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第3章
【 69 】 慧瑠 視点 ♂
しおりを挟む俺が理性と格闘していると、突然、璃海が顔を上げた。
「あっ! そっか! 慧瑠、エッチな気分になっちゃったんだね。下半身、大丈夫? トイレで抜いてくる? それとも私に性欲処理シてほしい?」
俺の男としての苦悩を察してくれたのは非常に有りがたいが、真顔でとんでもないことを言ってくる璃海に俺は唖然としてしまう。
「……それ、女が言う台詞か?」
まさかとは思うけど、もしかして、璃海は色々と経験済みで慣れていたりするのか?
もしそうだとしたら、それはそれでショックだな……。
「あのね、慧瑠。女だってスケベな妄想いっぱいするの。エッチなことには興味津々なの」
「それは、まあ、分かるけど……」
なんか、段々と女と話しているかんじがしなくなってきたな。
なんつーか、璃海も姉貴みたいに平気な顔して下ネタ言ったりするよな。
璃海もけっこう、姉貴と一緒であっけらかんとしているところがあるよな。
そういえば、今の今まですっかり忘れていたけど、確か璃海は俺と初対面の時にもファーストフードでこういった赤裸々な話をなんの臆面もなくしていたよな。ということを俺はたった今、思い出した。
「でもやっぱり、男相手だと、まだちょっと怖い……かな」
璃海が俺の体から離れる。
それによって俺は安心した気持ちが半分と、寂しく思う気持ちが半分とで複雑な心境になった。
「誤解しないでね。慧瑠のことが怖いって言っているんじゃないよ! 怖いっていうのは、その……、男の人と、キス以上のことをするのがって意味で……」
そこまで言うと、璃海は黙ってうつむいてしまった。
「うん、璃海が言いたいことは分かるよ」
俺も今は璃海と引っ付いていると色々と危険だ。特に下半身の事情がな。
俺も少しだけ璃海と距離を置くと、俺と璃海の間に一人分ほどのスペースが空いた。
「慧瑠、ゴメンネ。私、無神経に慧瑠にくっつきすぎだったね」
項垂れながら、璃海が申し訳なさそうに言う。
俺は胡座をかいて楽な姿勢になると、璃海に笑いかけた。
「まあ、今は姉貴もいるし、今日のところは、とりあえずお預けということで」
だけどキスまでお預けされるのは我慢出来なかった俺は、再び璃海へと近寄る。
そして璃海の体にはいっさい触れないで、俺は啄むような軽いキスを璃海の唇に飽きることなく何度もした。
璃海は俺からのしつこいキスに最後まで抵抗しないで受け入れてくれた。
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