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高く光へ昇り深く闇へ沈む吸血少女
山脈エリアの洞窟
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翌日。これまで同様に、少し早めにログインした私は、ギルドエリアで、昨日の夜にレベル上げしたスキルの整理を行う。
────────────────────
ハク:【武芸千般Lv23】【双刀Lv34】【双剣Lv95】【刀Lv19】【吸血牙Lv45】【武闘術Lv68】【始祖の吸血鬼Lv38】【血液武装Lv88】【影装術Lv32】【大地操作Lv32】【水氷操作Lv38】【風装術Lv1】【雷装術Lv31】【眷属(大蝙蝠)Lv35】【索敵Lv38】
控え:【三叉槍Lv2】【氷爪Lv16】【竜爪Lv11】【棘拳Lv11】【闘気Lv13】【散弾銃Lv1】【魔法才能Lv52】【水魔法才能Lv23】【支援魔法才能Lv45】【増血促進Lv44】【血液収納Lv23】【血液感知Lv50】【炎装術Lv12】【水氷装術Lv32】【防影Lv40】【HP強化Lv100】【MP強化Lv84】【物理防御強化Lv78】【魔法防御強化Lv55】【器用さ強化Lv85】【運強化Lv97】【神体Lv1】【身体能力強化Lv64】【視覚強化Lv93】【遠見Lv30】【聴覚強化Lv100】【遠耳Lv30】【嗅覚強化Lv28】【犬嗅覚Lv35】【味覚強化Lv30】【食感強化Lv30】【触覚強化Lv23】【温感強化Lv23】【顎強化Lv65】【執行者Lv100】【堅牢Lv19】【棘鎧Lv7】【電光石火Lv1】【雷足Lv28】【三次元機動Lv16】【予測Lv32】【潜伏Lv8】【飛翔Lv17】【毒耐性Lv51】【麻痺耐性Lv31】【呪い耐性Lv1】【沈黙耐性Lv4】【暗闇耐性Lv1】【怒り耐性Lv8】【眠り耐性Lv1】【混乱耐性Lv51】【気絶耐性Lv5】【鋭牙Lv40】【犬牙Lv29】【射出Lv12】【疾風迅雷Lv1】【水鉄砲Lv20】【吸水Lv15】【氷息吹Lv13】【毒牙Lv30】【毒生成Lv28】【腐食Lv31】【暴飲暴食Lv1】【血狂いLv2】【狂気Lv22】【貯蔵Lv1】【圧縮Lv15】【超音波Lv41】【怨念Lv54】【空歩Lv1】【天眼通Lv1】【夜霧化Lv30】【竜王血Lv50】【竜鱗Lv26】【竜息吹Lv15】【飛竜翼Lv18】【魔人Lv8】【魔血Lv10】【悪魔Lv15】【悪魔翼Lv20】【聖人Lv53】【聖血Lv59】【天使Lv10】【天使翼Lv15】【魔聖因子Lv9】【第六感Lv61】【竜騎Lv9】【農作Lv42】【畜産Lv10】【木こりLv1】【調教師Lv2】【精霊使いLv1】【統率Lv18】【霊峰霊視Lv31】【言語学Lv68】【古代言語学Lv20】【現代言語学Lv12】
SP:715
────────────────────
ちょっと偏ったレベル上げになったけど、おかげで、色々と進化や統合をさせる事が出来た。
────────────────────
【風装術】:風を操り武器などに纏わせる事が出来る。
【空歩】:MPを消費して、空中を歩く事が出来る。控えでも効果を発揮する。
【電光石火】:走る速度が上昇する。MPを消費して、急加速する事が出来る。控えでも効果を発揮する。
【疾風迅雷】:走る際に身体に雷を纏う。速度が上がれば上がる程、纏う雷の量は増える。控えでも効果を発揮する。
【神体】:物理攻撃の威力と走る速度が大きく上昇する。控えでも効果を発揮する。
【貯蔵】:ダメージを与える毎にHPとMPを吸収し、魔法を受ける度にMPを吸収し、溜め込む。容量が【蓄積】の倍になる。控えでも効果を発揮する。
【天眼通】:視野が広がり、複数の視界を得る。控えでも効果を発揮する。
【暴飲暴食】:あらゆるものを飲み食いする事が出来る。さらに、あらゆるものを消化する事が出来る。食べたものに応じて、効果を得る事がある。控えでも効果を発揮する。
────────────────────
【雷足】を持っていたおかげで、雷に関する二つのスキルを手に入れる事が出来た。【疾風迅雷】【電光石火】【神体】は、ランク5のスキルだ。この三つだけでSPを60も消費する事になった。SP自体は、困らないくらいに余っているから良いけど、これから先ランク6とか出て来たら、一気に消えていきそうだ。
「それにしても、いきなり控えで発動するスキルが増えたなぁ。アプデでも入ったのかな?」
そう思って、お知らせ欄を確認すると、アップデートのお知らせが入っていた。
『一部スキルの効果を控えでも発動するように調整。
テイムモンスターの行動により、持ち主が持つスキルへ経験値が入るように調整。』
この二つが書かれていた。どちらかと言うと後者の方が気になる。スノウ達の行動による経験値の授与がどこまでなのか。もし、レイン達が水などを操った時に経験値が入るのだとしたら、操作系スキルのレベル上げが捗る事になる。
ただ、私的には、そこまで都合の良い事ではないと考えている。どちらかと言うと、【農作】【畜産】など趣味系や生産系のスキルに影響してくるのではと考えていた。
その理由は、レインにある。レインが水やりなどをしてくれるようになって、私が畑に関わる事が減ったからだ。【農作】を育てる機会が減るという事もあって、テイムモンスターが手伝ってくれた場合でも経験値が入るようにしてくれたのだと思う。他の人達も精霊を手に入れる機会は、普通にあるしね。
「さてと、スキルの整理も終わった事だし、今日も山脈エリアの探索をしよっと」
魔法都市に転移して、傘を差しながら移動し、山脈エリアへとやってくる。今日は、山頂などを目指すのではなく、中腹ら辺にある洞窟の探索を行う事にした。脚で上るのも面倒くさいので、空を飛んで洞窟前まで移動する。
「よし。多分、レッサーワイバーンじゃなかったら、蝙蝠達も大丈夫でしょ」
探索用に蝙蝠三匹と大蝙蝠一匹を喚び、洞窟内に放つ。
「後は、【召喚・ソイル】【召喚・エアリー】」
ソイルとエアリーを喚び出す。スノウとエレクは、体格的と戦闘スタイル的に洞窟には合わないし、レインは【無限水】があるとはいえ、本領が発揮出来る場所ではない。
それに比べて、ソイルなら洞窟が崩れそうになってもどうにか出来るし、エアリーは風を操るので、出口を見つけてくれるかもしれない。そう考えての選択だ。
『頑張る……』
『微力ながら、お手伝いします』
「うん。お願いね」
蝙蝠がマッピングしてくれている地図を見ながら、ソイル達と進んでいくと、不意に一匹の蝙蝠が消えた。
「あれ?」
『モンスターですね。この先、分かれ道を右側に行くと一体います』
「索敵が出来るの?」
『私が操作している風が当たっているから分かりました。現状、百体以上のモンスターの存在を認識しています』
『わ……私も……分かるよ……ここから……倒せる……』
エアリーの末恐ろしさを感じていると、自分も役に立ちたいと思ったのかソイルも主張してきた。ソイルの場合、地面に触れているモンスターの場所を認識しているという感じかな。風と土という違いはあるものの、どちらも索敵能力の高さが凄い。
レインで精霊の凄さを知ったつもりでいたけど、まだまだ認識が甘かったかもしれない。
「ううん。出来れば倒さないでおいて。吸血したいから」
『うん……』
『分かりました』
取り敢えず、エアリーが見つけてくれた蝙蝠を倒したであろうモンスターの元に向かう。エアリーの言った通り、二方向の分かれ道があった。そこを右に曲がると、私の【索敵】にも反応する。そこでモンスターの形まで認識してしまった。本来であれば、先にどんなモンスターか分かるのは有り難い事なのだけど、先に分かる事でげんなりとしてしまう事もある。今がその時だ。
「うわっ……蜘蛛か……」
形的に、この先にいるモンスターは蜘蛛だ。正直、あまり好きではない。見た目も動きも気持ち悪いとしか感じないからだ。益虫と言われたところで、その嫌悪感が消えるわけじゃない。
しかも、それが私の半分くらいの大きさをしているのだから、尚のことだった。
「吸血か……嫌だなぁ……」
既にサンドワームを吸血した後だけど、その気持ちが出てしまうくらいには苦手だった。
『こちらで処分しますか?』
「ううん。吸血する。その前にちょっと気合いを入れ直させて」
自分の両頬を叩いて、覚悟を決める。ここはゲームなのだから、少しは割り切って行動するのも大事だ。まぁ、これで要らないスキルとかが出て来たら、ソイルとエアリーに頼んで倒して貰うけど。
向こうの索敵範囲に入ったのか、蜘蛛がこちらに移動してきた。洞窟の奥の方、その天井に姿を現す。見た目は、どこにでもいそうな蜘蛛そのものだけど、やっぱり大きさが異常だった。名前はケイブスパイダー。かなり安直な名前だった。
嫌悪感で顔を顰めていると、ケイブスパイダーが地面に叩きつけられた。その理由は、天井から突き出している土の突起にあった。あれは、さっきまで存在しなかったものだ。恐らく、ソイルが天井の土を操って勢いよく突き出させる事で天井から落としたのだ。
さらに、地面に仰向けになったケイブスパイダーを、土が拘束する。暴れないように脚からがっちりと拘束されたケイブスパイダーは、一切身動きが取れない状態になっていた。
『捕まえた……』
「ありがとう、ソイル」
ソイルの頭を撫でてあげながらお礼を言い、ケイブスパイダーの元に高速移動する。【空歩】を上手く使ってブレーキを掛ける。そこで気付いたけど、身体に雷を纏っていた。【雷装術】は使っていないので、【疾風迅雷】の効果だ。
その身体で、ケイブスパイダーに触れると、静電気のように纏っていた雷がケイブスパイダーへ流れた。ケイブスパイダーは、苦しそうに身体を痙攣させる。それを無視して、身体に噛み付く。サンドワームと似たような臭いを感じて、また吐きそうになるけど、それを押し殺して血を飲む。
どんどんとHPを削っていき、二十秒程で倒した。ドロップアイテムは、洞窟蜘蛛の毒糸、洞窟蜘蛛の毒牙。毒関係の素材だった。
『【始祖の吸血鬼】により、ケイブスパイダーから【走壁】を獲得』
新しいスキルを手に入れた。
────────────────────
【走壁】:MPを消費して、壁や天井を進む事が出来るようになる。控えでも効果を発揮する。
────────────────────
かなり便利なスキルだ。羽を持っているから使わないと思ってしまうけど、今いる洞窟みたいな羽を出すには狭い場所などで壁を進みたいとか思った時に重宝しそう。
「それにしても、MPを消費するスキルが増えたなぁ。魔法使いじゃないっていうのが、ここで活きてくるとは」
これで魔法を使う構成にしていたら、MPの管理が死ぬ程大変になっていただろう。完全に要らない子になってしまった魔法系スキルには申し訳ない。
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ハク:【武芸千般Lv23】【双刀Lv34】【双剣Lv95】【刀Lv19】【吸血牙Lv45】【武闘術Lv68】【始祖の吸血鬼Lv38】【血液武装Lv88】【影装術Lv32】【大地操作Lv32】【水氷操作Lv38】【風装術Lv1】【雷装術Lv31】【眷属(大蝙蝠)Lv35】【索敵Lv38】
控え:【三叉槍Lv2】【氷爪Lv16】【竜爪Lv11】【棘拳Lv11】【闘気Lv13】【散弾銃Lv1】【魔法才能Lv52】【水魔法才能Lv23】【支援魔法才能Lv45】【増血促進Lv44】【血液収納Lv23】【血液感知Lv50】【炎装術Lv12】【水氷装術Lv32】【防影Lv40】【HP強化Lv100】【MP強化Lv84】【物理防御強化Lv78】【魔法防御強化Lv55】【器用さ強化Lv85】【運強化Lv97】【神体Lv1】【身体能力強化Lv64】【視覚強化Lv93】【遠見Lv30】【聴覚強化Lv100】【遠耳Lv30】【嗅覚強化Lv28】【犬嗅覚Lv35】【味覚強化Lv30】【食感強化Lv30】【触覚強化Lv23】【温感強化Lv23】【顎強化Lv65】【執行者Lv100】【堅牢Lv19】【棘鎧Lv7】【電光石火Lv1】【雷足Lv28】【三次元機動Lv16】【予測Lv32】【潜伏Lv8】【飛翔Lv17】【毒耐性Lv51】【麻痺耐性Lv31】【呪い耐性Lv1】【沈黙耐性Lv4】【暗闇耐性Lv1】【怒り耐性Lv8】【眠り耐性Lv1】【混乱耐性Lv51】【気絶耐性Lv5】【鋭牙Lv40】【犬牙Lv29】【射出Lv12】【疾風迅雷Lv1】【水鉄砲Lv20】【吸水Lv15】【氷息吹Lv13】【毒牙Lv30】【毒生成Lv28】【腐食Lv31】【暴飲暴食Lv1】【血狂いLv2】【狂気Lv22】【貯蔵Lv1】【圧縮Lv15】【超音波Lv41】【怨念Lv54】【空歩Lv1】【天眼通Lv1】【夜霧化Lv30】【竜王血Lv50】【竜鱗Lv26】【竜息吹Lv15】【飛竜翼Lv18】【魔人Lv8】【魔血Lv10】【悪魔Lv15】【悪魔翼Lv20】【聖人Lv53】【聖血Lv59】【天使Lv10】【天使翼Lv15】【魔聖因子Lv9】【第六感Lv61】【竜騎Lv9】【農作Lv42】【畜産Lv10】【木こりLv1】【調教師Lv2】【精霊使いLv1】【統率Lv18】【霊峰霊視Lv31】【言語学Lv68】【古代言語学Lv20】【現代言語学Lv12】
SP:715
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ちょっと偏ったレベル上げになったけど、おかげで、色々と進化や統合をさせる事が出来た。
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【風装術】:風を操り武器などに纏わせる事が出来る。
【空歩】:MPを消費して、空中を歩く事が出来る。控えでも効果を発揮する。
【電光石火】:走る速度が上昇する。MPを消費して、急加速する事が出来る。控えでも効果を発揮する。
【疾風迅雷】:走る際に身体に雷を纏う。速度が上がれば上がる程、纏う雷の量は増える。控えでも効果を発揮する。
【神体】:物理攻撃の威力と走る速度が大きく上昇する。控えでも効果を発揮する。
【貯蔵】:ダメージを与える毎にHPとMPを吸収し、魔法を受ける度にMPを吸収し、溜め込む。容量が【蓄積】の倍になる。控えでも効果を発揮する。
【天眼通】:視野が広がり、複数の視界を得る。控えでも効果を発揮する。
【暴飲暴食】:あらゆるものを飲み食いする事が出来る。さらに、あらゆるものを消化する事が出来る。食べたものに応じて、効果を得る事がある。控えでも効果を発揮する。
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【雷足】を持っていたおかげで、雷に関する二つのスキルを手に入れる事が出来た。【疾風迅雷】【電光石火】【神体】は、ランク5のスキルだ。この三つだけでSPを60も消費する事になった。SP自体は、困らないくらいに余っているから良いけど、これから先ランク6とか出て来たら、一気に消えていきそうだ。
「それにしても、いきなり控えで発動するスキルが増えたなぁ。アプデでも入ったのかな?」
そう思って、お知らせ欄を確認すると、アップデートのお知らせが入っていた。
『一部スキルの効果を控えでも発動するように調整。
テイムモンスターの行動により、持ち主が持つスキルへ経験値が入るように調整。』
この二つが書かれていた。どちらかと言うと後者の方が気になる。スノウ達の行動による経験値の授与がどこまでなのか。もし、レイン達が水などを操った時に経験値が入るのだとしたら、操作系スキルのレベル上げが捗る事になる。
ただ、私的には、そこまで都合の良い事ではないと考えている。どちらかと言うと、【農作】【畜産】など趣味系や生産系のスキルに影響してくるのではと考えていた。
その理由は、レインにある。レインが水やりなどをしてくれるようになって、私が畑に関わる事が減ったからだ。【農作】を育てる機会が減るという事もあって、テイムモンスターが手伝ってくれた場合でも経験値が入るようにしてくれたのだと思う。他の人達も精霊を手に入れる機会は、普通にあるしね。
「さてと、スキルの整理も終わった事だし、今日も山脈エリアの探索をしよっと」
魔法都市に転移して、傘を差しながら移動し、山脈エリアへとやってくる。今日は、山頂などを目指すのではなく、中腹ら辺にある洞窟の探索を行う事にした。脚で上るのも面倒くさいので、空を飛んで洞窟前まで移動する。
「よし。多分、レッサーワイバーンじゃなかったら、蝙蝠達も大丈夫でしょ」
探索用に蝙蝠三匹と大蝙蝠一匹を喚び、洞窟内に放つ。
「後は、【召喚・ソイル】【召喚・エアリー】」
ソイルとエアリーを喚び出す。スノウとエレクは、体格的と戦闘スタイル的に洞窟には合わないし、レインは【無限水】があるとはいえ、本領が発揮出来る場所ではない。
それに比べて、ソイルなら洞窟が崩れそうになってもどうにか出来るし、エアリーは風を操るので、出口を見つけてくれるかもしれない。そう考えての選択だ。
『頑張る……』
『微力ながら、お手伝いします』
「うん。お願いね」
蝙蝠がマッピングしてくれている地図を見ながら、ソイル達と進んでいくと、不意に一匹の蝙蝠が消えた。
「あれ?」
『モンスターですね。この先、分かれ道を右側に行くと一体います』
「索敵が出来るの?」
『私が操作している風が当たっているから分かりました。現状、百体以上のモンスターの存在を認識しています』
『わ……私も……分かるよ……ここから……倒せる……』
エアリーの末恐ろしさを感じていると、自分も役に立ちたいと思ったのかソイルも主張してきた。ソイルの場合、地面に触れているモンスターの場所を認識しているという感じかな。風と土という違いはあるものの、どちらも索敵能力の高さが凄い。
レインで精霊の凄さを知ったつもりでいたけど、まだまだ認識が甘かったかもしれない。
「ううん。出来れば倒さないでおいて。吸血したいから」
『うん……』
『分かりました』
取り敢えず、エアリーが見つけてくれた蝙蝠を倒したであろうモンスターの元に向かう。エアリーの言った通り、二方向の分かれ道があった。そこを右に曲がると、私の【索敵】にも反応する。そこでモンスターの形まで認識してしまった。本来であれば、先にどんなモンスターか分かるのは有り難い事なのだけど、先に分かる事でげんなりとしてしまう事もある。今がその時だ。
「うわっ……蜘蛛か……」
形的に、この先にいるモンスターは蜘蛛だ。正直、あまり好きではない。見た目も動きも気持ち悪いとしか感じないからだ。益虫と言われたところで、その嫌悪感が消えるわけじゃない。
しかも、それが私の半分くらいの大きさをしているのだから、尚のことだった。
「吸血か……嫌だなぁ……」
既にサンドワームを吸血した後だけど、その気持ちが出てしまうくらいには苦手だった。
『こちらで処分しますか?』
「ううん。吸血する。その前にちょっと気合いを入れ直させて」
自分の両頬を叩いて、覚悟を決める。ここはゲームなのだから、少しは割り切って行動するのも大事だ。まぁ、これで要らないスキルとかが出て来たら、ソイルとエアリーに頼んで倒して貰うけど。
向こうの索敵範囲に入ったのか、蜘蛛がこちらに移動してきた。洞窟の奥の方、その天井に姿を現す。見た目は、どこにでもいそうな蜘蛛そのものだけど、やっぱり大きさが異常だった。名前はケイブスパイダー。かなり安直な名前だった。
嫌悪感で顔を顰めていると、ケイブスパイダーが地面に叩きつけられた。その理由は、天井から突き出している土の突起にあった。あれは、さっきまで存在しなかったものだ。恐らく、ソイルが天井の土を操って勢いよく突き出させる事で天井から落としたのだ。
さらに、地面に仰向けになったケイブスパイダーを、土が拘束する。暴れないように脚からがっちりと拘束されたケイブスパイダーは、一切身動きが取れない状態になっていた。
『捕まえた……』
「ありがとう、ソイル」
ソイルの頭を撫でてあげながらお礼を言い、ケイブスパイダーの元に高速移動する。【空歩】を上手く使ってブレーキを掛ける。そこで気付いたけど、身体に雷を纏っていた。【雷装術】は使っていないので、【疾風迅雷】の効果だ。
その身体で、ケイブスパイダーに触れると、静電気のように纏っていた雷がケイブスパイダーへ流れた。ケイブスパイダーは、苦しそうに身体を痙攣させる。それを無視して、身体に噛み付く。サンドワームと似たような臭いを感じて、また吐きそうになるけど、それを押し殺して血を飲む。
どんどんとHPを削っていき、二十秒程で倒した。ドロップアイテムは、洞窟蜘蛛の毒糸、洞窟蜘蛛の毒牙。毒関係の素材だった。
『【始祖の吸血鬼】により、ケイブスパイダーから【走壁】を獲得』
新しいスキルを手に入れた。
────────────────────
【走壁】:MPを消費して、壁や天井を進む事が出来るようになる。控えでも効果を発揮する。
────────────────────
かなり便利なスキルだ。羽を持っているから使わないと思ってしまうけど、今いる洞窟みたいな羽を出すには狭い場所などで壁を進みたいとか思った時に重宝しそう。
「それにしても、MPを消費するスキルが増えたなぁ。魔法使いじゃないっていうのが、ここで活きてくるとは」
これで魔法を使う構成にしていたら、MPの管理が死ぬ程大変になっていただろう。完全に要らない子になってしまった魔法系スキルには申し訳ない。
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