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高く光へ昇り深く闇へ沈む吸血少女

深き森の双頭犬

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 アカリエを出た私は、まっすぐ東の森へと向かった。南の砂漠にも行きたいけど、その前に行きたい場所があった。それは、前に追加されたダンジョンだ。深き森の双頭犬というダンジョンのはず。ある程度調べたけど、実際に行ってみるのが一番だと判断した。曖昧な情報ばかりだったからね。ダンジョンの場所だけは、曖昧な情報ではなかったので、迷わずに進む事が出来た。
 そして、東の森の北部のある場所に来ると、目の前にウィンドウが出て来る。

『ダンジョン『深き森の双頭犬』に転移しますか? YES/NO』

 YESを押して、ダンジョンに転移する。転移した先には、これまでと変わらない森があった。本当に見た目では変わったところは見られない。

「ここからさっきの森とは違うんだよね。トモエさんからのお墨付きは貰ったけど、若干緊張するなぁ」

 歩き出す前に、もう一度装備スキルを確認する。

────────────────────────

ハク:【武芸千般Lv3】【双刀Lv21】【双剣Lv93】【刀Lv9】【吸血牙Lv6】【武闘術Lv55】【始祖の吸血鬼Lv6】【血液武装Lv76】【影装術Lv20】【大地操作Lv19】【水氷操作Lv16】【眷属(大蝙蝠)Lv10】【空力Lv25】【天眼Lv21】【索敵Lv8】
控え:【三叉槍Lv2】【魔法才能Lv52】【水魔法才能Lv23】【支援魔法才能Lv45】【増血促進Lv14】【血液収納Lv4】【血液感知Lv34】【水氷装術Lv15】【防影Lv23】【HP強化Lv93】【MP強化Lv63】【神腕Lv25】【物理防御強化Lv72】【魔法防御強化Lv50】【神脚Lv79】【器用さ強化Lv71】【運強化Lv89】【身体能力強化Lv48】【視覚強化Lv80】【聴覚強化Lv90】【顎強化Lv44】【執行者Lv92】【堅牢Lv1】【神速Lv26】【軽業Lv50】【身軽Lv47】【予測Lv8】【遠見Lv3】【毒耐性Lv43】【麻痺耐性Lv18】【呪い耐性Lv1】【沈黙耐性Lv4】【暗闇耐性Lv1】【怒り耐性Lv8】【眠り耐性Lv1】【混乱耐性Lv51】【気絶耐性Lv1】【鋭牙Lv2】【突撃Lv16】【水鉄砲Lv2】【竜王血Lv21】【竜鱗Lv10】【毒牙Lv3】【毒生成Lv10】【腐食Lv13】【暴食Lv50】【暴飲Lv18】【血狂いLv2】【狂気Lv22】【蓄積Lv28】【超音波Lv27】【怨念Lv41】【夜霧化Lv8】【魔気Lv16】【聖人Lv22】【聖血Lv31】【第六感Lv33】【農作Lv23】【調教Lv45】【霊峰霊視Lv1】【登山Lv17】【言語学Lv63】【古代言語学Lv15】【現代言語学Lv9】
SP:610

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 取り敢えず、【刀】は装備しておく。どのタイミングで使う事になるか分からないからだ。【三叉槍】は、正直あまり使う機会はないと思う。
 周辺を見回しながら歩いていると、【索敵】に大量の反応があった。全部で十二匹。形的に、犬とか狼だけど、首が二つある。

「双頭犬って、普通に出て来るモンスターの事なの!?」

 まさかのダンジョンの名前になっているモンスターが、すぐに出て来るとは思わなかった。でも一匹だけ、少し大きな固体が混じっていた。
 現れたのは、オルトロスとオルトロスリーダー。少し大きな固体がオルトロスリーダーだ。名称から考えて、オルトロスリーダーが統率しているのは間違いない。つまり、最初に倒すべきは、オルトロスリーダーだ。【血液収納】から双血剣を取り出し、自分の血で【血液武装】を発動する。そして、オルトロスリーダーに向かって高速移動で突っ込む。そのまま右側の顔に膝蹴りを当てる。片方の頭が気絶状態になるけど、もう片方の頭が私に噛み付いてきた。ただ、その攻撃は【防影】で防ぐ事が出来た。
 気絶していない方の頭に白百合を突き刺して、血を剣山のようにして、内側から貫く。それでもHPは、まだ三割残っていた。そこで、白百合から手を離して、側面に回り込みながら、心臓があるであろう場所に黒百合を突き刺して、クリティカルダメージを与えて倒す。
 ここまで五秒程の出来事。唐突にリーダーがいなくなった事で、オルトロス達の統率が乱れると思ったら、普通に連携して突っ込んできた。【第六感】で、攻撃の軌道は分かるけど、攻撃が首二つによるものなので、情報量が多い。攻撃を避けながら、オルトロスの身体を斬っていく。首と心臓のクリティカル攻撃を狙ってダメージを稼いで倒していった。
 五分程でオルトロスを倒しきった。

「ふぅ……問題なく倒せはするね。でも、ダンジョンがキツいって言われている理由が分かった。モンスターの質が違う。スキルが進化してなかったら不味かったかも」

 ただスノウとレインがいれば、確実に楽になるとは思う。さすがに、あの二人と私が合わされば、敵ではない。
 双血剣の血を傍に浮かせておきつつ、双血剣を【血液収納】に仕舞う。そして、スノウ達を喚び出す。

「【召喚・スノウ】【召喚・レイン】」
『ガァ』
『今日は、水辺じゃないんだね』

 スノウは嬉しそうに飛びだしてきて、レインは水がない事を残念がっていた。

「森の中だからね。水は一切ない?」
『う~ん……感じない』
「じゃあ、完全に森だけか。スノウは、空を飛んでモンスターを片っ端から倒していって。レインは、近づいてくるモンスターを拘束して。昨日と同じ感じ」
『ガァ!』
『うん!』

 スノウが飛び立ったのを見てから、大蝙蝠と蝙蝠三匹を出す。大蝙蝠には、スノウと同じように遊撃を担当して貰って、三匹の蝙蝠はマッピングのための探索を頼む。

「それじゃあ行こうか」
『うん。でも、スノウは自由で良かったの?』
「寧ろスノウは、自由な方が活きるよ。私達と一緒だと遠慮しがちになるだろうし」

 ブレスを使うスノウは、私と離れていた方が攻撃に遠慮がなくなると思う。その方が、モンスターも倒しやすいから、別行動が良いという風に考えた。ボス戦とか、集団戦になったら、傍にいてくれた方が有り難いけどね。

「来るよ」

 【索敵】にまたオルトロスの反応があった。今度は四匹。リーダーはなし。必ずしもリーダーが群れを率いているわけじゃないみたいだ。リーダーがいる事による厄介さを知る前にリーダーを倒してしまったから、比較する事は出来ないけど、油断は出来ない。

「何匹捕まえられる?」
『今の水の量なら、三匹までなら出来ると思う』
「それじゃあ、一匹は倒しておくかな」

 月影を抜いて、【血液武装】で刀に変える。そして、高速移動の勢いを乗せて、オルトロスの双頭を貫いた。クリティカル二連続で、HPが二割になったところで、そのまま身体に向かって刀を振り抜いて倒す。
 その間に、レインがオルトロス達を凍らせて拘束する。その一匹ずつ血を吸っていく。そして、【鋭牙】【毒牙】【疾走】を獲得したけど、全部持っているので、経験値にしかならなかった。

「何で【毒牙】? 怖っ……」
『次からは倒す?』
「いや、もう少し続けよう」
『うん』

 それから二十匹くらい吸血して倒したけど、手に入れるのは【毒牙】や【突撃】など持っているものばかりだった。その中で、【犬嗅覚】と【統率】という二つのスキルを獲得する事が出来た。

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【犬嗅覚】:犬並みの嗅覚を得る。においの分析も可能となる。控えでも効果を発揮する。

【統率】:パーティーのステータスを一・二倍する。パーティーメンバーの位置を認識しやすくなる。控えでも効果を発揮する。

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 二つとも控えでも効果を発揮するスキルだけど、あまり必要なものではなかった。特にソロでいる私には、【統率】は要らない。そう思ったのだけど、これには、一つ予想外な事があった。それは、スノウやレインもしっかりとパーティーとして認識されていた事だった。
 てっきりプレイヤーだけに作用するものと思ったけど、二人にも適応されるのであれば、かなり良いスキルだ。
 【犬嗅覚】よりも嬉しい。てか、犬並みの嗅覚って、どうなのだろう。確かに周囲からするにおいの量が増えた感じはあるし、それが何のにおいなのか区別も付くけど、これがどこで必要になるのか全く分からなかった。寧ろ、悪臭がする場所では、デバフにしかならないのではと思ってしまう。

「まぁ、そこはその時考えればいいや。レイン、もう少しお願い」
『うん』

 ダンジョン探索は、まだ始まったばかりだった。
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