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2章 神様仕事

2.少女の話

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今日も私は人間を見守る。今日もどこかで誰かが死に誰かが生まれる。

無心で眺めていると1人の女の子がトラックに轢かれて死んだ。その子は死ぬ間際まで後悔をしていた。もう死ぬって時に他人のことについて後悔をしていたのだ。気になってしまった。あの子は何を思い、これまでどんな感情で生きてきたのか。私は彼女をこの場所に招待した。

「ここは、」とビックリする少女。そりゃ誰だって最初はびっくりする。死んだと自覚があるから尚更ね。みんな最初はやっぱり私の羽が目につくようで神様と確信する。

「あの…私っ」
後悔している内容を話そうとしたのか急に口を開く少女。

「知ってる。気にかかる事があるんでしょ。それを聞くために呼んだ。」

「えっ、誰でもここに来れるわけじゃないんですか、」

「みんな呼んでたら私の身がもたないよ。ここの時間は地上と同じように流れるし、全員の願いはかなえられないからね。変に期待させるぐらいなら知らせないのが一番いいんだよ」

「あの、神様…?どうしてそんなに寂しそうなんですか?」

久しぶりにびっくりしてしまった。
「寂しそう?私が?どうしてそう思うの。あと私は神様なんかじゃない。私は代理。この場所を預かっているだけ。」

「本当の神様がいるんですね。寂しそうなのはその人が居なくなったからとかですか?」

この子死んだばかりなのにどうしてこんなにも平気なの。みんな死んだことに絶望し、願いを伝え懇願する。
他とは違う考え方。とても興味深い。

「寂しくなんかない。「あの方」はきっと帰ってきてくれるからそれまで私は待つだけ。寂しそうなんて言われたのは初めて、どうしてそう思ったのか聞かせてくれる?」

「あ、なんか図々しいかもしれないんですけど、目に笑ってなくて、、絵とかでいうと目がキラキラしてない、みたいな!」

本当にこの子は変。そんな事普通言わない。だって私は仮でも一応神様なのだから、私の機嫌を損ねないようにみんな慎重に話すのにこの子は思ったことをハッキリ伝えてくれる。

「ふふっ面白い子、貴方名前は?」

「え、あ…、みう、みうです!」
笑ってくれた事が嬉しかったのか笑顔で名前を言うミウ。

「もしよろしければ神様の名前、知りたいですっ!」

「もう神様と呼ばれ過ぎて昔名乗ってた名前なんて忘れてしまったわ。」

「昔…?もしかして代理ということは元々人間ってことですか?!」

「思ったことを口から出し過ぎ、そう。ミュウ、私、貴方と同じ人間だった。でも生きているとき私は全てにめんどくさくなってしまったの。だから死を選んだ。自殺したの。でも死を選んで正解だったと思う。ここでの暮らしも退屈だけど地上よりは楽しい。話相手もいるし、」

「話相手?まだだれか他に?」
ミウは触れないようにしたが「ミュウ」と呼ばれたことに喜びを隠せない様子で質問する。

「今はいないけど一応いるよ」

「一人じゃないんですね!よかった!」

椅子に座り話し出す神様代理。
「だいぶ話がそれちゃったね。君のその抱えきれない後悔を教えてくれない?悩みなんてないような振る舞い」

足を組み頬杖をついてこう言った。
「すごく興味があるよ」

そして急に目線を落とすミウ
「神様だったら心も読めちゃうんじゃないですか?」

「神様だからと言ってそんなに都合のいいものは持ってないよ。ただその溢れ出す後悔は見たくなくても見える大きささ。まぁ「あの方」だったら心が読めていたかもね。考えが分かってもその後悔、未練はミュウ、君の口から聞きたい。出来るだけ詳しくね。」

言いたくなさそうに口を開いてこう話す
「私、昔すごく仲のいいハルっていう子が居たんです。姉妹のように一緒に育って姉のように慕ってました。当時私は4歳だったんですけど、今でもあの時の光景をハッキリ覚えてて、」

目に涙をためて話すその姿を見下ろすようにみる神様代理。

「ハルさんは9歳であの世に行ってしまった。飛び出したあなたの代わりにね。」

「心読めるんじゃないですか、、」

「いや、読めないよ。一応神様だからね。欲しい情報はすぐわかるってだけ。ハルって名前でもう特定できるわ。でもあなたがその時何を思って今何を考えているかまではわからないの。だからね?教えて?」

口調が変わったり、さっきまでは別人のように明るかったり、不安定な神様をみて月日というのはなんと残酷なんだろう、ミウはそう思ってしまった。
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