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真冬と真夏の吸血少女

スキル整理(第一段階)

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 翌日。学校から帰ってきた私は、夕飯を食べてからログインした。そして、まっすぐ師範の元に向かう。扉をノックすると、すぐに師範が出て来る。

「久しいな」
「色々とありまして」

 【聖気】を取って、HPが減るようになって戦闘から離れていた事もあって、師範ともご無沙汰になっていた。

「なるほどな。面白い事になっているようだ。馴染んだのか?」
「へ? あ、はい。一応」

 言葉が足りないけど、【聖気】の話をされている事は、何となく分かる。

「なら、もう禊ぎの水に入っても大丈夫そうだな」
「あっ、そうなんですか?」
「自分で試してみると良い。中に入れ」
「はい」

 ここから師範との稽古が始まる。いつも通り、双血剣で受けていたのだけど、その中で一ついつもと違う部分がある事に気付いた。それは、師範の動きを、しっかりと追えているという事だ。ソルさんとの戦闘と師匠の試験という高速戦闘の経験を経て、目が養われている。同時に【未来視】の反動に慣れてきたというのもある。
 頭の痛みが、かなり減っている。まぁ、痛いのは痛いのだけど。

「ふむ。ここまでで良いだろう。動きが良くなっている。どこか別の隠れ里でも見つけたか?」
「あ、はい。刀刃の隠れ里を」

 私がそう言うと、師範は眉間に皺を寄せていた。

「どうしました?」
「いや、元気そうだったか?」
「元気そうでしたよ。生気を吸われました」
「そうか。なら良い。【刀】を手に入れる事は出来たか?」
「いえ、しばらくは【片手剣】を扱わないといけないみたいです」
「そうか」

 師範は難しい顔をしながら頷く。何かあるのだろうか。

「そういえば、お前は【短刀】も扱っていたな」
「あ、はい。そうですね」

 師匠に隠密双刀を壊されて、ラングさんに修理を依頼したから、今は持っていないけど、扱っているのは事実だ。因みに、破壊された隠密双刀を持っていったら、ラングさんは唖然としていた。そして、今度は絶対に壊されないものにすると意気込んでいた。

「既に、素養は認めているからな。【双刀】の使用を認めよう」
「へ? 【双刀】?」

 今まで聞いた事のないスキル名が出て来たので、驚きを隠せなかった。名前と師範の口振りから、【短刀】にとっての【双剣】とみて間違いない。

「【双剣】の派生と考えて良い。大きな違いは、【短刀】が該当するという事だけだ」

 結構カテゴリが細かくなってきた。【双刀】は、【双剣】と【短刀】が重なる部分にあるスキルって感じだろう。

「【刀】を取るのであれば、【双刀】はあって損はしないだろう。それと【双剣】【双刀】の扱いを上達させたいのであれば、ここに来い。だが、戦闘全体の勘などを養いたいのであれば、刀刃の隠れ里に行くと良い。その方が良い経験を積めるはずだ」

 師範がここまで言うという事は、師匠は本当に強い人なのだろう。でも、【双剣】【双刀】に関しては負けないという自負も感じる。

「分かりました」
「うむ。では、帰るが良い」

 そう言われて、師範に追い出される。こういう部分は、師匠は正反対だ。向こうは、引っ張り込んでくる方だったから。
 ここでログアウトする程時間も経っていないので、雪原エリアに向かってレベル上げをしに向かう。普段使いしていないスキルを装備して、雪兎を狩って回る。この平日は、師範、師匠の元で稽古を付けて貰いつつ、雪原エリアなどのスキルの効果が発動するエリアでレベル上げをするという事を繰り返した。
 そして、二週間後の土曜日にログインしてきた私は、スキルの収得欄を見て、統合や進化などを確認して、どんどんと収得していった。
 何故、二週間後にそんな事をしているかと言うと、途中で期末テスト期間に差し掛かって、お母さんから勉強しろという指示を受けてしまったので、勉強とかにも時間を使っていて、あまりログイン出来ていなかったからだ。
 別に、中間だって悪い点数という訳じゃ無かったのだから、いつも通りで良いと思うのだけど、お母さんが心配する理由もなんとなく分かるので、大人しく従っておいた。
 もうここからは夏休みだから、何も気にせずにゲームライフを満喫出来る。
 その二週間の成果は、こんな感じだった。

────────────────────────

ハク:【武芸百般Lv52】【短剣Lv90】【短刀Lv38】【双剣Lv86】【牙Lv34】【武闘術Lv50】【真祖Lv59】【血液武装Lv67】【影装術Lv1】【水氷操作Lv1】【大地操作Lv1】【使役(大蝙蝠)Lv1】【空力Lv18】【調教Lv35】【感知Lv50】
控え:【剣Lv81】【魔法才能Lv52】【水魔法才能Lv23】【支援魔法才能Lv45】【血行促進Lv40】【血液増加Lv40】【血液感知Lv23】【水氷装術Lv1】【防影Lv1】【HP強化Lv88】【MP強化Lv57】【神腕Lv1】【物理防御強化Lv64】【魔法防御強化Lv49】【神脚Lv71】【器用さ強化Lv62】【運強化Lv83】【身体能力強化Lv37】【視覚強化Lv73】【聴覚強化Lv82】【顎強化Lv32】【突進Lv38】【執行者Lv86】【剛体Lv39】【不動Lv38】【神速Lv1】【軽業Lv42】【身軽Lv38】【見切りLv54】【毒耐性Lv42】【麻痺耐性Lv14】【呪い耐性Lv1】【沈黙耐性Lv4】【暗闇耐性Lv1】【怒り耐性Lv8】【眠り耐性Lv1】【混乱耐性Lv51】【気絶耐性Lv1】【竜王血Lv1】【竜鱗Lv1】【毒生成Lv1】【腐食Lv1】【暴食Lv45】【暴飲Lv1】【狂気Lv22】【蓄積Lv1】【超音波Lv27】【怨念Lv34】【夜霧化Lv1】【聖人Lv1】【聖血Lv1】【第六感Lv1】【農作Lv14】【登山Lv16】【言語学Lv63】【古代言語学Lv15】【現代言語学Lv9】
SP:551

────────────────────────

 短い時間でも滅茶苦茶頑張ってレベル上げをしたからか、一部スキルが大きく変わった。判明している条件とスキルの説明を簡単に説明すると、この通りだ。

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【影装術】:影を武器に纏わせる事が出来る(【操影】から進化|進化条件:【操影】Lv50)

【防影】:敵の攻撃に反応して、影が自動で防御する。破壊された場合、五分間使用出来なくなる。控えでも効果を発揮する。(以下の条件で収得可能:【操影】Lv50)

【使役(大蝙蝠)】:通常の蝙蝠に加えて、大蝙蝠を使役出来る。(【使役(蝙蝠)】から進化|進化条件:【使役(蝙蝠)】Lv50)

【第六感】:敵の攻撃など様々な事を読む事が出来るようになる。控えでも効果を発揮する(【未来視】から進化|進化条件:【未来視】Lv40)

【神速】:走る速度がかなり上がる。控えでも効果を発揮する。(【疾走】から進化|進化条件:【疾走】Lv50)

【神腕】:尋常ではない腕力を得る。控えでも効果を発揮する。(以下の条件で収得可能:【物理攻撃強化】【腕力強化】【握力強化】Lv50 『統合』)

【夜霧化】:夜間時、身体を霧へと変化させる事が出来る。致命傷となる攻撃を受けた際に、三回まで霧になってダメージを無効化する。三回消費後、二時間で再使用可となる。控えでも効果を発揮する。(以下の条件で収得可能:【夜霧】Lv40【擬態】Lv50 『統合』)

【水氷装術】:水や氷を纏う事が出来るようになる。(以下の条件で収得可能:【氷角】【雪鎧】Lv30 【水氷操作】所持)

【毒生成】:様々な毒を生成し、放つ事が出来るようになる。(以下の条件で収得可能:【毒霧】【毒液】Lv40 『統合』)

【腐食】:攻撃に腐食属性を付与する。(【酸霧】から進化|進化条件:【酸霧】Lv40)

【竜鱗】:竜の鱗が炎、冷気から身を守る。控えでも効果を発揮する(【防鱗】から進化|進化条件:【防鱗】Lv40【竜血】Lv50)

【大地操作】:砂、泥を含む大地を操る事が出来る。(以下の条件で収得可能:【操砂】【操泥】Lv40 『統合』)

【水氷操作】:氷を含む水を操る事が出来る。(以下の条件で収得可能:【操水】【操氷】Lv40 『統合』)

【蓄積】:攻撃でHPとMPを吸収し、魔法を受ける事でMPを吸収し、溜め込む。要領が【貯蓄】の倍になる。控えでも効果を発揮する。(以下の条件で収得可能:【吸収】【貯蓄】Lv50 『統合』)

【暴飲】:ありとあらゆるものを飲み込めるようになる。控えでも効果を発揮する。(【飲み込み】から進化|進化条件:【飲み込み】Lv40)

【聖人】:聖気を纏う。聖属性に対する耐性と適性を得る。控えでも効果を発揮する。(【聖気】から進化|進化条件:【聖気】Lv50)

【聖血】:血液に聖属性が付与される。常時HP回復効果を得る。控えでも効果を発揮する。(以下の条件で収得可能:【聖人】所有)

【竜王血】:竜王の血液が流れる。身体能力が大きく上昇する。控えでも効果を発揮する。(【竜血】から進化|進化条件:【竜血】Lv50 ???)


────────────────────────

 大分控えで発動するスキルが増えた。おかげで、装備するスキルに余裕が生まれた……という事もなく、未だに装備したいスキルが他にもあって困るので、もう少しレベルを上げて、統合を進めていきたい。統合のリスクは承知しているけど、スキルの把握とかも出来なくなってくるので、どんどんと統合していく事に決めている。
 【真祖】を持つ私は、他のプレイヤーよりも多くのスキルを入手する事が出来る。一々迷っていたら、スキルが増えすぎて、何を装備すれば良いのかこんがらがってしまう。

「【竜王血】の条件だけおかしいんだよね……???って何なんだろう?」

 真っ先に思い付くのは、???の血瓶だ。イベント以外で見た事のないあの血瓶が関係しているとしたら、結構意地悪な仕様だと思う。あれを入手する機会なんて、次にいつあるか分からないのだから。

「取り敢えず、【聖人】と【聖血】でHPが減るって事がなくて良かった。ちょっと心配だったけど、レインの水のおかげで付いた耐性は、結構強いものみたいだね」

 光の因子を持つスキルを二つ所有しているけど、HPの減少は見られない。これは、とても有り難い事だった。またギルドエリアとかに引き籠もる事になっていたかもしれないし。

「夏休みになったのに、一箇所に留まっているのも勿体ないし、色々と巡らないと。ん? メッセージ?」

 気合いを入れ直そうとした瞬間、メッセージが届いたので開いてみる。

『新しい武器が出来た。時間は掛かったが、前のものよりも良いものになった。時間が出来た時に店に寄ってくれ』

 ラングさんからのメッセージだった。隠密双刀の改良が出来たみたい。【双刀】を収得するためにも【短刀】のレベルを上げたかったから、ちょうど良かった。ギルドエリアに寄ろうと思っていたけど、先にラングさんの店に向かう事にした。
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