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吸血少女の歩む道
フレ姉のスキル
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アク姉に抱えられながら、少し移動していると、不意にフレ姉の雰囲気が変わった。
「アクア」
「分かってるよ。【リリース】」
アク姉が、いつの間にか取り出した杖を沼に向けて、そう詠唱する。すると、水で出来た槍が、沼に向かって放たれた。着弾と同時に、目の前にウィンドウが出て来る。ドロップアイテムから、倒れたのがマッドパペットである事が分かった。
「どうして、あそこにいるって分かったの?」
「【感知】っていうスキルだ。範囲は狭いが、ギリギリあの沼までは範囲内だな。感知出来るのは、モンスターだけで他のものには転用出来ねぇが、それもスキルレベルか進化で変わるだろうと睨んでる。因みに、ランク3のスキルだぞ」
「ランク3……私、まだ出てないよ?」
収得してみようと一覧を見てみるけど、どこにも【感知】は見当たらない。
「条件があるみたいだな。まだ確定はしていないが、収得したスキル数もしくはスキルレベルの合計が関係しているとみてる」
「ふ~ん。そういえば、フレ姉達のスキルって、今、どんな感じ?」
二人に訊くと、すぐにスキルを見せてくれた。
────────────────────────
アクア:【杖Lv43】【長杖Lv34】【魔法才能Lv40】【火魔法才能Lv32】【水魔法才能Lv36】【風魔法才能Lv31】【雷魔法才能Lv30】【魔法クールタイム減少Lv31】【MP自然回復力上昇Lv28】【魔法ストックLv24】【複合魔法Lv9】【感知Lv6】
控え:【MP強化Lv10】【魔法攻撃強化Lv31】【物理防御強化Lv29】【魔法防御強化Lv24】【運強化Lv19】【言語学Lv5】
SP:55
フレイ:【槍Lv51】【長槍Lv46】【格闘Lv49】【拳Lv21】【蹴りLv19】【投げLv23】【投げ槍Lv10】【剛力Lv21】【見切りLv32】【天眼Lv35】【感知Lv10】
控え:【HP強化Lv41】【物理攻撃強化Lv40】【物理防御強化Lv38】【魔法防御強化Lv36】【速度強化Lv43】【器用さ強化Lv31】【運強化Lv21】【料理Lv11】
SP:77
────────────────────────
アク姉のスキルも気になるものがあったけど、フレ姉のスキルレベルの高さに驚いた。
「何で、こんなに高いの?」
「ボスに単独で挑み続けているからな」
「私も挑んでるけど……」
フレ姉の理論だと、私ももっとスキルレベルが上がっても良いと思うのだけど、何か違いがあるのかな。
「格上にしか挑んでねぇからな。勝率は三割くらいだ」
「ああ~……」
私も格上と戦ってはいるけど、勝率は十割だ。つまり、ギリギリ勝てる相手と戦う私とほぼほぼ負ける相手と戦うフレ姉では、得られる経験値が段違いという風に考えられる。
「色々と訊きたい事があるんだけど、ここじゃない方が良いよね?」
「アクアがいるから平気だろ」
「逆に私に訊きたい事があったら、姉さんがいるから平気だよ」
つまり道中の戦闘は、片方だけで足りるって事だと思う。夜であれば、私一人でも足りるのだから、それも当たり前か。
「じゃあ、お言葉に甘えて。【蹴り】と【剛力】って、どうやって手に入れたの?」
私のスキルにも影響してくれそうなスキル名だったので、ちょっと気になった。
「【蹴り】は、【格闘】の派生だな。確か、20くらいで派生するはずだ。これは、【拳】と【投げ】も同じだな。【剛力】に関しては、私も知らん。いつの間にか出てた」
「【蹴り】は必須かな。【剛力】もあったら、便利そうなんだけど……」
「収得条件に関しては出てこねぇからな。武器系統が10で派生するってのも、β時代からの検証の結果だからな。ランク3のスキルってのもあるが、検証が難しいスキルってのもあるんだろ。私がやっていた事を真似たら収得出来るかもな」
「格上ボス?」
「他にやった変な事は……【格闘】のレベル上げのために、モンスターを蹂躙していたな。ボスにも素手で挑んでたぞ」
最初から【格闘】を持っていたら当たり前だけど、普通に武器スキルを持っている人は、基本的に武器を使って戦うと思う。そのくらいボスの危険度は高い。フォレストリザードみたいに、ある程度隙があったりしたら出来るかもだけど、フレ姉が言っているのは、多分格上ボスに対してだと思うので、難易度は跳ね上がる。
それが条件に入っていたら、手に入れるのは確実に難しい。
「私も素手で戦ってみようかな。【見切り】と【天眼】っていうのは?」
「【見切り】は、敵の攻撃が認識しやすくなるといった感じだな。【天眼】は、もう一つの視界を手に入れるといった感じだ。見る事が出来る範囲は、そこまで広くないがな」
【見切り】の方は、名前から何となく分かっていたけど、【天眼】の方は全く思い付かなかった効果だった。天眼って言葉自体聞いた事なかったからというのが大きい。
視界が一つ増えるって事は、戦場を俯瞰して見るとかが出来るって事かな。身体を動かしにくくはなりそうだけど、目を潰されても視界を保てると考えたら、結構良いスキルなのかもしれない。
「どうやって取るの?」
「【見切り】は、モンスターの攻撃を皮一枚くらいで避けていたら増えていたな。【天眼】の方は分からん。心当たりは、目隠しでモンスターと戦っていた事だな」
「何してるの?」
「姉さんって、本当に変な事ばかりするよね。目隠しでモンスターと戦うなんて普通しないでしょ?」
「ハクの第六感的なものを身に着けようと思ってな」
フレ姉が言っているのは、私がよく感じる嫌な予感の事だと思う。VRMMOを始める前から時々感じていたもので、私自身なんでそこまで予感が当たるのか分かっていない。なので、フレ姉が身に着けようとしているものがどうやって身につくかは分からない。
「それで、【天眼】が取れるようになったの?」
「そうだな。特別な事で言えば、それしか思い付かん」
「やってみようかな……」
「やめとけ。相手の動きを感じ取るまでに何日も掛かったからな」
「何で感じ取れるのさ……」
アク姉がドン引きした表情でフレ姉を見ていた。
「お前……それはハクにも刺さるぞ?」
「はっ!! ごめんね、ハクちゃん!!」
「全く刺さってなかったんだけど……」
またアク姉に抱きしめられている私を、フレ姉は悪戯っぽく笑って見ていた。絶対に、こうなる事を分かっていて、言ってきていた。なので、ジッと睨んでおく。
それで悪く感じてくれたのか、フレ姉が頭を撫でてくれた。
「んで、他にはあるか?」
「あ、そうだ。フレ姉って料理するの?」
「ん? ああ、【料理】は、私の初期スキルだな。せっかくあるものだから、時々料理はしているぞ。ちょうど出来る環境もあるからな」
「久しぶりにフレ姉の料理食べたい」
「ゲーム内での料理なんて、大体一緒だぞ。お盆くらいには帰れると思うから、その時にな」
「やった!」
現実で作ってくれるかー姉の料理は、普通に美味しいので好きだ。
「私は!?」
「アク姉はいい」
「そんなぁ~!!」
アク姉はしょげているけど、私が【吸血】を受け入れる要因になるようなエグいものを作り出すのに食べたいと思うわけがない。
「ちゃんとした味付けにするから~!!!」
「それなら良いけど……フレ姉の監視付きね」
「姉さんの監視か……うるさいんだよねぇ……」
「お前がまともに料理すれば、うるさくしねぇわ」
フレ姉の言う通りなので、私も大きく頷いた。それを見て、アク姉はショックを受けたかのように肩を落としていた。どう考えても自業自得だ。
「アクア」
「分かってるよ。【リリース】」
アク姉が、いつの間にか取り出した杖を沼に向けて、そう詠唱する。すると、水で出来た槍が、沼に向かって放たれた。着弾と同時に、目の前にウィンドウが出て来る。ドロップアイテムから、倒れたのがマッドパペットである事が分かった。
「どうして、あそこにいるって分かったの?」
「【感知】っていうスキルだ。範囲は狭いが、ギリギリあの沼までは範囲内だな。感知出来るのは、モンスターだけで他のものには転用出来ねぇが、それもスキルレベルか進化で変わるだろうと睨んでる。因みに、ランク3のスキルだぞ」
「ランク3……私、まだ出てないよ?」
収得してみようと一覧を見てみるけど、どこにも【感知】は見当たらない。
「条件があるみたいだな。まだ確定はしていないが、収得したスキル数もしくはスキルレベルの合計が関係しているとみてる」
「ふ~ん。そういえば、フレ姉達のスキルって、今、どんな感じ?」
二人に訊くと、すぐにスキルを見せてくれた。
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アクア:【杖Lv43】【長杖Lv34】【魔法才能Lv40】【火魔法才能Lv32】【水魔法才能Lv36】【風魔法才能Lv31】【雷魔法才能Lv30】【魔法クールタイム減少Lv31】【MP自然回復力上昇Lv28】【魔法ストックLv24】【複合魔法Lv9】【感知Lv6】
控え:【MP強化Lv10】【魔法攻撃強化Lv31】【物理防御強化Lv29】【魔法防御強化Lv24】【運強化Lv19】【言語学Lv5】
SP:55
フレイ:【槍Lv51】【長槍Lv46】【格闘Lv49】【拳Lv21】【蹴りLv19】【投げLv23】【投げ槍Lv10】【剛力Lv21】【見切りLv32】【天眼Lv35】【感知Lv10】
控え:【HP強化Lv41】【物理攻撃強化Lv40】【物理防御強化Lv38】【魔法防御強化Lv36】【速度強化Lv43】【器用さ強化Lv31】【運強化Lv21】【料理Lv11】
SP:77
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アク姉のスキルも気になるものがあったけど、フレ姉のスキルレベルの高さに驚いた。
「何で、こんなに高いの?」
「ボスに単独で挑み続けているからな」
「私も挑んでるけど……」
フレ姉の理論だと、私ももっとスキルレベルが上がっても良いと思うのだけど、何か違いがあるのかな。
「格上にしか挑んでねぇからな。勝率は三割くらいだ」
「ああ~……」
私も格上と戦ってはいるけど、勝率は十割だ。つまり、ギリギリ勝てる相手と戦う私とほぼほぼ負ける相手と戦うフレ姉では、得られる経験値が段違いという風に考えられる。
「色々と訊きたい事があるんだけど、ここじゃない方が良いよね?」
「アクアがいるから平気だろ」
「逆に私に訊きたい事があったら、姉さんがいるから平気だよ」
つまり道中の戦闘は、片方だけで足りるって事だと思う。夜であれば、私一人でも足りるのだから、それも当たり前か。
「じゃあ、お言葉に甘えて。【蹴り】と【剛力】って、どうやって手に入れたの?」
私のスキルにも影響してくれそうなスキル名だったので、ちょっと気になった。
「【蹴り】は、【格闘】の派生だな。確か、20くらいで派生するはずだ。これは、【拳】と【投げ】も同じだな。【剛力】に関しては、私も知らん。いつの間にか出てた」
「【蹴り】は必須かな。【剛力】もあったら、便利そうなんだけど……」
「収得条件に関しては出てこねぇからな。武器系統が10で派生するってのも、β時代からの検証の結果だからな。ランク3のスキルってのもあるが、検証が難しいスキルってのもあるんだろ。私がやっていた事を真似たら収得出来るかもな」
「格上ボス?」
「他にやった変な事は……【格闘】のレベル上げのために、モンスターを蹂躙していたな。ボスにも素手で挑んでたぞ」
最初から【格闘】を持っていたら当たり前だけど、普通に武器スキルを持っている人は、基本的に武器を使って戦うと思う。そのくらいボスの危険度は高い。フォレストリザードみたいに、ある程度隙があったりしたら出来るかもだけど、フレ姉が言っているのは、多分格上ボスに対してだと思うので、難易度は跳ね上がる。
それが条件に入っていたら、手に入れるのは確実に難しい。
「私も素手で戦ってみようかな。【見切り】と【天眼】っていうのは?」
「【見切り】は、敵の攻撃が認識しやすくなるといった感じだな。【天眼】は、もう一つの視界を手に入れるといった感じだ。見る事が出来る範囲は、そこまで広くないがな」
【見切り】の方は、名前から何となく分かっていたけど、【天眼】の方は全く思い付かなかった効果だった。天眼って言葉自体聞いた事なかったからというのが大きい。
視界が一つ増えるって事は、戦場を俯瞰して見るとかが出来るって事かな。身体を動かしにくくはなりそうだけど、目を潰されても視界を保てると考えたら、結構良いスキルなのかもしれない。
「どうやって取るの?」
「【見切り】は、モンスターの攻撃を皮一枚くらいで避けていたら増えていたな。【天眼】の方は分からん。心当たりは、目隠しでモンスターと戦っていた事だな」
「何してるの?」
「姉さんって、本当に変な事ばかりするよね。目隠しでモンスターと戦うなんて普通しないでしょ?」
「ハクの第六感的なものを身に着けようと思ってな」
フレ姉が言っているのは、私がよく感じる嫌な予感の事だと思う。VRMMOを始める前から時々感じていたもので、私自身なんでそこまで予感が当たるのか分かっていない。なので、フレ姉が身に着けようとしているものがどうやって身につくかは分からない。
「それで、【天眼】が取れるようになったの?」
「そうだな。特別な事で言えば、それしか思い付かん」
「やってみようかな……」
「やめとけ。相手の動きを感じ取るまでに何日も掛かったからな」
「何で感じ取れるのさ……」
アク姉がドン引きした表情でフレ姉を見ていた。
「お前……それはハクにも刺さるぞ?」
「はっ!! ごめんね、ハクちゃん!!」
「全く刺さってなかったんだけど……」
またアク姉に抱きしめられている私を、フレ姉は悪戯っぽく笑って見ていた。絶対に、こうなる事を分かっていて、言ってきていた。なので、ジッと睨んでおく。
それで悪く感じてくれたのか、フレ姉が頭を撫でてくれた。
「んで、他にはあるか?」
「あ、そうだ。フレ姉って料理するの?」
「ん? ああ、【料理】は、私の初期スキルだな。せっかくあるものだから、時々料理はしているぞ。ちょうど出来る環境もあるからな」
「久しぶりにフレ姉の料理食べたい」
「ゲーム内での料理なんて、大体一緒だぞ。お盆くらいには帰れると思うから、その時にな」
「やった!」
現実で作ってくれるかー姉の料理は、普通に美味しいので好きだ。
「私は!?」
「アク姉はいい」
「そんなぁ~!!」
アク姉はしょげているけど、私が【吸血】を受け入れる要因になるようなエグいものを作り出すのに食べたいと思うわけがない。
「ちゃんとした味付けにするから~!!!」
「それなら良いけど……フレ姉の監視付きね」
「姉さんの監視か……うるさいんだよねぇ……」
「お前がまともに料理すれば、うるさくしねぇわ」
フレ姉の言う通りなので、私も大きく頷いた。それを見て、アク姉はショックを受けたかのように肩を落としていた。どう考えても自業自得だ。
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