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彼の名はルーカス。人間と吸血鬼の間に生まれ人間に交じり生活していた。ハーフでも吸血鬼の力を受け継いでおり飛ぶこともできる。しかし純潔でない彼は本来の力には到底敵わず吸血鬼の事は隠して生活していた。

彼が受け継いだ力は羽と赤い目、小さな八重歯。そして太陽の光に弱いということ。血は毎日飲まずとも生活していけるが月に一度は摂取しないといけない。そしてその血は人間の母親の血ではなく他人の血が必要だということ。

彼は父親に吸血鬼のハーフだと他の吸血鬼にバレたら何をされるかわからねぇから隠せと言われもう彼は16歳になる。彼は窮屈だった。世界を見て回りたい。それが彼の夢。

そしてある日ルーカスは打ち明けた。世界を見たいと。他の吸血鬼にバレても逃げきって見せる。必ず帰ってくると言い両親は笑った。

何だそれと笑われるのを覚悟して言ったのに両親は「立派な考えだ」と笑ってくれた。そして聞いた。両親の出会いを。

母様は狂った兄に閉じ込められ外を見たことがなかったところに父様が現れ母様をさらったという。そこに生まれたのがルーカスだった。父様も昔は世界中を飛び回ったいう。両親は言ってくれた。18歳になったら世界を見てこいと。ルーカスは嬉しかった。

この2年間ですることは決まっていた。飛ぶ訓練だ。父様は立派な翼を持っているがルーカスは父様の半分の翼しか持っていない。人目を気にして飛ぶこともあまりしたことが無かった。人に見つからない場所でひっそりと飛ぶ練習をする。父様もコツを教えてくれたりと協力してくれた。

母様は気をつけないといけない事を教えてくれた。旅に出ても生きていく術を身につける為に嫌いな勉強を必死にして様々な事を学んだ。

吸血鬼の存在は人間からは幻の存在とされていてバレてはならない。他の吸血鬼たちは見られてしまったら人間を食べるか殺してしまう。そう吸血鬼も人は食べれる。美味しいものを求めて人間を食べるのだ。

「お前は小さくても吸血鬼の容姿は引き継いでいるから大丈夫だとは思うがハーフだということは絶対にばれるな」父様はなんどもそう言っていた。その言葉を胸に刻むルーカス。

時は春。ルーカスは旅に出る。だいぶ飛べるようにはなったが父様に比べれば全然。だが、旅に出れるまでには成長した。距離的には飛べないかもしれない。休憩を沢山はさみながらの旅になるだろう。それはそれでゆっくりとした旅になる。どんな旅になるのか期待し、いざ大空へ旅立つ!
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