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高く光へ昇り深く闇へ沈む吸血少女

雪嶺エリア

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 いつも通り昼前にログインすると、運営からお知らせが届いていた。どうやらアップデートのお知らせみたいだ。

「テイムモンスターについてと課金要素について? うわぁ……とうとう来たか」

 私が言っている事は、課金ではなくテイムモンスターに関する事の方だ。課金は、正直興味ない。そんなお金はないからだ。問題は、テイムモンスターについてのアップデートだ。

『テイムモンスターに関するアップデート
・一度に召喚出来るテイムモンスターの数を三体に制限。
・テイムモンスターに進化の要素を追加。
・テイムモンスターから拾える素材の種類、量を増加
※尚、召喚制限は、第五回イベントには適用されない。』

 取り敢えず、テイムモンスターに関しては、この三つだった。制限がイベントにないというのは、正直有り難い。うちのギルドは、人数が少ないから。
 懸念のあった一度に召喚出来るのが三体までというのは、正直なところ、そこまで苦痛とはならない。レイン、ソイル、エアリーと戦えるって考えれば、かなり大きいからだ。

「どういう組み合わせで召喚するか考えないと。スノウがいると素材集めが捗るんだよねぇ」

 スノウに自由行動をして貰えば、基本的に素材集めに困る事はない。そういう点で、スノウは外しがたい。エレクに関しては、移動速度を上げたい時にいてくれると助かるから、切り替えで喚び出す形になるかな。精霊の三人は、そのエリアに応じて切り替えていく形になる。三人全員喚び出したら、戦闘面での苦労がなくなるから、そういう部分での切り替えも視野に入れないといけない。

「考える事が増えるのは楽しい反面面倒くさいなぁ。ただでさえ、自分のスキルで考える事が多いっていうのに。後は課金。経験値の増幅か。フレ姉とか忙しい人は重宝するかもだなぁ」

 アップデートに関しては、これに加えて細かい調整が為されていた。何を調整したか分からないから何とも言えない。

「さてと、今日は雪嶺エリアに行こっと」

 後一週間でまたイベントがあるけど、新エリアの攻略もしたい。まぁ、この前のレベル上げで十分だろうからって考えもなくはない。
 雪原エリアのスノータウンに転移した私は、エレクに乗ってボスエリアへと向かう。ここの先のエリアである雪嶺エリアは開放してあるので、ボスを無視して転移出来る。
 雪嶺エリアは、目の前に高い山のあるエリアだ。山脈エリアに似ているけど、こっちは雪が降り続いているし、恐らく山が連なってはおらず、あのでかい山一つだけだ。

「ご苦労様。【送還・エレク】【召喚・スノウ】【召喚・レイン】【召喚・エアリー】」

 エレクをギルドエリアに帰して、スノウ、レイン、エアリーを喚ぶ。エアリーじゃなくて、ソイルでも良かったけど、結構風が強いので、エアリーに来てもらった。

「それじゃあ、スノウはいつも通りね。でも、暴れすぎない事。何かあったら、戻ってきて」
『ガァ!』

 スノウは、元気よく返事をすると、そのまま飛んでいった。

「さてと、私達も行こうか」
『うん!』
『はい』

 レインとエアリーを連れて、雪嶺エリアを歩き始める。まずは、最初から山を登る。本当は、空を飛んでも良かったけど、いつも楽をしていると、重要な事を見逃しそうなので、自分の脚で歩く事にした。

「防寒服にしても、相変わらず寒いなぁ」
『では、風を逸らしておきます』
「ありがとう」

 私に向かって吹いてくる風を、エアリーが逸らしてくれる。おかげで、肌に触れる風がなくなり寒さが和らぐ。

「レイン、どう? 雪原みたいに隠された入口とかない?」
『特には感じないよ。山の中にも水が染みこんでるけど、空洞はなさそう』
「そうなんだ。じゃあ、さすがに隠れ里はないかな」

 隠れ里があるとすれば、山の麓周辺になるのかな。それか、レインが感知出来ないような場所があるかどうかだ。今度、ソイルと一緒に調べてみる事にする。
 そのまま歩いていると、【索敵】に反応があった。しかも、結構多い。

「何だろう?」
『拘束するね』

 レインが即行で拘束したらしい。雪が積もっているから、拘束もやりやすいみたいだ。

「ありがとう」

 そのまま【索敵】を頼りに進んでいくと、いくつもの雪だるまがそこにあった。

「おぉ……ん? これがモンスター?」
『そのようですね』

 名前もそのままで雪だるまというらしい。雪だるまは、微妙に動こうとしている感じがあるけど、レインの拘束で思うように動けないみたい。全身が雪で出来ているから、【支配(水)】で完全に止められるのかな。

「取り敢えず、吸血、吸血」

 血は流れていないだろうけど、血に該当する何かがあれば飲める。私は、雪だるまに噛み付いた。口の中が凍り付くような感覚がする。凍傷を負うのではないかというレベルだ。でも、中身は血じゃないから、飲みやすい。まるでスライムみたいだ。
 雪だるまの身体を全て飲み込むと、スキルを獲得出来た。ただ、手に入れたスキルが【射出】だったので、経験値になった。五体くらいいたから、全部【始祖の吸血鬼】で倒していく。すると、【射出】【水氷操作】【回転】【圧縮】の四つが手に入った。全部持っているので、経験値になる。

「経験値ばかりか。レイン、雪だるまは倒しても良いよ」
『うん』

 レインが返事をした直後、ドロップアイテムの粉雪が手に入る。何に使うのか全く分からないから、アカリにあげよう。

「ん? またモンスターだ。これは……巨人?」

 二メートルくらいの身長をした人型のモンスターが【索敵】に引っ掛かった。その方向に向かうと、レインとエアリーに拘束された白い毛むくじゃらの雪男がいた。名前も、そのまま雪男だ。空を飛んで首まで飛び、血を吸う。
 さっきの雪だるまが無味無臭だったから、ちゃんとした血の味がして思わず吐きそうになる。頑張って踏み留まり、飲みきる。手に入ったスキルは、【物理超強化】というスキルだった。【物理攻撃強化】と【物理防御強化】の統合のようで、【物理防御強化】が100になって統合された。【物理攻撃強化】は既にないので、得をした。
 ドロップアイテムで、雪男の腕や脚が落ちた。

「良いスキルゲット。改めて【吸血】って壊れスキルな感じがするなぁ。本来両立出来ないはずのスキルも手に入るし。欠点は味くらいなのかな。あ、いや、【武芸百般】と【武芸千般】が欠点か。自分で好きなようにスキルが取れない訳だし」

 武器同士の統合だと、私には収得出来ないスキルが多くなる。派生なら結構取れるものはあるけどね。
 そのまま雪男と雪だるまを倒していく。結局、新しいスキルは、【物理超強化】しか獲れず、その他は全部経験値に変わった。私も沢山スキルを手に入れているので、結構かぶりが増えてきたって感じかな。
 ちなみに、普通に雪男、雪だるまと戦闘してみたけど、【竜息吹】と【火炎武装】があるから簡単に倒せた。雪男は火達磨に出来たし、雪だるまに関しては溶けた。この雪嶺エリアは、火属性の攻撃があれば、結構簡単に進めそうだ。
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