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「行ったようだな…大丈夫か?」

「はい…助けてくれてありがとうございます。あの…嫌じゃないんですか…人間の血が入った吸血鬼、」

少女もルーカスは純潔だと誤解しているようですぐさま訂正する。「あぁ、俺も半分入ってるんだよ…人間の血…だからお前を助けた!」

ヘラっと笑うルーカスを見て少女の体に衝撃が走った。行くあてもない少女は必死に頼み込む。

「行くところがないんです。お願いします!連れて行ってください!!」飛ぶことに慣れていない少女は足でまといになるかもしれない。でもそれは自分を鍛えればいい。今はこの人と離れたくないっという気持ちの方がデカかった。

「俺色んな景色を見たくて旅に出たばっかなんだ…それでもいいならいいぞ!!話し相手が居た方がきっと楽しいからな!!」

「いいのですか?!ぜひ連れて行ってください!!」

「俺はルーカス!お前は??」

「ルーカス様…私はリノと申します…」

「ルーカス様?!そんな呼び方気持ち悪いから普通に呼び捨てにしてくれ…。リノ…リノか!よろしくな!敬語もいらねぇから一緒に旅を楽しもうぜ!!」

リノは1年前に両親を亡くし波乱な生活を送っていた。だからこそ無邪気に笑うルーカスを見て今まで溜まっていた気持ちが溢れ出すように涙を流す。泣き出したリノにびっくりして必死にどうにかしようとするも全て空回り…。その必死さに思わず笑ってしまうリノ。ルーカスたちは一晩中語り合った。リノがどういう生活を送っていたのか、リノの年齢は19歳だとか嫌な顔をせず全て聞いてくれた。

心もだいぶ軽くなり少し距離が近くなったころにリノが話す。ルーカスという名の意味を…。

「私のいた場所ではルーカスという意味は光を表す言葉…だからルーカスの両親は太陽の光は無理だから名前に光の意味を付けたのかなって勝手な妄想だけどね…」

「光って意味なのか!!余計に自分の名が気に入った!!教えてくれてありがとな!!リノ!」

太陽が出てくる時間。二人で日の光が当たらないところを探した。リノは人間の血が濃い為太陽への耐性が強い。日の光が浴びれるおかげで街に食料を買いに行ってくれるという。ルーカスにとってそれはありがたい提案だった。

太陽の下が平気というのに生活はルーカスに合わせてくれることになりリノとルーカスは眠りにつく。
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