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7.破談の暗喩
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本日は、フラジィナ様との面談。
到着は昨日だが、馬車の不調があり到着が深夜になってしまったため、夜勤の使用人が出迎えたのだ。
珍しい淡い紫色の髪は複雑に編み込まれ、若葉のような色の瞳の家庭的な雰囲気の可愛らしいお嬢様。
花の香りをつけた紅茶と色とりどりの茶菓子と共に、優雅な時間が流れる。
「私の故郷には、日没とともに眠り、日出と共に目覚めるまじないが伝わるのです」
「まあ、初めて聞きますわ」
「私、刺繍が趣味で」
フラジィナ様が指し示した襟には、繊細な刺繍が施されている。
「ほぅ…美しいですわ。よく見せていただいても?」
「ええ、隣にどうぞ。それで夜も寝ずに刺していたものですから、両親にそのまじないをかけられてしまいましたの」
「まあなんて細かい…それでそんなに肌艶がよろしいのですか?」
フラジィナ様の掛ける長椅子に移動し、すぐ近くで見る顔は血色がよく健康的だ。
「ふふっ、そうかもしれませんわね。ですから、私が眠っている間に済ませて欲しいのです」
「………えっ?」
………なんですって?
「あの、それはつまり…?」
「どう扱っていただいても構いませんので」
「い、いえ、そんなわけには…そ、そのまじないは解けませんの?」
「解けない者も稀にいるそうですわ」
焦る私に、フラジィナ様は何でもない事のように清々しい笑顔で言う。
「起きている間は刺繍に集中したいのです。姉の婚礼衣装を仕立てたくて」
「まあ、それは素敵ですわね…!」
「三人の姉の婚約が同時に決まりまして、式は上の姉から順に」
「おめでとうございます…三着ですか?」
「ありがとうございます…三着ですわ」
気の遠くなるような手仕事ではないだろうか。
私は姉思いのフラジィナ様に敬服し、幸せな姉妹に思いを馳せた。
……………………
―――若様と私は、フラジィナ様が滞在する離れに赴きました。
合鍵で扉を開け奥に進み、寝室へ向かいます。
天蓋の向こうでは、フラジィナ様が清らかに寝息を立てていました。
優美な刺繍をあしらったを夜着を纏うフラジィナ様は、昼間とは違う色香を漂わせています。
腰紐を解くと夜着の前面が左右に開かれ、フラジィナ様の素肌が露わになりました。
瑞々しい肉感的な肢体がランプの灯りに照らされ影を作ります。
私は寝台横に備え置いてある椅子に腰掛け、見守ることにしました、
若様はフラジィナ様の横に腰を下ろし、そっと愛撫を始めました。
二つの山が柔らかそうに形を変えます。
「…ん…ふ…っ」
ゆるく頭を振り小さく声を上げ、艶めかしく腰を揺らめかせるフラジィナ様。
若様がフラジィナ様の下半身に手を伸ばしました。私は(若様、そっとですよ)念を送ります。
「…ぁ、あっ…んんっ、んっ、んんっ」
フラジィナ様の反応が変わりました。息も少し荒いです。
「んんぅ…」
フラジィナ様はむずがるように寝返りを打ちうつ伏せになると、柔らかい枕をたぐり寄せて顔をうずめました。
ちらりと私を見やった若様に、私は力強く頷きます。
(ええ、私はここで見守っております。どうぞご自分でお考えください!)
苦笑したような若様は、敷き小股で―――
……………………
…………
……
…想像してみたが、さすがに寝込みをというのは…
―――お茶会はお開きとなりました。
到着は昨日だが、馬車の不調があり到着が深夜になってしまったため、夜勤の使用人が出迎えたのだ。
珍しい淡い紫色の髪は複雑に編み込まれ、若葉のような色の瞳の家庭的な雰囲気の可愛らしいお嬢様。
花の香りをつけた紅茶と色とりどりの茶菓子と共に、優雅な時間が流れる。
「私の故郷には、日没とともに眠り、日出と共に目覚めるまじないが伝わるのです」
「まあ、初めて聞きますわ」
「私、刺繍が趣味で」
フラジィナ様が指し示した襟には、繊細な刺繍が施されている。
「ほぅ…美しいですわ。よく見せていただいても?」
「ええ、隣にどうぞ。それで夜も寝ずに刺していたものですから、両親にそのまじないをかけられてしまいましたの」
「まあなんて細かい…それでそんなに肌艶がよろしいのですか?」
フラジィナ様の掛ける長椅子に移動し、すぐ近くで見る顔は血色がよく健康的だ。
「ふふっ、そうかもしれませんわね。ですから、私が眠っている間に済ませて欲しいのです」
「………えっ?」
………なんですって?
「あの、それはつまり…?」
「どう扱っていただいても構いませんので」
「い、いえ、そんなわけには…そ、そのまじないは解けませんの?」
「解けない者も稀にいるそうですわ」
焦る私に、フラジィナ様は何でもない事のように清々しい笑顔で言う。
「起きている間は刺繍に集中したいのです。姉の婚礼衣装を仕立てたくて」
「まあ、それは素敵ですわね…!」
「三人の姉の婚約が同時に決まりまして、式は上の姉から順に」
「おめでとうございます…三着ですか?」
「ありがとうございます…三着ですわ」
気の遠くなるような手仕事ではないだろうか。
私は姉思いのフラジィナ様に敬服し、幸せな姉妹に思いを馳せた。
……………………
―――若様と私は、フラジィナ様が滞在する離れに赴きました。
合鍵で扉を開け奥に進み、寝室へ向かいます。
天蓋の向こうでは、フラジィナ様が清らかに寝息を立てていました。
優美な刺繍をあしらったを夜着を纏うフラジィナ様は、昼間とは違う色香を漂わせています。
腰紐を解くと夜着の前面が左右に開かれ、フラジィナ様の素肌が露わになりました。
瑞々しい肉感的な肢体がランプの灯りに照らされ影を作ります。
私は寝台横に備え置いてある椅子に腰掛け、見守ることにしました、
若様はフラジィナ様の横に腰を下ろし、そっと愛撫を始めました。
二つの山が柔らかそうに形を変えます。
「…ん…ふ…っ」
ゆるく頭を振り小さく声を上げ、艶めかしく腰を揺らめかせるフラジィナ様。
若様がフラジィナ様の下半身に手を伸ばしました。私は(若様、そっとですよ)念を送ります。
「…ぁ、あっ…んんっ、んっ、んんっ」
フラジィナ様の反応が変わりました。息も少し荒いです。
「んんぅ…」
フラジィナ様はむずがるように寝返りを打ちうつ伏せになると、柔らかい枕をたぐり寄せて顔をうずめました。
ちらりと私を見やった若様に、私は力強く頷きます。
(ええ、私はここで見守っております。どうぞご自分でお考えください!)
苦笑したような若様は、敷き小股で―――
……………………
…………
……
…想像してみたが、さすがに寝込みをというのは…
―――お茶会はお開きとなりました。
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