吸血少女ののんびり気ままなゲームライフ

月輪林檎

文字の大きさ
上 下
239 / 517
高く光へ昇り深く闇へ沈む吸血少女

通用しない攻撃

しおりを挟む

 レッドドラゴンを倒した私達は宿に到着した。

 宿に到着してから、先輩を降ろした。

 紅茶を淹れ、少し休憩することにした。

 「先輩は王城の方に帰りますか?」

 「僕は魔物研究者に戻るつもりはないから、後輩君とエーカ君と一緒に住むつもりだが?」

 先輩は当然なような表情を浮べていた。

 「せ、先輩。それは色々と問題が起きる可能性が」

 「後輩君。君は危機的な僕を助けたのだ。なら、最後まで責任取るのは必然のことだ」

 先輩は右手の人差し指の頬に置いた。

 「それに、後輩君なら何も問題起きないのだろ?」

 「そ、それは確かにそうですが」

 私はエーカの方を向いた。

 「エ、エーカは大丈夫か?」

 「ん。ライバルだから、勝負は平等に」

 「ライバル?勝負?どういうこと?」

 「主には後で分かることだから。大丈夫」

 「そうだぞ、後輩君。それに、乙女の秘密を探るのは駄目だぞ」

 「た、確かにそうですね」

 こ、これは諦めるしか無いのか。

 「分かりました、先輩。明日、新しい宿を、いや、家を借りましょう。宿よりも借り家の方が何かと都合がいいでしょう」

 「それはいい考えだ。流石、後輩君だ。今日はここで休むことにしよう」

 先輩の服はエーカが貸した。

 先輩とエーカの体格が同じくらいだったので、特に問題は無かった。

 夕食を食べ、風呂に入り、夜まで過ごした。

 先輩はエーカと一緒のベッドで寝てもらった。

 流石に、一緒のベッドは不味いからな。

 朝になったら、朝食を食べてから、私は街に出た。

 直ぐに不動産屋に向かい、良さそうな借り家を探した。

 少し高めだったが、風呂もついていて、庭もついている物件を見つけた。

 ここに決めた。

 契約金を払い、鍵を受け取ってから、宿に帰った。

 そして、宿に鍵を返し、エーカと先輩と一緒に借りた家に向かった。

 その家に荷物を置いてから、先輩に必要な物や生活に必要な物を購入するために街に出た。

 買い出しの途中で1つのことが気になった。

 「そう言えば、先輩は実家に報告は入れなくてもいいのですか?」

 「入れなくても大丈夫の筈。サーワリ侯爵家から荷物が無くなって清々していることだろうし」

 「そうですか」

 「後輩君。そんな悲しそうな表情を浮かべないでくれ。僕は王立学園で君に出会えてから、良かったと思っているよ。毎日が楽しくなったから」

 先輩は微笑んだ。

 私はその微笑みに少し見惚れてしまった。

 少しの間だけ、先輩の顔をまともに見れなかった。

 全ての買い出しが終わったら、家に帰った。

 荷物に片付けたら、夕食作りを始めた。

 驚いたことに先輩は料理が出来るのだ。

 「僕だって、研究ばかりではないだよ。料理ぐらい出来る」

 エーカはそんな先輩に負けたという表情を浮べていた。

 エーカは魔物だから、出来なくて普通だから気にする必要が無いのに、負けたなんて表情を浮べているんだ?

 その後は私と先輩から協力して作った夕食を食べ、順番に風呂に入り、時間になったら自室に戻り眠りについた。

 この日から私達の新たな生活が始まった。

 私は魔物の倒し、その素材を売却し、エーカは歌姫として歌い、金を稼いでいる。

 先輩は家で研究をしている。

 研究に必要な魔物の素材は私が集め、研究に必要な本はエーカが購入することになっている。

 家事は交代制だ。

 私、いや、私達は楽しい日常を過ごしている。
しおりを挟む
感想 0

あなたにおすすめの小説

どうしよう私、弟にお腹を大きくさせられちゃった!~弟大好きお姉ちゃんの秘密の悩み~

さいとう みさき
恋愛
「ま、まさか!?」 あたし三鷹優美(みたかゆうみ)高校一年生。 弟の晴仁(はると)が大好きな普通のお姉ちゃん。 弟とは凄く仲が良いの! それはそれはものすごく‥‥‥ 「あん、晴仁いきなりそんなのお口に入らないよぉ~♡」 そんな関係のあたしたち。 でもある日トイレであたしはアレが来そうなのになかなか来ないのも気にもせずスカートのファスナーを上げると‥‥‥ 「うそっ! お腹が出て来てる!?」 お姉ちゃんの秘密の悩みです。

日本VS異世界国家! ー政府が、自衛隊が、奮闘する。

スライム小説家
SF
令和5年3月6日、日本国は唐突に異世界へ転移してしまった。 地球の常識がなにもかも通用しない魔法と戦争だらけの異世界で日本国は生き延びていけるのか!? 異世界国家サバイバル、ここに爆誕!

VRゲームでも身体は動かしたくない。

姫野 佑
SF
多種多様な武器やスキル、様々な【称号】が存在するが職業という概念が存在しない<Imperial Of Egg>。 古き良きPCゲームとして稼働していた<Imperial Of Egg>もいよいよ完全没入型VRMMO化されることになった。 身体をなるべく動かしたくないと考えている岡田智恵理は<Imperial Of Egg>がVRゲームになるという発表を聞いて気落ちしていた。 しかしゲーム内の親友との会話で落ち着きを取り戻し、<Imperial Of Egg>にログインする。 当作品は小説家になろう様で連載しております。 章が完結次第、一日一話投稿致します。

Free Emblem On-line

ユキさん
ファンタジー
今の世の中、ゲームと言えばVRゲームが主流であり人々は数多のVRゲームに魅了されていく。そんなVRゲームの中で待望されていたタイトルがβテストを経て、ついに発売されたのだった。 VRMMO『Free Emblem Online』 通称『F.E.O』 自由過ぎることが売りのこのゲームを、「あんちゃんも気に入ると思うよ~。だから…ね? 一緒にやろうぜぃ♪」とのことで、βテスターの妹より一式を渡される。妹より渡された『F.E.O』、仕事もあるが…、「折角だし、やってみるとしようか。」圧倒的な世界に驚きながらも、MMO初心者である男が自由気ままに『F.E.O』を楽しむ。 ソロでユニークモンスターを討伐、武器防具やアイテムも他の追随を許さない、それでいてPCよりもNPCと仲が良い変わり者。 そんな強面悪党顔の初心者が冒険や生産においてその名を轟かし、本人の知らぬ間に世界を引っ張る存在となっていく。 なろうにも投稿してあります。だいぶ前の未完ですがね。

淫らに、咲き乱れる

あるまん
恋愛
軽蔑してた、筈なのに。

最前線攻略に疲れた俺は、新作VRMMOを最弱職業で楽しむことにした

水の入ったペットボトル
SF
 これまであらゆるMMOを最前線攻略してきたが、もう俺(大川優磨)はこの遊び方に満足してしまった。いや、もう楽しいとすら思えない。 ゲームは楽しむためにするものだと思い出した俺は、新作VRMMOを最弱職業『テイマー』で始めることに。 βテストでは最弱職業だと言われていたテイマーだが、主人公の活躍によって評価が上がっていく?  そんな周りの評価など関係なしに、今日も主人公は楽しむことに全力を出す。  この作品は「カクヨム」様、「小説家になろう」様にも掲載しています。

後輩と一緒にVRMMO!~弓使いとして精一杯楽しむわ~

夜桜てる
SF
世界初の五感完全没入型VRゲームハードであるFUTURO発売から早二年。 多くの人々の希望を受け、遂に発売された世界初のVRMMO『Never Dream Online』 一人の男子高校生である朝倉奈月は、後輩でありβ版参加勢である梨原実夜と共にNDOを始める。 主人公が後輩女子とイチャイチャしつつも、とにかくVRゲームを楽しみ尽くす!! 小説家になろうからの転載です。

吸血少女 設定資料集(おまけ付き)

月輪林檎
SF
 『吸血少女ののんびり気ままなゲームライフ』のスキルやその技、武具の追加効果などを章ごとに分けて簡潔に説明します。その章で新しく出て来たものを書いていくので、過去の章に出て来ているものは、過去の章から確認してください。  さらに、ハク以外の視点で、ちょっとした話も書くかもしれません。所謂番外編です。  基本的に不定期更新です。

処理中です...