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吸血少女と最悪な環境

図書館三階

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 それから次の土曜日までの間、ほとんどの時間を図書館で過ごした。その結果、【言語学】のスキルは、どんどんとレベルが上がっていった。

────────────────────────

ハク:【短剣Lv52】【双剣Lv41】【格闘Lv63】【拳Lv45】【蹴りLv58】【投げLv40】【吸血鬼Lv64】【血装術Lv40】【血武器Lv32】【執行者Lv55】【剛力Lv26】【豪腕Lv46】【豪脚Lv10】【駿足Lv8】【言語学Lv30】
控え:【剣Lv61】【魔法才能Lv45】【水魔法才能Lv5】【支援魔法才能Lv45】【HP強化Lv52】【物理攻撃強化Lv53】【物理防御強化Lv22】【魔法防御強化Lv19】【神脚Lv28】【器用さ強化Lv15】【運強化Lv43】【視覚強化Lv15】【聴覚強化Lv15】【毒耐性Lv19】【麻痺耐性Lv6】【呪い耐性Lv1】【沈黙耐性Lv1】【暗闇耐性Lv1】【怒り耐性Lv5】【眠り耐性Lv1】【混乱耐性Lv1】【気絶耐性Lv1】【消化促進Lv41】【竜血Lv22】【夜霧Lv16】【登山Lv6】【感知Lv24】
SP:179

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 目標だった30レベルに到達したので、今日の昼は図書館に行って、三階の本を調べるつもりだった。一番気になっていた紙に関しては、もう調べていて、アカリの言うように、ほんの少ししか読めなかった。

「これで、三階の本が読めるようになっていたら、紙は、三階以上のものって事になるし、レア度的なものも高いんだろうなぁ」
「【言語学】でも、育てているのかしら?」
「ちょっと必要になったので……って、ゲルダさん!?」

 普通に返事をしてしまったけど、すぐに私は一人で歩いていたはずだと思い出して、声の方を振り向くとゲルダさんが立っていた。

「驚きすぎじゃない? さすがに、傷付くわよ」
「あっ……すみません」
「嘘よ。こんなことで、一々傷付くような可愛らしいメンタルはしてないわよ。それで、【言語学】が必要って、【錬金】か【合成】でも取ったの?」
「いえ、この前のイベントで手に入れた素材で作った眼鏡で、見つけたものが紙だったんですが、それの内容が読めなかったので、レベル上げをしていたんです」

 私は、ゲルダさんに霊峰の霊視鏡を見せる。説明でも分かると思うけど、実物を見せた方がより分かりやすいと判断した。

「【霊視】……なるほどね。これは、この世界の深掘りに繋がりそうだわ。ハクが手に入れた素材以外にも【霊視】を付けられる素材がありそうね。レア度は高いだろうけど」
「このゲームでのレア度って、どうやって決まるんですか? ゲーム側では表示してないですよね?」

 一応レアドロップとか、レアモンスターの概念はあるけど、そのレア度をゲーム側で表示されていた覚えはない。

「プレイヤー間で、勝手に決められているわ。ドロップ率が低いものとか、出現頻度の少ないモンスターとかが当てはまるわね。だから、明確なレア度があるわけじゃないわ。まぁ、こういうゲームだし、これから追加されてもおかしくはないけど」
「そうなんですね」
「ところで、図書館に行くんじゃなかったかしら?」
「あっ、はい。それじゃあ」

 私が手を振って歩き始めると、その隣をゲルダさんが付いてきた。

「ゲルダさんも図書館に用事が?」
「ないわよ。でも、ハクがやる事には、興味があるわね」

 私の行いとかをフレ姉から聞いているからか、ゲルダさんは、私のやる事に興味を抱いたみたい。何か面白い事が起こるかもって考えているのかな。後は、私が危険な事をしないように見張るという理由もあるかもしれない。

「でも、ただ単純に図書館の三階の本が読めるか確認するだけですよ?」
「ええ、それで何が分かるのかが知りたいところね。そもそも図書館の本は、有用なのかしら? レベルを上げたって事は、結構読んでいるのでしょう?」
「私が読んだのは、魔法の論文とか科学の論文とかですね。後は、武器に関しても軽く読みました」
「どうだった?」
「難しい内容もありましたが、興味深いものばかりでしたよ。でも、直接戦闘の役に立つかと言われたら微妙です」
「道すがら、内容を教えてくれる?」
「はい」

 図書館に行くまでの間、私は、ゲルダさんに図書館で読んだ本の内容を軽く話した。
 魔力の利用においての注意事項や魔法の暴発、魔法によって起きる現象、魔力が高まる事で起こる現象、現実でもあるような科学の内容、武器の種類と利用法などだ。
 武器の種類に関しては、代表的なものしか書かれていなかった。双剣とかの特殊な武器があったら、色々と参考になると思ったけど、そうはならず落胆した。

「魔法関連の話は面白いわね。ゲームの仕様を、上手く世界の設定に落とし込んでいるわね。そのフレーバーを楽しむだけでも本を読む理由にはなるわ。ゲームによっては、そこから考察をする事が好きな人達が集まるもの。そこら辺の板を探せば、もう少し詳しく分かるかもしれないわね」
「掲示板って事ですか?」
「そうよ。でも、自分で調べて答えに辿り着きたいのなら、見ない方が良いわね。教育的にも悪いものもあることだし」
「ゲルダさん、私も高校生ですよ? もう物事の良し悪しは、判断出来ますよ」
「物事の良し悪しの問題じゃないのよ。まぁ、運良くそこら辺の板に当たっていないようで良かったわ」
「?」

 ゲルダさんが何の事を言っているのか分からないけど、特に掲示板を覗こうとかは考えていないので、取り敢えず置いておいて良いだろう。
 こんな話をしている間に、図書館に着いた。私とゲルダさんは、まっすぐ三階に向かう。

「あっ、読める」
「良かったわね。それで、どんな本があるのかしら?」

 文字が読めるようになった事に喜んでいると、ゲルダさんからそう訊かれた。ゲルダさんは、スキルを持っていなくて読めないから、どんな本があるのか、少し気になっているのかもしれない。

「えっと……モンスターについてですかね。一冊一冊に、モンスターの名前が書いてあります。それも一つのモンスターにつき複数の本があって……」

 棚の端から端までホワイトラビットまで埋まって、それが三段くらいまで続いていた。ホワイトラビットについて、そこまで語る事があるのかと内心疑問に思っていると、ゲルダさんが顎に手を当てながら口を開く。

「著者名は分かるかしら? 同じ人が書いているものか確認して欲しいわ」

 ゲルダさんにそう訊かれて、本の著者名を調べていく。

「えっと……全部別の人ですね」
「それだと、内容が気になるわね。共通項を探して、どの情報が確かなものなのか確認すると良いわ。共通項以外のものは、その著者の妄言か、その著者しか気付いていない事という風に捉えられるわ」
「なるほど」

 ゲルダさんの分析に、感服した。私だけだったら、そこまで頭が回らなかったと思う。ただただ色々な事が書いてあるなで終わっていた可能性もある。

「やっぱり、ゲルダさんって、頭が良いんですね」
「普通よ。頭の良さで言えば、アクアの方が良いもの。それより、読まなくて良いの? これを読みたかったのでしょう?」
「あっ、いえ。三階に、私の目的の本があるか確認したかったんです。ちょっと一回りして見てきますね」
「付き合うわよ」

 そう言って、ゲルダさんは、私の後を付いてきてくれる。ゲルダさんの用事とかは大丈夫なのかなと心配になるけど、ゲルダさんは、そこまで抜けている人ではないので、大丈夫なはず。
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