206 / 503
高く光へ昇り深く闇へ沈む吸血少女
砂の人とサボテン
しおりを挟む
エレクに乗って二箇所目の測定をしていると、とうとうモンスターが現れた。紅い石を中心に、砂が集まっていく。前のエリアのボスであるジャイアントサンドマンと同じだ。違うのは、大きさくらい。名前は、サンドマン。
「ボスで対処法は分かってるんだよね」
【大地操作】で身体を構成している砂を吹き飛ばそうと思ったら、それよりも前に雷撃が紅い石を貫いた。やってくれたのは、当然ながらエレクだ。
中心となる石を砕かれたサンドマンは、身体となった砂を砂漠に戻して倒れた。ドロップアイテムは、砂人の砂×10、紅き石の小欠片だった。ジャイアントサンドマンの下位互換って感じかな。もしかしたら、こっちの方が使い勝手が良いとかはあるかもしれないけど。
「ありがとう、エレク。でも、次は攻撃しないで良いよ。もしかしたら、ジャイアントサンドマンとは違うスキルを手に入れられるかもしれないから」
『ブルルッ』
エレクを労って、攻撃をしないように指示をした後、レインの測定を待つ。
『ここも同じくらい』
「オッケー。それじゃあ、次に行こ……」
急に【索敵】が反応した。もの凄い勢いで変な形をした二足歩行の何かが向かってきている。すぐに私達の視界にも捉えられた。
「……サボテン? 気持ち悪っ……」
向かってきていたのは、緑色の身体をしたサボテンだった。名前は、ランカクタス。何が気持ち悪いって、アスリート走りをしながら突っ込んできている事だ。
私は、拳を握って【影装術】と【雷装術】を纏わせる。【影装術】は、耐久削りと防御貫通の効果。【雷装術】の方は、雷属性の付与と麻痺攻撃だ。攻撃速度が上がるとも考えたけど、身体全体が雷になっている訳でも無いので、それはなかった。
【雷足】と高速移動と【空力】で、ランカクタスの背後に移動する。風の壁と【空力】で、強制的に止まる事は出来た。そのままランカクタスの背中を硬質化した拳で殴る。静電気のような音と共に、ランカクタスが吹っ飛ぶ。HPを四割削る事が出来た。
「思ったよりも硬い。硬質化で、反動ダメージみたいなのは防げたかな」
相手はサボテンなので、身体中に針が生えている。それが刺さってダメージになるかもしれないと思ったけど、硬質化で防げたみたいだ。
再び【雷足】高速移動で、ランカクタスに追いつき、【大地操作】で身体を拘束する。
「……針の無い場所はないのか。痛みを覚悟するしかないかぁ」
砂漠に拘束したランカクタスに噛み付く。予想通り私にもダメージが入るけど、継続ダメージではないので、そのまま吸血を実行する。口の中に、酸味のある水が入ってくる。これが、ランカクタスにとっての血液みたい。結構美味しいので、一気に飲んで倒した。ドロップアイテムは、サボテンの果肉だけだった。
『【始祖の吸血鬼】により、ランカクタスから【吸水】を獲得』
────────────────────────
【吸水】:一定まで水を吸収する事が出来る。吸収した水は、水属性の技などに利用する事が可能となる。吸収した水は、エリアを跨ぐと消える。控えでも効果を発揮する。
────────────────────────
一瞬微妙なスキルかと思ったけど、これが水魔法にも同じ効果を発揮するとしたら、ある程度まで水魔法を無効化する事が出来るかもしれない。ただ、結局水のある場所じゃないと意味がないから、砂漠では活用出来ないかもしれない。
「結構速いから、【疾走】とかを持っていそうだなぁ」
『次から倒す?』
「いや、もう少しスキルを獲るよ。二人は、そのままで」
『うん。分かった』
『ヒヒーン!』
それからエレクに乗りながら、レインの水による測定を進めていった。エリアの外周を一周するって感じだけど、エリアそのものが広くなっていたので、ちょっと時間が掛かった。探索の最中で昼の時間帯になったけど、やっぱり体調に変化はなかった。怠さも何もない。砂漠で苦労した思い出がある分、解放感があった。ただ一つだけ残念なのが、アカリがくれた日傘を使う機会がなくなるという事だ。割と気に入っているから、おしゃれで使うのは有りかも。
この探索の中で、何度もモンスターと戦闘した。サンドマンは、【索敵】の範囲内に急に現れるので、少し驚く。ただ【第六感】のおかげで、攻撃の予兆は察知出来るので、攻撃を食らう事は無かった。まぁ、【第六感】を抜きにしても、エレクの速度で避けられるけど。
一番怖かったのは、ランカクタスが集団で走ってきた時だ。本気でエレクに逃げて貰おうかと思ったくらいには、アスリート走りのサボテンの集団は怖かった。対処に困るので、エレクに一部倒して貰ったくらいだし。
そんな私達の戦闘の他にも、大蝙蝠とスノウも戦ってくれているから、素材は沢山手に入っている。
同時に戦闘によって、新しいスキルも手に入れた。サンドマンから【圧縮】と【射出】、ランカクタスから【棘拳】【棘鎧】を手に入れた。他に手に入れたスキルは、持っているスキルだったので、経験値になっていった。
────────────────────────
【圧縮】:物質を圧縮する事が出来るようになる。控えでも効果を発揮する。
【射出】:手に持ったものを、撃ち出す事が出来るようになる。控えでも効果を発揮する。
【棘拳】:拳に魔力で出来た棘を纏わせられる。
【棘鎧】:素手などの身体を使った攻撃を受けた場合、〇・一割の反射ダメージを与える。控えでも効果を発揮する。
────────────────────────
【圧縮】は、そのままのスキルだった。ただ、かなり圧縮する事が出来るので、【血液武装】と組み合わせて、師匠好みの刀を作り出す事は出来ると思う。
【射出】は、手で持ったものを少しだけ浮かせて、銃のように撃ち出すというスキルだった。撃ち出される速度は、かなり速いけど、銃などには及ばなかった。使いどころが、あまり思い付かないスキルではある。
【棘拳】は、スパイクが付いた手甲みたいなものを魔力で作り出す事が出来る。素手で戦う時には有り難いけど、私はあまり使わないかな。
【棘鎧】は、反射ダメージを与えるからタンクには良いスキルだけど、私のスキルと合わせて考えると、あまり利用出来ない気がする。基本的に【防影】で攻撃は防げるし、【夜霧化】の緊急回避が三回もあるし、直接攻撃を受ける事自体が少ない。だから、レベル上げも大変なスキルだなとも思った。
そして、レインの測定に関しては、大体一定の深さという事が分かった。少しのばらつきは、積もっている砂の偏りなのが原因だと思うので、そこまで重要ではないと思う。
「それじゃあ、最後に中央に行って調べてみようか」
『うん』
エレクを走らせて、砂漠エリアの中央へと向かう。外周には、何もなかったので、恐らく中央に都市の跡がある。そこでストーリーイベントが進行するはず。どんな事が起こるか、今から楽しみだ。
「ボスで対処法は分かってるんだよね」
【大地操作】で身体を構成している砂を吹き飛ばそうと思ったら、それよりも前に雷撃が紅い石を貫いた。やってくれたのは、当然ながらエレクだ。
中心となる石を砕かれたサンドマンは、身体となった砂を砂漠に戻して倒れた。ドロップアイテムは、砂人の砂×10、紅き石の小欠片だった。ジャイアントサンドマンの下位互換って感じかな。もしかしたら、こっちの方が使い勝手が良いとかはあるかもしれないけど。
「ありがとう、エレク。でも、次は攻撃しないで良いよ。もしかしたら、ジャイアントサンドマンとは違うスキルを手に入れられるかもしれないから」
『ブルルッ』
エレクを労って、攻撃をしないように指示をした後、レインの測定を待つ。
『ここも同じくらい』
「オッケー。それじゃあ、次に行こ……」
急に【索敵】が反応した。もの凄い勢いで変な形をした二足歩行の何かが向かってきている。すぐに私達の視界にも捉えられた。
「……サボテン? 気持ち悪っ……」
向かってきていたのは、緑色の身体をしたサボテンだった。名前は、ランカクタス。何が気持ち悪いって、アスリート走りをしながら突っ込んできている事だ。
私は、拳を握って【影装術】と【雷装術】を纏わせる。【影装術】は、耐久削りと防御貫通の効果。【雷装術】の方は、雷属性の付与と麻痺攻撃だ。攻撃速度が上がるとも考えたけど、身体全体が雷になっている訳でも無いので、それはなかった。
【雷足】と高速移動と【空力】で、ランカクタスの背後に移動する。風の壁と【空力】で、強制的に止まる事は出来た。そのままランカクタスの背中を硬質化した拳で殴る。静電気のような音と共に、ランカクタスが吹っ飛ぶ。HPを四割削る事が出来た。
「思ったよりも硬い。硬質化で、反動ダメージみたいなのは防げたかな」
相手はサボテンなので、身体中に針が生えている。それが刺さってダメージになるかもしれないと思ったけど、硬質化で防げたみたいだ。
再び【雷足】高速移動で、ランカクタスに追いつき、【大地操作】で身体を拘束する。
「……針の無い場所はないのか。痛みを覚悟するしかないかぁ」
砂漠に拘束したランカクタスに噛み付く。予想通り私にもダメージが入るけど、継続ダメージではないので、そのまま吸血を実行する。口の中に、酸味のある水が入ってくる。これが、ランカクタスにとっての血液みたい。結構美味しいので、一気に飲んで倒した。ドロップアイテムは、サボテンの果肉だけだった。
『【始祖の吸血鬼】により、ランカクタスから【吸水】を獲得』
────────────────────────
【吸水】:一定まで水を吸収する事が出来る。吸収した水は、水属性の技などに利用する事が可能となる。吸収した水は、エリアを跨ぐと消える。控えでも効果を発揮する。
────────────────────────
一瞬微妙なスキルかと思ったけど、これが水魔法にも同じ効果を発揮するとしたら、ある程度まで水魔法を無効化する事が出来るかもしれない。ただ、結局水のある場所じゃないと意味がないから、砂漠では活用出来ないかもしれない。
「結構速いから、【疾走】とかを持っていそうだなぁ」
『次から倒す?』
「いや、もう少しスキルを獲るよ。二人は、そのままで」
『うん。分かった』
『ヒヒーン!』
それからエレクに乗りながら、レインの水による測定を進めていった。エリアの外周を一周するって感じだけど、エリアそのものが広くなっていたので、ちょっと時間が掛かった。探索の最中で昼の時間帯になったけど、やっぱり体調に変化はなかった。怠さも何もない。砂漠で苦労した思い出がある分、解放感があった。ただ一つだけ残念なのが、アカリがくれた日傘を使う機会がなくなるという事だ。割と気に入っているから、おしゃれで使うのは有りかも。
この探索の中で、何度もモンスターと戦闘した。サンドマンは、【索敵】の範囲内に急に現れるので、少し驚く。ただ【第六感】のおかげで、攻撃の予兆は察知出来るので、攻撃を食らう事は無かった。まぁ、【第六感】を抜きにしても、エレクの速度で避けられるけど。
一番怖かったのは、ランカクタスが集団で走ってきた時だ。本気でエレクに逃げて貰おうかと思ったくらいには、アスリート走りのサボテンの集団は怖かった。対処に困るので、エレクに一部倒して貰ったくらいだし。
そんな私達の戦闘の他にも、大蝙蝠とスノウも戦ってくれているから、素材は沢山手に入っている。
同時に戦闘によって、新しいスキルも手に入れた。サンドマンから【圧縮】と【射出】、ランカクタスから【棘拳】【棘鎧】を手に入れた。他に手に入れたスキルは、持っているスキルだったので、経験値になっていった。
────────────────────────
【圧縮】:物質を圧縮する事が出来るようになる。控えでも効果を発揮する。
【射出】:手に持ったものを、撃ち出す事が出来るようになる。控えでも効果を発揮する。
【棘拳】:拳に魔力で出来た棘を纏わせられる。
【棘鎧】:素手などの身体を使った攻撃を受けた場合、〇・一割の反射ダメージを与える。控えでも効果を発揮する。
────────────────────────
【圧縮】は、そのままのスキルだった。ただ、かなり圧縮する事が出来るので、【血液武装】と組み合わせて、師匠好みの刀を作り出す事は出来ると思う。
【射出】は、手で持ったものを少しだけ浮かせて、銃のように撃ち出すというスキルだった。撃ち出される速度は、かなり速いけど、銃などには及ばなかった。使いどころが、あまり思い付かないスキルではある。
【棘拳】は、スパイクが付いた手甲みたいなものを魔力で作り出す事が出来る。素手で戦う時には有り難いけど、私はあまり使わないかな。
【棘鎧】は、反射ダメージを与えるからタンクには良いスキルだけど、私のスキルと合わせて考えると、あまり利用出来ない気がする。基本的に【防影】で攻撃は防げるし、【夜霧化】の緊急回避が三回もあるし、直接攻撃を受ける事自体が少ない。だから、レベル上げも大変なスキルだなとも思った。
そして、レインの測定に関しては、大体一定の深さという事が分かった。少しのばらつきは、積もっている砂の偏りなのが原因だと思うので、そこまで重要ではないと思う。
「それじゃあ、最後に中央に行って調べてみようか」
『うん』
エレクを走らせて、砂漠エリアの中央へと向かう。外周には、何もなかったので、恐らく中央に都市の跡がある。そこでストーリーイベントが進行するはず。どんな事が起こるか、今から楽しみだ。
11
お気に入りに追加
176
あなたにおすすめの小説
![](https://www.alphapolis.co.jp/v2/img/books/no_image/novel/sf.png?id=74527b25be1223de4b35)
吸血少女 設定資料集(おまけ付き)
月輪林檎
SF
『吸血少女ののんびり気ままなゲームライフ』のスキルやその技、武具の追加効果などを章ごとに分けて簡潔に説明します。その章で新しく出て来たものを書いていくので、過去の章に出て来ているものは、過去の章から確認してください。
さらに、ハク以外の視点で、ちょっとした話も書くかもしれません。所謂番外編です。
基本的に不定期更新です。
![](https://www.alphapolis.co.jp/v2/img/books/no_image/novel/sf.png?id=74527b25be1223de4b35)
日本VS異世界国家! ー政府が、自衛隊が、奮闘する。
スライム小説家
SF
令和5年3月6日、日本国は唐突に異世界へ転移してしまった。
地球の常識がなにもかも通用しない魔法と戦争だらけの異世界で日本国は生き延びていけるのか!?
異世界国家サバイバル、ここに爆誕!
VRゲームでも身体は動かしたくない。
姫野 佑
SF
多種多様な武器やスキル、様々な【称号】が存在するが職業という概念が存在しない<Imperial Of Egg>。
古き良きPCゲームとして稼働していた<Imperial Of Egg>もいよいよ完全没入型VRMMO化されることになった。
身体をなるべく動かしたくないと考えている岡田智恵理は<Imperial Of Egg>がVRゲームになるという発表を聞いて気落ちしていた。
しかしゲーム内の親友との会話で落ち着きを取り戻し、<Imperial Of Egg>にログインする。
当作品は小説家になろう様で連載しております。
章が完結次第、一日一話投稿致します。
![](https://www.alphapolis.co.jp/v2/img/books/no_image/novel/sf.png?id=74527b25be1223de4b35)
ビースト・オンライン 〜追憶の道しるべ。操作ミスで兎になった俺は、仲間の記憶を辿り世界を紐解く〜
八ッ坂千鶴
SF
普通の高校生の少年は高熱と酷い風邪に悩まされていた。くしゃみが止まらず学校にも行けないまま1週間。そんな彼を心配して、母親はとあるゲームを差し出す。
そして、そのゲームはやがて彼を大事件に巻き込んでいく……!
※感想は私のXのDMか小説家になろうの感想欄にお願いします。小説家になろうの感想は非ログインユーザーでも記入可能です。
![](https://www.alphapolis.co.jp/v2/img/books/no_image/novel/sf.png?id=74527b25be1223de4b35)
New Life
basi
SF
なろうに掲載したものをカクヨム・アルファポにて掲載しています。改稿バージョンです。
待ちに待ったVRMMO《new life》
自分の行動でステータスの変化するアビリティシステム。追求されるリアリティ。そんなゲームの中の『新しい人生』に惹かれていくユルと仲間たち。
ゲームを進め、ある条件を満たしたために行われたアップデート。しかし、それは一部の人々にゲームを終わらせ、新たな人生を歩ませた。
第二部? むしろ本編? 始まりそうです。
主人公は美少女風美青年?
![](https://www.alphapolis.co.jp/v2/img/books/no_image/novel/fantasy.png?id=6ceb1e9b892a4a252212)
日本列島、時震により転移す!
黄昏人
ファンタジー
2023年(現在)、日本列島が後に時震と呼ばれる現象により、500年以上の時を超え1492年(過去)の世界に転移した。移転したのは本州、四国、九州とその周辺の島々であり、現在の日本は過去の時代に飛ばされ、過去の日本は現在の世界に飛ばされた。飛ばされた現在の日本はその文明を支え、国民を食わせるためには早急に莫大な資源と食料が必要である。過去の日本は現在の世界を意識できないが、取り残された北海道と沖縄は国富の大部分を失い、戦国日本を抱え途方にくれる。人々は、政府は何を思いどうふるまうのか。
![](https://www.alphapolis.co.jp/v2/img/books/no_image/novel/sf.png?id=74527b25be1223de4b35)
NewLifeOnline〜彼女のライバルはバトルジャンキー勇者だった〜
UMI
SF
第2の世界と言われるゲームNewLifeOnlineに降り立った主人公春風美咲は友達の二条咲良に誘われゲームを始めたが、自分の持つ豪運と天然さ、リアルの度胸で気付いたら友達が追いつけないほど強いトップランカーになっていく物語だ。
この物語はフィクションです。
ユーザ登録のメリット
- 毎日¥0対象作品が毎日1話無料!
- お気に入り登録で最新話を見逃さない!
- しおり機能で小説の続きが読みやすい!
1~3分で完了!
無料でユーザ登録する
すでにユーザの方はログイン
閉じる