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真祖となった吸血少女
武芸百般
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吹き飛ばした雨男に追いつくため、高速移動で突っ込む。今度は追撃を掛けなかったからか、雨男は受け身を取って、体勢を整えた。そして、そのままバックステップで後退しつつ、何かを蹴り上げて掴んだ。それは、無骨な大剣だった。これまでのスマートな武器からは想像も付かないような組み合わせだ。
でも、大剣ということは、動きは遅くなるはず。速度重視の双剣である私とは相性は良いはず。高速移動で雨男の後ろに移動する。ちょっとだけ滑ってしまうけど、許容範囲内だ。背後からの一撃。それは、背負うように回された大剣に防がれる。それは、予想済み。
そこから正面に回って連続で斬る。それに対して、雨男は、大剣を背後の地面に刺して、大剣を支えに身体を持ち上げた。棒高跳びのような姿勢になった雨男は、そのまま大剣の後ろに着地した。
「大剣のくせに、小回りを利かせてくるな……でも、ちょっと舐めすぎ!」
私は、そのまま大剣に向かって双剣を突き出す。大剣と血の刃がぶつかると、大剣に弾かれることなく、血が液状に変化し、大剣を迂回して奥にいる雨男に突き刺さる。
【血液武装】になって、操血の自由度が上がった事で出来るようになったものだ。刃の形状を自分で自由に決められる。これだけ聞くと、とても便利だと思われるかもしれないけど、自分で形状を決めるのは、その分意識を割く事になるので、デフォルトにしておくのが一番良い。でも、こういう時には、不意を突けるので、重宝するようになる。まぁ、まだ慣れてないから、上手く活用は出来てないけど。
雨男は、血の刃が突き刺さったのにもかかわらず、動じた様子はない。そのまま大剣を地面から抜いた。一応大剣に絡めるようにしているから、私の身体も浮き上がる。
「へ?」
普通に嫌な予感がしたから、刃の形状をデフォルトに戻す。空中に投げ出された私を雨男が大剣で追撃してくる。双剣を重ねて、受け流す。そうして地面に着地したと同時に、上から大剣を振り下ろされる。
「【朧月】」
大剣は空を切る。私が作り出した幻影に目を奪われて、そちらを斬ったからだ。それと同時に、雨男に向かって双剣を振り下ろす。大したダメージにはならないけど、これで三割削れた。私が硬直してしまう間に、雨男は、大剣を持って後ろに下がった。そして、大剣を肩に担いで、こちらに向かって横振りしてくる。ギリギリで硬直が解けたので、膝から後ろに倒れ込む。鼻先を大剣が過ぎていく。胸を盛ってなくて良かった。アク姉みたいな大きさだったら、確実にダメージを受けていた。
このままだと、必然的に地面に落ちる。そうなれば、隙が生まれる。そこに縦振りでもされたら、一撃死する可能性も出て来る。だから、回避する隙を作る。
左手の短剣を投げて、雨男に回避モーションを挟ませる。その間に、左側に転がって飛び起きる。そこに、大剣の突きが襲い掛かってきた。縦に立てられた突きなので、右手の大剣を右側面に添えて、受け流しつつ近づく。
「【ラビットフット】」
思いっきり蹴ると、雨男は大剣から手を放して吹っ飛んでいった。そう、自然と手が離れていったわけじゃない。自分から手を放していたのだ。つまり、自分の意思で大剣から離れたという事。
「大剣じゃ無理と判断して、私の攻撃を利用して領域を変えようとしているって事!?」
思った以上に、雨男に搭載されている戦闘AIの思考能力が高い気がする。自分から飛ばされる方向を誘導された可能性もある。このまま飛ばすのは危険かとも思うけど、今日は情報を引き出す事を優先すると決めているので、そのままにする。
硬直が解けて、【共鳴】で短剣を回収しつつ、すぐに高速移動を使う。すると、雨男もこっち向かって駆けていた。その手には、何やら棒のようなものが握られている。私の方からでは、それ以上の事は分からない。だからか分からないけど、急に嫌な予感が身体を駆け巡る。このままでは死ぬ。それを察した私は、予定よりも早く着地する。同時に、双剣を強化していた血を靴に回して、歪なスパイクを作って、無理矢理ブレーキを掛けた。
この無茶が功を奏して、雨男の攻撃が、私の目の前を切り裂く空振りに終わる。そこで、雨男の持つ武器が何なのか分かった。鎌だ。草刈りようの鎌じゃなくて、死神が持っていそうな大きな鎌だった。
空振りした鎌を思いっきり突き出されて、後ろにたたら踏む。これがいけなかった。即座に、刃が私の後ろまで回された。体勢悪すぎて、その場から脱出する事も出来ない。私は、鎌が引かれるまでの一瞬のうちに、硬質化を間に合わせる。
「うぐっ……」
何とか両断は避ける事が出来たけど、二割もダメージを受けた。そして、鎌の攻撃を受けた衝撃で、前に出てしまった私に、雨男の手が伸びる。その手には、よく投げて使われるナイフが握られていた。このナイフは、常時装備しているものと見て間違いなさそうだ。
そのナイフを首にくらい、一気に残りHPを二割以下まで削られる。状態異常の欄に、混乱だけでなく沈黙も追加される。喉を潰されたから、声を発する事が出来ないという事みたい。さらに、私の首を掴んで宙ぶらりん状態にされる。このままだと、窒息ダメージを食らうかもしれない。
このままだとまずいと判断して、雨男の腕に双剣を突き刺す。血の刃を纏っていても、【状態異常確率上昇(出血)+】の効果は残っている。雨男を出血状態にして、【血液武装】の操血で、血を抜いて飲む。気休めの回復にしかならないけど、応急処置としては十分だ。喉の傷も塞がり、沈黙状態も解除される。
このまま拘束されていたら、今度こそ終わりなので、雨男の腕に膝蹴りを入れて、脱出を試みる。すると、雨男の腕の曲がってはいけない場所が曲がり、力が抜けて地面に落ちる。
足が地面に着いたと同時に、雨男から距離を取る。残りHPは、一割と少し。本当に危ないところだった。アイテムの血を取りだして、HPをある程度回復させる。その直後、血刃の双剣に使っていた【血液武装】が解ける。ここから、クールタイムの二分間を挟まないと、【血液武装】の血装術は使えない。
ここで雨男が静観してくれる訳も無く、こちらに突っ込んできた。すぐに双剣を鞘に納めるけど、その頃には、もう鎌の間合いが、すぐそこまで来ている。だから、時間を稼ぐ。
雨男に向かって高速移動をする。近距離での高速移動の勢いを乗せて、掌底をお腹に叩き込む。
「【破衝波】」
掌底の衝撃を増幅させ、威力とノックバック率を上げる技を使う。現状、蹴りよりもこっちの方が使いやすく命中させやすいと判断した。この目論見は当たり、雨男が五メートル程ノックバックする。
私は、硬直が解けてすぐに、再び高速移動を使う。体勢を整えていた雨男に【ラビットフット】を当てて、吹っ飛ばしてやろうと思ったのだけど、目の前で止まる着地が上手くいかず、思いっきり滑って、雨男のお腹に頭突きしてしまう。勢いと体勢が整っていなかったのもあって、雨男が吹っ飛んでいった。
「結果オーライ……」
若干恥ずかしいけど、誰も見ていないので気にしない。雨男を追い掛けると、鎌をこっちに向かって投げて来た。領域が変わったみたい。頭を下げて、鎌を避け、そのまま突っ込む。次の武器は何かと思ったのと同時に、左の視界が消えた。
「!?」
遅れて衝撃を感じて、自分の左目が射貫かれたのだと知った。それでも、まだHPは一割残っている。一旦離れる選択をしようとした時、片目が使えないからか平衡感覚を失い、倒れてしまった。
「やばっ……」
即座に身体の前面に硬質化を使う。それと同時に、左側から蝙蝠の超音波が聞こえてきた。私は、大きな勘違いをしていた。弓で射貫いてきたから、まだ正面でこちらを狙っているものだと思っていた。でも、そんな事をしていたら、居場所を特定される可能性もある。狙撃場所を変えるのは、当たり前の事。それを失念していた私の負けだ。普通だったら。
「【夜霧】」
放たれた矢を、霧となり避けて、蝙蝠が鳴いた方に向かって駆け出す。矢を放ったのは直前、まだそこにいるはず。考え通り、雨男の姿を見つける。平衡感覚は、まだ心許ない。でも、そこは気合いでどうにかする。
雨男は、私を見ながら弦を引き絞って、撃ち出してきた。私は、大きく右斜めに踏み出して、矢を避けた。相手が人と同じような思考をするなら、死角が大きくなる左側を狙うと思って、右側に逸れたけど、的中して助かった。私は、そのまま左斜めに向かって高速移動を使う。すると、移動しようとしていた雨男の目の前に着いた。こっちも死角が大きい方の方が、私から離れやすいだろうと考えてのことだ。
「【ラビットフット】」
距離感がおかしくなっている事を考えて、いつもよりも近づいてから蹴りを入れた。これまでの経験から、これで、また領域が変わるはず。雨男が吹っ飛んでいった方向に蝙蝠を先行させ、私は左目に刺さった矢を引き抜き、血を使って回復しつつ追い掛ける。
【夜霧】の残り回数もなくなり、今度同じ状況になっても切り抜ける事は出来ないであろう状況まで来た。ここまで来ると、負けてもいいだなんて思えなくなってきた。
「今日、ここで倒す。その気じゃないと、情報を引き摺り出すなんて無理だ。全力でぶつかってやる」
【血液武装】のクールタイムは、もう終わっている。次の領域でケリを付ける。そう思って雨男が見える場所まで来ると、雨男はショットガンを握っていた。いつの間にか、初期位置まで戻ってきていたみたいだ。
「振り出しに戻った感じもするけど、やっぱり、この雨男を突破しないとね!」
血刃の双剣を構える。視界の片方は欠けて、緊急回避用のスキルはない。そんな状況なのに、少しハイになっている自分がいる。この強敵を相手に、私の中のゲーマー魂が刺激されていた。フレ姉が一人でボスに挑む気持ちが、少し分かってきたかもしれない。この切羽詰まるような、追い詰められるような感じ。これを突破した時、私は、また一つ成長しているはずだ。
でも、大剣ということは、動きは遅くなるはず。速度重視の双剣である私とは相性は良いはず。高速移動で雨男の後ろに移動する。ちょっとだけ滑ってしまうけど、許容範囲内だ。背後からの一撃。それは、背負うように回された大剣に防がれる。それは、予想済み。
そこから正面に回って連続で斬る。それに対して、雨男は、大剣を背後の地面に刺して、大剣を支えに身体を持ち上げた。棒高跳びのような姿勢になった雨男は、そのまま大剣の後ろに着地した。
「大剣のくせに、小回りを利かせてくるな……でも、ちょっと舐めすぎ!」
私は、そのまま大剣に向かって双剣を突き出す。大剣と血の刃がぶつかると、大剣に弾かれることなく、血が液状に変化し、大剣を迂回して奥にいる雨男に突き刺さる。
【血液武装】になって、操血の自由度が上がった事で出来るようになったものだ。刃の形状を自分で自由に決められる。これだけ聞くと、とても便利だと思われるかもしれないけど、自分で形状を決めるのは、その分意識を割く事になるので、デフォルトにしておくのが一番良い。でも、こういう時には、不意を突けるので、重宝するようになる。まぁ、まだ慣れてないから、上手く活用は出来てないけど。
雨男は、血の刃が突き刺さったのにもかかわらず、動じた様子はない。そのまま大剣を地面から抜いた。一応大剣に絡めるようにしているから、私の身体も浮き上がる。
「へ?」
普通に嫌な予感がしたから、刃の形状をデフォルトに戻す。空中に投げ出された私を雨男が大剣で追撃してくる。双剣を重ねて、受け流す。そうして地面に着地したと同時に、上から大剣を振り下ろされる。
「【朧月】」
大剣は空を切る。私が作り出した幻影に目を奪われて、そちらを斬ったからだ。それと同時に、雨男に向かって双剣を振り下ろす。大したダメージにはならないけど、これで三割削れた。私が硬直してしまう間に、雨男は、大剣を持って後ろに下がった。そして、大剣を肩に担いで、こちらに向かって横振りしてくる。ギリギリで硬直が解けたので、膝から後ろに倒れ込む。鼻先を大剣が過ぎていく。胸を盛ってなくて良かった。アク姉みたいな大きさだったら、確実にダメージを受けていた。
このままだと、必然的に地面に落ちる。そうなれば、隙が生まれる。そこに縦振りでもされたら、一撃死する可能性も出て来る。だから、回避する隙を作る。
左手の短剣を投げて、雨男に回避モーションを挟ませる。その間に、左側に転がって飛び起きる。そこに、大剣の突きが襲い掛かってきた。縦に立てられた突きなので、右手の大剣を右側面に添えて、受け流しつつ近づく。
「【ラビットフット】」
思いっきり蹴ると、雨男は大剣から手を放して吹っ飛んでいった。そう、自然と手が離れていったわけじゃない。自分から手を放していたのだ。つまり、自分の意思で大剣から離れたという事。
「大剣じゃ無理と判断して、私の攻撃を利用して領域を変えようとしているって事!?」
思った以上に、雨男に搭載されている戦闘AIの思考能力が高い気がする。自分から飛ばされる方向を誘導された可能性もある。このまま飛ばすのは危険かとも思うけど、今日は情報を引き出す事を優先すると決めているので、そのままにする。
硬直が解けて、【共鳴】で短剣を回収しつつ、すぐに高速移動を使う。すると、雨男もこっち向かって駆けていた。その手には、何やら棒のようなものが握られている。私の方からでは、それ以上の事は分からない。だからか分からないけど、急に嫌な予感が身体を駆け巡る。このままでは死ぬ。それを察した私は、予定よりも早く着地する。同時に、双剣を強化していた血を靴に回して、歪なスパイクを作って、無理矢理ブレーキを掛けた。
この無茶が功を奏して、雨男の攻撃が、私の目の前を切り裂く空振りに終わる。そこで、雨男の持つ武器が何なのか分かった。鎌だ。草刈りようの鎌じゃなくて、死神が持っていそうな大きな鎌だった。
空振りした鎌を思いっきり突き出されて、後ろにたたら踏む。これがいけなかった。即座に、刃が私の後ろまで回された。体勢悪すぎて、その場から脱出する事も出来ない。私は、鎌が引かれるまでの一瞬のうちに、硬質化を間に合わせる。
「うぐっ……」
何とか両断は避ける事が出来たけど、二割もダメージを受けた。そして、鎌の攻撃を受けた衝撃で、前に出てしまった私に、雨男の手が伸びる。その手には、よく投げて使われるナイフが握られていた。このナイフは、常時装備しているものと見て間違いなさそうだ。
そのナイフを首にくらい、一気に残りHPを二割以下まで削られる。状態異常の欄に、混乱だけでなく沈黙も追加される。喉を潰されたから、声を発する事が出来ないという事みたい。さらに、私の首を掴んで宙ぶらりん状態にされる。このままだと、窒息ダメージを食らうかもしれない。
このままだとまずいと判断して、雨男の腕に双剣を突き刺す。血の刃を纏っていても、【状態異常確率上昇(出血)+】の効果は残っている。雨男を出血状態にして、【血液武装】の操血で、血を抜いて飲む。気休めの回復にしかならないけど、応急処置としては十分だ。喉の傷も塞がり、沈黙状態も解除される。
このまま拘束されていたら、今度こそ終わりなので、雨男の腕に膝蹴りを入れて、脱出を試みる。すると、雨男の腕の曲がってはいけない場所が曲がり、力が抜けて地面に落ちる。
足が地面に着いたと同時に、雨男から距離を取る。残りHPは、一割と少し。本当に危ないところだった。アイテムの血を取りだして、HPをある程度回復させる。その直後、血刃の双剣に使っていた【血液武装】が解ける。ここから、クールタイムの二分間を挟まないと、【血液武装】の血装術は使えない。
ここで雨男が静観してくれる訳も無く、こちらに突っ込んできた。すぐに双剣を鞘に納めるけど、その頃には、もう鎌の間合いが、すぐそこまで来ている。だから、時間を稼ぐ。
雨男に向かって高速移動をする。近距離での高速移動の勢いを乗せて、掌底をお腹に叩き込む。
「【破衝波】」
掌底の衝撃を増幅させ、威力とノックバック率を上げる技を使う。現状、蹴りよりもこっちの方が使いやすく命中させやすいと判断した。この目論見は当たり、雨男が五メートル程ノックバックする。
私は、硬直が解けてすぐに、再び高速移動を使う。体勢を整えていた雨男に【ラビットフット】を当てて、吹っ飛ばしてやろうと思ったのだけど、目の前で止まる着地が上手くいかず、思いっきり滑って、雨男のお腹に頭突きしてしまう。勢いと体勢が整っていなかったのもあって、雨男が吹っ飛んでいった。
「結果オーライ……」
若干恥ずかしいけど、誰も見ていないので気にしない。雨男を追い掛けると、鎌をこっちに向かって投げて来た。領域が変わったみたい。頭を下げて、鎌を避け、そのまま突っ込む。次の武器は何かと思ったのと同時に、左の視界が消えた。
「!?」
遅れて衝撃を感じて、自分の左目が射貫かれたのだと知った。それでも、まだHPは一割残っている。一旦離れる選択をしようとした時、片目が使えないからか平衡感覚を失い、倒れてしまった。
「やばっ……」
即座に身体の前面に硬質化を使う。それと同時に、左側から蝙蝠の超音波が聞こえてきた。私は、大きな勘違いをしていた。弓で射貫いてきたから、まだ正面でこちらを狙っているものだと思っていた。でも、そんな事をしていたら、居場所を特定される可能性もある。狙撃場所を変えるのは、当たり前の事。それを失念していた私の負けだ。普通だったら。
「【夜霧】」
放たれた矢を、霧となり避けて、蝙蝠が鳴いた方に向かって駆け出す。矢を放ったのは直前、まだそこにいるはず。考え通り、雨男の姿を見つける。平衡感覚は、まだ心許ない。でも、そこは気合いでどうにかする。
雨男は、私を見ながら弦を引き絞って、撃ち出してきた。私は、大きく右斜めに踏み出して、矢を避けた。相手が人と同じような思考をするなら、死角が大きくなる左側を狙うと思って、右側に逸れたけど、的中して助かった。私は、そのまま左斜めに向かって高速移動を使う。すると、移動しようとしていた雨男の目の前に着いた。こっちも死角が大きい方の方が、私から離れやすいだろうと考えてのことだ。
「【ラビットフット】」
距離感がおかしくなっている事を考えて、いつもよりも近づいてから蹴りを入れた。これまでの経験から、これで、また領域が変わるはず。雨男が吹っ飛んでいった方向に蝙蝠を先行させ、私は左目に刺さった矢を引き抜き、血を使って回復しつつ追い掛ける。
【夜霧】の残り回数もなくなり、今度同じ状況になっても切り抜ける事は出来ないであろう状況まで来た。ここまで来ると、負けてもいいだなんて思えなくなってきた。
「今日、ここで倒す。その気じゃないと、情報を引き摺り出すなんて無理だ。全力でぶつかってやる」
【血液武装】のクールタイムは、もう終わっている。次の領域でケリを付ける。そう思って雨男が見える場所まで来ると、雨男はショットガンを握っていた。いつの間にか、初期位置まで戻ってきていたみたいだ。
「振り出しに戻った感じもするけど、やっぱり、この雨男を突破しないとね!」
血刃の双剣を構える。視界の片方は欠けて、緊急回避用のスキルはない。そんな状況なのに、少しハイになっている自分がいる。この強敵を相手に、私の中のゲーマー魂が刺激されていた。フレ姉が一人でボスに挑む気持ちが、少し分かってきたかもしれない。この切羽詰まるような、追い詰められるような感じ。これを突破した時、私は、また一つ成長しているはずだ。
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