吸血少女ののんびり気ままなゲームライフ

月輪林檎

文字の大きさ
上 下
87 / 505
吸血少女と進展?

ちょっとした結果発表

しおりを挟む
 視界が戻ってくると、いつものファーストタウンの広場に戻ってきていた。すぐに、アカリも転移してくる。パーティー毎に転移をさせられているみたい。その方が、合流出来ないトラブルとかが起きにくくなるからかな。

「ふぅ……ハクちゃん、お疲れ様」

 アカリは、軽く身体を伸ばしながら労ってくれた。だから、こちらも労い返す。

「うん。お疲れ。ここで、待っていれば良いのかな?」
「どうだろう? メッセージで知らせてくれるみたいだし、離れても大丈夫じゃないかな」
「それじゃあ、アカリエに行かない? 多分、ここは人でごった返すだろうし」
「ハクちゃん、人混み嫌いだもんね。行こうか」

 私が移動を提案した理由を、アカリは即行で当てた。ここから、イベントに参加した全プレイヤーが戻ってくると考えたら、ここから離れたいという気持ちになった。
 私とアカリは、アカリエに移動する。一応、アク姉とフレ姉にもアカリエに行くから、広場にいないという旨をメッセージで伝えておく。私達がいないので、広場で探していたら申し訳ないし。二人から了解という返事を貰ったので、一安心だ。
 アカリエに着いて、裏に入ってソファ衣に並んで座ったと同時に、メッセージが飛んできた。

『イベントにご参加頂きありがとうございました。イベント終了に際しまして、今回の結果をお知らせ致します。今回のイベントにおいて設定された二種類の最終地点に到達したパーティーは、五。洞窟の最奥に到達したパーティーは、五。霊峰の頂上に到達したパーティーは、十二となりました。内、最小人数で攻略したのは、一パーティー一名となりました。最後に、ご参加頂いた皆様にアンケートのご協力をお願いします。頂いた回答は、次回イベント時の参考にさせて頂きます。何卒よろしくお願いします』

 このメッセージを受けて、私とアカリはアンケートに答えた。その間の五分は、二人とも無言になる。
 答え終えた私は、ソファに寄り掛かる。アカリの方も答え終えたみたいで、私に寄り掛かった。

「私達とランサスさんの四パーティーと後一パーティーというか一人がいるみたい」
「これって、両方突破したパーティーの中で、最少人数って事なの!?」
「そうじゃないの? 私は、そう思ったけど。アカリ的には、頂上の方がって思ったって事?」
「うん。だって、霊峰の支配竜を、一人で倒すなんて無茶もいいところでしょ?」

 確かに、アカリの言う事は最もだ。レイドボスを単身で倒すなんて、正気の沙汰じゃない。

「でも、どのみち一パーティーでクリアした人達はいるって事じゃん? だから、そこに当てはまるんじゃないかなって、私は思った」
「えぇ~……どうなんだろう? そこが分かりにくいね。アンケートに書けば良かった」
「まぁ、今言っても仕方ない事だよ」

 アンケート出した後に言っても、全く意味がない。改善させたければ、もっと早く気付くべきだった。

「それにしても、ソロで参加するなんて、ハクちゃん並みに無謀だね」
「まぁ、参加してみて、私もソロは無謀だったなって思い知ったよ。というか、二人でも無謀だったけど」

 上級エリアには、最低でも一パーティーがいないと、私達と同じ目に遭っていた可能性が高いはず。フレ姉達っていう強力な仲間がいたから、私達は、甘い蜜を吸えただけだ。

「後は、探索率か」
「私達は、ほぼまっすぐに進んでいったから、結構パーセンテージが低いね」

 メッセージの他に、イベント会場のマップも貰えて、そこには自分達が探索した場所とパーセンテージが書かれている。私達は、9%と書かれていた。森をほぼ直線で抜けて、霊峰を登って、洞窟を探索しただけなので、マップ全てで考えるとそのくらいしか回れていないらしい。

「他のマップは黒いままだし、また同じマップでイベントをやるつもりはありそうかな」
「そうだね。その時は、またパーティー組んでね」
「分かってるよ。一人じゃ無理だろうしね」

 私達は、互いに笑い合う。そこで、ふと思い出した事があった。

「そうだ。竜の素材で何か作れる?」
「う~ん……防具よりも武器の方が適していると思うよ。ラングさんに相談してみた方が良いと思う」
「そうなんだ。じゃあ、そうしようかな。でも、こっちはいるでしょ」

 私はそう言って、トレード画面を出して、ブラックレオパルドの素材を大量に送った。

「うん! これは欲しい! ありがとう!」

 アカリは、しっかりと素材分の料金を払ってくれた。普通は、ポンと出せる額じゃないと思うけど、そこは売れっ子生産職なので、貯金がたんまりあるみたい。

「う~ん……寝る時はしっかりと寝ていたけど、結構疲れたなぁ」
「言ったら、三日間の旅行みたいなものだったもんね」
「こんな旅行疲れは嫌だけど……まぁ、それでも、二時間しか経ってないんだから、技術の進歩は凄いね」
「昔のゲームには無かったもんね。そういえば、ハクちゃんは、これからどうする?」
「今日はログアウトして、ログインはしないかな。連休は、後四日もあるしね」

 まだ連休は前半だ。後半に四日間も残っている事を考えると、態々徹夜する事もない。疲れているのは本当だし、さっさと寝るに限る。

「分かった。それじゃあ、ハクちゃん用の砂漠アクセサリーを作っておくね。そろそろ行くでしょ?」
「そうだね。そろそろ熱帯の探索も進めて、ボスを倒したいし、連休中には行きたいかも」
「頑張ってね」
「うん。それじゃあ、今日はお疲れ様。またね」
「うん。お疲れ様。またね」

 アカリと手を振って別れてから、広場でログアウトする。
 現実に戻って、二時間の間で三日も過ごしたという事を改めて実感しながら過ごした。そんな特別な日も終わり。明日からは、普通のエリアで、いつもの日々が戻ってくる。
 それでも、退屈な日々ではないのは、今からでも分かりきっていた。まだまだこのゲームは、長く楽しめそうだ。
しおりを挟む
感想 0

あなたにおすすめの小説

New Life

basi
SF
なろうに掲載したものをカクヨム・アルファポにて掲載しています。改稿バージョンです。  待ちに待ったVRMMO《new life》  自分の行動でステータスの変化するアビリティシステム。追求されるリアリティ。そんなゲームの中の『新しい人生』に惹かれていくユルと仲間たち。  ゲームを進め、ある条件を満たしたために行われたアップデート。しかし、それは一部の人々にゲームを終わらせ、新たな人生を歩ませた。  第二部? むしろ本編? 始まりそうです。  主人公は美少女風美青年?

絶世のディプロマット

一陣茜
SF
惑星連合平和維持局調停課に所属するスペース・ディプロマット(宇宙外交官)レイ・アウダークス。彼女の業務は、惑星同士の衝突を防ぐべく、双方の間に介入し、円満に和解させる。 レイの初仕事は、軍事アンドロイド産業の発展を望む惑星ストリゴイと、墓石が土地を圧迫し、財政難に陥っている惑星レムレスの星間戦争を未然に防ぐーーという任務。 レイは自身の護衛官に任じた凄腕の青年剣士、円城九太郎とともに惑星間の調停に赴く。 ※本作はフィクションであり、実際の人物、団体、事件、地名などとは一切関係ありません。

VRゲームでも身体は動かしたくない。

姫野 佑
SF
多種多様な武器やスキル、様々な【称号】が存在するが職業という概念が存在しない<Imperial Of Egg>。 古き良きPCゲームとして稼働していた<Imperial Of Egg>もいよいよ完全没入型VRMMO化されることになった。 身体をなるべく動かしたくないと考えている岡田智恵理は<Imperial Of Egg>がVRゲームになるという発表を聞いて気落ちしていた。 しかしゲーム内の親友との会話で落ち着きを取り戻し、<Imperial Of Egg>にログインする。 当作品は小説家になろう様で連載しております。 章が完結次第、一日一話投稿致します。

吸血少女 設定資料集(おまけ付き)

月輪林檎
SF
 『吸血少女ののんびり気ままなゲームライフ』のスキルやその技、武具の追加効果などを章ごとに分けて簡潔に説明します。その章で新しく出て来たものを書いていくので、過去の章に出て来ているものは、過去の章から確認してください。  さらに、ハク以外の視点で、ちょっとした話も書くかもしれません。所謂番外編です。  基本的に不定期更新です。

アイドルグループの裏の顔 新人アイドルの洗礼

甲乙夫
恋愛
清純な新人アイドルが、先輩アイドルから、強引に性的な責めを受ける話です。

最前線攻略に疲れた俺は、新作VRMMOを最弱職業で楽しむことにした

水の入ったペットボトル
SF
 これまであらゆるMMOを最前線攻略してきたが、もう俺(大川優磨)はこの遊び方に満足してしまった。いや、もう楽しいとすら思えない。 ゲームは楽しむためにするものだと思い出した俺は、新作VRMMOを最弱職業『テイマー』で始めることに。 βテストでは最弱職業だと言われていたテイマーだが、主人公の活躍によって評価が上がっていく?  そんな周りの評価など関係なしに、今日も主人公は楽しむことに全力を出す。  この作品は「カクヨム」様、「小説家になろう」様にも掲載しています。

ビースト・オンライン 〜追憶の道しるべ。操作ミスで兎になった俺は、仲間の記憶を辿り世界を紐解く〜

八ッ坂千鶴
SF
 普通の高校生の少年は高熱と酷い風邪に悩まされていた。くしゃみが止まらず学校にも行けないまま1週間。そんな彼を心配して、母親はとあるゲームを差し出す。  そして、そのゲームはやがて彼を大事件に巻き込んでいく……! ※感想は私のXのDMか小説家になろうの感想欄にお願いします。小説家になろうの感想は非ログインユーザーでも記入可能です。

とある高校の淫らで背徳的な日常

神谷 愛
恋愛
とある高校に在籍する少女の話。 クラスメイトに手を出し、教師に手を出し、あちこちで好き放題している彼女の日常。 後輩も先輩も、教師も彼女の前では一匹の雌に過ぎなかった。 ノクターンとかにもある お気に入りをしてくれると喜ぶ。 感想を貰ったら踊り狂って喜ぶ。 してくれたら次の投稿が早くなるかも、しれない。

処理中です...