上 下
127 / 456
真祖となった吸血少女

雨男の領域

しおりを挟む
 次の土曜日。平日の五日間は、中間テストもあって、中々ログイン出来なかったため、レベル上げは、そこまで出来なかった。テストの事は、すっかり忘れていたけど、一夜漬けで、どうにかなったと思う。採点されてないから分からないけど。
 ただ、雨男との戦闘とその後の平原での吸血で、少しレベルは上がっていた。

────────────────────────

ハク:【剣Lv62】【短剣Lv59】【双剣Lv45】【武闘術Lv12】【真祖Lv18】【血液武装Lv16】【操影Lv15】【使役(蝙蝠)Lv20】【執行者Lv63】【剛力Lv39】【豪腕Lv55】【豪脚Lv32】【駿足Lv26】【防鱗Lv9】【夜霧Lv16】
控え:【魔法才能Lv46】【水魔法才能Lv8】【支援魔法才能Lv45】【HP強化Lv61】【MP強化Lv18】【物理攻撃強化Lv62】【物理防御強化Lv32】【魔法防御強化Lv26】【神脚Lv40】【器用さ強化Lv27】【運強化Lv53】【視覚強化Lv30】【聴覚強化Lv36】【腕力強化Lv9】【毒耐性Lv25】【麻痺耐性Lv6】【呪い耐性Lv1】【沈黙耐性Lv1】【暗闇耐性Lv1】【怒り耐性Lv5】【眠り耐性Lv1】【混乱耐性Lv15】【気絶耐性Lv1】【消化促進Lv52】【竜血Lv32】【登山Lv6】【毒霧Lv2】【毒液Lv2】【捕食Lv14】【狂気Lv5】【擬態Lv10】【感知Lv35】【言語学Lv33】
SP:229

────────────────────────

 今日は、中間テストがあって取りに行けなかった防具を取りに行ってから雨男と再戦する予定だ。そのために、まずはアカリエに向かう。

「まだ、アカリは、ログインしてないのか」

 アカリエには、店員NPCしかいないので、NPCから血姫の装具を受け取る。

────────────────────────

血姫の装具
インナー:【HP上昇++】【物理防御上昇++】【魔法防御上昇++】【耐久力上昇++】【吸血強化+】
上着:【HP上昇++】【物理防御上昇++】【魔法防御上昇++】【耐久力上昇++】【吸血強化+】
外套:【HP上昇++】【物理防御上昇++】【魔法防御上昇++】【耐久力上昇++】【抵抗軽減】
腰:【HP上昇++】【物理防御上昇++】【魔法防御上昇++】【速度上昇++】【耐久力上昇++】
靴:【HP上昇++】【物理防御上昇++】【魔法防御上昇++】【速度上昇++】【脚力上昇+】
下着:【吸血強化+】

────────────────────────

 外套の【認識阻害】が【抵抗軽減】に変わっている。これは、一応学校で説明を受けていた。【抵抗軽減】には、風や水などの抵抗を抑える効果があるらしい。私の戦闘スタイルが、速度に頼っているものと知っているアカリは、その速度を落とす要素を少しでも排除しようと考えてくれたものらしい。
 ただ問題は、抵抗を軽減するという事は、高速移動の速度も上がる可能性が高いという事。高速移動の制御が、また難しくなるかもしれない。それを考えると、ちょっとアレだなって思う。

「まぁ、これを使いこなせるようになる事が、更なる成長に繋がるって考えれば良いか」

 戦闘中に夜が明けても困るので、更衣室ですぐに着替えて、豪雨エリアに向かう。傘を差しながら歩いて、途中何度か戦闘を挟んでから、ボスエリアに到着した。
 転移直後に、血刃の双剣を抜く。今回は、相手を出血状態にするという事に拘らない。そんな事をしていたら、こっちがやられるから。

「さてと、今日は、アカリの話の確認と雨男の中身を探る。よし!」

 雨男の領域の確認と雨男の中身を調べたいので、今回は絶対に倒すという風には考えていない。少しでも情報を得る事を目的にしている。最終的な考察とかは、図書館に行けば分かるだろうけど、なるべくなら、自分で突き止めたいという気持ちが大きかった。
 先行させていた蝙蝠の超音波が聞こえて、すぐに双剣の機構を発動させる。自分を突き刺して、出血状態にし、双剣に血を纏わせると同時に、自分の血も飲んで回復し、出血状態を解除する。
 そして、思いっきり踏み切って、雨男に突っ込む。姿が見えた時、雨男は、私に向かってショットガンを構えていた。

「【夜霧】」

 身体に黒い霧が纏わり付く。直後に、ショットガンの引き金が引かれて、私に向かって散弾が発射される。一瞬、この散弾一つ一つに攻撃判定を受けて、一気に二回分消費されるのではと思ったけど、散弾は、これで一回の攻撃と判定されて、全部抜けていく。
 これで雨男の懐に潜り込んだ。空いている手でククリナイフを取り出さないところを見ると、ククリナイフを携帯しているわけじゃないみたいだ。これは、アカリの話の信憑性が高まったかな。
 雨男のお腹を斬るのと同時に、ショットガンの方も斬り上げで手放させようとする。でも、この一撃では手放させる事は出来なかった。さすがに、そこまで甘くはない。

「【ラビットフット】」

 ショットガンが上を向いている間に、腹に蹴りを入れる。この技は、運が高ければ高い程ノックバック率を上昇させる効果がある。私には、【運強化】の他に【霊峰の加護】もある。【霊峰の加護】が運に関連してくれているのであれば、更にノックバック率が上がっているはずだ。
 多分、そのおかげで、雨男の身体が思いっきり吹っ飛んでいく。十メートルくらい飛んでいったところで、硬直が解けたので、高速移動で追う。アカリの【抵抗軽減】のおかげか、いつもよりも身体に受ける風の抵抗が弱い。おかげで、速度で言えば、いつもよりも速い。

「【流星蹴り】」

 吹っ飛んでいる雨男に追いつくと同時に、水平方向に飛ぶ流星となって、もう一発身体に蹴りを入れる。更なるノックバックも追加されて、雨男は計二十メートル程吹っ飛んだ。私も、その二、三メートル前に着地して双剣を構える。
 これだけ移動すれば、領域は変わっているはずだ。そうなれば、不用意に突っ込んではいけない。それは、もう学んだ。起き上がってきた雨男は、私に向かって来るのではなく、背後に移動していき、雨に溶けていった。そのタイミングで、蝙蝠も追いついてきたので、私の周囲五メートルを、全力で巡回させる。

「後は、私の勘頼り」

 深呼吸して集中力を高める。相手の動きを待つと右側から嫌な予感がして、蝙蝠が左側から超音波を出した。完全に真逆の方向だった。私は、迷わず右手の短剣を振う。すると、くの字に曲がった鉄の塊が落ちる。どこをどう見てもブーメランだ。最初の投げで、私を狙うのではなく、帰ってくる一撃を私に命中させるつもりだったみたいだ。
 直ぐさま、蝙蝠が鳴いた左方向を向くと、既にブーメランが投げられたところだった。即座に、顔を硬質化して【防鱗】を使う。防鱗が砕かれて、硬質化した肌に弾かれたブーメランが、また地面に落ちる。これで二つ目。両手に装備すると考えると、これで終わりと考えたいけど、正直、私的には雨男は、そこまで弱いとは思えない。
 牽制として、私からも、右手の短剣を思いっきり投げる。同時に、高速移動で雨男に近づく。視界に入ってきた雨男は、私の短剣を避けるモーションに入っているところだった。あそこからブーメランを投げる事は出来ないだろう。そう思っていたら、そんな避けている無理な姿勢から、普通にブーメランを投げて来た。

「何個持ってるのっ!?」

 投げているところが見えるので、迎撃は簡単だ。このまま懐に飛び込んで、また蹴り飛ばして領域を変える。そのつもりでいたら、唐突に背後から嫌な予感がした。そうだ。両手で持てる二つだけじゃなく、三つ目も投げて来た事からも考えられる事がある。それは、四つ目のブーメランを既に投げておいた可能性。帰ってくる時間差を利用した背後と前からの挟撃。
 私は、姿勢を低くしながら走る。ほぼほぼ地面すれすれだけど、ゲームならではの現実では無理な移動だ。私の頭上をブーメランが通り過ぎた。ギリギリで避けられたけど、そこで前への注意が一瞬疎かになってしまった。目の前に、雨男の足があった。

「んぐっ!」

 咄嗟の硬質化が間に合って、大きなダメージにはならなかったけど、ノックバックは受ける。すぐに受け身を取って、少し離れる。

「【共鳴】」

 投げた双剣を回収しつつ、再び突っ込む。相手がブーメランなら、距離は取るだけ不利になる可能性がある。蝙蝠が知らせてくれる音を頼りに、全力で走る。ここで高速移動をすると、方向転換などが出来ないので、普通に走って向かう方が安全を確保しやすい。無駄に【夜霧】を切りたくないというのも大きい。
 雨男の姿が見えた瞬間、顔が強張った。雨男は、これまでよりも大きなブーメランを両手で一つずつ持って、ぶん投げてきたからだ。そのブーメランを弾くけど、さっきよりも反動が大きい。おかげで、一瞬だけ止まってしまう。その間に、一回り小さいブーメランを指の間に挟んで、三つずつ投げてきた。一遍に三つが飛んでくるけど、全てが同じタイミングで、私に当たるわけじゃない。両手の短剣を器用に動かして、六つ全てを弾き落とす。
 そこから新しいブーメランを用意される前に、高速移動で近づく。

「【ラビットフット】」

 またノックバックを与えて、思いっきり吹っ飛ばす。これで次の領域に移動するはず。正直、ブーメランを相手にするのは、精神を消耗するから、さっさと変えたかった。プレイヤーのスキルに用意されないと良いな。
しおりを挟む
感想 0

あなたにおすすめの小説

最前線攻略に疲れた俺は、新作VRMMOを最弱職業で楽しむことにした

水の入ったペットボトル
SF
 これまであらゆるMMOを最前線攻略してきたが、もう俺(大川優磨)はこの遊び方に満足してしまった。いや、もう楽しいとすら思えない。 ゲームは楽しむためにするものだと思い出した俺は、新作VRMMOを最弱職業『テイマー』で始めることに。 βテストでは最弱職業だと言われていたテイマーだが、主人公の活躍によって評価が上がっていく?  そんな周りの評価など関係なしに、今日も主人公は楽しむことに全力を出す。  この作品は「カクヨム」様、「小説家になろう」様にも掲載しています。

吸血少女 設定資料集(おまけ付き)

月輪林檎
SF
 『吸血少女ののんびり気ままなゲームライフ』のスキルやその技、武具の追加効果などを章ごとに分けて簡潔に説明します。その章で新しく出て来たものを書いていくので、過去の章に出て来ているものは、過去の章から確認してください。  さらに、ハク以外の視点で、ちょっとした話も書くかもしれません。所謂番外編です。  基本的に不定期更新です。

とある高校の淫らで背徳的な日常

神谷 愛
恋愛
とある高校に在籍する少女の話。 クラスメイトに手を出し、教師に手を出し、あちこちで好き放題している彼女の日常。 後輩も先輩も、教師も彼女の前では一匹の雌に過ぎなかった。 ノクターンとかにもある お気に入りをしてくれると喜ぶ。 感想を貰ったら踊り狂って喜ぶ。 してくれたら次の投稿が早くなるかも、しれない。

最強のギルド職員は平和に暮らしたい

月輪林檎
ファンタジー
【第一章 完】 【第二章 完】  魔物が蔓延り、ダンジョンが乱立する世界。そこでは、冒険者という職業が出来ていた。そして、その冒険者をサポートし、魔物の情報やダンジョンの情報を統括する組織が出来上がった。  その名前は、冒険者ギルド。全ての冒険者はギルドに登録しないといけない。ギルドに所属することで、様々なサポートを受けられ、冒険を円滑なものにする事が出来る。  私、アイリス・ミリアーゼは、十六歳を迎え、長年通った学校を卒業した。そして、目標であったギルド職員に最年少で採用される事になった。騎士団からのスカウトもあったけど、全力で断った。  何故かと言うと…………ギルド職員の給料が、騎士団よりも良いから!  それに、騎士団は自由に出来る時間が少なすぎる。それに比べて、ギルド職員は、ちゃんと休みがあるから、自分の時間を作る事が出来る。これが、選んだ決め手だ。  学校の先生からは、 「戦闘系スキルを、それだけ持っているのにも関わらず、冒険者にならず、騎士団にも入らないのか? 勿体ない」  と言われた。確かに、私は、戦闘系のスキルを多く持っている。でも、だからって、戦うのが好きなわけじゃない。私はもっと平和に暮らしたい!!

VRゲームでも身体は動かしたくない。

姫野 佑
SF
多種多様な武器やスキル、様々な【称号】が存在するが職業という概念が存在しない<Imperial Of Egg>。 古き良きPCゲームとして稼働していた<Imperial Of Egg>もいよいよ完全没入型VRMMO化されることになった。 身体をなるべく動かしたくないと考えている岡田智恵理は<Imperial Of Egg>がVRゲームになるという発表を聞いて気落ちしていた。 しかしゲーム内の親友との会話で落ち着きを取り戻し、<Imperial Of Egg>にログインする。 当作品は小説家になろう様で連載しております。 章が完結次第、一日一話投稿致します。

百合ランジェリーカフェにようこそ!

楠富 つかさ
青春
 主人公、下条藍はバイトを探すちょっと胸が大きい普通の女子大生。ある日、同じサークルの先輩からバイト先を紹介してもらうのだが、そこは男子禁制のカフェ併設ランジェリーショップで!?  ちょっとハレンチなお仕事カフェライフ、始まります!! ※この物語はフィクションであり実在の人物・団体・法律とは一切関係ありません。 表紙画像はAIイラストです。下着が生成できないのでビキニで代用しています。

淫らに、咲き乱れる

あるまん
恋愛
軽蔑してた、筈なのに。

〈社会人百合〉アキとハル

みなはらつかさ
恋愛
 女の子拾いました――。  ある朝起きたら、隣にネイキッドな女の子が寝ていた!?  主人公・紅(くれない)アキは、どういったことかと問いただすと、酔っ払った勢いで、彼女・葵(あおい)ハルと一夜をともにしたらしい。  しかも、ハルは失踪中の大企業令嬢で……? 絵:Novel AI

処理中です...