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吸血少女の歩む道
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アサルトバードを掴み取りして、【吸血】を使って倒すという事を繰り返す。途中で何度かマッドフロッグとマッドパペットが襲ってきたけど、こっちの対処法も分かっているので、ちゃんと対処出来た。
ただ朝日が出て来たから、途中から前までのように倒せなくなったけど、苦労するぐらいで全く倒せないわけじゃないので、そのまま戦い続けた。
アサルトバードへの【吸血】に関しては、割合ダメージだと思われるので、朝日が差してきても、そこまで影響はなかった。
「さすがに、連続で飲み続けるのは辛いな……」
私は、木陰に入って、ラングさんに頼んで作って貰った果物ナイフを取り出す。これを作って貰うときに、「さすがに果物ナイフは初めて作るな」と言われた。まぁ、武器屋に相談する事では無かったかもしれないけど、立派な果物ナイフを作ってくれた。
おかげで、皮ごと食べる事に抵抗があった強酸パイナップルも剥いて食べる事が出来る。強烈な酸味の中に甘みを感じるこのパイナップルは、結構美味しい。さっきの湿原ベリーよりも甘さがある分、こっちの方が口直しに丁度いい。
「結局よく分からないなぁ………弱点じゃなくてもクリティカル判定が出るようになったけど、【運強化】ってそういう事なのかな。そもそも【吸血】のスキル獲得率が、低すぎるのか。獲得出来ているだけマシなのかも」
結局【吸血】でスキルを獲得する事は出来なかった。まだ【運強化】のレベルが低いから恩恵がないのかもしれない。まだ時間もあるので、もう少しアサルトバードで調べてみる事にした。
「ほっ! はっ!」
何百匹と捕まえて吸血していった結果、一気に二匹捕まえる事が出来るようになった。結局一匹一匹飲んでいく方が早いから、あまり意味ないけど。
隙間の時間で、日傘を差して、果物を食べながら進んで行く。食べるのは、甘酸林檎。果物ナイフも手に入れたので、皮を剥いて食べていく。
「【料理】があったら、ここら辺も変わってくるのかな? 皮も消えていっちゃうけど、【料理】を取ったら、残って料理に使えるとかありそう」
【料理】のスキルに可能性があるかもしれないと考えつつ歩いていると、右側に広がっている林の奥に木とは違うものが見えた。
「山みたいに見えたけど……あれって、人工物?」
山かと思ったそれは、よくよく見てみると、何か角張った感じの岩が積み重ねられたものだった。マヤ文明の遺跡みたいな感じだ。
「…………」
頭の中で、【吸血】と【運強化】の繋がりの検証と新しく見つけた未知のもので、どっちを優先するか鬩ぎ合っていた。
「よし! あの遺跡に行こっと」
好奇心に負けた私は、進路を変更して遺跡へと向かっていった。果物を食べながら歩いているので、傍から見たら、ピクニックを楽しんでいるようにも見えそう。まぁ、さすがに、歩きながら果物を剥いて食べているから、そんな風には見えないか。
遺跡までの道のりでも、アサルトバードを初めとする湿地帯のモンスターが襲い掛かってきた。特にアサルトバードの数が増えている。その理由は、周囲から沼がなくなってきたからと考えられる。マッドフロッグとマッドパペットは、沼や泥沼から出て来るので、それらが無い場所には生息出来ないはず。これで出て来たら、今までそこからしか出てこなかった意味がないだろうし。
日傘を差しながらでも、アサルトバードの掴み取りが出来る事が分かったので、日傘で日差しを遮りながら、支援魔法も使って【吸血】を使い続ける。
すると、突然私の目の前にウィンドウが現れた。
「うわっ!? ドロップのウィンドウは、さっき消えたんだけどなぁ……」
戦闘終了後に、アイテムドロップも出た後だったので、本当に驚いた。内容をよく見てみる。
『条件を満たしたため、【吸血】の進化が可能になりました。(条件:昼の時間帯に【吸血】を使用して、千体以上のモンスターを倒す。【吸血】のみで、百体のモンスターを倒す)』
ウィンドウに目を通して、思わず二度確認した。
「進化……」
思わず口が緩んでしまう。不人気スキルと言われている【吸血】に新たな道が出来たからだ。ただ、同時に一つだけ悩むところがある。それは、【運強化】との組み合わせの検証だ。
「う~ん……いや、進化は可能性が無限大のはず!」
私はスキル取得欄を見る。すると、ランク2のところに【吸血鬼】というスキルが増えていた。念のため、説明を見る。
────────────────────────
【吸血鬼】:血を吸う事で体力の回復と確率でスキルを獲得が出来る。獲得出来るスキルは、血を吸う相手が持っているスキルに限られ、一体につきランダムで一つのみ。【吸血】よりも、スキルを獲得出来る確率が上がる。太陽光によるステータスダウンが、五割になる。
────────────────────────
絶句した。
「五割……」
スキル獲得の確率が上がるのは良いのだけど、太陽光によるステータスダウンが、五割になるというのは、ちょっと困る。通常時の半分のステータスで戦わないといけないって事だからだ。
「可能性は無限大だけど、代償も大きいか……」
思わず、フレ姉に連絡する。通話に出た瞬間、ちょっと騒がしい中にフレ姉の声が聞こえた。
『どうした?』
「フレ姉、【吸血】が進化するみたいなんだけど」
『おう。良かったじゃねぇか。使い勝手が良くなるんじゃねぇか?』
「ステータスダウンが五割になる」
これを言った瞬間、フレ姉が黙った。五割ダウンってところは、フレ姉でも許容は出来ないみたい。
『……そうか。それは使い勝手がさらに悪くなるな』
「でも、スキル獲得の確率が上がるんだって」
『ハイリスクハイリターン……ハイリターンかどうかは分からねぇか』
まだスキル獲得の確率が、どの程度のものなのか分からないので、ハイリターンで帰ってきてくれるのかも分からない。
「今は、【運強化】を取ったから、影響するといいなぁって感じ」
『まぁ、そこから進化しないとも限らねぇからな。少し頑張ってみるのも有りだと思うぞ』
「えっ? 二回進化するの?」
スキルの進化については、アカリから聞いていたけど、二回も進化するとは思わなかった。
『まだ見つかってねぇが、あり得ねぇ話じゃねぇだろう。てか、進化して、それで終わりだったら、不遇スキルも良いところだぞ』
「確かに……まぁ、ゲームだし、不便を楽しむのも有りだよね」
『そうだな。使えなければ、控えに置いておけば影響もねぇしな』
「ああ、なるほど。頑張ってみる」
『おう』
「ところで、何かしてるところだった?」
フレ姉の声の他に聞こえてくる音で、何かしていると思ったので、一応訊いてみた。
『ん? ああ、戦闘中なだけだ。うるさくて悪いな』
「あっ、そうなんだ。ううん。こっちこそごめんね、戦闘中に」
『気にすんな。ハクからなら、ボス戦中でも出るしな』
「……因みに、今はボス戦中じゃないよね?」
『いや、ボス戦だ』
「…………」
さすがに冗談だと思ったけど、実際にボス戦中だった。アク姉が異常過ぎて分からなくなるけど、フレ姉もフレ姉でシスコンだった。他の人にも迷惑が掛かるから、さすがに、そこまでしなくていいけど、フレ姉は、多分変わらない。
「じゃあ、ギルドの皆さんにごめんなさいって言っておいて」
『ん? ああ、それも気にすんな。ハクからの連絡だって言ったら、さっさと出ろって言われたくらいだからな』
「フレ姉の気が散るからでしょ。それじゃあ切るね」
『おう。またな』
フレ姉と通話を切って、迷いなく【吸血鬼】を取る。すると、一気に身体が重くなったのを感じた。
「うぇ!? ステータス半減って辛っ……」
日傘を差していても、気休めくらいにしかならない。
「よし……! 頑張ろう!」
ここからが茨の道かもだけど、【吸血鬼】の先の可能性を信じて頑張る。これもゲームの醍醐味だからね。
ただ朝日が出て来たから、途中から前までのように倒せなくなったけど、苦労するぐらいで全く倒せないわけじゃないので、そのまま戦い続けた。
アサルトバードへの【吸血】に関しては、割合ダメージだと思われるので、朝日が差してきても、そこまで影響はなかった。
「さすがに、連続で飲み続けるのは辛いな……」
私は、木陰に入って、ラングさんに頼んで作って貰った果物ナイフを取り出す。これを作って貰うときに、「さすがに果物ナイフは初めて作るな」と言われた。まぁ、武器屋に相談する事では無かったかもしれないけど、立派な果物ナイフを作ってくれた。
おかげで、皮ごと食べる事に抵抗があった強酸パイナップルも剥いて食べる事が出来る。強烈な酸味の中に甘みを感じるこのパイナップルは、結構美味しい。さっきの湿原ベリーよりも甘さがある分、こっちの方が口直しに丁度いい。
「結局よく分からないなぁ………弱点じゃなくてもクリティカル判定が出るようになったけど、【運強化】ってそういう事なのかな。そもそも【吸血】のスキル獲得率が、低すぎるのか。獲得出来ているだけマシなのかも」
結局【吸血】でスキルを獲得する事は出来なかった。まだ【運強化】のレベルが低いから恩恵がないのかもしれない。まだ時間もあるので、もう少しアサルトバードで調べてみる事にした。
「ほっ! はっ!」
何百匹と捕まえて吸血していった結果、一気に二匹捕まえる事が出来るようになった。結局一匹一匹飲んでいく方が早いから、あまり意味ないけど。
隙間の時間で、日傘を差して、果物を食べながら進んで行く。食べるのは、甘酸林檎。果物ナイフも手に入れたので、皮を剥いて食べていく。
「【料理】があったら、ここら辺も変わってくるのかな? 皮も消えていっちゃうけど、【料理】を取ったら、残って料理に使えるとかありそう」
【料理】のスキルに可能性があるかもしれないと考えつつ歩いていると、右側に広がっている林の奥に木とは違うものが見えた。
「山みたいに見えたけど……あれって、人工物?」
山かと思ったそれは、よくよく見てみると、何か角張った感じの岩が積み重ねられたものだった。マヤ文明の遺跡みたいな感じだ。
「…………」
頭の中で、【吸血】と【運強化】の繋がりの検証と新しく見つけた未知のもので、どっちを優先するか鬩ぎ合っていた。
「よし! あの遺跡に行こっと」
好奇心に負けた私は、進路を変更して遺跡へと向かっていった。果物を食べながら歩いているので、傍から見たら、ピクニックを楽しんでいるようにも見えそう。まぁ、さすがに、歩きながら果物を剥いて食べているから、そんな風には見えないか。
遺跡までの道のりでも、アサルトバードを初めとする湿地帯のモンスターが襲い掛かってきた。特にアサルトバードの数が増えている。その理由は、周囲から沼がなくなってきたからと考えられる。マッドフロッグとマッドパペットは、沼や泥沼から出て来るので、それらが無い場所には生息出来ないはず。これで出て来たら、今までそこからしか出てこなかった意味がないだろうし。
日傘を差しながらでも、アサルトバードの掴み取りが出来る事が分かったので、日傘で日差しを遮りながら、支援魔法も使って【吸血】を使い続ける。
すると、突然私の目の前にウィンドウが現れた。
「うわっ!? ドロップのウィンドウは、さっき消えたんだけどなぁ……」
戦闘終了後に、アイテムドロップも出た後だったので、本当に驚いた。内容をよく見てみる。
『条件を満たしたため、【吸血】の進化が可能になりました。(条件:昼の時間帯に【吸血】を使用して、千体以上のモンスターを倒す。【吸血】のみで、百体のモンスターを倒す)』
ウィンドウに目を通して、思わず二度確認した。
「進化……」
思わず口が緩んでしまう。不人気スキルと言われている【吸血】に新たな道が出来たからだ。ただ、同時に一つだけ悩むところがある。それは、【運強化】との組み合わせの検証だ。
「う~ん……いや、進化は可能性が無限大のはず!」
私はスキル取得欄を見る。すると、ランク2のところに【吸血鬼】というスキルが増えていた。念のため、説明を見る。
────────────────────────
【吸血鬼】:血を吸う事で体力の回復と確率でスキルを獲得が出来る。獲得出来るスキルは、血を吸う相手が持っているスキルに限られ、一体につきランダムで一つのみ。【吸血】よりも、スキルを獲得出来る確率が上がる。太陽光によるステータスダウンが、五割になる。
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絶句した。
「五割……」
スキル獲得の確率が上がるのは良いのだけど、太陽光によるステータスダウンが、五割になるというのは、ちょっと困る。通常時の半分のステータスで戦わないといけないって事だからだ。
「可能性は無限大だけど、代償も大きいか……」
思わず、フレ姉に連絡する。通話に出た瞬間、ちょっと騒がしい中にフレ姉の声が聞こえた。
『どうした?』
「フレ姉、【吸血】が進化するみたいなんだけど」
『おう。良かったじゃねぇか。使い勝手が良くなるんじゃねぇか?』
「ステータスダウンが五割になる」
これを言った瞬間、フレ姉が黙った。五割ダウンってところは、フレ姉でも許容は出来ないみたい。
『……そうか。それは使い勝手がさらに悪くなるな』
「でも、スキル獲得の確率が上がるんだって」
『ハイリスクハイリターン……ハイリターンかどうかは分からねぇか』
まだスキル獲得の確率が、どの程度のものなのか分からないので、ハイリターンで帰ってきてくれるのかも分からない。
「今は、【運強化】を取ったから、影響するといいなぁって感じ」
『まぁ、そこから進化しないとも限らねぇからな。少し頑張ってみるのも有りだと思うぞ』
「えっ? 二回進化するの?」
スキルの進化については、アカリから聞いていたけど、二回も進化するとは思わなかった。
『まだ見つかってねぇが、あり得ねぇ話じゃねぇだろう。てか、進化して、それで終わりだったら、不遇スキルも良いところだぞ』
「確かに……まぁ、ゲームだし、不便を楽しむのも有りだよね」
『そうだな。使えなければ、控えに置いておけば影響もねぇしな』
「ああ、なるほど。頑張ってみる」
『おう』
「ところで、何かしてるところだった?」
フレ姉の声の他に聞こえてくる音で、何かしていると思ったので、一応訊いてみた。
『ん? ああ、戦闘中なだけだ。うるさくて悪いな』
「あっ、そうなんだ。ううん。こっちこそごめんね、戦闘中に」
『気にすんな。ハクからなら、ボス戦中でも出るしな』
「……因みに、今はボス戦中じゃないよね?」
『いや、ボス戦だ』
「…………」
さすがに冗談だと思ったけど、実際にボス戦中だった。アク姉が異常過ぎて分からなくなるけど、フレ姉もフレ姉でシスコンだった。他の人にも迷惑が掛かるから、さすがに、そこまでしなくていいけど、フレ姉は、多分変わらない。
「じゃあ、ギルドの皆さんにごめんなさいって言っておいて」
『ん? ああ、それも気にすんな。ハクからの連絡だって言ったら、さっさと出ろって言われたくらいだからな』
「フレ姉の気が散るからでしょ。それじゃあ切るね」
『おう。またな』
フレ姉と通話を切って、迷いなく【吸血鬼】を取る。すると、一気に身体が重くなったのを感じた。
「うぇ!? ステータス半減って辛っ……」
日傘を差していても、気休めくらいにしかならない。
「よし……! 頑張ろう!」
ここからが茨の道かもだけど、【吸血鬼】の先の可能性を信じて頑張る。これもゲームの醍醐味だからね。
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