上 下
255 / 417
楽しく賑わう吸血少女

新しい戦い方の模索

しおりを挟む
 荒れ地の探索を進めていくと、色々と発見があった。草が少ないだけで、普通に草が生えている場所もあるし、水が流れている場所もある。でも、土が剥き出しで乾燥している場所の方が遙かに多い。ここでは、ソイルが活躍しそうだ。
 戦い方の模索の方も続いた。【大地武装】【射出】【超圧縮】に加えて、【回転】を組み合わせる。操作で回転を加えて、【回転】の効果を武器に合わせる。銃弾のライフリングみたいな螺旋の動きから、回転斬りのような動きまで色々と試していった。割と良い感じで攻撃力を上げる事が出来た。
 さらに、【猛毒生成】を組み合わせて、剣に毒を塗って攻撃するという方法も使ったけど、モウドクトカゲ相手ではよく分からなかった。モウドクトカゲに毒攻撃は効かないらしい。
 でも、新しく出て来たドリルモグラには効いた。手を前で合わせてくるくる回転しながら突撃してくるモンスターで、ちょっと厄介だったけど、直進でしか出来ないみたいで横に大きく避ければ問題はなかった。
 もう一体ロックゴーレムってモンスターも出て来た。腕力が凄く高いモンスターで、地面が割れる程の威力だったけど、動きは遅いから簡単に倒せた。ロックゴーレムの血を飲もうとしたら、岩が喉に入ってくるという苦痛を味わう事になった。【暴飲暴食】のおかげで、問題なく飲めるのが幸いだった。
 そして、【麻痺牙】【沈黙牙】【呪牙】【失明牙】【猛毒血】【猛毒鎧】【剛爪】【掘削】【加重闘法】のスキルを手に入れた。

────────────────────

【麻痺牙】:噛み付いた相手を麻痺状態に出来る。

【沈黙牙】:噛み付いた相手を沈黙状態に出来る。

【呪牙】:噛み付いた相手を呪い状態に出来る。

【失明牙】:噛み付いた相手を暗闇状態に出来る。

【猛毒血】:身体に流れる血に猛毒が混じる。控えでも効果を発揮する。

【猛毒鎧】:身体に猛毒を纏う事が出来る。

【剛爪】:魔力で出来た硬い爪を作りだす事が出来る。

【掘削】:固い地面でも掘り進める事が出来るようになる。

【加重闘法】:攻撃の際に、任意のタイミングで装備を含めた自身の体重を全て乗せられる。

────────────────────

 何かモウドクトカゲから、状態異常系牙が複数獲れた。あの口の中は、かなりヤバそう。
 新しく手に入れたスキルから、さらに新しい戦い方があるかと考えたけど、正直私の体重と装備では、【加重闘法】は期待出来る程の効力を持たないだろうし、牙系は、複数付けたら、色々と外さないといけないから難しい。【掘削】は、戦いに利用するのは難しいから、実際に使えそうなのは【剛爪】とか【猛毒鎧】とかになるかな。まぁ、控えで使えないから、基本的には利用出来ないけど。
 後は、【珊瑚砲】を【射出】で撃ち出したり、【魔氷結】と【黒蝕】で動きを止めた相手のHPと防御力を削ったり出来た。【黒蝕】の力が、触れた相手のHPと防御力を削るというものだった。恐らく、触れたものが武具なら武具の耐久値を減らせると思う。意外と使い勝手は良い。
 【竜王息吹】【蒼炎息吹】【氷炎息吹】【氷雷息吹】の組み合わせで吐いたブレスは、えげつなかった。凍りながら燃えているという矛盾した状態で固まったからだ。強いけど、若干使いにくい。
 結局、今まで通りのやり方が一番楽に倒せる事が分かった。でも、最初に考えた【大地武装】のコンボは使えるので、適宜使って行こうかなと思っている。

「ふぅ……それにしても、荒れ地エリアには、街がないのかな?」

 大分、マッピングが出来ているけど、街は影も形もなかった。まだ三分の一くらいだから、見つかっていない可能性の方が高いけど。
 蝙蝠達も生きているし、犬も生きている。ただ、大蝙蝠だけはやられた。強化をして作り出さないと大蝙蝠は普通に負けるみたいだ。

「まぁ、どうせ【吸血】と同じ効果しか持たないから、出さなくても良いか。【吸血】の確率は酷いの一言だったし」

 大蝙蝠に関しては、しばらく出さないで良いという判断に至った。【吸血】と同じ効果なら、あってもなくても同じだからだ。

「さてと、時間はあるし、もっと調べて行こっと」

 装備スキルを元に戻して駆け出す。荒れ地を隈無く調べるために、崖などは【走壁】で走ったりして、レベル上げをしながら調べる事にした。
 壁を走っていると、壁の中からモンスターを察知する。形と状況的にドリルモグラだ。ドリルモグラは、回転しながら私に向かって突っ込んでくる。私は、壁から真横に飛ぶ。飛びだしてきた三メートルくらいの大きさをしたドリルモグラを隠密双刀で斬る。ここで一撃を加えた後、思いっきり蹴って壁の中から出す。吹っ飛んでいって、地面を転がるドリルモグラに空を飛んで、真上から刀にした隠密双刀を突き刺してから、横に振り抜く。その後、思いっきり踵を叩きつける。ドリルモグラの身体が地面にめり込む。
 そこに【大地武装】と【超圧縮】で作り上げた石の剣を突き刺していく。やっぱり、こっちの方の攻撃力は期待出来ない。だから、石の剣に【影武装】で影を纏わせる。出来るか心配だったけど、一応武器判定はしてくれるみたいだ。ドリルモグラの皮が削れていく。鬱陶しいと思ったのか、ドリルモグラは地面の中に潜ろうとし始めた。

「させるわけないでしょ。【踏鳴】」

 思いっきりドリルモグラの背中を踏みつける。ドリルモグラの身体が、さらにめり込み、気絶状態になった。その隙を見逃さず、刀二本で滅多斬りにして倒した。

「剣の数を増やしてダメージを稼ぐ感じが良いかな」

 【大地武装】で岩の剣を複数作って、【超圧縮】で密度を上げる。さらに、血液を垂れ流しにして、同じように剣を形作る。周囲の探索をしながら、それを繰り返して、剣の数を増やしていった。すると、二十本くらいになったところで、岩の剣が古いものから崩れていった。血液の方は、二十本以上になっても問題なく増やせる。支配と武装の違いかな。
 ただ、これを維持するのが難しい事も分かった。戦闘中に咄嗟にやるとかなら、普通に出来るのだけど、常に意識し続けるのは難しい。

「戦闘中に作る方が良いかな。注意散漫になって、探索で見つけられるものが減るかもだし」

 丁度モウドクトカゲが二体向かってくるので、そっちに向かって飛ばす。一部の剣を【射出】で撃ち出すことで、モウドクトカゲを一瞬怯ませる。そこに【電光石火】で近づいて、刀二本で首を斬る。クリティカルダメージを与えつつ。モウドクトカゲの攻撃を受けないように横に回りながら、身体を斬りつけていく。
 そこにもう一体のモウドクトカゲが仲間の身体の上を上ってきて、噛み付くために飛び掛かってきた。私は、血液で棒を作り、押さえ棒として口に挟む。これで一瞬だけ噛み付きが遅れる。その間に【雷脚】を発動して、後方に下がる。距離を取ったところで、石と血で剣を作って飛ばしていく。散発的に飛ばすわけじゃなく、作り出す度に飛ばすので、無限に飛んでいっている感じだ。モウドクトカゲ達は、その剣を無視して突っ込んでくる。
 ほんの少しずつダメージを稼いでいく。その間に、刀二本に【暴風武装】と【雷電武装】【影武装】を纏わせて、剣と一緒に風の刃を飛ばす。モウドクトカゲが麻痺状態になる。
 麻痺状態になった二体を毒にならないように斬っていって倒した。

「ここに【暴風武装】で作る風の刃の弾幕を混ぜる……いや、私自身が、戦いにくくなるかな。取捨選択は、しっかりしていこう」

 戦い方の模索を続けながら、荒れ地の探索を進めていった。
しおりを挟む

あなたにおすすめの小説

校長室のソファの染みを知っていますか?

フルーツパフェ
大衆娯楽
校長室ならば必ず置かれている黒いソファ。 しかしそれが何のために置かれているのか、考えたことはあるだろうか。 座面にこびりついた幾つもの染みが、その真実を物語る

Alliance Possibility On-line~ロマンプレイのプレーヤーが多すぎる中で、普通にプレイしてたら最強になっていた~

百々 五十六
ファンタジー
極振りしてみたり、弱いとされている職やスキルを使ったり、あえてわき道にそれるプレイをするなど、一見、非効率的なプレイをして、ゲーム内で最強になるような作品が流行りすぎてしまったため、ゲームでみんな変なプレイ、ロマンプレイをするようになってしまった。 この世界初のフルダイブVRMMORPGである『Alliance Possibility On-line』でも皆ロマンを追いたがる。 憧れの、個性あふれるプレイ、一見非効率なプレイ、変なプレイを皆がしだした。 そんな中、実直に地道に普通なプレイをする少年のプレイヤーがいた。 名前は、早乙女 久。 プレイヤー名は オクツ。 運営が想定しているような、正しい順路で少しずつ強くなる彼は、非効率的なプレイをしていくプレイヤーたちを置き去っていく。 何か特別な力も、特別な出会いもないまま進む彼は、回り道なんかよりもよっぽど効率良く先頭をひた走る。 初討伐特典や、先行特典という、優位性を崩さず実直にプレイする彼は、ちゃんと強くなるし、ちゃんと話題になっていく。 ロマンばかり追い求めたプレイヤーの中で”普通”な彼が、目立っていく、新感覚VRMMO物語。

Bless for Travel ~病弱ゲーマーはVRMMOで無双する~

NotWay
SF
20xx年、世に数多くのゲームが排出され数多くの名作が見つかる。しかしどれほどの名作が出ても未だに名作VRMMOは発表されていなかった。 「父さんな、ゲーム作ってみたんだ」 完全没入型VRMMOの発表に世界中は訝、それよりも大きく期待を寄せた。専用ハードの少数販売、そして抽選式のβテストの両方が叶った幸運なプレイヤーはゲームに入り……いずれもが夜明けまでプレイをやめることはなかった。 「第二の現実だ」とまで言わしめた世界。 Bless for Travel そんな世界に降り立った開発者の息子は……病弱だった。

後輩と一緒にVRMMO!~弓使いとして精一杯楽しむわ~

夜桜てる
SF
世界初の五感完全没入型VRゲームハードであるFUTURO発売から早二年。 多くの人々の希望を受け、遂に発売された世界初のVRMMO『Never Dream Online』 一人の男子高校生である朝倉奈月は、後輩でありβ版参加勢である梨原実夜と共にNDOを始める。 主人公が後輩女子とイチャイチャしつつも、とにかくVRゲームを楽しみ尽くす!! 小説家になろうからの転載です。

生贄にされた先は、エロエロ神世界

雑煮
恋愛
村の習慣で50年に一度の生贄にされた少女。だが、少女を待っていたのはしではなくどエロい使命だった。

【野生の暴君が現れた!】忍者令嬢はファンタジーVRMMOで無双する【慈悲はない】《殺戮のパイルバンカー》

オモチモチモチモチモチオモチ
SF
 昔は政府の諜報機関を司っていた名家に生まれ、お嬢様として育った風間奏音(かざまかのん)はしかし、充実感の無い日常に苛立ちを覚えていた。  そんなある日、高校で再会した幼馴染に気分転換にとVRMMOゲームを勧められる。この誘いが、後に世界一有名で、世界一恐れられる"最恐"プレイヤーを世に生み出す事となった。  奏音はゲームを通して抑圧されていた自分の本音に気がつき、その心と向き合い始める。    彼女の行動はやがて周囲へ知れ渡り「1人だけ無双ゲームやってる人」「妖怪頭潰し」「PKの権化」「勝利への執念が反則」と言われて有名になっていく。  恐怖の料理で周囲を戦慄させたり、裏でPKクランを運営して悪逆の限りを尽くしたり、レイドイベントで全体指揮をとったり、楽しく爽快にゲームをプレイ! 《Inequality And Fair》公平で不平等と銘打たれた電脳の世界で、風間奏音改め、アニー・キャノンの活躍が始まる!

VRMMOでスナイパーやってます

nanaさん
SF
ーーーーーーーーーーーーーーーー 私の名は キリュー Brave Soul online というVRMMOにてスナイパーをやっている スナイパーという事で勿論ぼっちだ だが私は別にそれを気にしてはいない! 何故なら私は一人で好きな事を好きにやるのが趣味だからだ! その趣味というのがこれ 狙撃である スキルで隠れ敵を察知し技術で当てる 狙うは頭か核のどちらか 私はこのゲームを始めてから数ヶ月でこのプレイスタイルになった 狙撃中はターゲットが来るまで暇なので本とかを読んでは居るが最近は配信とやらも始めた だがやはりこんな狙撃待ちの配信を見る人は居ないだろう そう思っていたが... これは周りのレベルと自分のレベルの差を理解してない主人公と配信に出現する奇妙な視聴者達 掲示板の民 現実での繋がり等がこのゲームの世界に混沌をもたらす話であり 現実世界で過去と向き合い新たな人生(堕落した生活)を過ごしていく物語である 尚 偶に明らかにスナイパーがするような行為でない事を頻繁にしているが彼女は本当にスナイパーなのだろうか...

性転換マッサージ

廣瀬純一
SF
性転換マッサージに通う人々の話

処理中です...