しいとすら思えない。
ゲームは楽しむためにするものだと思い出した俺は、新作VRMMOを最弱職業『テイマー』で始めることに。
βテストでは最弱職業だと言われていたテイマーだが、主人公の活躍によって評価が上がっていく?
そんな周りの評価など関係なしに、今日も主人公は楽しむことに全力を出す。
この作品は「カクヨム」様、「小説家になろう」様にも掲載しています。
吸血少女 設定資料集(おまけ付き)
月輪林檎
SF
『吸血少女ののんびり気ままなゲームライフ』のスキルやその技、武具の追加効果などを章ごとに分けて簡潔に説明します。その章で新しく出て来たものを書いていくので、過去の章に出て来ているものは、過去の章から確認してください。
さらに、ハク以外の視点で、ちょっとした話も書くかもしれません。所謂番外編です。
基本的に不定期更新です。
とある高校の淫らで背徳的な日常
神谷 愛
恋愛
とある高校に在籍する少女の話。
クラスメイトに手を出し、教師に手を出し、あちこちで好き放題している彼女の日常。
後輩も先輩も、教師も彼女の前では一匹の雌に過ぎなかった。
ノクターンとかにもある
お気に入りをしてくれると喜ぶ。
感想を貰ったら踊り狂って喜ぶ。
してくれたら次の投稿が早くなるかも、しれない。
最強のギルド職員は平和に暮らしたい
月輪林檎
ファンタジー
【第一章 完】 【第二章 完】
魔物が蔓延り、ダンジョンが乱立する世界。そこでは、冒険者という職業が出来ていた。そして、その冒険者をサポートし、魔物の情報やダンジョンの情報を統括する組織が出来上がった。
その名前は、冒険者ギルド。全ての冒険者はギルドに登録しないといけない。ギルドに所属することで、様々なサポートを受けられ、冒険を円滑なものにする事が出来る。
私、アイリス・ミリアーゼは、十六歳を迎え、長年通った学校を卒業した。そして、目標であったギルド職員に最年少で採用される事になった。騎士団からのスカウトもあったけど、全力で断った。
何故かと言うと…………ギルド職員の給料が、騎士団よりも良いから!
それに、騎士団は自由に出来る時間が少なすぎる。それに比べて、ギルド職員は、ちゃんと休みがあるから、自分の時間を作る事が出来る。これが、選んだ決め手だ。
学校の先生からは、
「戦闘系スキルを、それだけ持っているのにも関わらず、冒険者にならず、騎士団にも入らないのか? 勿体ない」
と言われた。確かに、私は、戦闘系のスキルを多く持っている。でも、だからって、戦うのが好きなわけじゃない。私はもっと平和に暮らしたい!!
VRゲームでも身体は動かしたくない。
姫野 佑
SF
多種多様な武器やスキル、様々な【称号】が存在するが職業という概念が存在しない<Imperial Of Egg>。
古き良きPCゲームとして稼働していた<Imperial Of Egg>もいよいよ完全没入型VRMMO化されることになった。
身体をなるべく動かしたくないと考えている岡田智恵理は<Imperial Of Egg>がVRゲームになるという発表を聞いて気落ちしていた。
しかしゲーム内の親友との会話で落ち着きを取り戻し、<Imperial Of Egg>にログインする。
当作品は小説家になろう様で連載しております。
章が完結次第、一日一話投稿致します。
百合ランジェリーカフェにようこそ!
楠富 つかさ
青春
主人公、下条藍はバイトを探すちょっと胸が大きい普通の女子大生。ある日、同じサークルの先輩からバイト先を紹介してもらうのだが、そこは男子禁制のカフェ併設ランジェリーショップで!?
ちょっとハレンチなお仕事カフェライフ、始まります!!
※この物語はフィクションであり実在の人物・団体・法律とは一切関係ありません。
表紙画像はAIイラストです。下着が生成できないのでビキニで代用しています。
〈社会人百合〉アキとハル
みなはらつかさ
恋愛
女の子拾いました――。
ある朝起きたら、隣にネイキッドな女の子が寝ていた!?
主人公・紅(くれない)アキは、どういったことかと問いただすと、酔っ払った勢いで、彼女・葵(あおい)ハルと一夜をともにしたらしい。
しかも、ハルは失踪中の大企業令嬢で……?
絵:Novel AI
ユーザ登録のメリット
- 毎日¥0対象作品が毎日1話無料!
- お気に入り登録で最新話を見逃さない!
- しおり機能で小説の続きが読みやすい!
1~3分で完了!
無料でユーザ登録する
すでにユーザの方はログイン
閉じる