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4.甘言に蜜語
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腰紐を繕っていて、ふと思った。
紐を使った体位があったが、若様は試してみたいだろうか。
流鏑馬は、私が乗り気になれないが…
首引き恋慕は、忍び居茶臼に変化を持たせたいときにいいかもしれない。
私だけを拘束する理非知らずなら、危険は伴わないだろう。若様は好まない気がするが、もしもそういった性癖が眠っていたとして、目覚めさせないままでいた方がいいのか、起こしたうえで対処した方がいいのか…悩ましい。
それはさておき、今夜は―――
「閨では相手を褒めてください」
普段から相手を褒めることは欠かせないと思うが、今はまた別の話として。
「ああ、……わかった、努力しよう」
「相手が私で甚だ恐縮ですが…練習ですからどうか気負わずに」
指南書に書いておいたのを思い出したのだろう。
若様があからさまな世辞が不得手なのは承知しているので、相手の良いところを見つけて率直に褒めて欲しいと思っている。
お互い夜着のまま、寝台の上で膝がつく距離で向かい合って腰を下ろしている。
ランプの柔らかい灯りに照らされる若様は、神妙な顔つきだ。
「…可愛い」
「はい、『可愛い』はいいですね、間違いないです」
「可愛い、綺麗だ」
「あら……光栄です…ふふ」
定番の言葉だというのに、真剣な眼差しに勘違いしてしまいそうだ。勝手に口元が綻んでしまうのがわかる。
「白銀の髪も、宝石のような瞳も美しい」
猫のような配色だと揶揄われることもあったが、悪くないように思えてくる。
「ふふ、色を褒めるのもいいですね…嬉しいです」
若様は私の髪をすくって口づける。女性ならときめくこと間違いなしの仕草だ。
うんうんと目線で頷く私から目を反らし、若様の動きが止まった。
「………」
「…どうかなさいました?」
「いや…続けても構わないか?」
「はい、どうぞ心のままに」
「やわらかい…」
夜着を脱いで寝台に横たわる私を見下ろしながら、若様の大きな熱い掌が身体の上を滑ると、身体の奥底で火が点る。
「ずっと触れていたい…」
「ふふ…っ、あ、ん…っ」
「本当に…どこも綺麗だ」
(可愛いと綺麗は何度言われても良いものですね…指南書に書き足しておきましょう)
「………」
再び、若様の動きが止まった。
「……何か言わないといけないと思うと、集中できない…すまない」
若様の頬はわずかに染まっている。
「いえ、こちらこそ…気の利いた言葉ではなく、見て思ったことや触って感じたことでいいのですよ」
両脚の間に顔を埋めた若様に、そこにある最も敏感な個所を先程から的確に舌で刺激され続け、私はひっきりなしに声を上げる。
「あ、あ、んッ、んんっ♡」
「…すごいな、溢れてきた」
「ゃ、あっ、そんな、ぁ…っ」
嫌でも駄目でもなく、私は性的に興奮しているのに、制止するような言葉を吐いてしまいそうになる。意識しないで出てしまう場合もあるとは指南書にも書いたが…不思議だ。
「は、あ、そこっもっと強く…んんっ、それ、気持ちいい…です…っ♡」
豆粒ほどの大きさもない器官をぬめった舌で刺激されて、こんなに…体験してみて初めてわかったことがまた増えた。
体が熱い。目を閉じて、駆け上がっていくような快感に集中した。
「あ、あっ、あ、あ、あっあっ、~~~っ♡」
初めての絶頂の余韻に脱力していると、若様は体を起こし親指で口元を拭いながら私を見下ろしていた。
「綺麗だ…愛しい…」
半分閉じた瞼やこめかみを撫でられ、ぼんやりとしていた意識が浮上した。
四つ這いになった私の後ろから、若様のものが入ってくる。ゆっくりと押し広げるように、壁をなぞるように。足の指にきゅうっと力が入る。
「あ、おっきい、おおきいですっ♡」
「絡みついて…締め付けてくる…」
「あ、もっと、感じてください…っ♡」
腕はすぐに疲れてしまい、私は肘をついている。腰を高く上げ、抜けてしまわないよう、一層奥に当たるよう、若様の動きに合わせる。
水音が上がっていることに気づき、全部見られているのだと思うと、頭が痺れるような心地になった。
「っ…すごく締めつけてくる…」
「あ、これ、すき…好きです、そのまま、もっと…っ♡」
規則的な責めに耐えられず、身体がびくびくと震えてしまう。
「あ、あ、わたし、おかしくなってしまいそうです…♡」
「…いいのか?」
「は、いっ、わかさまの…きもちよすぎ…て…っ♡ ん、んん~~~っ♡」
「…上手に達せて偉いな、いい子だ」
「ふ、あ、わたし、じょうずにできていました…か…?」
(褒められて嬉しいです…この調子で…お願いします……)
「ああ…俺は………君を」
(…だめです、もう、意識を保っていられません……)
目が覚めると、まだ夜明け前だった。先程の自分を思い返し…
そう、あれは花菱責めとつぶし駒掛け。
顔を見られないので大胆になってしまった自覚はある。
(我に返るといたたまれなくなりますね…)
目の前にあった若様の耳元で「無防備な寝顔が愛らしいです」と少し掠れてしまった声で囁き、自室に戻…指が絡められていた。
名残惜しいが解き、自室に戻った。
紐を使った体位があったが、若様は試してみたいだろうか。
流鏑馬は、私が乗り気になれないが…
首引き恋慕は、忍び居茶臼に変化を持たせたいときにいいかもしれない。
私だけを拘束する理非知らずなら、危険は伴わないだろう。若様は好まない気がするが、もしもそういった性癖が眠っていたとして、目覚めさせないままでいた方がいいのか、起こしたうえで対処した方がいいのか…悩ましい。
それはさておき、今夜は―――
「閨では相手を褒めてください」
普段から相手を褒めることは欠かせないと思うが、今はまた別の話として。
「ああ、……わかった、努力しよう」
「相手が私で甚だ恐縮ですが…練習ですからどうか気負わずに」
指南書に書いておいたのを思い出したのだろう。
若様があからさまな世辞が不得手なのは承知しているので、相手の良いところを見つけて率直に褒めて欲しいと思っている。
お互い夜着のまま、寝台の上で膝がつく距離で向かい合って腰を下ろしている。
ランプの柔らかい灯りに照らされる若様は、神妙な顔つきだ。
「…可愛い」
「はい、『可愛い』はいいですね、間違いないです」
「可愛い、綺麗だ」
「あら……光栄です…ふふ」
定番の言葉だというのに、真剣な眼差しに勘違いしてしまいそうだ。勝手に口元が綻んでしまうのがわかる。
「白銀の髪も、宝石のような瞳も美しい」
猫のような配色だと揶揄われることもあったが、悪くないように思えてくる。
「ふふ、色を褒めるのもいいですね…嬉しいです」
若様は私の髪をすくって口づける。女性ならときめくこと間違いなしの仕草だ。
うんうんと目線で頷く私から目を反らし、若様の動きが止まった。
「………」
「…どうかなさいました?」
「いや…続けても構わないか?」
「はい、どうぞ心のままに」
「やわらかい…」
夜着を脱いで寝台に横たわる私を見下ろしながら、若様の大きな熱い掌が身体の上を滑ると、身体の奥底で火が点る。
「ずっと触れていたい…」
「ふふ…っ、あ、ん…っ」
「本当に…どこも綺麗だ」
(可愛いと綺麗は何度言われても良いものですね…指南書に書き足しておきましょう)
「………」
再び、若様の動きが止まった。
「……何か言わないといけないと思うと、集中できない…すまない」
若様の頬はわずかに染まっている。
「いえ、こちらこそ…気の利いた言葉ではなく、見て思ったことや触って感じたことでいいのですよ」
両脚の間に顔を埋めた若様に、そこにある最も敏感な個所を先程から的確に舌で刺激され続け、私はひっきりなしに声を上げる。
「あ、あ、んッ、んんっ♡」
「…すごいな、溢れてきた」
「ゃ、あっ、そんな、ぁ…っ」
嫌でも駄目でもなく、私は性的に興奮しているのに、制止するような言葉を吐いてしまいそうになる。意識しないで出てしまう場合もあるとは指南書にも書いたが…不思議だ。
「は、あ、そこっもっと強く…んんっ、それ、気持ちいい…です…っ♡」
豆粒ほどの大きさもない器官をぬめった舌で刺激されて、こんなに…体験してみて初めてわかったことがまた増えた。
体が熱い。目を閉じて、駆け上がっていくような快感に集中した。
「あ、あっ、あ、あ、あっあっ、~~~っ♡」
初めての絶頂の余韻に脱力していると、若様は体を起こし親指で口元を拭いながら私を見下ろしていた。
「綺麗だ…愛しい…」
半分閉じた瞼やこめかみを撫でられ、ぼんやりとしていた意識が浮上した。
四つ這いになった私の後ろから、若様のものが入ってくる。ゆっくりと押し広げるように、壁をなぞるように。足の指にきゅうっと力が入る。
「あ、おっきい、おおきいですっ♡」
「絡みついて…締め付けてくる…」
「あ、もっと、感じてください…っ♡」
腕はすぐに疲れてしまい、私は肘をついている。腰を高く上げ、抜けてしまわないよう、一層奥に当たるよう、若様の動きに合わせる。
水音が上がっていることに気づき、全部見られているのだと思うと、頭が痺れるような心地になった。
「っ…すごく締めつけてくる…」
「あ、これ、すき…好きです、そのまま、もっと…っ♡」
規則的な責めに耐えられず、身体がびくびくと震えてしまう。
「あ、あ、わたし、おかしくなってしまいそうです…♡」
「…いいのか?」
「は、いっ、わかさまの…きもちよすぎ…て…っ♡ ん、んん~~~っ♡」
「…上手に達せて偉いな、いい子だ」
「ふ、あ、わたし、じょうずにできていました…か…?」
(褒められて嬉しいです…この調子で…お願いします……)
「ああ…俺は………君を」
(…だめです、もう、意識を保っていられません……)
目が覚めると、まだ夜明け前だった。先程の自分を思い返し…
そう、あれは花菱責めとつぶし駒掛け。
顔を見られないので大胆になってしまった自覚はある。
(我に返るといたたまれなくなりますね…)
目の前にあった若様の耳元で「無防備な寝顔が愛らしいです」と少し掠れてしまった声で囁き、自室に戻…指が絡められていた。
名残惜しいが解き、自室に戻った。
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