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高く光へ昇り深く闇へ沈む吸血少女

小さな手掛かり

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 夕飯近くまで調べ続けて、コインの量も結構な枚数になってきた。ただ、建物が多すぎる。建物と建物の隙間がほぼないっていうが大きいかな。その分、敷き詰められているから。

「やっぱり、一番怪しいのは、中央のでかい建物かな。今日の夜で、そこまで行ければ良いけど」

 【霊峰霊視】で調べないと情報が集まらない可能性も高いので、レインとかに頼るという手段も取れない。まだ三分の一しか調べられてないし、今のペースだと明日も探索になるかな。
 夜中も探索を続けて、いくつもコインを見つけた。ただ、結局探索出来たのは、半分より手前くらいまでだった。
 翌日。いつもより早めにログインしたら、お知らせが二つ届いていた。

『第四回イベント八月八日開催決定。内容は、事前予告と同じく二時間のPvPイベントです。ただし、遭遇したプレイヤー同士で、最大六人のパーティーを組む事が出来ます。パーティーの人数に応じて、ステータスにバフを設けます。一人が最大で、六人が最小となります。パーティーを組む組まないは、プレイヤーの自由です。テイムモンスターの使用は禁止となります。優勝報酬や入賞報酬に関しては、パーティー全体に配られます。優勝基準は、最後まで生き残るか、時間内に最多キル数を記録したパーティーとなります。優勝賞品は、選択式レアアイテムボックス。十位以内の入賞には、選択式アイテムボックスを授与します。奮ってご参加ください』

『第五回イベント八月十五日開催決定。内容は、モンスター相手の殲滅戦。次々に襲い掛かってくるモンスターを倒していくイベントとなっています。収得スキルと平均レベルなどでグループ分けをします。パーティーを組んでいる場合とギルドに所属している場合には、パーティー単位、ギルド単位で挑む事も可能です。イベント前日にイベント専用メニューを用意しますので、開始までにお選びください。出て来るモンスターは、グループ内のプレイヤーのスキルレベルの平均値によって変わります。平均値が高ければ高い程、モンスターは強くなっていきます。また、このイベントでは、テイムモンスターの使用は許可します。優勝などはありませんが、討伐したモンスターの数と種類によって、アイテムを配布します。初心者でも、参加出来るようなカジュアルなイベントになっています。奮ってご参加ください』

 一つは次のイベントだろうなぁって思っていたけど、まさかもう一つもイベントのお知らせだとは思わなかった。でも、内容を見て、少し納得した。アカリの素材の話からも、初心者が増えている事は分かる。第四回イベントみたいなPvPイベントには、フレ姉やアク姉、ソルさんみたいな滅茶苦茶に強い人達も参加するから、そう言った初心者達が参加しにくい状況になっているという事を運営が危惧したのだと思う。
 だから、初心者でも参加しやすいイベントを考えた結果、モンスター相手のイベントってなった感じかな。前みたいな探索型イベントでも良いと思ったけど、結局レベルの高いプレイヤーが得するようなイベントだったし、もっと初心者に寄り添ったものになっているのだと思う。
 初心者が倒しやすいモンスターを大量に用意して、協力しながら突破していけば、スキルレベルも上がるし、そこから一緒に冒険する仲間が出来たりするかもしれない。そうしたら、冒険もやりやすくなるし、もっとゲームを楽しんで貰えるだろう。
 それに、私達みたいなある程度強くなった人達にも利点があるから、初心者に寄り添いながら、私達の事も考えてくれているイベントって考えられる。
 ここで少し考えていると、ギルドチャットが動いた。

『イベントのお知らせは見た? ハクちゃんとアカリちゃんが良いのなら、ギルドで一緒に出てみない?』

 メッセージを送ったのは、アク姉だった。

『私は良いよ』
『私も大丈夫です。多分、足を引っ張ると思いますけど、そこは大丈夫ですか?』

 アカリも大丈夫みたいだけど、レベルの問題を気にしていた。生産系スキルを中心に上げているにしては、戦闘スキルもしっかりと上げているので、私としては、全然問題ないと思うけど。

『大丈夫! 私達も強いからね。それに、スノウちゃん達も一緒に戦えるみたいだから、戦力的にも大丈夫じゃないかな』

 アク姉は、スノウ達の力を全部知っているわけじゃない。でも、テイムされる前のスノウを知っているから、十分問題ないだろうと判断してくれているのだと思う。

『分かりました。イベントに備えて、必要な装備などがあれば言って下さい。頑張ります』
『うん。ありがとう。必要なものがあったら、お願いするね』

 皆で参加するって事で、ちゃんと固まった。こういう時、真っ先に確認するのは、ギルドマスターである私であるべきだったのかな。そんな事を考えていると、個別でメッセージが届いた。

『適材適所だよ』

 アク姉からのメッセージだった。私が気にするって思ってくれたのだと思う。本当に何でもお見通しだ。

「『ありがとう』っと。取り敢えず、これでオッケー。それじゃあ、探索を再開しよっと」

 早めにログインした理由であるこの都市の探索を始める。せっかくなので、【雷足】を慣しながら探索を進めた。ちょっと非効率的かなって思ったけど、割と上手くいった。これなら、昨日もこうして探索すれば良かった。
 【霊峰霊視】で、またコインを大量に見つけた。もう全部で百枚以上ある。もう要らないって思い始めたけど、何かしらに使える可能性もあるので、全部拾っていく。

「そろそろ紙の痕跡が欲しいなぁ。クエストの進行に関わるのは、絶対に紙だろうし」

 ため息をつきながらも、すり鉢状になっている街の底に近い家に入って調べる。また、青い靄があったので、コインゲットって思いながら形を与えると、待ちに待った紙が出て来た。

「やった」

 すぐに、【言語学】【古代言語学】【現代言語学】を装備して確認する。

『●●●失敗
●●●失敗
●●●失敗
●●●失敗
●●●失敗
●●●失敗
●●●失敗
●●●失敗
●●●失敗
●●●失敗
●●●失敗』

 これだけだった。何かに失敗したのは分かったけど、それがここまで連なっていると怖い。

「何だろう? 何かの実験かな?」

 真っ先に思い付いたのは、それだった。多分、誰でもそう考えると思う。

「てか、これ財宝関係ないよね……黄金も関係なさそうだし。闇の方かな? もしかして、あの手記に書かれていた闇は、まだ浅い部分だったのかな。あれよりも深い闇か……面白そうって思ったら不謹慎かな? まぁ、クエストの一環だし、それくらいは良いか」

 それから一番下に至るまで、探索を進めたけど、同じ紙とコインしか発見する事は出来なかった。そこまで調べたところで、夕飯の時間になってしまったので、そこで切り上げて、夜に再びログインする事にした。
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