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高く光へ昇り深く闇へ沈む吸血少女
強い恨み
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次のエリアである猛吹雪エリアは、本当に吹雪が吹き荒れている場所だった。豪雨エリアのように視界が悪すぎる。ただ、一つマシなのは混乱状態にならない事だった。マップを見ながらあるけば、ある程度迷う事はないだろう。
「雪嶺エリアもクリアしたから、後は、北の猛吹雪エリア、氷河エリア。東の大洋エリア、新大陸湖畔エリア。西の廃城下町エリア、古城エリア。南の荒れ地エリア、鉱山エリアか。全部同時期に解放されてるんだよね……どこから攻略するか……取り敢えず、寒いから雪見の里に戻ろっと」
雪見の里は、まだ調べられていないので、街中を調べる。さっきの感じ的に、変に絡まれる事はなさそうなので、普通に調べられるはず。【霊峰霊視】で見つけられるものがないか、街中を歩いて探していく。ちらちらとこっちを見てくる人はいたけど、それくらいなら問題にはならないので放っておく。
「それにしても、この街には全然靄がないなぁ。そういう街なのかな?」
若干諦めながら、探索を続けていると、一番大きな家の後ろでようやく靄を見つけた。早速靄を固めると、木の板みたいなものが出て来た。
「割符?」
木の板には、模様と文字みたいなものが書かれていたのだけど、それが社会の時間に習った割符のように、半分に割られていた。依頼の割符という名前で、特に何の依頼かは書かれていなかった。
『クエスト『因縁と怨念の相手』を開始します』
何かクエストが始まった。しかも、物騒な名前のクエストだ。
「因縁と怨念……私の中だと師匠しか思い付かないなぁ」
師匠は、里の人達を雪狼会という組織に皆殺しにされている。その復讐で全滅させたという話を聞いていたので、真っ先に思い付いたのが、それだった。
「さすがに、終わった事だから違うと思うけど、師匠のところに行ってみようかな」
ここにはこれ以上に何かある訳では無さそうなので、刀刃の隠れ里に転移する。特に絡まられる事もなくて良かった。前にまたBANになった人が出たっていうのが、大きいのかもしれない。師匠の家を訪れると、すぐに師匠が出て来た。
「いらっしゃい。じゃあ、早速稽古ね」
割符について訊こうとしたら、師匠に首根っこを掴まれて連れて行かれた。これは、稽古を受けないと話を訊いて貰えないパターンだ。仕方ないので、月影を刀にして師匠との稽古に挑む。相変わらずの強さをしている師匠との稽古で、鈍っていた身体が覚醒していくのを感じた。さすがに【蒼天】は使わなかったけど。使ったら、刀刃の隠れ里が崩れるだろうし。
「良い感じで強くなっているわね。【刀】の扱いも向上しているし、これなら解禁しても大丈夫そうね。【二刀流】の使用を認めるわ」
唐突に【二刀流】が収得可能になった。一応、収得出来るスキル一覧で確認してみると、【刀】の進化で収得出来るらしい。多分、ソルさんとは違った形で【刀】を極める事になるのかな。
私の戦闘スタイル的に、両手に剣を持つ方がやりやすいので、【二刀流】のスキルを収得する。
「あっ、【二刀流】になっても、【双刀】と【双剣】の使用は禁止するから」
「えぇ~……師匠に勝てる気がしない……」
「あのねぇ……自分のスタイルを見てみなさい」
「……ストーンですね」
「体型じゃないわ……」
ボケてみたけど、冷静なツッコみしか受けなかった。まぁ、師匠はそういう人じゃないから仕方ないのかもしれない。
「何でもするって感じですかね」
「そうでしょ? だから、色々な武器に慣れておいた方が良いのよ。もっと色々な武器でぶつかってきて。私は、大抵の攻撃なら受け止められるから」
「【蒼天】でも大丈夫でしょうか?」
「【蒼天】……それって、蒼天竜のブレスの事?」
「そうです」
師匠も蒼天竜については知っているらしい。そこら辺の知識の更新もアップデート毎にされているのかな。
「う~ん……まぁ、何とかなるかな」
「おぉ……さすが、師匠。参考までに、どうやって対処するのか聞いても良いですか?」
「斬れば良いのよ」
「はぁ……?」
師匠が何を言っているのか分からない。【蒼天】を食らっていない私でも、自分の口から出て来るレーザーの如きブレスを斬る事は無理だと分かる。それをすれば良いと言われてなるほどと納得は出来ない。
「だから、斬るのよ。大抵のブレスは、気合いで斬れるわ」
改めて師匠が化物という事が判明した。恐らく、人間の時代から、そんな事が出来るのだろうし。
「まぁ、それは良いです。ところで、師匠はこれを知ってますか?」
私は、依頼の割符を師匠に見せる。すると、師匠が纏う雰囲気が変わった。全身を刃物で突き刺されたかのような感覚に膝から崩れそうになった。でも、それは一瞬だけだった。すぐに、その雰囲気が消える。
「ごめんなさい。これをどこで?」
「雪見の里です」
「そう……」
師匠は、顎に手を当てて考え込み始める。
「もしかして、雪狼会のものですか?」
「そうよ。あの時全員殺したと思ったけど、生き残りがいたみたいね。これは、明らかに新しいものだもの」
師匠がいつ襲ったのかは知らないけど、【霊峰霊視】で見つけたという事は、そこそこ昔のものと考えられる。まだこの時代に生き残りがいるのかは分からないけど、師匠が倒しきれなかったのは間違いなさそうだ。
「手掛かりが必要ね。私も、外に出ようかしら」
「師匠が出たら、目立つ気がしますけど……」
師匠の出入りには、出入口にある栓を退かす必要があるはず。そんな事をしていたら、刀刃の隠れ里がバレバレの状態になるだろう。そうなると、余計に師匠が調査をするのは難しい気がする。
「そうね。刀を持つ人は少ないだろうし……私、じゃあ目立つわね」
そう言いながら、師匠が私の方を見る。それだけで何を言いたいのか理解出来た。というか、クエスト的に、そっちの展開になるようになっているのだと思う。
「私が調べてみます」
「お願いね。奴等は、雪狼会って名乗ってはいるけど、雪の降る土地以外にも潜伏しているわ。見つけたら、問答無用で倒しなさい。卑怯な手ばかり使ってくるから」
「分かりました。何か目印とかありますか?」
「基本的にフードを被っていて、狼のペンダントを付けていたり、身体に雪の入れ墨をしているわね」
「なるほど」
街中に潜伏しているとしたら、武器での攻撃などが通じない可能性が高い。イベント扱いで攻撃可能になるとしても、プレイヤーに見られたら面倒だ。色々と考えて行動する必要がありそう。
「それにしても、しぶとい屑共ね」
「師匠から逃げるなんて、ある意味で凄い組織ですね」
「そうね。ボスは殺したし、主要な幹部も殺し尽くしたはずなのに……下っ端共が新たに立ち上げたのかしら。忌々しいわ」
雪狼会は唾棄すべき存在と言わんばかりに吐き捨てる師匠。実際、そういう存在ではあるのだけど。
「でも、雪以外の場所にも居る可能性があるって、雪狼会って名前を改めれば良いのに」
「当時から、そういう風に思われていたはずよ。私も思っていたもの。ただ、あれから長い年月が経っているから、もしかしたら組織名も変わっているかもね。そうなると、見つけるのは難しいわね」
「でも、師匠が知っている目印は変わらないのでは? 互いに互いを認識するために必要なものでしょうし、それを急に変えれば混乱が訪れます。長い年月があったとしても、そう簡単に変えようとは至らないかと」
「それはある意味では正しい答えね。でも、私という存在がいたらどう?」
師匠の存在。それは、自分達の目印を変えるに足る理由になるだろう。これを前提に考えると、雪狼会の残党狩りは、想像以上に難しいものとなる。
「取り敢えず、頑張ってみます。ですから、師匠は、ここで待っていてください。朗報をお知らせ出来るようにしますから」
「分かったわ。それはそれとして、稽古も忘れない事。もう一人の弟子は、あまり来ないから」
「あはは……お手柔らかに……」
こうして、『因縁と怨念の相手』が進む事になった。ただ、手掛かりが一つもないので、そこを探すところから始めないといけない。長期のクエストになりそうだ。
「雪嶺エリアもクリアしたから、後は、北の猛吹雪エリア、氷河エリア。東の大洋エリア、新大陸湖畔エリア。西の廃城下町エリア、古城エリア。南の荒れ地エリア、鉱山エリアか。全部同時期に解放されてるんだよね……どこから攻略するか……取り敢えず、寒いから雪見の里に戻ろっと」
雪見の里は、まだ調べられていないので、街中を調べる。さっきの感じ的に、変に絡まれる事はなさそうなので、普通に調べられるはず。【霊峰霊視】で見つけられるものがないか、街中を歩いて探していく。ちらちらとこっちを見てくる人はいたけど、それくらいなら問題にはならないので放っておく。
「それにしても、この街には全然靄がないなぁ。そういう街なのかな?」
若干諦めながら、探索を続けていると、一番大きな家の後ろでようやく靄を見つけた。早速靄を固めると、木の板みたいなものが出て来た。
「割符?」
木の板には、模様と文字みたいなものが書かれていたのだけど、それが社会の時間に習った割符のように、半分に割られていた。依頼の割符という名前で、特に何の依頼かは書かれていなかった。
『クエスト『因縁と怨念の相手』を開始します』
何かクエストが始まった。しかも、物騒な名前のクエストだ。
「因縁と怨念……私の中だと師匠しか思い付かないなぁ」
師匠は、里の人達を雪狼会という組織に皆殺しにされている。その復讐で全滅させたという話を聞いていたので、真っ先に思い付いたのが、それだった。
「さすがに、終わった事だから違うと思うけど、師匠のところに行ってみようかな」
ここにはこれ以上に何かある訳では無さそうなので、刀刃の隠れ里に転移する。特に絡まられる事もなくて良かった。前にまたBANになった人が出たっていうのが、大きいのかもしれない。師匠の家を訪れると、すぐに師匠が出て来た。
「いらっしゃい。じゃあ、早速稽古ね」
割符について訊こうとしたら、師匠に首根っこを掴まれて連れて行かれた。これは、稽古を受けないと話を訊いて貰えないパターンだ。仕方ないので、月影を刀にして師匠との稽古に挑む。相変わらずの強さをしている師匠との稽古で、鈍っていた身体が覚醒していくのを感じた。さすがに【蒼天】は使わなかったけど。使ったら、刀刃の隠れ里が崩れるだろうし。
「良い感じで強くなっているわね。【刀】の扱いも向上しているし、これなら解禁しても大丈夫そうね。【二刀流】の使用を認めるわ」
唐突に【二刀流】が収得可能になった。一応、収得出来るスキル一覧で確認してみると、【刀】の進化で収得出来るらしい。多分、ソルさんとは違った形で【刀】を極める事になるのかな。
私の戦闘スタイル的に、両手に剣を持つ方がやりやすいので、【二刀流】のスキルを収得する。
「あっ、【二刀流】になっても、【双刀】と【双剣】の使用は禁止するから」
「えぇ~……師匠に勝てる気がしない……」
「あのねぇ……自分のスタイルを見てみなさい」
「……ストーンですね」
「体型じゃないわ……」
ボケてみたけど、冷静なツッコみしか受けなかった。まぁ、師匠はそういう人じゃないから仕方ないのかもしれない。
「何でもするって感じですかね」
「そうでしょ? だから、色々な武器に慣れておいた方が良いのよ。もっと色々な武器でぶつかってきて。私は、大抵の攻撃なら受け止められるから」
「【蒼天】でも大丈夫でしょうか?」
「【蒼天】……それって、蒼天竜のブレスの事?」
「そうです」
師匠も蒼天竜については知っているらしい。そこら辺の知識の更新もアップデート毎にされているのかな。
「う~ん……まぁ、何とかなるかな」
「おぉ……さすが、師匠。参考までに、どうやって対処するのか聞いても良いですか?」
「斬れば良いのよ」
「はぁ……?」
師匠が何を言っているのか分からない。【蒼天】を食らっていない私でも、自分の口から出て来るレーザーの如きブレスを斬る事は無理だと分かる。それをすれば良いと言われてなるほどと納得は出来ない。
「だから、斬るのよ。大抵のブレスは、気合いで斬れるわ」
改めて師匠が化物という事が判明した。恐らく、人間の時代から、そんな事が出来るのだろうし。
「まぁ、それは良いです。ところで、師匠はこれを知ってますか?」
私は、依頼の割符を師匠に見せる。すると、師匠が纏う雰囲気が変わった。全身を刃物で突き刺されたかのような感覚に膝から崩れそうになった。でも、それは一瞬だけだった。すぐに、その雰囲気が消える。
「ごめんなさい。これをどこで?」
「雪見の里です」
「そう……」
師匠は、顎に手を当てて考え込み始める。
「もしかして、雪狼会のものですか?」
「そうよ。あの時全員殺したと思ったけど、生き残りがいたみたいね。これは、明らかに新しいものだもの」
師匠がいつ襲ったのかは知らないけど、【霊峰霊視】で見つけたという事は、そこそこ昔のものと考えられる。まだこの時代に生き残りがいるのかは分からないけど、師匠が倒しきれなかったのは間違いなさそうだ。
「手掛かりが必要ね。私も、外に出ようかしら」
「師匠が出たら、目立つ気がしますけど……」
師匠の出入りには、出入口にある栓を退かす必要があるはず。そんな事をしていたら、刀刃の隠れ里がバレバレの状態になるだろう。そうなると、余計に師匠が調査をするのは難しい気がする。
「そうね。刀を持つ人は少ないだろうし……私、じゃあ目立つわね」
そう言いながら、師匠が私の方を見る。それだけで何を言いたいのか理解出来た。というか、クエスト的に、そっちの展開になるようになっているのだと思う。
「私が調べてみます」
「お願いね。奴等は、雪狼会って名乗ってはいるけど、雪の降る土地以外にも潜伏しているわ。見つけたら、問答無用で倒しなさい。卑怯な手ばかり使ってくるから」
「分かりました。何か目印とかありますか?」
「基本的にフードを被っていて、狼のペンダントを付けていたり、身体に雪の入れ墨をしているわね」
「なるほど」
街中に潜伏しているとしたら、武器での攻撃などが通じない可能性が高い。イベント扱いで攻撃可能になるとしても、プレイヤーに見られたら面倒だ。色々と考えて行動する必要がありそう。
「それにしても、しぶとい屑共ね」
「師匠から逃げるなんて、ある意味で凄い組織ですね」
「そうね。ボスは殺したし、主要な幹部も殺し尽くしたはずなのに……下っ端共が新たに立ち上げたのかしら。忌々しいわ」
雪狼会は唾棄すべき存在と言わんばかりに吐き捨てる師匠。実際、そういう存在ではあるのだけど。
「でも、雪以外の場所にも居る可能性があるって、雪狼会って名前を改めれば良いのに」
「当時から、そういう風に思われていたはずよ。私も思っていたもの。ただ、あれから長い年月が経っているから、もしかしたら組織名も変わっているかもね。そうなると、見つけるのは難しいわね」
「でも、師匠が知っている目印は変わらないのでは? 互いに互いを認識するために必要なものでしょうし、それを急に変えれば混乱が訪れます。長い年月があったとしても、そう簡単に変えようとは至らないかと」
「それはある意味では正しい答えね。でも、私という存在がいたらどう?」
師匠の存在。それは、自分達の目印を変えるに足る理由になるだろう。これを前提に考えると、雪狼会の残党狩りは、想像以上に難しいものとなる。
「取り敢えず、頑張ってみます。ですから、師匠は、ここで待っていてください。朗報をお知らせ出来るようにしますから」
「分かったわ。それはそれとして、稽古も忘れない事。もう一人の弟子は、あまり来ないから」
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